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うなず
ふりがな文庫
“
点頭
(
うなず
)” の例文
旧字:
點頭
平次は
点頭
(
うなず
)
きました。又左衛門に説明されるまでもなく、釜吉の話や、いろいろの情勢で、そのくらいのことは解っていたのです。
銭形平次捕物控:041 三千両異変
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして
頭
(
かしら
)
を挙げた時には、蔵海は
頻
(
しき
)
りに手を動かして
麓
(
ふもと
)
の方の闇を指したり何かしていた。老僧は
点頭
(
うなず
)
いていたが、一語をも発しない。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その私の顔と、鏡の中の顔とを、依然として無表情な眼付きで、マジマジと見比べていた若林博士は、やがて仔細らしく
点頭
(
うなず
)
いた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
停車
場
(
じょう
)
の人ごみの中で、だしぬけに大声でぶッつけられたので、学士はその時少なからず逡巡しつつ、黙って二つばかり
点頭
(
うなず
)
いた。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
柳島まで行くには及ばねえと
点頭
(
うなず
)
きながら、尻をはしょって麻裏草履を
突
(
つっ
)
かけ、幸兵衞夫婦の跡を追って
押上
(
おしあげ
)
の
方
(
かた
)
へ駈出しました。
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
細川は軽く
点頭
(
うなず
)
き、二人は分れた。いろいろと考え、
種々
(
いろいろ
)
に
悶
(
もが
)
いてみたが校長は遂にその夜富岡を
訪問
(
とう
)
ことが出来なかった。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
と捨吉は聞くと、玉木さんは
淋
(
さび
)
しそうに
点頭
(
うなず
)
いて、赤い
更紗
(
さらさ
)
の風呂敷に包んだ聖書を手にしながら築地の方を指して行った。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「珍らしや文角ぬし。
什麼
(
そも
)
何として此処には
来
(
きたり
)
たまひたる。そはとまれかくもあれ、その
後
(
のち
)
は御健勝にて喜ばし」ト、一礼すれば文角は
点頭
(
うなず
)
き
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
津田は心の
中
(
うち
)
でその幾分を
点頭
(
うなず
)
いた。けれども今さらそんな不平を聴いたって仕方がないと思っているところへ後が来た。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
父親はそれを聴いて
点頭
(
うなず
)
きはしたが、「でもまア、その方の関係もあるものとして見なければなりますまい」と言った。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
と僕は
点頭
(
うなず
)
いた。「やあ、俺はとても面白い、ペガウサスに打ちまたがって雲を
衝
(
つ
)
いて行くかのような気がする。」
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
数秒の時が流れてから、唇をかすかに動かして、殆んど気配でわかる程度に
点頭
(
うなず
)
いたのみであつた。その始終のうち彼女の冷めたい表情は微動だにしなかつた。
狼園
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
何にも解らない小さい児供たちも何事か恐ろしい事があったのだという顔をして、黙って
点頭
(
うなず
)
いていた。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
青沼は影佐が明日一人で転居するということを聞いた時、黙したまま
頸
(
くび
)
を振って
点頭
(
うなず
)
いた。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
と、ややあつて
訊
(
き
)
く。姫は
巴旦杏
(
はたんきょう
)
のやうに肉づいた丸い
脣
(
くちびる
)
を、物言ひたげに
綻
(
ほころ
)
ばせたが、思ひ返したのかそのままに無言で
点頭
(
うなず
)
いた。アスカムは窓に満ちる
春霞
(
はるがすみ
)
の空へと眼を転ずる。
ジェイン・グレイ遺文
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
そして一つには切脱ける口が重く、ついに
宜
(
よろし
)
いで
点頭
(
うなず
)
いて、半丁ばかり来て振返れば、春泉の二階になお
燈光
(
あかり
)
が見える、小歌はあのまゝ帰るか知らん、もしひょっと、もしひょっと
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
それにいちいち
点頭
(
うなず
)
きながら、法水は屍体の不自然な
形状
(
かたち
)
を凝然と見下している。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
此時大きく
点頭
(
うなず
)
いて、よし、じゃ出入の場所は沓掛明神の杜、時刻は初夜の鐘が合図だと言渡せば、今は身軽な独身ものになった時次郎は莞爾と笑って、お互に渡世人の道を歩みましょう
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
右馬の頭はもういうこともなく、
点頭
(
うなず
)
いて見せた。このままのなりわいを続けて行ったら、
生絹
(
すずし
)
は泥くさい
田舎
(
いなか
)
女になり果て和歌の才能すら難波の
蓬生
(
よもぎう
)
のあいだに
埋
(
うも
)
れてしまわねばならない。
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
ト常に
異
(
かわ
)
ッた文三の決心を聞いてお政は
漸
(
ようや
)
く眉を開いて
切
(
しき
)
りに
点頭
(
うなず
)
き
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
余はただぼんやりとそれを聴きながらただ
点頭
(
うなず
)
いていた。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「そうか」と調べていた男も
点頭
(
うなず
)
いたが
恨なき殺人
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
「……」笑いながら信子も
点頭
(
うなず
)
いた。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
「ええ!」と青年は強く
点頭
(
うなず
)
いた。
湖水と彼等
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
秀英は
点頭
(
うなず
)
いた。老婆は安心した。
断橋奇聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
此の頃から、翁は
点頭
(
うなず
)
きながら
大野人
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
松島氏は黙って
点頭
(
うなず
)
いた。
外務大臣の死
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
と驚きつつ
点頭
(
うなず
)
いた。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
汗を拭いていた一知青年が、急に暗い、
魘
(
おび
)
えたような眼付をしてうなずいたのを見ると、草川巡査も何気なく
点頭
(
うなず
)
いてマユミを振返った。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
顧みれば娘の桂は、涙の顔を挙げて、二つ三つ
点頭
(
うなず
)
いて見せるのです。涙に
薫蒸
(
くんじょう
)
されて、匂いこぼるる
処女
(
おとめ
)
の顔の美しさ——
奇談クラブ〔戦後版〕:09 大名の倅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
点頭
(
うなず
)
き合った一日の友は、十年かかっても話せない人のあるようなことを唯笑い方一つで互いの胸に通わせることが出来た。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そうしてきっと今帰ったのかといいます。私は何も答えないで
点頭
(
うなず
)
く事もありますし、あるいはただ「うん」と答えて行き過ぎる場合もあります。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
群集はもとより、
立溢
(
たちあふ
)
れて、石の
点頭
(
うなず
)
くがごとく、
踞
(
かが
)
みながら
視
(
み
)
ていた、人々は、羊のごとく立って、あッと言った。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
トいって置いて、
初
(
はじめ
)
の無遠慮な態度とはスッカリ違って
叮嚀
(
ていねい
)
に老僧に一礼した。老僧は軽く
点頭
(
うなず
)
いた。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
大杉が児供を見る眼はイツモ柔和な微笑を帯びて、一見して誰にでも
児煩悩
(
こぼんのう
)
であるのが
点頭
(
うなず
)
かれた。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
同国の者はこの広告を見て「先生到頭死んだか」と直ぐ
点頭
(
うなず
)
いたが新聞を見る多数は、何人なればかくも大きな広告を出すのかと怪むものもあり、全く気のつかぬ者もあり。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
暫
(
しばらく
)
して黄金丸は、鷲郎に打向ひて、今日朱目が
許
(
もと
)
にて聞きし事ども
委敷
(
くわしく
)
語り、「かかる良計ある上は、
速
(
すみや
)
かに彼の聴水を、
誑
(
おび
)
き
出
(
いだ
)
して
捕
(
とらえ
)
んず」ト、いへば鷲郎もうち
点頭
(
うなず
)
き
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
杉十郎と松は父子のくせに、まるで仲間同志の口をきき合い、折りに触れては互いにひそひそと耳打ちを交して
点頭
(
うなず
)
いたり冷笑を浮べてどうかすると互いの肩を打つ真似をした。
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
で、その話が出て、都合さえよくば今夜からでも——荷物は後からでも好いから——一緒に
伴
(
つ
)
れて行く積りで来たということを話した。芳子は下を向いて、
点頭
(
うなず
)
いて聞いていた。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
いっそ不景気の
現象
(
しるし
)
ですと、茶屋奉公の昔から、胸間に欝積した金玉の名論を
洪水
(
おおみず
)
の如く噴出されて、貞之進はそうかそうかとただ
点頭
(
うなず
)
いて居たが、それでも小歌という好児が御在ますと
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
この
度
(
たび
)
は真に可笑しそうにお勢が笑い出した。昇は
荐
(
しき
)
りに
点頭
(
うなず
)
いて
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そうして藍丸王が軽く
点頭
(
うなず
)
くのを見るや否や、気の早い児と見えて直ぐに兵隊に云い付けて狩りの支度をして仕舞った。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
こう岸本は日頃めったに牧野の前で言出したことも無い自分の留守宅の方の
噂
(
うわさ
)
をすると、骨の折れる旅を続けて来た牧野はそれを聞いて
点頭
(
うなず
)
いて見せた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
細君の父は
点頭
(
うなず
)
いた。しかし二人がどこでどう知り合になったのか、健三には想像さえ付かなかった。またそれを詳しく
訊
(
き
)
いて見たところが仕方がなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
平次の言葉に
点頭
(
うなず
)
くばかり、階段の登り口からは、友次郎と利助、これは、悪意に充ちた眼を光らせながらも、
呆気
(
あっけ
)
に取られて、平次の言葉を聞いております。
銭形平次捕物控:019 永楽銭の謎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
実
(
げ
)
にもと
点頭
(
うなず
)
かせられて、
其
(
その
)
歳
(
とし
)
の九月、立てゝ皇太孫と定められたるが、
即
(
すなわ
)
ち後に建文の
帝
(
みかど
)
と申す。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「ホントウとも、ホントウとも、」とU氏は早口に
点頭
(
うなず
)
いて、「ホントウだから困ってしまった。」
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
で、てらてらと
仇光
(
あだびか
)
る……姿こそ枯れたれ、石も
点頭
(
うなず
)
くばかり、
行
(
おこない
)
澄
(
すま
)
いた和尚と見えて、童顔、
鶴齢
(
かくれい
)
と世に申す、七十にも余ったに、七八歳と思う、軽いキャキャとした
小児
(
こども
)
の声。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いふに金眸も
点頭
(
うなず
)
きて、「とかくは爾よきに計らへ」「お
命
(
おせ
)
畏
(
かしこ
)
まり候」とて。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
あゝそうあゝそうとしきりに
点頭
(
うなず
)
いて居たが、あなた誠に済ませんが小歌さんをしばらく拝借しますと云うと、小歌も傍から二階のお客さまにちょいと御挨拶に行て来るのですからと云ので
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
“点頭”の意味
《名詞》
うなずくこと。承知。
(出典:Wiktionary)
点
常用漢字
小2
部首:⽕
9画
頭
常用漢字
小2
部首:⾴
16画
“点頭”で始まる語句
点頭勝
点頭録