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睡
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ね
ふりがな文庫
“
睡
(
ね
)” の例文
疲れた人のような五月の空は、時々に薄く眼をあいて夏らしい光を
微
(
かす
)
かに
洩
(
もら
)
すかと思うと、またすぐに
睡
(
ね
)
むそうにどんよりと暗くなる。
磯部の若葉
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
睡
(
ね
)
不足の眼を赤く濁らせ、前をはだけて子供に乳を飲ませながらしょげ込んでいた安吉の妻へ、そう云って笑いながら声をかけた。
動かぬ鯨群
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
たかが屋根代の六銭にしても、まさか
穿懸
(
はきか
)
けの日和下駄が用立とうとは思いも懸けなかったが、私はそれでホッと安心してじき
睡
(
ね
)
ついた。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
悪魔は、手をふりながら、
睡
(
ね
)
むさうな声で、かう怒鳴つた。寝入りばなの邪魔をされたのが、よくよく
癪
(
しやく
)
にさはつたらしい。
煙草と悪魔
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
戴いてあんまり
好
(
い
)
い
心持
(
こころもち
)
になってツイうとうとと
睡
(
ね
)
てしまったと見えます。僕は御酒を飲むと
何処
(
どこ
)
でも構わず寝るのが癖で大きに失礼致しました
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
▼ もっと見る
快よい
髪弄
(
かみいじ
)
りで
睡
(
ね
)
不足の疲れが出て、うとうとと折柄
膝
(
ひざ
)
がしらを暖める日ざしに誘われながら、い
睡
(
ねむ
)
りをつづけていた。
お小姓児太郎
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
どういう様子か見てもやりたし、心にかかれば参りました、と云えば鋭次も打ち
頷
(
うなず
)
き、清は今がたすやすや
睡
(
ね
)
ついて起きそうにもない容態じゃが
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
何事かと思って
睡
(
ね
)
むい眼をコスリコスリ応接間に出て来たのを見ると、草川巡査は如何にも
急
(
せ
)
き込んでいるらしく、挨拶も何もしないまま質問した。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
春の朝日と一緒に飛込んだガラッ八は、これもろくに
睡
(
ね
)
なかったらしい、平次の前にくたびれた
髷節
(
まげぶし
)
を掻きました。
銭形平次捕物控:073 黒い巾着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
吉田はその話を聞いてから自分の
睡
(
ね
)
むれないときには何か自分に睡むるのを欲しない気持がありはしないかと思って一夜それを検査してみるのだったが
のんきな患者
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
睡
(
ね
)
むそうに言って、その顔は
蒲団
(
ふとん
)
の中へ引き入れたらしい。もう少し熱心に聞けばよいのにと源氏は物足りない。
源氏物語:02 帚木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
私はチラリと彼の顔を見たが、彼は口をだらしなく開いて、眼は
睡
(
ね
)
むそうに
半開
(
はんかい
)
になっていた。彼は私の大それた計画に爪ほども気がついていないらしかった。
柿色の紙風船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
アア
曾
(
かつ
)
て身の油に根気の
心
(
しん
)
を浸し、眠い眼を
睡
(
ね
)
ずして得た
学力
(
がくりき
)
を、こんなはかない馬鹿気た事に使うのかと、思えば悲しく情なく、我になくホット
太息
(
といき
)
を
吐
(
つ
)
いて
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
あんまりよく
睡
(
ね
)
るので死んではいないかと思って、小さな声で「ポチや」というとポチはめんどうくさそうに目を開いた。そしてすこしだけしっぽをふって見せた。
火事とポチ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
長い間、人なかに出たことのない彼にとっては、人間の臭いの生々しさが、まず神経を掻き乱すのであった。……ふと、昼間の光景が
睡
(
ね
)
つけない
闇
(
やみ
)
の中に描かれた。
冬日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
男はみな山深くわけ入つて木を伐り炭を燒くに忙しく、女どもはまた
蕎麥畑
(
そばばたけ
)
の手入や大豆の刈入れをやらねばならなかつたので何れもその
疲勞
(
つかれ
)
から早く戸を閉ぢて
睡
(
ね
)
て了つた。
姉妹
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
夜が来ると、蟹は慌てて客のことも何にも構わないで、奥のほうにひっ込んで
睡
(
ね
)
込んでしまった。それで、市長は蟹の穴を抜け出で、川底を一人散歩した。川底の夜は実に神秘である。
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
その夜はここに野営して水に遠いので一飯を抜くことにして
睡
(
ね
)
むった。
平ヶ岳登攀記
(新字新仮名)
/
高頭仁兵衛
(著)
と、猫は驚いて一瞬間じっと
竦
(
すく
)
んでいたが、やがて一つ
欠伸
(
あくび
)
をして、背中を盛りあげ、またしゃがんで暫く眼をぱちくりさせてから、ぐったりと腰をまげると、そのまま
乱次
(
だらし
)
なく
睡
(
ね
)
こんでしまった。
老嬢と猫
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
手前から先へ
睡
(
ね
)
むらしてくれらあ。(忠太郎に斬ってかかる)
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
「まだ
睡
(
ね
)
てるのか、柏の木、遊びに来たから起きてくれ。」
タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
『瀬川君、最早
睡
(
ね
)
たのかい。』と声を掛けて見る。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
ほんとに
睡
(
ね
)
ちやつたの。四十三年七月
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
いい
心地
(
こころもち
)
になって
睡
(
ね
)
こんでしまった
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
掌
(
てのひら
)
の中で覚めたり
睡
(
ね
)
たり。
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
「
睡
(
ね
)
てをりますですかな」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
薄暗い二間には、
襤褸布団
(
ぼろぶとん
)
に
裹
(
くるま
)
って十人近くも寝ているようだ。まだ
睡
(
ね
)
つかぬ者は、頭を挙げて
新入
(
しんいり
)
の私を
訝
(
いぶか
)
しそうに眺めた。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
春の朝日と一緒に飛込んだガラツ八は、これもろくに
睡
(
ね
)
なかつたらしい、平次の前にくびれた髷節を掻きました。
銭形平次捕物控:073 黒い巾着
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お浪
暁天
(
あかつき
)
の鐘に眼覚めて猪之と一所に寐たる床より
密
(
そつ
)
と出るも、朝風の寒いに火の無い中から起すまじ、も少し
睡
(
ね
)
させて置かうとの
慈
(
やさ
)
しき親の心なるに
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
頭のシンは
睡
(
ね
)
むくてたまらないのに、意識だけはシャンシャンと冴え返っているような気持で彼は、正面の薬戸棚の
抽出
(
ひきだし
)
から小さなカプセルを一個取出した。
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
すると十五六の
女
(
め
)
の
童
(
わらは
)
が、すぐに其処へ姿を見せた。ませた顔に
白粉
(
おしろい
)
をつけた、さすがに
睡
(
ね
)
むさうな女の童である。平中は顔を近づけながら、小声に侍従へ取次を頼んだ。
好色
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
こんな不安も吉田がその夜を
睡
(
ね
)
むる当てさえあればなんの苦痛でもないので、苦しいのはただ自分が昼にも夜にも睡眠ということを勘定に入れることができないということだった。
のんきな患者
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
なあに僕なぞにかまはないであんたは
睡
(
ね
)
たらいい、さう、ぢや寢ませていただくわ、大抵のお客樣つたら夜ぴて睡らせないんですもの、睡るとみな怒るんですもの、ご免なさい、やすみますわ
汽車で逢つた女
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
然し働いた挙句、ぐつすり
睡
(
ね
)
入つたお末の喉は焼け付く程乾いて居た。
お末の死
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
霧の濃くおりた朝、帰りをそそのかされて、
睡
(
ね
)
むそうなふうで
歎息
(
たんそく
)
をしながら源氏が出て行くのを、貴女の女房の中将が
格子
(
こうし
)
を一間だけ上げて、
女主人
(
おんなあるじ
)
に見送らせるために
几帳
(
きちょう
)
を横へ引いてしまった。
源氏物語:04 夕顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ほんとに
睡
(
ね
)
ちやつたの。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
……今朝は学課が初まる前に、調べ残しの教案を見ておかなければならないと思って、午後の時間の
睡
(
ね
)
むいのを覚悟の前で、三十分ばかり早めに出て来たのだ。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
静かな空気を破って
媚
(
なま
)
めいた女の声が先ほどから岸で呼んでいた。ぼんやりした
燈
(
あか
)
りを
睡
(
ね
)
むそうに提げている百
噸
(
トン
)
あまりの汽船のともの方から、見えない声が不明瞭になにか答えている。
冬の蠅
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
睡くなつて来れば、痒いのもわからない。——かう云ふ調子で、虱さへ体に沢山ゐれば、
睡
(
ね
)
つきもいいし、風もひかない。だからどうしても、虱飼ふべし、狩るべからずと云ふのである。……
虱
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今日は
宵
(
よい
)
の内から二階へ上って寝てしまうし、小僧は小僧でこの二三日の
睡
(
ね
)
不足に、店の火鉢の横で
大鼾
(
おおいびき
)
を掻いている、時計の音と長火鉢の鉄瓶の
沸
(
たぎ
)
るのが耳立って、あたりはしんと真夜中のよう。
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
も少し
睡
(
ね
)
させておこうとの
慈
(
やさ
)
しき親の心なるに、何もかも知らいでたわいなく寝ていし
平生
(
いつも
)
とは違い、どうせしことやらたちまち飛び起き、
襦袢
(
じゅばん
)
一つで夜具の上
跳
(
は
)
ね廻り跳ね廻り、厭じゃい厭じゃい
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
母はそれを聞きながら
睡
(
ね
)
入つた風をして泣いて居た。
お末の死
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
ほんとに
睡
(
ね
)
ちやつたの。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
どこか遠くで一つか二つか鳴るボンボン時計の音を聞くと、
睡
(
ね
)
むられずにいた玲子はソッと起上った。
継子
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
考える力もないくらい
睡
(
ね
)
むたがっている。そうしてその意識がグングンと零の方向に近付きつつある。無限の時空の中に、無窮の抛物線を描いて……グングンと……。
ビルディング
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
……いつもかも、
睡
(
ね
)
むくて困る……アハハ……だから不眠症患者の気持がわからないのですよ。
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
睡
(
ね
)
むいのを我慢しながらモウ青白く夜の明けている狭い梯子段を伝い降りて、母親の寝室のカーテンの中へ走り込んで行った。もしや……と胸を
轟
(
とどろ
)
かしながら……母親を気づかいながら……。
継子
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
睡
(
ね
)
むられぬままに着のみ着のままで、人通りの絶えた国道に出た。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
考える力もないくらい
睡
(
ね
)
むたがっている。
ビルディング
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
……すこし
睡
(
ね
)
むくなりながら……。
老巡査
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“睡”の解説
「睡」(ねむり)は、日本のバンド陰陽座の6枚目のシングルである。2004年1月7日発売。発売元はキングレコード。
(出典:Wikipedia)
睡
常用漢字
中学
部首:⽬
13画
“睡”を含む語句
仮睡
睡眠
熟睡
坐睡
微睡
一睡
甘睡
居睡
昏睡
午睡
睡蓮
半睡
睡気
睡魔
昏睡状態
睡眠剤
睡鴎
假睡
空睡
酔睡
...