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用捨
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ようしゃ
ふりがな文庫
“
用捨
(
ようしゃ
)” の例文
「御公儀御政道を誹謗する不届者は言う
迄
(
まで
)
もない、
聊
(
いささ
)
かたりとも御趣意に背く奴等は
用捨
(
ようしゃ
)
はならぬぞ、片っ端から搦め捕ってしまえ」
礫心中
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
選手はお情け及第の特権があるように年来言い伝えられていた為め、普通なら何うにかなりそうなところを
用捨
(
ようしゃ
)
なくやられたのだった。
善根鈍根
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
しかしそれでも強情に、道を転じて逃げようとでもすると、その時こそは
用捨
(
ようしゃ
)
なく、三発目の大砲をぶっ放し、沈没させたということだ
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私は眼がうるみました。体も震え始めました。苦痛とも歓喜ともつかない感情は、
用捨
(
ようしゃ
)
なく私の精神を
蕩漾
(
とうよう
)
させてしまいます。
疑惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
我輩に於ても固より其野鄙粗暴を好まず、女性の当然なりと雖も、実際不品行の罪は一毫も
恕
(
ゆる
)
す可らず、一毫も
用捨
(
ようしゃ
)
す可らず。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
「銀行と来ては
用捨
(
ようしゃ
)
はねえからな。借りにゆく時はこっそり誰にも分らず行けるからいいようなものの、いざとなればよ。」
瘤
(新字新仮名)
/
犬田卯
(著)
お銀様が遠慮をするのを、主膳は
用捨
(
ようしゃ
)
なくグイグイと引張ります。お銀様はしょうことなしにその梯子段を引き上げられて行くのであります。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ぐずぐずしているまには、またとない機会をのがしてしまうことになる」と孫兵衛は、
用捨
(
ようしゃ
)
なく二人の夜具をはねのけた。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
融通の利かぬ巡査でも見付けたら、こんな場合でも
用捨
(
ようしゃ
)
なく風俗壊乱の罪に問うかも知れぬが、今は尻や臍の問題ではない、
生命
(
いのち
)
の問題である。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
彼等は突き方が下手だつたので数回とも急所を外れ頭巾は
用捨
(
ようしゃ
)
なく眼に落ちかゝつて、イネスは息をひきとるまで天を仰ぐことができなかつた。
イノチガケ:――ヨワン・シローテの殉教――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
朝、東の白むのが
酷使
(
こきつかい
)
の幕明で、休息時間は碌になく、ヘトヘトになって一寸でも手を緩め様ものなら、
午頭馬頭
(
ごずめず
)
の苛責の鉄棒が
用捨
(
ようしゃ
)
なく見舞う。
監獄部屋
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
とはいえ
用捨
(
ようしゃ
)
なく
生活
(
ここう
)
の
代
(
しろ
)
は詰るばかりである。それを助けるためにお供の連中は
遠州
(
えんしゅう
)
御前崎
(
おまえざき
)
に
塩田
(
えんでん
)
をつくれとなった。
旧聞日本橋:08 木魚の顔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「ふん、いつまでもよけいなことを申しおると、
用捨
(
ようしゃ
)
はない。殺してくれるぞ。この家から生きて出た者はないのだ」
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
月
(
つき
)
も、
星
(
ほし
)
も、また
雪
(
ゆき
)
までも、ああして
感心
(
かんしん
)
して
哀
(
あわ
)
れな
歌
(
うた
)
をきき、
音楽
(
おんがく
)
に
耳
(
みみ
)
を
澄
(
す
)
ましているのに、
寒気
(
かんき
)
だけが
用捨
(
ようしゃ
)
なく
募
(
つの
)
ることを、すずめは
腹
(
はら
)
だたしくも
春になる前夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
とが/\しきに胸を痛めて答うるお辰は薄着の寒さに
慄
(
ふる
)
う
歟
(
か
)
唇
(
くちびる
)
、それに
用捨
(
ようしゃ
)
もあらき風、邪見に吹くを何防ぐべき骨
露
(
あらわ
)
れし壁
一重
(
ひとえ
)
、たるみの出来たる
筵
(
むしろ
)
屏風
(
びょうぶ
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
西南は右の樫以外一本の木もない吹きはらしなので、南風西風は
用捨
(
ようしゃ
)
もなくウナリをうってぶつかる。はりがねに
縛
(
しば
)
られながら、小さな家はおびえる様に身震いする。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
燃え上っている大きな
焔
(
ほのお
)
の中の
薪
(
たきぎ
)
のように、わたくしはあなたが
用捨
(
ようしゃ
)
もなく、未来に残して置かねばならないはずの生活までを、ただ
一刹那
(
いっせつな
)
の中に込めて、消費しておしまいなさるのを
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
その乗杉が店の方を閉めてから、つい先年まで清水市史の編纂にたずさわっていた。そのうちに戦争が追々不利に陥ったとき、市では市史編纂を閑事業として、
用捨
(
ようしゃ
)
なく予算を削ってしまった。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
しかし
用捨
(
ようしゃ
)
なく、白い暁がカーテンを通して入ってきた。
俘囚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
用捨
(
ようしゃ
)
なく呼びつけてキメつける、頭からこなしつける。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
父上以外の他のご
仁
(
じん
)
が、かかる所業を致しましたる時は、右門必ずその人物を反逆人と
罵
(
ののし
)
って切って捨つるに
用捨
(
ようしゃ
)
ござりませぬ。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「この内に、御不審のかかった人間が潜伏しおるとの
報
(
し
)
らせである。
手抗
(
てむか
)
う者は、
用捨
(
ようしゃ
)
なく六波羅へ曳くぞ。邪魔するな」
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と斎藤さんは
用捨
(
ようしゃ
)
ない。既に方針を変えて、覚られた上からはその場を有効に利用する決心がついていたのである。
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
……時計の刻む音は、火の気のない
寂然
(
しん
)
とした広間に響いて、
針線
(
しんせん
)
は目に見えぬ位に、しかし
用捨
(
ようしゃ
)
なく進んだ。
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
四十年前のアルバイト学生として
漸
(
ようや
)
くその日の
糧
(
かて
)
を得ているうちに、大学へ出す月謝の期限を忘れて、待てしばしの
用捨
(
ようしゃ
)
もなく除名になってしまったのである。
随筆銭形平次:14 捕物帖談義
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
汗は
用捨
(
ようしゃ
)
なく出る。服はグショ濡れだ。これからは鬼怒の渓流に沿うて桟道を行くのである。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
「いかにもさようでござったの。気ままには手討ちにも致されまい。とは云え
用捨
(
ようしゃ
)
は尚ならぬ——賓客の礼もこれまでじゃ! いざ伊予の国へお帰りあれ」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「こいつは焼け過ぎる」と言いながら、先生が折角あんばいよく
摺鉢
(
すりばち
)
の火鉢で焼いていた餅を取って、口へ持って行きそうにしましたから、
用捨
(
ようしゃ
)
はならんという血相で
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
冬
(
ふゆ
)
の
晩
(
ばん
)
には、
寒
(
さむ
)
い、
身
(
み
)
を
刺
(
さ
)
すような
北風
(
きたかぜ
)
が、
用捨
(
ようしゃ
)
なく、
屋根
(
やね
)
の
上
(
うえ
)
を
吹
(
ふ
)
きまくりました。
どこかに生きながら
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「島津家の女忍び衆、烏組とあるからは拙者にも敵!
用捨
(
ようしゃ
)
はしない、叩っ切る! と云っただけでは解るまいが、水戸の藩士山影宗三郎! それが拙者だ、この俺だ!」
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
のみならず
堺
(
さかい
)
や京から大量に集荷した食糧が、解きかけてあったり積んであったり、ひどく散らかっていた。内容がどんな
珍味佳肴
(
ちんみかこう
)
であろうと
用捨
(
ようしゃ
)
なく
蠅
(
はえ
)
は群れたかってくる。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
レールは、
涙
(
なみだ
)
ぐみながら、
雨
(
あめ
)
に
向
(
む
)
かって、
今日
(
きょう
)
、
冷酷
(
れいこく
)
な
汽罐車
(
きかんしゃ
)
に
傷
(
きず
)
つけられたこと、
太陽
(
たいよう
)
が、これまでというものは、
毎日
(
まいにち
)
、
毎日
(
まいにち
)
、
用捨
(
ようしゃ
)
なく、
頭
(
あたま
)
から
照
(
て
)
りつけたことなどを
話
(
はな
)
しました。
負傷した線路と月
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
長者の鞭は
用捨
(
ようしゃ
)
もなく桔梗の白い柔かい肌を
所嫌
(
ところきら
)
わず打ちすえた。伏し悶えながら泣き叫ぶ桔梗の声は広い
館
(
やかた
)
の隅々まで悲しそうに鳴り渡っても、助けようとする者はないのであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「なにをばかな。そんなお方ではないッ。近づくと、
用捨
(
ようしゃ
)
はせんぞ」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
師弟の
誼
(
よし
)
みももうこれまで、千葉道場はもちろん破門、立ち廻らば
用捨
(
ようしゃ
)
せぬぞ
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「どこから来たっ」と、彼の襟がみをもう
用捨
(
ようしゃ
)
なくつかんでいた。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
貴族の
御曹司
(
おんぞうし
)
たる彼としては、まさに破格の生活であった。難行苦行の生活であった。食物にも不足した。着る物にも不足した。吹雪は
用捨
(
ようしゃ
)
なく吹き込んで来た。しかも十分の燃料さえない。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と、
用捨
(
ようしゃ
)
のない捕縄の端で、牛を
懲
(
こ
)
らすようにひッぱたく。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
辛くもひっ外した幹之介、今は怒りに
用捨
(
ようしゃ
)
なく、「観念しろ」
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“用捨”の意味
《名詞》
用捨(ようしゃ)
必要なことと、不用なこと。
(「容赦」とも書く。)控えること。遠慮すること。
(出典:Wiktionary)
用
常用漢字
小2
部首:⽤
5画
捨
常用漢字
小6
部首:⼿
11画
“用捨”で始まる語句
用捨箱
用捨気