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雄
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おす
ふりがな文庫
“
雄
(
おす
)” の例文
鵞鳥
(
がちよう
)
を。二
羽
(
わ
)
の鵞鳥を。薄い
平
(
ひら
)
めな
土坡
(
どば
)
の上に、
雄
(
おす
)
の方は高く首を
昂
(
あ
)
げてい、
雌
(
めす
)
はその雄に向って寄って行こうとするところです。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その代り雛鳥はまだ体質が
雄
(
おす
)
は雄のように発達しておらんから去勢されても平気なもので
施術
(
しじゅつ
)
の結果さえ良ければ後に弱ることがない。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
何となれば、その卵を生んでいる蠅は、いずれも皆
雌
(
めす
)
ではなく、実に
雄
(
おす
)
だったのである。そしてその雄から、あの畸形な子蠅が生れてきたのだ。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「むむ。おれも何だかそんな気がする。ゆうべ釣って来たのは
雄
(
おす
)
の鯉で、その
雌
(
めす
)
が取り返しに来たんじゃあるめえかな」
半七捕物帳:44 むらさき鯉
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
男は徹夜続きの疲労し切った肉体に、逆に襲って来た
情慾
(
じょうよく
)
に眼が
眩
(
くら
)
み、
雄
(
おす
)
の野獣を思わせる荒々しさで征服し始めた。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
▼ もっと見る
先の者も人の気配に、
杢之進
(
もくのしん
)
よりはびっくりした様子。
雉子
(
きじ
)
の
雌
(
めす
)
雄
(
おす
)
が舞ったように、パラパラと沢の方へ逃げだした。
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
村に
猟夫
(
かりゅうど
)
が居る。
猟夫
(
りょうし
)
といっても、南部の
猪
(
いのしし
)
や、信州の熊に対するような、本職の、またぎ、おやじの
雄
(
おす
)
ではない。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ええ、——いや、
雄
(
おす
)
の河童だけは知っています。わたしの妻などはこの河童を悪人のように言っていますがね。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
どこからともなく、ひばりの
声
(
こえ
)
がきこえてきました。ちょうど、このとき、
雄
(
おす
)
のほおじろを
失
(
うしな
)
った
雌
(
めす
)
のほおじろは、ひとりやぶのしげみで
悲
(
かな
)
しんでいました。
平原の木と鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「いや、ざっくばらんに云うと、私の家には
雌
(
めす
)
の金魚が一ぴきだけでしょう。だから、どうもよその
雄
(
おす
)
を見ると、目について
羨
(
うらや
)
ましくて好意が持てるのです」
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それを病室のガラス障子の外に据えて数羽の小鳥を入れて見た。その鳥はキンパラという鳥の
雄
(
おす
)
一羽、ジャガタラ雀という鳥の
雌
(
めす
)
一羽、それと
鶸
(
ひわ
)
の雄一羽とである。
病牀苦語
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
同時に裸体の少年たちが、
雄
(
おす
)
やぎのつのにしがみついて、雄やぎのはねるままに、歓呼して引きずられてゆきながら、葉のまきついた棒で、雄やぎを突きさしている。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
幾羽もいる籠へ、
萎
(
しな
)
びた手をあらあらしく差し込んで、二羽
攫
(
つか
)
み出して、
空籠
(
からかご
)
に移し入れるのである。それで
雌
(
めす
)
雄
(
おす
)
が分かるかと云えば、しぶしぶ「へえ」と返事をした。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
時々前膊の皮膚に
瓶
(
びん
)
の
口
(
くち
)
を当てて血を吸わせたりする。蚤の
雄
(
おす
)
が一瞬に飛ついて
雌
(
めす
)
と交尾したりするありさまを見る。蛹がようやく色が濃くなって成虫になるありさまを見る。
蚤
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
外
(
ほか
)
の村々の人馬にはいささかも害をなさず。飯豊衆相談して狼狩をなす。その中には
相撲
(
すもう
)
を取り
平生
(
へいぜい
)
力自慢
(
ちからじまん
)
の者あり。さて野に
出
(
い
)
でて見るに、
雄
(
おす
)
の狼は遠くにおりて
来
(
き
)
たらず。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
真っ白の頸足へもつれる髪! 美しいなアこれだけで、大概の
雄
(
おす
)
は退治られる。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私の眼の下にはこのとき一匹の
雄
(
おす
)
がいた。そして彼もやはりその合唱の波のなかに漂いながら、ある
間
(
ま
)
をおいては彼の
喉
(
のど
)
を震わせていたのである。私は彼の相手がどこにいるのだろうかと捜して見た。
交尾
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
雄
(
おす
)
であったが、
雌
(
めす
)
の様な雄であった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
たちまち、魚容は
雄
(
おす
)
の烏。
竹青
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それは鶏の選び方を知らんからでしょう。
鶏肉
(
けいにく
)
は若い鶏でなければ肉も柔く味も良いという訳に参りませんが、三百五十目以内ならば
雄
(
おす
)
の方が良いのです。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
するとたちまち、あたりは暗くなり、雲のごとき気流のうちから、数千の
豼貅
(
ひきゅう
)
(大昔、中国で飼い馴らして戦場で使ったという猛獣のこと、
豼
(
ひ
)
は
雄
(
おす
)
、
貅
(
きゅう
)
は
牝
(
めす
)
)
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
重吉も——重吉は
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
世間並みに出来上った男に違いなかった。が、彼女の
軽蔑
(
けいべつ
)
する一匹の
雄
(
おす
)
にも違いなかった。こう云う彼等の幸福は彼女には
殆
(
ほとん
)
ど不正だった。
玄鶴山房
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
十羽ほどの鶏を籠に入れて、売りに来た者がありまして、
雌鶏
(
めんどり
)
と
雄鶏
(
おんどり
)
のひと
番
(
つが
)
いを買いましたが、雌鶏の方は夏の末に
斃
(
お
)
ちてしまいまして、
雄
(
おす
)
の方だけが残りました。
半七捕物帳:51 大森の鶏
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
入口に例の
雌
(
めす
)
だか
雄
(
おす
)
だか解らない二匹の
蝙蝠
(
こうもり
)
が上下になって、ネオンサインで描き出してあった。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
もやもやとしたけはい——
雄
(
おす
)
やぎの鋭い体臭や、あえぐ肉体のいきれや、くさった水から立つような臭気や、それともうひとつ別の、かぎなれた、傷と流行病の臭気などが、感覚をさいなんだ。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
それは、
白
(
しろ
)
い
雲
(
くも
)
の、あわただしく
流
(
なが
)
れる
日
(
ひ
)
でした。この
雄
(
おす
)
のほおじろは、このあいだから、つけねらっていた
町
(
まち
)
の
鳥刺
(
とりさ
)
しのために、すこしの
油断
(
ゆだん
)
を
見
(
み
)
すかされて、ついに
捕
(
と
)
らえられてしまいました。
平原の木と鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しかるにその去勢した者は肉の味が去勢せざるものに三倍するとしてある。普通の鶏は
雌
(
めす
)
の肉が
雄
(
おす
)
より美味いと
極
(
き
)
まっているが去勢した雄は雌よりも
遥
(
はるか
)
に美味い。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
(『生命の
樹
(
き
)
』は樹というものの、成しあたわないことはないのです。)のみならず
雌
(
めす
)
の
河童
(
かっぱ
)
を造りました。すると雌の河童は退屈のあまり、
雄
(
おす
)
の河童を求めました。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
李逵は身を
反
(
そ
)
らした。こんどこそは、彼もその身構えをかたくせざるをえなかったらしい。一陣の風に、牙を
剥
(
む
)
いて、新たに出て来たのは、
額
(
ひたい
)
の白い巨大な
雄
(
おす
)
の虎であった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
家内が五人あれば廃物で五羽の鶏が飼える勘定で産卵鶏の好い種類を飼いますと一羽が一年に二百個以上の玉子を産みます。
雄
(
おす
)
一羽
雌
(
めす
)
四羽として二四が八百の玉子を取れます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
さあ、たぶん
雄
(
おす
)
の河童をつかまえるという意味にでもとったのでしょう。そこへおふくろと仲悪い
叔母
(
おば
)
も
喧嘩
(
けんか
)
の仲間入りをしたのですから、いよいよ大騒動になってしまいました。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
僕等は
金
(
かね
)
の
工面
(
くめん
)
をしてはカッフェやお茶屋へ出入した。彼は僕よりも三割がた
雄
(
おす
)
の特性を具えていた。ある
粉雪
(
こなゆき
)
の烈しい
夜
(
よる
)
、僕等はカッフェ・パウリスタの隅のテエブルに坐っていた。
彼 第二
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
... どうして
別
(
わ
)
けるね、俗に細長いのが
雄
(
おす
)
で
円
(
まる
)
いのが
雌
(
めす
)
だというがそうかね」中川
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
しかし酒匂の鮎が足りなくなると
馬入川
(
ばにゅうがわ
)
や
狩野川
(
かのがわ
)
の鮎を使う事がありますから随分雑種の鮓が出来ますけれども
先
(
ま
)
ず酒匂の鮎ならば鮓に適しています。それも
雄
(
おす
)
よりは
雌
(
めす
)
の方がようございます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
“雄”の意味
《名詞》
(おす)性別において、卵や胎児を産む能力を有していないもの。
(ユウ)力が強く、技能に秀でている存在。専ら男性的な存在を指して用いられる。
(出典:Wiktionary)
“雄”の解説
雄(オス、牡、en: Male)は、動物の性別のうち、精巣を有し、精子をつくる側のこと。植物の場合は、雄花をつけるもの。対義語は。
(出典:Wikipedia)
雄
常用漢字
中学
部首:⾫
12画
“雄”を含む語句
雌雄
雄鶏
英雄
雄々
雄叫
雄黄
雄鳥
雄蕋
雄心
雄雞
手力雄命
菅忠雄
雄利
久米正雄
高雄
雄山
信雄
雄勝
雄大
雄姿
...