路銀ろぎん)” の例文
……航路かうろも、おなじやうに難儀なんぎであつた。もしこれをりくにしようか。約六十里やくろくじふりあまつてとほい。肝心かんじんことは、路銀ろぎん高値たかい。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
流して打歡うちよろこび是迄種々いろ/\と厚く御世話にあづかりし上只今の其御言葉ことば此御おんいのちかへてもはうがたし實は御さつしの通りわづか路銀ろぎんつかつくし此程はくしかんざしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その米の叔父に一人の僧侶そうりょがあったが、それが廻国かいこくに出かけることになって、僧侶には路銀ろぎんは不要だと云うので、三百円の金を米に預けて往った。
寄席の没落 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
かれは盗賊に殺されたのか道連みちづれに殺されたのか、それらの事情も判然しなかつたが、彼女かれのふところには路銀ろぎんらしいものをたくわへていゐなかつたので
小夜の中山夜啼石 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
当座の小遣銭を合力ごうりきしておくんなさいな……、恥を話すようだけれど、路銀ろぎんはみんなお米のやつが持っていたので、今朝からまだ一粒の御飯も腹に入っていねえありさまなんだ
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甚「女を連れて逃げる時、おめえの云うにア小間物屋の娘だお嬢さんだと云うのだ、連れて逃げるにゃア、路銀ろぎんがなければいかねえから幾らか持出せと智慧を付けて盗ましたろう」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
餞別せんべつに貰つた金を路銀ろぎんにして、それで江戸へ出て来たが、二十年の間に、何う転んで、何う起きたか、五千といふ金をつかんで帰つて来て、田地を買ふ、養蚕やうさんを為る、金貸を始める
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
たしない路銀ろぎん女郎屋ぢよらうやふわけにはかず、まゝよ、とこんなことは、さてれたもので、根笹ねざさけて、くさまくらにころりとたが、如何いかにもつき
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
三娘子はその驢馬を駆って家のうしろへ追い込み、かれらの路銀ろぎんや荷物をことごとく巻き上げてしまった。
仕舞しまひ家財かざいうり路銀ろぎんとなし母子おやこ二人江戸へ立出馬喰町ばくろちやう定宿ぢやうやど武藏屋清兵衞方へ宿を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そんな意地いじの悪いことをいうなよ。じつは裾野すそのを落ちていらい、のみ着のままで、路銀ろぎんもなし資本もとでもなし、なにをすることもできずにこまっているところだ。後生ごしょうだから、その刀を貸してくんねえ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たとい乞食をするにしても、土方どかたをするにしても、これからほか土地へ行こうと云うには、多少の路銀ろぎんが無くてはならぬ。咄嗟とっさあいだにお葉はこれを思い出したのであった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
たもとすべつてちうまつた、大切たいせつ路銀ろぎんを、ト懷中ふところ御直おんなほさふらへと据直すゑなほして、前褄まへづまをぐい、とめた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
元二げんじ前途ゆくて見渡みわたして、これから突張つゝぱつてして瓜井戸うりゐど宿やどはひるか、こゝのつをしたとつては、旅籠屋はたごやおこしてもめてはくれない、たしない路銀ろぎん江戸えどまでくのに
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
路銀ろぎんをこと/″\く奪はれたらしい不幸な母は、どうして飴をかふぜにをこしらへたか。人々の鑑定によれば、女を殺した者がその死骸をうづめる時にぜに六文を添へて置いたのであらう。
小夜の中山夜啼石 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
から、路銀ろぎん算段さんだんをする料簡れうけん
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)