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造詣
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ぞうけい
ふりがな文庫
“
造詣
(
ぞうけい
)” の例文
しかも華麗を競ふたる新古今時代において作られたる
技倆
(
ぎりょう
)
には、驚かざるを得ざる訳にて、実朝の
造詣
(
ぞうけい
)
の深き今更申すも愚かに御座候。
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
家は、
室町
(
むろまち
)
幕府の名門であったし、歌学の
造詣
(
ぞうけい
)
ふかく、
故実
(
こじつ
)
典礼
(
てんれい
)
に詳しいことは、新興勢力の武人のなかでは、この人を
措
(
お
)
いて他にない。
日本名婦伝:細川ガラシヤ夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今川や大内などのように文に傾き過ぎて弱くなったのもあるが、大将たる程の者は大抵文道に心を寄せていて、相応の
造詣
(
ぞうけい
)
を有して居た。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その婦人は三十何年間日本にいて、平安朝文学に関する
造詣
(
ぞうけい
)
深く、平生日本人に対しては自由に
雅語
(
がご
)
を
駆使
(
くし
)
して応対したということである。
弓町より
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
けれども、彼の中世史学に対する
造詣
(
ぞうけい
)
を知るものには、何時か好む戯詩として、斯うした作品が生まれるであろう事は予期していたに相違ない。
オフェリヤ殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
▼ もっと見る
先生は、哲学方面の
造詣
(
ぞうけい
)
も深く、その未完の名著『物理学序説』では、物理学の本質について、深奥な考察をされている。
比較科学論
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
国学への
造詣
(
ぞうけい
)
をふかめるとともに、国学的な世界観や人間観を身につけ、反封建的超俗的な思想を抱懐するようになった。
雨月物語:04 解説
(新字新仮名)
/
鵜月洋
(著)
国学への
造詣
(
ぞうけい
)
をふかめるとともに、国学的な世界観や人間観を身につけ、反封建的超俗的な思想を抱懐するようになった。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
これは哲学の素養もなく、社会学の
造詣
(
ぞうけい
)
もなく、科学に暗く宗教を知らない一人の平凡な偽善者の
僅
(
わず
)
かばかりな誠実が叫び出した訴えに過ぎない。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「今日に限った事じゃない。いつでも腹の中で出来てるのさ。僕の俳句における
造詣
(
ぞうけい
)
と云ったら、
故子規子
(
こしきし
)
も舌を
捲
(
ま
)
いて驚ろいたくらいのものさ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
其磧以後の小説を一と通り漁り尽した私は硯友社諸君の器用な文才には敬服しても
造詣
(
ぞうけい
)
の底は見え透いた気がして円朝の人情
噺
(
ばなし
)
以上に動かされなかった。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
しかし学芸を
研鑽
(
けんさん
)
して
造詣
(
ぞうけい
)
の深きを致さんとするものは、必ずしも直ちにこれを身に体せようとはしない。必ずしも
径
(
ただ
)
ちにこれを事に措こうとはしない。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
もっともこれは東洋哲学に
造詣
(
ぞうけい
)
の深い斎藤先生の指導に影響されたせいでもあるが、その結果、福岡から程遠からぬ所に在るこの有名な、恐ろしい伝説に
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
博覧強記で学識があり識見があり、漢学の
造詣
(
ぞうけい
)
にも深いものがありました。それに
蒐集家
(
しゅうしゅうか
)
で書画、
古硯
(
こけん
)
、古陶、染織等の類は、見るべき品が数々ありました。
沖縄の思い出
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
自分でも興味が出て来て研究しますから、好い加減な
易者
(
えきしゃ
)
よりも
造詣
(
ぞうけい
)
が深い積りです。博士になる筈ですよ
冠婚葬祭博士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
高橋氏の、考古学に関する
造詣
(
ぞうけい
)
は、すでに趣味の領域をでている。専門的な学問としての研究で、多方面のその成果を発表して、絶讃を博しているときいている。
生きているコタンの銅像:――アイヌの慈父・高橋房次――
(新字新仮名)
/
知里真志保
(著)
これを以て見れば、良斎の方は、尺八の音について、さまでの
造詣
(
ぞうけい
)
はないものと見てよろしいでしょう。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
庸三は舞台の正面の、少し後ろの方に坐って、童謡を踊る愛らしい少女たちを見ていたが、後ろの
隅
(
すみ
)
の方に、舞踊にも
造詣
(
ぞうけい
)
のふかい師匠の若い愛人の顔も見えた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
然るに
渺
(
びょう
)
たる河内の一郷士正成が敢然立って義旗を翻すに至った動機には、実に純粋なものがあるのだ。学者の研究に依ると、正成は宋学の
造詣
(
ぞうけい
)
が相当深かった様だ。
四条畷の戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
世間の評判によると、あなたもたくさんの花やいい匂いについて、ずいぶんご
造詣
(
ぞうけい
)
が深いそうではありませんか。いかがです、わたしの先生になって下さいませんか。
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
モオリスは世のいわゆる高尚優美なる紳士にして
伊太利亜
(
イタリヤ
)
、
埃及
(
エジプト
)
等を旅行して古代の文明に対する
造詣
(
ぞうけい
)
深く、古美術の話とさえいえば人に劣らぬ熱心家でありながら
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかして
甲
(
こう
)
がその専門についてある点まで上達すれば、乙がまた他の専門についてある点に達するに比べて専門がいかに違っても、各自の
造詣
(
ぞうけい
)
は深さ高さによりて測り
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
精神分析学にも
造詣
(
ぞうけい
)
が深いと言われる安宅先生がこれしきの心理の曲折を識らないわけもございますまいに、ぬけ/\とこれを葛岡に押し付けてさせるところをみれば
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
書中に云っている所から推すと、彼は老儒の学にも
造詣
(
ぞうけい
)
のある、一かどの才子だったらしい。
るしへる
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
亡
(
な
)
くなった
衛門督
(
えもんのかみ
)
はどんな場合にも思い出される人だが、ことに何の芸術にも
造詣
(
ぞうけい
)
が深かったから、こうした会合にあの人を欠くのはもののにおいがこの世になくなった気がしますね
源氏物語:38 鈴虫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
動物学に於ける自分の
造詣
(
ぞうけい
)
の浅薄さが、いかん無く暴露せられたという事が、いかにも心外でならなかったらしく、私がそれから一つきほど経って阿佐ヶ谷の先生のお宅へ立寄ってみたら
黄村先生言行録
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
いたずらっぽくはいったが、その男は漢学の
造詣
(
ぞうけい
)
も深く、書家でもあった。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「わ、判ったよ。君の動物学についての
造詣
(
ぞうけい
)
は百二十点と認める——」
獏鸚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
俊基がそんな軽薄ではないにしろ、彼とて、新しい
宋学
(
そうがく
)
の
造詣
(
ぞうけい
)
にかけては、堂上一般の若公卿なみに、いやそれの先駆者ぐらいな誇りもある者だった。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
美妙斎は余りに早く大家となったために自分をもまた余りに高く買い被り過ぎて少しも
造詣
(
ぞうけい
)
に励まなかった。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
無論算哲博士に、考古学の
造詣
(
ぞうけい
)
がなけりゃ問題にはしないけれども、この形と符合するものが、ナルマー・メネス王朝あたりの
金字塔
(
ピラミッド
)
前象形文字の中にある。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
太祇蕪村一派の諸家その
造詣
(
ぞうけい
)
の深さ測るべからざる者あり。
暁台
(
きょうたい
)
闌更
(
らんこう
)
白雄
(
しらお
)
らの句
遂
(
つい
)
に
児戯
(
じぎ
)
のみ。(五月二日)
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
庸三も踊りはわかるようで
解
(
わか
)
らないのだったが、見るのは好きであったので、舞踊にも
造詣
(
ぞうけい
)
のふかい若い愛人清川を得てからの新作発表の公演も
見逃
(
みのが
)
さなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
妻は茶道に
造詣
(
ぞうけい
)
が深い。少くとも京都へ行って、千
家
(
け
)
の表だか裏だかの免状を貰って来ている。姪に教えていたが、嫁に行ってしまったので差当りお弟子さんがない。
四十不惑
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
この
詞
(
ことば
)
は私の評価に少からず影響した。F君のドイツ語の
造詣
(
ぞうけい
)
は、初め狂人かとまで思った疑を打ち消して、大いに君を重くしたのに、この詞は又頗る君を軽くした。
二人の友
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
当時余はほんの
小供
(
こども
)
であったから、先生の
学殖
(
がくしょく
)
とか
造詣
(
ぞうけい
)
とかを批判する力はまるでなかった。第一先生の使う言葉からが余自身の英語とは
頗
(
すこぶ
)
る縁の遠いものであった。
博士問題とマードック先生と余
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
親しくその人を
育
(
はぐく
)
んだ山川草木の間で、相当の研究を積んでいたには相違ないが、その中でも
竹中半兵衛尉重治
(
たけなかはんべえのじょうしげはる
)
の研究に就いては、なかなかの
造詣
(
ぞうけい
)
を持っているらしい。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
詩文の
造詣
(
ぞうけい
)
と才は、全く天下一品だったので、その方の世話にだけあずかる積りで止宿を乞うていたのであるが、もはや自分の目的が変った以上寺を出て仕舞ってもよかった。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
文芸趣味に
造詣
(
ぞうけい
)
が深く、寝ころんでも愉快に生涯を送れる身分でありながら、七面倒臭い東京の市長になって、
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も利欲に眼をくれず、どっちかといえば大した過ちもなく
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
植物についてこれほどの深い
造詣
(
ぞうけい
)
があるにもかかわらず、彼とその植物との間には、少しの親しみもないらしく、むしろ反対に、彼は植物に触れることも、その匂いを吸うことも
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
鉄心は実務の才に富むのみならず文学の
造詣
(
ぞうけい
)
もまた浅からず、執務の
旁
(
かたわら
)
暇あれば詩人墨客を招いて詩を唱和し酒豪を以て自ら誇りとなした。詩文を斎藤拙堂に禅を
雪爪
(
せっそう
)
禅師に学んだ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
法皇はあらゆる芸術に通じておいでになるが、その中でも最も音楽の御
造詣
(
ぞうけい
)
が深いから、それらに遠ざかっておいでになる御出家後といえども院が御覧になるのだと思うと晴れがましいのですよ。
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「ああ、あなたの地質の
造詣
(
ぞうけい
)
の深いのには敬意を表しますが——」
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
自分の平生の
造詣
(
ぞうけい
)
を、十分
披瀝
(
ひれき
)
して見よう。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
中野氏の家系は、鎌倉執権代の長崎高資の
裔
(
えい
)
とか。山口県での毛利氏研究には専門家以上の
造詣
(
ぞうけい
)
のある人である。
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ましてや謙遜な二葉亭は文章の
造詣
(
ぞうけい
)
では遥に春廼舎に及ばないのを認めていたから、
己
(
おの
)
れを
空
(
むなしゅ
)
うして春廼舎の加筆を仰いだ。春廼舎臭くなったのも止むを得なかった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
さて、葉書の問題でなくて俳句のことだが、この方面に於ける僕の
造詣
(
ぞうけい
)
は至って浅い。学校の読本で見本を三つ四つ習ったばかりだから
全然的
(
ぜんぜんてき
)
無学
(
むがく
)
だといっても差支ない。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
浮城物語、西国立志篇程度のもので、これに、後年になって学んだ義太夫の
造詣
(
ぞうけい
)
と、聞き噛り式に学んだ禅語の情解的智識を加えたら、彼の精神生活の由来するところを掴むのは
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それには衣食に事を
闕
(
か
)
いても書物を買うと云う君の学問好を認めた為めもあるが、決してそればかりではない。ドイツ語に於ける君の
造詣
(
ぞうけい
)
の深いことは、初対面の日にもう知れていた。
二人の友
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
占いの好きなその友人も、何か新しい仕事に取りかかる時とか、または一般的な運命を知りたい場合に、東西の人相学などにも
造詣
(
ぞうけい
)
のふかい易者に見てもらうのが長い習慣になっていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
“造詣”の意味
《名詞》
造詣(ぞうけい)
学問や技芸などに深く達していること。それにより得た知識や教養。
(出典:Wiktionary)
造
常用漢字
小5
部首:⾡
10画
詣
常用漢字
中学
部首:⾔
13画
“造”で始まる語句
造
造作
造花
造做
造化
造主
造船所
造兵廠
造酒
造出