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輿入
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こしい
ふりがな文庫
“
輿入
(
こしい
)” の例文
然
(
しか
)
るに奥様は
松平和泉守
(
まつだいらいずみのかみ
)
さまからお
輿入
(
こしい
)
れになりましたが、四五年
前
(
ぜん
)
にお
逝去
(
かくれ
)
になり、其の
前
(
まえ
)
から居りましたのはお
秋
(
あき
)
という
側室
(
めかけ
)
で
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と云うのは女房のお菊というのは、富豪の商人の松倉屋などへ、
輿入
(
こしい
)
れすることなど出来そうもない、貧しい町家の娘だそうだ。
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
遠からずもうお
輿入
(
こしい
)
れせねばなりませぬゆえ、いっそ思いきってと、あの預かり雛をお隠しあそばされたのだそうでござります。
右門捕物帖:22 因縁の女夫雛
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
大和からすぐ彼の父に
嫁
(
とつ
)
いだのでなく、幼少の頃大阪の色町へ売られ、そこからいったん
然
(
しか
)
るべき人の養女になって
輿入
(
こしい
)
れをしたらしい。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一度は
水戸
(
みと
)
の姫君さまのお
輿入
(
こしい
)
れの時。一度は尾州の先の殿様が江戸でお
亡
(
な
)
くなりになって、その
御遺骸
(
ごいがい
)
がこの街道を通った時。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
「あれみい。そなたが、この楠木家へ
輿入
(
こしい
)
れの日に、
実家
(
さと
)
から移し植えた柿苗も、はやあのような木になって、大きな実をつけ出している」
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
高安への
輿入
(
こしい
)
れを承知しただけでも、自分の気持を相当ころしてきたに違いない、このうえ八束のことで辱しめられたら
竹柏記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
父に対する告訴を取り下げた上に、唐沢家に対する債権を放棄して
呉
(
く
)
れるのなら荘田家へ
輿入
(
こしい
)
れしてもいゝと云うのです。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
彼女は十八歳で
輿入
(
こしい
)
れしてこのかた九年のあひだ、まだ一人の子もなかつた。それは一に彼女の病弱に帰せられてゐた。
垂水
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
縁談は故障なく運んで、いよいよ今夜は嫁御の
輿入
(
こしい
)
れというめでたい日の朝である。越智の屋敷の家来らは思いもよらない
椿事
(
ちんじ
)
におどろかされた。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ここの健康道場場長、田島医学博士その人のところに、お
輿入
(
こしい
)
れあそばすのだ。僕はきょうマア坊からその事を聞いた。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
長州からお
輿入
(
こしい
)
れになったとの事ですが、ただ美しいといっても、
艶
(
えん
)
なのと違ってお品よく、見飽きないお姿でした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
この日も秀林院様の仰せられ候は、日本国の女の智慧浅きは横文字の本を読まぬゆゑのよし、来世は必ず南蛮国の大名へお
輿入
(
こしい
)
れなさるべしと存じ上げ候。
糸女覚え書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
天正十一年になって、遠からず
小田原
(
おだわら
)
へ二女
督姫君
(
とくひめぎみ
)
の
輿入
(
こしい
)
れがあるために、浜松の
館
(
やかた
)
の
忙
(
いそ
)
がしい中で、大阪に
遷
(
うつ
)
った羽柴家へ祝いの使が行くことになった。
佐橋甚五郎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「親許は上野の山下で、もう
結納
(
ゆいのう
)
のとりかわせも済んで、近々のうちにお
輿入
(
こしい
)
れがあるそうじゃありませんか」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
保平が安房へ引込んだのが、朝霞が泰文のところへ
輿入
(
こしい
)
れした直後だったことなどを思い合わせても、保平の側に相当な遺憾があったのではないかといわれている。
無月物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
だから家に置いても格別させる用は無く、ただ将来の地位を安全にすることが主になると、さあさあ早くお連れ下さいと、里方からかえって
輿入
(
こしい
)
れを急ぐようになる。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そんな
風評
(
うわさ
)
を
耳
(
みみ
)
にする
私
(
わたくし
)
としては、これまでの
修行場
(
しゅぎょうば
)
の
引越
(
ひっこ
)
しとは
異
(
ちが
)
って、
何
(
なん
)
となく
気
(
き
)
がかり……
幾分
(
いくぶん
)
輿入
(
こしい
)
れ
前
(
まえ
)
の
花嫁
(
はなよめ
)
さんの
気持
(
きもち
)
、と
言
(
い
)
ったようなところがあるのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そうしてお
輿入
(
こしい
)
れの時にお道具の中に数えて下さいといって自作の鼓を一個さし上げた。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
仲人は笹野新三郎の用人、
小田島伝蔵
(
おだじまでんぞう
)
老人、いずれ春には
輿入
(
こしい
)
れするはずで、ボツボツ支度を心掛けていた矢先ですから、貧しい調度ながら、一と通りのものは揃っております。
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ねえさんがこの家へ
輿入
(
こしい
)
れになった時、始めてこの
鉢
(
はち
)
を見て珍しい草だと思ったが、今でも故郷の姉を思うたびにはきっとこの池の竜舌蘭を思い出す。今思い出したのはこの鉢であった。
竜舌蘭
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ごく近くでは、光瑞氏夫人が九条家から十一歳の時に
輿入
(
こしい
)
っているし、光瑞師の弟光明師には、夫人の妹が
嫁
(
とつ
)
がれている。重縁ともなにとも、感情がこぐらかったら、なかなか面倒そうだ。
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
昔は旧お旗下の令嬢にて、立派に
輿入
(
こしい
)
れをされ、また清く元の身のままにて里へ帰され、そうして、また立派に大隈家へ貰われてお
出
(
い
)
でになった当時の事実を、知りながら黙っているより
幕末維新懐古談:51 大隈綾子刀自の思い出
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
それを、あなた、どなたか知らんが、まあ大変な誤解をなさったもんですよ。まるで、この物狂いの娘が、人もあろうにこの私の所にお
輿入
(
こしい
)
りをするかのように云いふらしたのですからね。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
そっと
輿入
(
こしい
)
れをして、そっと儀式を済ますはずであった。あながち金が惜しいばかりではない。一体が、目に立つように晴れ晴れしいことや、
華
(
はな
)
やかなことが、
質素
(
じみ
)
な新吉の性に
適
(
あ
)
わなかった。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ひでよし公がこのお
輿入
(
こしい
)
れのことをきゝおよばれ、かついえ公をえちぜんへかえさぬと仰っしゃって長浜へ御出陣あそばされ
盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そのほか、浅野家菩提所の寄進金と、亡君の内室
瑤泉院
(
ようぜいいん
)
化粧料(
輿入
(
こしい
)
れの折の持参金)とはべつに手をふれずにわけてある。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
母がこの
高安
(
たかやす
)
へ
輿入
(
こしい
)
れするとき、いっしょにつれて来て、もう二十余年になるし、身を寄せるところも無かった。
竹柏記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかし、気になるのはお嬢さまの婚期でござりまするが、お約束のお
輿入
(
こしい
)
れはいつごろのご予定なのでござります
右門捕物帖:22 因縁の女夫雛
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「近いと言ってもこの甲府に近いところ、それはこれから三里ばかり離れた有野村というところの大金持のお家から、近いうちに殿様へお
輿入
(
こしい
)
れがあるんですとさ」
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その秋にお種は利七のところへ
輿入
(
こしい
)
れいたしましたが、陳はそれでも
断念
(
あきらめ
)
兼ねたと見えまして、それから足掛三年
唐人屋敷
(
かんない
)
に
居住
(
いす
)
んでおりましたが、さすがに
気落
(
らくたん
)
して
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
間もなく
輿入
(
こしい
)
れなさる新嫁さんのお荷物は、持って来てもらわぬようにとはいってはありますけれど、あちらはお家柄だから幾分の心構えはしなければというのでした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
細川家へお
輿入
(
こしい
)
れ遊ばされ候以来、御夫婦
御親子
(
ごしんし
)
のかたがたは格別に候へども、男の顔を御覧遊ばされ候は今日この少斎をはじめと致され候よし、後に霜より承り及び候。
糸女覚え書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わたくしは
楊
(
よう
)
州の或る家の娘でございます。きょう他へ
輿入
(
こしい
)
れをする筈で、昼間から家を
中国怪奇小説集:12 続夷堅志・其他(金・元)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
仲人は笹野新三郎の用人、
小田島伝蔵
(
おだじまでんぞう
)
老人、いずれ春には
輿入
(
こしい
)
れするはずで、ボツボツ支度を心掛けていた矢先ですから、貧しい調度ながら、一と通りのものは揃っております。
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「大御所様二十番目の姫
満千姫君
(
まちひめぎみ
)
のお
輿入
(
こしい
)
れについては、お噂ご存知でござろうな?」
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そこでこの縁談は整い、早速仕度をしてお
輿入
(
こしい
)
れという段になって、目出たく婚儀は整いました。しかるに、これが意外にも不縁となってしまったのでありますが、これにはまた理由があった。
幕末維新懐古談:51 大隈綾子刀自の思い出
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
おいたちのことだの家庭のことだの
輿入
(
こしい
)
れのときのことだのいろいろと事情を知っておりましたのでそのとき父に話したのでござりますが
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
細貝家へ
輿入
(
こしい
)
れをして来て、化粧の間で支度を直していると、
舅
(
しゅうと
)
の
八郎兵衛
(
はちろべえ
)
と
姑
(
しゅうとめ
)
のさち女がはいって来た。
やぶからし
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
お武家として、立派な事だ。でも、若い奴らは、
頑
(
がん
)
として意地張ったまま、岩公を渡さぬようだが、もう
輿入
(
こしい
)
れも近いのに迷惑千万、あしたは、わしが若い者を
下頭橋由来
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
増屋の主人は、それを世間並の遠慮と思い込んで、反対し続けて来ましたが、最後には折れて出て、一応増屋の親戚の養女と披露し、それから改めて正式の
輿入
(
こしい
)
れになりました。
銭形平次捕物控:075 巾着切りの娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
鳥渡
(
ちよつと
)
お耳に入れました通り、小石川の伯母御様が御媒介で、どこやらの御屋敷から奥様がお
輿入
(
こしい
)
れになるかも知れぬといふお噂、あけても暮れてもそればつかりが胸につかへて……。
番町皿屋敷
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
……もしまたあなたが大旗本などの、一時養女ということになって、そこから北条家へ花嫁として、
輿入
(
こしい
)
れなさるのをお望みならば、きっと私は父を説いて、許しを得るよういたします。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
この美人に思われて
夭死
(
わかじに
)
をしたのは、お
輿入
(
こしい
)
れ間もないことで、その死因は単純な果報負けだともいうし、坂崎余党のうらみの毒によるものだともいうし……また、昼夜に
弄
(
もてあそ
)
ばるる天樹院の
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
約束誓言を堅く守らせる意味から
男雛
(
おびな
)
の親王さまを分け与え、古島家そのもののほうにはこれまた行く末先の
女夫
(
めおと
)
を誓い、うれしい契りの日のよきお
輿入
(
こしい
)
れを一日も早かれと待ち願う意味から
右門捕物帖:22 因縁の女夫雛
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
父の決心がきまりましたのはまったくこのお遊さんの言葉がありましたためでござりましてそれから間もなくおしずの
輿入
(
こしい
)
れがござりました。
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
山木家へ
輿入
(
こしい
)
れの夜から今日まで、こういうふうに、事の運んで来たのも、よく考えると、わたくしの勇気というより、何だか、父の
目企
(
もくろ
)
んでいた通りの道を
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宇女は疋田家へ
輿入
(
こしい
)
れをした……
良人
(
おっと
)
は愛してくれたけれども家格の相違に比例して生活の様式も違うし、そのうえ家士と小者を加えると八十人に余る家族なので
三十二刻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
十月はじめに、双方の
見合
(
みあい
)
も型のごとく済んで、この縁談はめでたく
纏
(
まと
)
まった。但しお妻は十九の厄年であるので、
輿入
(
こしい
)
れは来年の春として、年内に結納の取交せをすませることになった。
経帷子の秘密
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
池鰹鮒
(
ちりう
)
家の息女お
悦
(
えつ
)
の
方
(
かた
)
、———後の
松雪院
(
しょうせついん
)
は、河内介が多聞山の城に帰ってからまだ半年もたゝない
永禄
(
えいろく
)
元年の三月に、
桐生
(
きりゅう
)
家に
輿入
(
こしい
)
れした。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
輿
漢検準1級
部首:⾞
17画
入
常用漢字
小1
部首:⼊
2画
“輿”で始まる語句
輿
輿論
輿丁
輿望
輿側
輿中
輿馬
輿轎
輿地
輿舁