トップ
>
語
>
ごと
ふりがな文庫
“
語
(
ごと
)” の例文
酒で
頭脳
(
あたま
)
の
爛
(
ただ
)
れたようになっている芳太郎は、汽車のなかでも、始終いらいらしていた。そして時々独り
語
(
ごと
)
のような棄て鉢を言った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
夏目先生は書の
幅
(
ふく
)
を見ると、独り
語
(
ごと
)
のように「
旭窓
(
きょくそう
)
だね」と云った。
落款
(
らっかん
)
はなるほど
旭窓外史
(
きょくそうがいし
)
だった。自分は先生にこう云った。
子供の病気:一游亭に
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「どうでも、おじじにねだって、あれを
買
(
か
)
ってもらうぞ。」と、かがやく
瞳
(
ひとみ
)
で
楽器
(
がっき
)
を
見
(
み
)
つめて、こう、ひとり
語
(
ごと
)
をするのでした。
しいたげられた天才
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
男も、まだ十七、八歳の
小冠者
(
こかんじゃ
)
だった。秘密のさざめ
語
(
ごと
)
を、人に聞かれたかと、恥じるように、顔を
赧
(
あか
)
らめて振りかえった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さっきからまるで狂気になって、何か彼かひとり
語
(
ごと
)
をくどくどと繰り返して
饒舌
(
しゃべ
)
りつづけていた母親は、私が立って上り框から庭に下りようとするのを見て
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
▼ もっと見る
「ああ、フランボウ先生、早やく戻って来てくれるといいんだがなあ」と彼は
独
(
ひと
)
り
語
(
ごと
)
をつぶやいた。
サレーダイン公爵の罪業
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
鳥を追えば、こだまさえ交えずに十里を飛ぶ
俊鶻
(
しゅんこつ
)
の影も写そう。時には壁から卸して
磨
(
みが
)
くかとウィリアムに問えば否と云う。霊の盾は磨かねども光るとウィリアムは
独
(
ひと
)
り
語
(
ごと
)
の様に云う。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
追っつけ三子の来そうなもの、と魚屋の名を
独
(
ひと
)
り
語
(
ごと
)
しつ、猪口を返して
酌
(
しゃく
)
せし後、上々吉と腹に思えば動かす舌も
滑
(
なめ
)
らかに、それはそうと今日の首尾は、大丈夫
此方
(
こち
)
のものとは
極
(
き
)
めていても
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
上司氏は
独
(
ひと
)
り
語
(
ごと
)
を言ひながらにやりと笑つた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そりゃ話をなさると云っても、つまりは御新造が犬を相手に、長々と独り
語
(
ごと
)
をおっしゃるんですが、
夜更
(
よふ
)
けにでもその声が聞えて御覧なさい。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「私も永いあいだ、世帯の苦労ばかりして来て、今死んで行っては
真実
(
ほんとう
)
につまらない。」叔母は唸るように独り
語
(
ごと
)
を言った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
独り
語
(
ごと
)
のようにいい捨てた語尾には、ふだんの清十郎とは違った熱があった。小次郎がいやなら、自分ひとりでも先へ帰りそうな様子であった。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
無口
(
むくち
)
の
若
(
わか
)
い
男
(
おとこ
)
は、あたりのさびしくなった
景色
(
けしき
)
を
見
(
み
)
まわしながら
独
(
ひと
)
り
語
(
ごと
)
をしていました。
火を点ず
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
かくのごとくあらん限りの空気をもって
頬
(
ほ
)
っぺたをふくらませたる彼は
前
(
ぜん
)
申す通り手のひらで
頬
(
ほっ
)
ぺたを叩きながら「このくらい皮膚が緊張するとあばたも眼につかん」とまた
独
(
ひと
)
り
語
(
ごと
)
をいった。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、ようやく我に返った調子で、ひとり
語
(
ごと
)
のようにいって沈吟している。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「家を開けちゃ困るじゃないか。」笹村は独り
語
(
ごと
)
のように言って、すぐに出て行った。お銀も間もなくそこを
起
(
た
)
って来た。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
木村少佐は葉巻を捨てて、
珈琲
(
コオヒイ
)
茶碗を唇へあてながら、テエブルの上の紅梅へ眼をやって、独り
語
(
ごと
)
のように
語
(
ことば
)
を次いだ。
首が落ちた話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ここで、そうか——と
呟
(
つぶや
)
いた秀吉の
独
(
ひと
)
り
語
(
ごと
)
のうちには、後に思い合わせると、すでにこの一瞬、彼の胸には、或る大計がもう立っていたものらしかった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
するとお蓮は嬉しそうに、何度もこう云う独り
語
(
ごと
)
を
呟
(
つぶや
)
いてたと云うじゃないか?——『森になったんだねえ。とうとう東京も森になったんだねえ。』
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それを、
兵部
(
ひょうぶ
)
の
独
(
ひと
)
り
語
(
ごと
)
のように、外の男は、そら耳にうけて、じっと、暗い川波を見つめていたが
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「随分いい家ね。」お増は
独
(
ひと
)
り
語
(
ごと
)
のように言った。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
勿論弟子はすぐに良秀に手をかけて、力のあらん限り揺り起しましたが、師匠は猶
夢現
(
ゆめうつゝ
)
に
独
(
ひと
)
り
語
(
ごと
)
を云ひつゞけて、容易に眼のさめる気色はございません。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
独
(
ひと
)
り
語
(
ごと
)
を洩らした孫兵衛、ひょいと気がついてみると、いつかグルリと廻って表門の前に来ていた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お雪は独り
語
(
ごと
)
のように言っていた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
独り
語
(
ごと
)
をもらしながら坂の下から駈け上がって来た。耳にとめて、三名のほうは坂の途中で足をとめた。——御免といってすれちがって行く五倍子染をふりかえって
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小野の小町 (独り
語
(
ごと
)
のように)あの時に死ねば
好
(
よ
)
かったのです。
黄泉
(
よみ
)
の使に会った時に、……
二人小町
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ひとり
語
(
ごと
)
をもらしながら、若いのか
爺
(
じじ
)
いなのか、わからぬような顔をちょっとしかめていると
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
哲学者のマッグは弁解するようにこう
独
(
ひと
)
り
語
(
ごと
)
をもらしながら、机の上の紙をとり上げました。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その独り
語
(
ごと
)
は、いつのまにか、われを忘れたかの如く高くなり、気がつくとまた、低くなった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は或
瑣末
(
さまつ
)
なことの為に自殺しようと決心した。が、その位のことの為に自殺するのは彼の自尊心には痛手だった。彼はピストルを手にしたまま、
傲然
(
ごうぜん
)
とこう
独
(
ひと
)
り
語
(
ごと
)
を言った。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何か
咬
(
か
)
んでいるようにもぐもぐ口の端から泡を出して
独
(
ひと
)
り
語
(
ごと
)
をいっていたが、やがて、
猩々
(
しょうじょう
)
が腹を掻くときのように、ぬうと胸を反らすと、ぎょろりと孔明をにらみつけて
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そんなものよりは小説家の方が、まだしも道に近いやうな気がする。「
尋仙未向碧山行
(
せんをたづねていまだむかはずへきざんのかう
)
住在人間足道情
(
すんでじんかんにあるもだうじやうたる
)
」かな。
何
(
なん
)
だか今夜は
半可通
(
はんかつう
)
な独り
語
(
ごと
)
ばかり書いてしまつた。(十月二十日)
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「——めずらしい者が舞い込む……」と、これは
独
(
ひと
)
り
語
(
ごと
)
のように笑いながらつぶやいて
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「一体世の中の恋と申すものは、皆そのように
果
(
はか
)
ないものでございましょうか。」と独り
語
(
ごと
)
のように仰有いました。すると若殿様はいつもの通り、美しい歯を見せて、御笑いになりながら
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
玄徳の手にその書簡は引き裂かれ、その眸は、天の一方を見て、
独
(
ひと
)
り
語
(
ごと
)
にこう叫んだ。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
王子 (独り
語
(
ごと
)
のように)しまった! 声を出したのは悪かったのだ!
三つの宝
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それゆえに手を分けて、毎夜、川すじの怪しい舟をあらためているのじゃが、只今、この
土橋
(
どばし
)
のほとりへまいったところ、下の小舟の
苫
(
とま
)
のうちで、甘やかな、女の
密
(
さざ
)
め
語
(
ごと
)
が洩れる……
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「何しただい?」——廉一は
必
(
かならず
)
叔父の顔へ、不安らしい目付きを挙げるのだつた。「此処はもとどうなつてゐつらなあ?」——汗になつた叔父はうろうろしながら、何時も亦独り
語
(
ごと
)
しか云はなかつた。
庭
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
又八は、
匙
(
さじ
)
を投げた。——そう急ぐにも当らないことをと、独り
語
(
ごと
)
につぶやいて。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
トルストイ夫人は首を傾けながら、独り
語
(
ごと
)
のやうにかう云つた。
山鴫
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
独り
語
(
ごと
)
にしては、大きな声だ。外郎売は、そういうと、道を
更
(
か
)
えて立ち去った。
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
オルガンティノは歩きながら、思わずそっと独り
語
(
ごと
)
を洩らした。
神神の微笑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ひとり
語
(
ごと
)
をいいながら六番堂、十二番、順もなく札所歩きを、初めたので
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
毛利
(
もうり
)
先生の事を思い出す。」と、独り
語
(
ごと
)
のように
呟
(
つぶや
)
いた。
毛利先生
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と、一言、独り
語
(
ごと
)
を空へ吐いたまま前後不覚に眠っていたのであった。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(独り
語
(
ごと
)
のように)剣だけは首くらい
斬
(
き
)
れるかも知れない。
三つの宝
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「何をいうぞ
独
(
ひと
)
り
語
(
ごと
)
を。——知れたこと、繰り返しても、益はない」
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かがみ込んだまま地に向って、お蝶は、ひとり
語
(
ごと
)
のように言う。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ひとり
語
(
ごと
)
をいいながら、小次郎は先へ歩いてゆくのである。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
涙の
眦
(
まなじり
)
をふさいで、紋太夫は、うわ
語
(
ごと
)
のようになお訴える。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“語”の解説
語(ご)、単語(たんご)とは、一つ以上の形態素から構成される、言語の構成単位の一つである。語が集まることで句、節、文が作られる。語の先頭を語頭(ごとう)、末尾を語末(ごまつ)、その中間を語中(ごちゅう)という。
(出典:Wikipedia)
語
常用漢字
小2
部首:⾔
14画
“語”を含む語句
私語
物語
言語
囈語
耳語
語調
語彙
譫語
独語
標語
当麻語部
昔語
細語
一語
語部
獨語
語合
歓語
世語
密語
...