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瞰下
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みお
ふりがな文庫
“
瞰下
(
みお
)” の例文
ベタニヤへの帰途オリブ山に坐したイエスは、
夕暗
(
ゆうやみ
)
につつまれゆく宮を
瞰下
(
みお
)
ろしながら、無量の感慨にふけってい給いました。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
大日岳の連嶺にはいつもながら雪が多い。劒と大日との間から
別山
(
べっさん
)
が、不思議の世界でも覗くように
脊伸
(
せの
)
びして、魚津の海を
瞰下
(
みお
)
ろしている。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
蔦
(
つた
)
をその身に
絡
(
から
)
めたるまま枯木は冷然として答えもなさず、堤防の上につと立ちて、角燈片手に振り
翳
(
かざ
)
し、水をきっと
瞰下
(
みお
)
ろしたる、ときに寒冷
謂
(
い
)
うべからず
夜行巡査
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
文三はホッと吐息を
吻
(
つい
)
て、顧みて
我家
(
わがいえ
)
の中庭を
瞰下
(
みお
)
ろせば、
所狭
(
ところせ
)
きまで
植駢
(
うえなら
)
べた
艸花
(
くさばな
)
立樹
(
たちき
)
なぞが、
詫
(
わび
)
し気に
啼
(
な
)
く虫の音を包んで、
黯黒
(
くらやみ
)
の
中
(
うち
)
からヌッと半身を
捉出
(
ぬきだ
)
して
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
高い所から
瞰下
(
みお
)
ろすと新らしい稲の刈株が目について目障りであったとはいえ、珍しい
企
(
くわだて
)
だけに評判は高かった。
山と村
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
▼ もっと見る
こうひしひしと
寄着
(
よッつ
)
かれちゃ、弱いものには我慢が出来ない。
淵
(
ふち
)
に臨んで、
崕
(
がけ
)
の上に
瞰下
(
みお
)
ろして
踏留
(
ふみとど
)
まる
胆玉
(
きもだま
)
のないものは、いっその思い、
真逆
(
まっさかさま
)
に飛込みます。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこにて
吻
(
ほっ
)
と
呼吸
(
いき
)
して、さるにても何にかあらんとわずかに
頭
(
こうべ
)
を
擡
(
もた
)
ぐれば、今見し処に偉大なる男の
面
(
つら
)
赤きが、仁王立ちに
立
(
たち
)
はだかりて、
此方
(
こなた
)
を
瞰下
(
みお
)
ろし、はたと
睨
(
にら
)
む。
遠野の奇聞
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
犬切峠の頂上から
瞰下
(
みお
)
ろして、穏かな懐かしい村だと思ったのが、近づいて更に懐しさを加えた。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
並木のように立ち並んでいる浅緑の
色
(
いろ
)
鮮
(
あざやか
)
な落葉松の木立を、東沢の深い谷間に
瞰下
(
みお
)
ろして、まだ探らなければならない境地の秘められているのを知って喜んだのであった。
思い出す儘に
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
その笠は
鴨居
(
かもい
)
の上になって、空から畳を
瞰下
(
みお
)
ろすような、
惟
(
おも
)
うに漏る雨の余り
侘
(
わび
)
しさに、笠欲ししと念じた、壁の心が
露
(
あらわ
)
れたものであろう——抜群にこの
魍魎
(
もうりょう
)
が
偉大
(
おおき
)
いから
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
甲武信岳の頂上へ来る
度
(
たび
)
に、いつも果されざる
憾
(
うらみ
)
を
以
(
もつ
)
て、すぐ脚の下に
瞰下
(
みお
)
ろしたまま空しく過ぎ去るに止まっていた其沢を、
斯
(
こ
)
うして無事に遡ることが出来たと思うと
釜沢行
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
で、がさりと
枝
(
えだ
)
を
踏
(
ふ
)
んだ
音
(
おと
)
がした。
何
(
ど
)
うやらものゝ、
嘴
(
くちばし
)
を
長
(
なが
)
く
畷
(
なはて
)
を
瞰下
(
みお
)
ろす
気勢
(
けはひ
)
がした。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
顔に
苔
(
こけ
)
むしたる
髯
(
ひげ
)
を撫でつつ、立ちはだかりたる身の丈豊かに神崎を
瞰下
(
みお
)
ろしたり。
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
左手の崖に登って
瞰下
(
みお
)
ろすと、青い淵の中には岩魚が幾十となく群をなして、チラリチラリと白い腹をかえしている。小なるは五、六寸、大なるは尺余もある。惜しいものだと思った。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
顔に
苔
(
こけ
)
むしたる
髯
(
ひげ
)
を
撫
(
な
)
でつつ、立ちはだかりたる
身
(
み
)
の
丈
(
たけ
)
豊かに神崎を
瞰下
(
みお
)
ろしたり。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
岩頭に立って甲州側を
瞰下
(
みお
)
ろすと、足早に駆け下りて行く霧の絶間から大きな岩が幾つか
顕
(
あらわ
)
れたり消えたりして、
米栂
(
こめつが
)
などの灌木状の針葉樹が岩の肌にべっとりと緑をなすり付けているのが
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
直
(
じ
)
きその
谷間
(
たにあい
)
の村あたりで、騒いでいるように、トントンと山腹へ響いたと申すのでありますから、ちょっと裏山へ廻りさえすれば、足許に
瞰下
(
みお
)
ろされますような
勘定
(
かんじょう
)
であったので。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
瞰下
(
みお
)
ろす左の谷は黒木の茂った
邃
(
おくぶか
)
い子酉川の上流で、脚の下は百尺の懸崖である。岩間には低い灌木が生えていて、日蔭かずら、
苔桃
(
こけもも
)
、
小岩鏡
(
こいわかがみ
)
などが目に入る。此岩峰は地図に記載してない。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
二十歩とはまだ
隔
(
へだた
)
らないうちに、目の下の城下に火が起った——こういうと記録じみる——
一眸
(
いちぼう
)
の下に
瞰下
(
みお
)
ろさるる、縦横に樹林で
劃
(
しき
)
られた市街の一箇処が、あたかも魔の手のあって
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
南は荒川の谷を
瞰下
(
みお
)
ろして、真黒な針葉樹の梢が、其下に太古の
儘
(
まま
)
の静寂を閉じ込めているような気がする。西の斜面にも岩はあったが偃松は無かった。道は百米余も下を通っているらしい。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
ああ、揃って大時計の前へ
立佇
(
たちどま
)
った……いや三階でちょっとお辞儀をするわ。薄暗い処へ
朦朧
(
もうろう
)
と胸高な
扱帯
(
しごき
)
か何かで、
寂
(
さみ
)
しそうに
露
(
あらわ
)
れたのが、しょんぼりと空から
瞰下
(
みお
)
ろしているらしい。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
此
(
この
)
暁
若
(
も
)
し黒部別山の一角に立って、ふと劒沢の谿谷を
瞰下
(
みお
)
ろした人があったならば、すぐ脚元のほの白い河原を
罩
(
こ
)
めた薄紫の煙の下に、赤い炎を揚げて
勢
(
いきおい
)
よく燃えている焚火の周りに集った五
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
丁
(
ちょう
)
ど、まだ
灯
(
あかし
)
を入れたばかりの
暮方
(
くれがた
)
でね、……其の
高楼
(
たかどの
)
から
瞰下
(
みお
)
ろされる
港口
(
みなとぐち
)
の
町通
(
まちどおり
)
には、
焼酎売
(
しょうちゅううり
)
だの、雑貨屋だの、
油売
(
あぶらうり
)
だの、肉屋だのが、皆
黒人
(
くろんぼ
)
に荷車を
曳
(
ひ
)
かせて、……
商人
(
あきんど
)
は、
各自
(
てんでん
)
に
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
右から
頽
(
くず
)
れ落つる急な雪渓を横切って、山腹に造られた新らしい道の傍の新らしい小屋の前に荷を卸して休む、昨日白兀の頂上から
瞰下
(
みお
)
ろした道であろうが、大窓の雪渓から湧き上る濃い霧の幕は
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
丁
(
ちやう
)
ど、まだ
灯
(
あかし
)
を
入
(
い
)
れたばかりの
暮方
(
くれがた
)
でね、……
其
(
そ
)
の
高樓
(
たかどの
)
から
瞰下
(
みお
)
ろされる
港口
(
みなとぐち
)
の
町通
(
まちどほり
)
には、
燒酎賣
(
せうちううり
)
だの、
雜貨屋
(
ざつくわや
)
だの、
油賣
(
あぶらうり
)
だの、
肉屋
(
にくや
)
だのが、
皆
(
みな
)
黒人
(
くろんぼ
)
に
荷車
(
にぐるま
)
を
曳
(
ひ
)
かせて、……
商人
(
あきんど
)
は、
各自
(
てん/″\
)
に
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
しっかりと胸にしめつつ、
屹
(
き
)
と
瞰下
(
みお
)
ろす目に
凄味
(
すごみ
)
が見えた。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
振向
(
ふりむ
)
いた
老爺
(
おやぢ
)
の
顔
(
かほ
)
を
瞰下
(
みお
)
ろして
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
瞰
漢検1級
部首:⽬
17画
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“瞰下”で始まる語句
瞰下景