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煉瓦塀
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れんがべい
ふりがな文庫
“
煉瓦塀
(
れんがべい
)” の例文
引越して来た日から舌うちしていた
忌々
(
いまいま
)
しい
煉瓦塀
(
れんがべい
)
は、土台から崩れて、彼の借家の狭い庭に倒れ込み、その半分をふさいでしまった。
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
すると意外にもお芳が一人、
煉瓦塀
(
れんがべい
)
の前に
佇
(
たたず
)
んだまま、彼等の馬車に目礼していた。重吉はちょっと
狼狽
(
ろうばい
)
し、彼の帽を上げようとした。
玄鶴山房
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
五、
屋外
(
おくがい
)
に
於
(
おい
)
ては
屋根瓦
(
やねがはら
)
、
壁
(
かべ
)
の
墜落
(
ついらい
)
、
或
(
あるひ
)
は
石垣
(
いしがき
)
、
煉瓦塀
(
れんがべい
)
、
煙突
(
えんとつ
)
等
(
とう
)
の
倒潰
(
とうかい
)
し
來
(
きた
)
る
虞
(
おそれ
)
ある
區域
(
くいき
)
から
遠
(
とほ
)
ざかること。
特
(
とく
)
に
石燈籠
(
いしどうろう
)
に
近寄
(
ちかよ
)
らざること。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
煉瓦塀
(
れんがべい
)
や小さな
溝川
(
みぞがわ
)
や
楓
(
かえで
)
の樹などが落着いた
陰翳
(
いんえい
)
をもって、それは彼の記憶に残っている昔の郷里の街と似かよってきた。
美しき死の岸に
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
その坂の降り口に見える古い病院の窓、そこにある
煉瓦塀
(
れんがべい
)
、そこにある
蔦
(
つた
)
の
蔓
(
つる
)
、すべて身にしみるように思われてきた。
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
それはちょうど
牢獄
(
ろうごく
)
に監禁された囚人が、赤い高い
煉瓦塀
(
れんがべい
)
のかなたには、絶対の自由がある。自分はそこでは自分の好む通りにすることができる。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
まず、最初に現わしまするは、西側の
煉瓦塀
(
れんがべい
)
の横で、
双肌脱
(
もろはだぬ
)
ぎになって、セッセと働いている白髪の老人で御座います。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
この辺は
要塞
(
ようさい
)
が近いので
石塀
(
いしべい
)
や
煉瓦塀
(
れんがべい
)
を築くことはやかましいが、表だけは立派にしたいと思って問い合わせてみたら、低い塀は築いても好いそうだから
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「おじさまが呼んで上げるのよ、あら、おばさま、其処の
煉瓦塀
(
れんがべい
)
の穴は抜けられないわよ、おからだに傷がつきます、あたい、其処にいま行きますから。」
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
お涌が、自宅の
煉瓦塀
(
れんがべい
)
のところまで来ると、あとから息せき切って馳けて来た日比野の家の女中が声をかけて
蝙蝠
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
赤い
煉瓦塀
(
れんがべい
)
についたり、壊れかけた竹垣に添ったりして、右を見、左を見たりして行くと、ふと左側のすぐ道ばたの二階家に、「貸間あり」の紙札が下っていた。
貸間を探がしたとき
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
つまり、(明日の晩十二時)(谷中天王寺町)(墓地の北側)(
煉瓦塀
(
れんがべい
)
の空家の中で)と
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
譬
(
たと
)
えば
砲兵工廠
(
ほうへいこうしょう
)
の
煉瓦塀
(
れんがべい
)
にその片側を限られた小石川の
富坂
(
とみざか
)
をばもう
降尽
(
おりつく
)
そうという左側に一筋の
溝川
(
みぞかわ
)
がある。その流れに沿うて
蒟蒻閻魔
(
こんにゃくえんま
)
の方へと曲って行く横町なぞ
即
(
すなわち
)
その一例である。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ただ一つ濃い闇を四角に仕切ってポカッと起きているのは、厚い
煉瓦塀
(
れんがべい
)
をくりぬいた変電所の窓で、
内部
(
なか
)
には
瓦斯
(
ガス
)
タンクの群像のような
油入
(
あぶらいり
)
変圧器が、ウウウーンと単調な音を立てていた。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
まさか忍び返えしのソギ竹を黒板塀の上に列べたり、
煉瓦塀
(
れんがべい
)
上
(
うえ
)
に硝子の破片を剣の山と
植
(
う
)
えたりはせぬつもりだが、何、
程度
(
ていど
)
の問題だ、これで金でも出来たら案外
其様
(
そん
)
な事もやるであろうよ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
電気の力を借りなければ人の顔が
判然
(
はっきり
)
分らない頃になって、我々の馬車がようやく旧市街まで戻った時、中尉はある
煉瓦塀
(
れんがべい
)
の所で、それじゃ私はここで失礼しますと
挨拶
(
あいさつ
)
して、馬車から下りて
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「それは表門でござった……坂も広い。私が覚えたのは、もそっと道が狭うて、急な
上坂
(
のぼりざか
)
の中途の処、
煉瓦塀
(
れんがべい
)
が火のように赤う見えた。片側は一面な野の草で、
蒸
(
いき
)
れの
可恐
(
おそろし
)
い処でありましたよ。」
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
構内は広くて、てっぺんにはガラスのかけらを
漆喰
(
しっくい
)
に植えつけた、高い、丈夫な
煉瓦塀
(
れんがべい
)
が、その周囲をぐるりと取りまいていた。この
牢獄
(
ろうごく
)
のような塁壁が私たちの領土の限界になっていたのだった。
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
コールタで塗った門の扉がたしかにあるので、そっと手をかけてみると扉の
枢
(
くるま
)
はすぐ落ちた。そこはその傍の
問屋
(
といや
)
の
荷揚場
(
にあげば
)
らしい処で、左側に山口家の
船板塀
(
ふないたべい
)
があり、右側に隣の家の
煉瓦塀
(
れんがべい
)
があった。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
監獄のよりも高い
煉瓦塀
(
れんがべい
)
の取りめぐらされた、工場の中に吸い込んでしまって、その中の上出来なのを、自分らの
玩弄物
(
がんろうぶつ
)
なる「
妾
(
めかけ
)
」にしてしまうんだ。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
石垣
(
いしがき
)
、
煉瓦塀
(
れんがべい
)
、
煙突
(
えんとつ
)
などの
倒潰物
(
とうかいぶつ
)
は
致命傷
(
ちめいしよう
)
を
與
(
あた
)
へる
事
(
こと
)
もあるからである。
又
(
また
)
家屋
(
かおく
)
に
接近
(
せつきん
)
してゐては、
屋根瓦
(
やねがはら
)
、
壁
(
かべ
)
の
崩壞物
(
ほうかいぶつ
)
に
打
(
う
)
たれることもあるであらう。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
お涌が、自宅の
煉瓦塀
(
れんがべい
)
のところまで来ると、あとから息せき切つて
馳
(
か
)
けて来た日比野の家の女中が声をかけて
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
山の手の日曜日の寂しさが、だいぶ広いこの
邸
(
やしき
)
の庭に、田舎の別荘めいた感じを与える。突然自動車が一台
煉瓦塀
(
れんがべい
)
の外をけたたましく過ぎて、跡は又元の寂しさに戻った。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
が、彼の妹は時々赤児をあやしながら、
愛想
(
あいそ
)
の
善
(
よ
)
い応対をするだけだった。僕は番茶の
渋
(
しぶ
)
のついた
五郎八茶碗
(
ごろはちぢゃわん
)
を手にしたまま、勝手口の外を
塞
(
ふさ
)
いだ
煉瓦塀
(
れんがべい
)
の
苔
(
こけ
)
を眺めていた。
彼
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
うしろは
煉瓦塀
(
れんがべい
)
を隔てて動物園だし、両隣は人も住めないほど荒れ果てた小屋同然の建物だし、前の往来も、片側は大きな料理屋の裏手になっていて、遊覧客の通るような道ではない。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
一丁ほども行って、十八番館の
煉瓦塀
(
れんがべい
)
について曲ろうとしたとき、いきなり僕の
左腕
(
さわん
)
に、グッと重味がかかった。そしてこの頃ではもう
嗅
(
か
)
ぎなれた
妖気
(
ようき
)
麝香
(
じゃこう
)
のかおりが胸を縛るかのように流れてきた。
人造人間殺害事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
表通りを曲ると間もなく崖端に病院の焼跡の空地があって、
煉瓦塀
(
れんがべい
)
の一側がローマの古跡のように見える。ともよと湊は持ちものを
叢
(
くさむら
)
の上に置き、足を投げ出した。
鮨
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そこには、監獄の高い
煉瓦塀
(
れんがべい
)
のような感じのする、倉庫が背を向けてる
丈
(
だ
)
けであった。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
それは彼の家の
煉瓦塀
(
れんがべい
)
が、何歩か先に黒々と、現われて来たからばかりではない、その
常春藤
(
きづた
)
に
蔽
(
おお
)
われた、古風な塀の見えるあたりに、忍びやかな靴の音が、突然聞え出したからである。
影
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
青く
苔
(
こけ
)
むした
煉瓦塀
(
れんがべい
)
、今時こんなものが残っていたのかと驚くほど、古風な木造の西洋館、急な傾斜のスレート屋根に、四角な赤煉瓦の煙突がニョッキリ首を出して、さかんに煙を
吐
(
は
)
いている。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
牢獄
(
ろうごく
)
の赤い
煉瓦塀
(
れんがべい
)
をくぐることになったんだ。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
“煉瓦塀”の意味
《名詞》
煉瓦を積んで作った塀。
(出典:Wiktionary)
煉
漢検準1級
部首:⽕
13画
瓦
常用漢字
中学
部首:⽡
5画
塀
常用漢字
中学
部首:⼟
12画
“煉瓦”で始まる語句
煉瓦
煉瓦造
煉瓦建
煉瓦壁
煉瓦色
煉瓦石
煉瓦作
煉瓦場
煉瓦家
煉瓦敷