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鞭打
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むちう
ふりがな文庫
“
鞭打
(
むちう
)” の例文
と急がわしく
硯
(
すずり
)
を引き寄せ、手早く
認
(
したた
)
めたる電信三通、
婢
(
おんな
)
を呼び立ててすぐにと
鞭打
(
むちう
)
たぬばかりに追いやり、
煙管
(
きせる
)
も取らず茶も飲まず
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
矢を射かけたのが権八らしいということは、正内老人も否定していたが、べつの意味でも、いちは権八の手であんなにひどく
鞭打
(
むちう
)
たれた。
ちくしょう谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
長途なので、一気に馬を
鞭打
(
むちう
)
てば馬がつぶれる。秀吉は、平均に軽走させながら、同じ歩調でついて来る馬上の蘭丸をかえりみて話した。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
労働者を激励し、身を据え、立ち止まり、また駆け出し、
騒擾
(
そうじょう
)
と努力との上を
翔
(
かけ
)
り、あちらこちら飛び回り、ささやき、怒鳴り、全員を
鞭打
(
むちう
)
っていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
お前の心から暗黒を
放逐
(
ほうちく
)
し、不自然でもかまわぬ、明るい光を添えて見ろ、と自身を叱り
鞭打
(
むちう
)
って、自分の航路を規定したく、
舵
(
かじ
)
を
釘
(
くぎ
)
づけにする気持で
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
ことに雨のふる
夜更
(
よふ
)
けなどに養家において来た二人の子供のことを
憶
(
おも
)
い出すと、
荊
(
いばら
)
で
鞭打
(
むちう
)
たるるように心が痛み、気弱くも
枕
(
まくら
)
に涙することもしばしばであった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「かような始末ではござる。
死屍
(
しし
)
を
鞭打
(
むちう
)
つようで心苦しいが、申さなければかえって疑惑を増すであろう」
銭形平次捕物控:139 父の遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
紳士の
不機嫌
(
ふきげん
)
が、クルミさんの心を
鞭打
(
むちう
)
ったのだ。が、そればかりではない。もう一つ大きな理由があったのだ。クルミさんは、紳士の右手を、はじめて見たのである。
香水紳士
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
が、そのまま何もなくバッタリ
留
(
や
)
んだ。——聞け、時に、ピシリ、ピシリ、ピシャリと肉を
鞭打
(
むちう
)
つ音が響く。チンチンチンチンと、
微
(
かすか
)
に鉄瓶の湯が
沸
(
たぎ
)
るような音が
交
(
まじ
)
る。
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三十もしくは四十の烈しい
鞭打
(
むちう
)
ちで、それだけでも気絶する者が少なくなかったという。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
「手の下の罪人」何という
暴虐
(
ぼうぎゃく
)
な言葉だ。誰が罪人なのだ? そして、いったい何人にいかなる権利があって
恣
(
ほしいまま
)
に
鞭打
(
むちう
)
ち、苦しめ、虐待を
敢
(
あ
)
えてするのだ。誰に、そんな権利があるのだ。
子供は虐待に黙従す
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼は
卑弥呼
(
ひみこ
)
の部屋の装飾を命じた五人の
使部
(
しぶ
)
に、王命の違反者として体刑を宣告した。五人の使部は、武装した
兵士
(
つわもの
)
たちの囲みの中で、王の口から体刑停止の命令の下るまで
鞭打
(
むちう
)
たれた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
全く予測し難い地震台風に
鞭打
(
むちう
)
たれつづけている日本人はそれら現象の原因を探究するよりも、それらの災害を軽減し回避する具体的方策の研究にその知恵を傾けたもののように思われる。
日本人の自然観
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
五
(
いつ
)
月ののち、司馬遷はふたたび筆を
執
(
と
)
った。
歓
(
よろこ
)
びも
昂奮
(
こうふん
)
もない・ただ仕事の完成への意志だけに
鞭打
(
むちう
)
たれて、傷ついた脚を
引摺
(
ひきず
)
りながら目的地へ向かう旅人のように、とぼとぼと稿を継いでいく。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
それはまるで人を
鞭打
(
むちう
)
つような調子であった。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
鞭打
(
むちう
)
ってください。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
惑
(
まど
)
いがちな私情に
鞭打
(
むちう
)
って、そのうしろから走りだした。ガッキと口にくわえた銀みがきの十手は、心を鬼にもつうわべの
牙
(
きば
)
。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中田屋杉之助の顏は眞つ蒼、——その
藍
(
あゐ
)
のやうな額に油汗が浮かんで、恐ろしい苦惱の色が
鞭打
(
むちう
)
つたやうに顏中を走ると、胸を押へてクワツと吐いたのは
一塊
(
ひとかたまり
)
の血潮です。
銭形平次捕物控:167 毒酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
草
(
くさ
)
を
毟
(
むし
)
れ、
馬鈴薯
(
じやがいも
)
を
掘
(
ほ
)
れ、
貝
(
かひ
)
を
突
(
つ
)
け、で、
焦
(
こ
)
げつくやうな
炎天
(
えんてん
)
、
夜
(
よる
)
は
毒蛇
(
どくじや
)
の
霧
(
きり
)
、
毒蟲
(
どくむし
)
の
靄
(
もや
)
の
中
(
なか
)
を、
鞭打
(
むちう
)
ち
鞭打
(
むちう
)
ち、こき
使
(
つか
)
はれて、
三月
(
みつき
)
、
半歳
(
はんとし
)
、
一年
(
いちねん
)
と
云
(
い
)
ふ
中
(
うち
)
には、
大方
(
おほかた
)
死
(
し
)
んで
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
めざめて帰った
放蕩
(
ほうとう
)
息子と、あたたかく迎える親との図を思わせるような、美しい感動的な一瞬である。だが、これらの改装作業が終るとたんに、
鞭打
(
むちう
)
ち教的な行事が始まるのだ。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
かねて習い覚えて置いた
伝法
(
でんぽう
)
の
語彙
(
ごい
)
を、廻らぬ舌に
鞭打
(
むちう
)
って余すところなく展開し、何を言っていやがるんでえ、と言い終った時に、おでんやの姉さんが明るい笑顔で、兄さん東北でしょう
服装に就いて
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「大兄、我は王のために
鞭打
(
むちう
)
たれるであろう。」
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「和氏。
老躯
(
ろうく
)
に
鞭打
(
むちう
)
たせて、ご苦労だったが、使いの功は上々であったぞ。これでまず、義貞もじっとはしておられまい」
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『
又
(
また
)
鞭打
(
むちう
)
つて、』
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
新九郎は、
欣
(
よろこ
)
びほどの礼を云う
遑
(
いとま
)
もなく、再び疲れた体に
鞭打
(
むちう
)
って、並木から並木つづきの街道を一心に走りつづけた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……ああ、子を愛しながらも、子に
鞭打
(
むちう
)
つことをなさる、お父上のきびしいお力、大きな愛のお力が借りたい。そう日頃から思いつめていたせいであろ。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは、長篠へ長篠へと、行く先を急ぐ気もちよりは、人間本来の弱さを、意志で
鞭打
(
むちう
)
って、家と自分との距離を、一息のまに遠くしてしまいたいためであった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お通の牛に
鞭打
(
むちう
)
って、彼女ぐるみ、何処かへ
攫
(
さら
)
って行ったということは、目撃していた旅人の口から伝わって、もうこの街道筋では、隠れもない噂ばなしにのぼっている。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼が
落魄
(
おちぶ
)
れ
公卿
(
くげ
)
の子と
嗤
(
わら
)
われ、ガタガタ
牛車
(
ぐるま
)
で日野の学舎へ通う時、自分は時めく
平相国
(
へいしょうこく
)
の
家人
(
けにん
)
の
嫡子
(
ちゃくし
)
として、多くの
侍
(
さむらい
)
を供につれ、美々しい牛車に
鞭打
(
むちう
)
たせて、日ごとに
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は、賢いので、こういう噂に対しても、自分から先に口を出して、
死屍
(
しし
)
に
鞭打
(
むちう
)
つようなことばは決して吐かなかったが、近習の同輩が、あれこれと、佐久間父子のうわさをして
嗤
(
わら
)
うと
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
信長が天成の大器であることも、その長所をもよく知っている中務の
諫言
(
かんげん
)
だけに、信長はそれを読んでゆくうちに、涙より先に、びしびしと、
鞭打
(
むちう
)
たれるような、真実の痛さを胸にうけた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つぶやいていたかと思うと、信長は衝動的に、いきなり
鞭打
(
むちう
)
って駈け出した。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、やにわに、馬に
鞭打
(
むちう
)
って、焔の町中を駈け出した。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかも民心を打つことだ、
鞭打
(
むちう
)
つことだ。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それに
鞭打
(
むちう
)
たれて
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鞭
漢検準1級
部首:⾰
18画
打
常用漢字
小3
部首:⼿
5画
“鞭”で始まる語句
鞭
鞭撻
鞭韃
鞭声粛々
鞭声
鞭影
鞭策
鞭索
鞭毛
鞭責