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遺書
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かきおき
ふりがな文庫
“
遺書
(
かきおき
)” の例文
「それは存じませんが、ある晩私にそれを見せて、もうこれで、
遺書
(
かきおき
)
が出来たから、いつ死んでもよいと、冗談を申して居りました」
闘争
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
斯の如くの
遺書
(
かきおき
)
を越前守殿
聞
(
きか
)
れ如何にも
憐
(
あは
)
れの事に思はれしかば心中に扨は其島が殺されし死骸は
思當
(
おもひあた
)
りし事も有とて考へ居られけり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
川
縁
(
べり
)
の下駄も、
遺書
(
かきおき
)
も、俺のさせた狂言で、うまく国許をずらかってから、
彼女
(
あいつ
)
は、江戸で女師匠、俺は、持ったが
病
(
やまい
)
の
博奕
(
ばくち
)
、酒。
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただお町の繰り言に聞いても、お藻代の
遺書
(
かきおき
)
にさえ、黒髪のおくれ毛ばかりも、
怨恨
(
うらみ
)
は水茎のあとに留めなかったというのに。——
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この御恩を報ずる
生命
(
いのち
)
が私にないのかと思うと私は蒲団を掴み破り、畳をかきむしり、老先生の
遺書
(
かきおき
)
を噛みしだいてノタ打ちまわった。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
中を開くと、玩具のやうな純銀の化粧道具が三つ四つ、眞ん中の深いポケツトに、小さく疊んだ半紙の
遺書
(
かきおき
)
が入つて居るのです。
銭形平次捕物控:307 掏られた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この
遺書
(
かきおき
)
は警察宛てだったので、すぐ開けられたの。あたしは検事さんが読んでいる内にハラハラと熱い
口惜
(
くや
)
し涙を流したわ。
ニッケルの文鎮
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
竜之助は黙って、自分だけは
遺書
(
かきおき
)
もしなければ辞世もつくらず、
介錯
(
かいしゃく
)
をしてやろうとも言わず、もとより頼もうと言う者もありませんでした。
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
どんな妖婦でも、昔の毒婦伝に出て来るやうな恐ろしい女でも、自分を恨んで死んだ男の
遺書
(
かきおき
)
を、かうまで冷酷に評し去る勇気はないだらう。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
彼は別室へ往って伯父と新八郎に宛てて
遺書
(
かきおき
)
を書き、再び正太夫の死骸の前へ往って諸肌を抜いで短刀を腹に擬した。
魔王物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
河畔
(
かわばた
)
の柳の樹に馬を繋いで、鉛筆で
遺書
(
かきおき
)
を書いてそいつを鞍に挟んでおいて、自分は鉄橋を
渉
(
わた
)
って真中からどぶんと飛込んじゃった。残念でならんがだ。
躯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
御主人様が是だけの
遺書
(
かきおき
)
をお
遣
(
つか
)
わしなさるは何の
為
(
た
)
めだと思わッしゃる、そんな事をしなさると、飯島の
家
(
いえ
)
が
潰
(
つぶ
)
れるから、
邸
(
やしき
)
へ
行
(
ゆ
)
く事は明朝までお待ち
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そして恐らく私の
遺書
(
かきおき
)
を、貴郎が発表なさらぬ限りは慶安謀叛の真相とその発覚の顛末については、多くの後世の史家達も首を捻ることでございましょう。
正雪の遺書
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
煉瓦に刻んだ
遺書
(
かきおき
)
と云ったのは、これのことだなと思うと、恐ろしさに身震いが出たが、恐ろしければ恐ろしい程、それを読んで見ないではすまされぬ気持ちで
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
小万
(
こまん
)
は涙ながら写真と
遺書
(
かきおき
)
とを持つたまゝ、同じ二階の
吉里
(
よしざと
)
の
室
(
へや
)
へ走ツて行ツて見ると、素より吉里の
居
(
を
)
らう筈がなく、お熊を始め
書記
(
かきやく
)
の男と
他
(
ほか
)
に二人ばかり騒いでゐた。
里の今昔
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
小万は涙ながら写真と
遺書
(
かきおき
)
とを持ったまま、同じ二階の吉里の室へ走ッて行ッて見たが、もとより吉里のおろうはずがなく、お熊を始め書記の男と他に二人ばかりで騒いでいた。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
だが、
遺書
(
かきおき
)
がないのだ。——そこで一人の敏腕な刑事が疑いを残してみたくなる。
遺書に就て
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
俺の死体が発見された時、せめてこの顛末だけは判るように、
遺書
(
かきおき
)
代りに、出来るだけくわしく記事を書いて置こう。それでこそ新聞記者らしい最期というもんだ。……おお、そうだ。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それから、申し添えて置きますが、ここへ来る前、わたしは、家族や、子分たち、知己、友人、その他に、
遺書
(
かきおき
)
を残して来ました。あなたを殺し、自分も死ぬつもりじゃったからです。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
吾儕
(
わがみ
)
が先立てば誰とて後で
父樣
(
とゝさま
)
の御介抱をば申し上ん夫を思へば
捨兼
(
すてかね
)
る生命を捨ねば惡名を
雪
(
すゝぐ
)
に難き
薄命
(
ふしあはせ
)
お目覺されし其後に此
遺書
(
かきおき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その診察に因って救うべからずと決した時、次の
室
(
ま
)
に
畏
(
かしこま
)
っていた、二上屋藤三郎すなわちお若の養父から捧げられたお若の
遺書
(
かきおき
)
がある。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分の訪れを予期して角三郎が書いて行ったものには違いないが、いつもの
欣
(
うれ
)
しい文字ではない
遺書
(
かきおき
)
と云ってもいい悲壮なものであった。
御鷹
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それに、
遺書
(
かきおき
)
の立派なお言葉に、殿も今さら後悔の御様で、——なんにもおっしゃりはしないが、黙って我慢していられるだけにお気の毒だ
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
という意味の
遺書
(
かきおき
)
を残して、
真昼間
(
まっぴるま
)
、家出してしまった。好人物の蟹口はこの
遺書
(
かきおき
)
を真面目に信じて、
届出
(
とどけで
)
なかったらしい。
衝突心理
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
どんな
妖婦
(
ようふ
)
でも、昔の毒婦伝に出て来るような恐ろしい女でも、自分を恨んで死んだ男の
遺書
(
かきおき
)
を、こうまで冷酷に評し去る勇気はないだろう。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
遺書
(
かきおき
)
にも書き残してあった通り、女の一方が一つか二つか年上で、弟をいたわるように、心ならずも引かされて死んでやったと見るべきだから
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そして自分の事を書いてある
遺書
(
かきおき
)
のあるのをどうかして知っていて、それを
奪
(
と
)
ろうと部屋中探したに違いないとね。何てずうずうしいんでしょう。
ニッケルの文鎮
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
飯島の
遺書
(
かきおき
)
をば取る手おそしと読み下しまするに、孝助とは一旦
主従
(
しゅうじゅう
)
の
契
(
ちぎ
)
りを結びしなれども
敵
(
かたき
)
同士であったること、孝助の忠実に
愛
(
め
)
で、孝心の深きに感じ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
小万
(
こまん
)
は涙ながら写真と
遺書
(
かきおき
)
とを持ったまま、同じ二階の
吉里
(
よしざと
)
の
室
(
へや
)
へ走ッて行ッて見ると、
素
(
もと
)
より吉里のおろうはずがなく、お
熊
(
くま
)
を始め
書記
(
かきやく
)
の男と
他
(
ほか
)
に二人ばかり騒いでいた。
里の今昔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
葉之助へ一封の
遺書
(
かきおき
)
を残し、弓之進が
屠腹
(
とふく
)
して果てたのはその夜の
明方
(
あけがた
)
のことであった。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
遺書
(
かきおき
)
のようなものを、肌を離さずに持っていたのを、どうかした拍子に、ちらと見てからと云うもの、少しも気を許さない。どこへ出るにも馬丁をつけてやることにしていたんだ。
躯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
両親の所へ詫状(或は
遺書
(
かきおき
)
)の一本位寄越してもよさそうなものじゃないか。
黒手組
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
みすみす、おまえたちと朝夕ひとつに暮していた山吹が、
遺書
(
かきおき
)
して出て行ったのに、のめのめ見ごろしにするという法があるか。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遂て遣はすシテ其
遺書
(
かきおき
)
を
持參
(
ぢさん
)
致居るかと問るゝに
御意
(
ぎよい
)
の如く
持參
(
ぢさん
)
仕つりしと吉兵衞は
懷中
(
ふところ
)
より取出して
指出
(
さしいだ
)
しければ越前守殿是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
遺書
(
かきおき
)
があつたんで——
詳
(
くは
)
しいことはわかりませんが、見張るやうに頼んで置いた神樂坂の友吉が、暗いうちに使ひをよこしてくれましたよ」
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私はとりあえず支那料理屋に電話をかけると、すぐに二階に上ってなつかしい葉巻の煙に酔いつつこの
遺書
(
かきおき
)
を書き始めた。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
惨
(
むご
)
たらしい殺され方を見た時、その
遺書
(
かきおき
)
を繰返して見た時、不貞の女の当然の報いを眼前に見せられても、なおその女が憎いとは兵馬には思えないで
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
先以
(
まずもっ
)
て御主人様のお
遺書
(
かきおき
)
通りに成るから心配するには及ばん、お前は親の
敵
(
かたき
)
は討ったから、是からは御主人は御主人として、其の敵を
復
(
かえ
)
し、飯島のお家再興だよ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
京子は、そう答えると再び倭文子の寝台に近づいて、上にのっている
羽蒲団
(
はねぶとん
)
をめくってみた。彼女は倭文子の
遺書
(
かきおき
)
のようなものがありはしないかと思ったからである。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
旅籠
(
はたご
)
の表は黒山の人だかりで、内の廊下もごった返す。
大袈裟
(
おおげさ
)
な事を言うんじゃない。伊勢から私たちに逢いに来たのだ。按摩の変事と
遺書
(
かきおき
)
とで、その日の内に国中へ知れ渡った。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その紙片こそは由井正雪が臨終に際して書きのこしたところの世にも珍らしい
遺書
(
かきおき
)
なのであって、慶安謀叛の真相と正雪の真価とを知りたい人には無くてならない好史料なのである。
正雪の遺書
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
俺は煉瓦の
遺書
(
かきおき
)
を読んだ。そして、幸右衛門という奴は、母と俺とを、ひどい目に合わせたばかりでなく、父の源次郎を、生埋めにした下手人であることが分った。俺は父の骸骨に復讐を誓った。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
だが、あいつも十六だったんですから、自分から死ぬ気なら
遺書
(
かきおき
)
の一本も書くでしょうし、生きてるなら三年
此来
(
このかた
)
便りのない筈はねえでしょう。あっしはどうしても支倉が怪しいと睨んでいるんだ。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
『うちの
女房
(
ばば
)
が、きょうは住吉の縁家までまいって留守じゃ。よしよし
遺書
(
かきおき
)
をして参ろうか。数右衛門、
暫時
(
しばらく
)
、失礼申すぞ』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
家出された時が
二十歳
(
はたち
)
であったが着のみ着のままで
遺書
(
かきおき
)
なぞもなく、また前後に心当りになるような気配もなかったので探す方では途方に暮れた。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「平次、厄介なことが起つたな。
研屋
(
とぎや
)
五兵衞の
遺書
(
かきおき
)
が表沙汰になると、御腰物方が三人、腹切り道具になるが——」
銭形平次捕物控:072 買つた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
遺書
(
かきおき
)
を書いて、二人の身を、三井寺に近い琵琶湖の
淵
(
ふち
)
へ投げたが、倉屋敷の船頭に見出されて——男をひとり
常久
(
とわ
)
の闇に送って自分だけ霊魂を呼び返される。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
清左衞門は実に
呆然
(
ぼんやり
)
して、娘は
盗賊
(
どろぼう
)
の汚名を受けこれを恥かしいと心得て
入水
(
じゅすい
)
致した上は最早世に
楽
(
たのし
)
みはないと
遺書
(
かきおき
)
を
認
(
したゝ
)
め、
家主
(
いえぬし
)
へ重ね/″\の礼状でございます
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
細い
身体
(
からだ
)
なら抜けられるくらい古壁は落ちていたそうですけれど、手も
浄
(
きよ
)
めずに出たなんぞって、そんなのは、お藻代さんの身に取って私は
可厭
(
いや
)
。……それだとどこで
遺書
(
かきおき
)
が出来ます。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
卓
(
テーブル
)
の上には、
遺書
(
かきおき
)
らしく思はれる書状が、数通重ねられてゐる。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
“遺書”の意味
《名詞》
遺 書(いしょ)
死後の事を考え、死ぬ前に書いた書面。
(出典:Wiktionary)
“遺書”の解説
遺書(いしょ)とは、死後のために書きのこした文書のことで、かきおき、遺言状とも言う。「ゆいしょ」「ゆいじょ」とも。英語では死につつある者が書き残す書面をwill、testament、farewell note、自殺する者が書き残す書面をsuicide noteあるいはsuicide letterと区別する。後者の場合「自殺メモ」と邦訳することがある。
(出典:Wikipedia)
遺
常用漢字
小6
部首:⾡
15画
書
常用漢字
小2
部首:⽈
10画
“遺”で始まる語句
遺
遺憾
遺骸
遺物
遺言
遺恨
遺品
遺跡
遺漏
遺児