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歓喜
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よろこび
ふりがな文庫
“
歓喜
(
よろこび
)” の例文
旧字:
歡喜
なにしろ旅の空にある時でも、一番気に掛ったのは彼女のことであったから。その心から彼はすくなからぬ
歓喜
(
よろこび
)
を自分の身に覚えた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
摩耶夫人
(
まやぶにん
)
もマリヤもこうして釈迦や基督を生み
給
(
たも
)
うたのである、という気持になって、上もない
歓喜
(
よろこび
)
の中に心も体も溶けて行く。
産屋物語
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
爾時
(
そのとき
)
、優に
朧
(
おぼ
)
ろなる、謂はば、帰依の酔ひ心地ともいふべき
歓喜
(
よろこび
)
ひそかに心の奥に
溢
(
あふ
)
れ出でて、やがて
徐
(
おもむ
)
ろに全意識を領したり。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
船室に
在
(
あ
)
りて
憂目
(
うきめ
)
に
遭
(
あ
)
いし
盲翁
(
めくらおやじ
)
の、この
極楽浄土
(
ごくらくじょうど
)
に
仏性
(
ほとけしょう
)
の恩人と
半座
(
はんざ
)
を分つ
歓喜
(
よろこび
)
のほどは、
著
(
しる
)
くもその
面貌
(
おももち
)
と挙動とに
露
(
あらわ
)
れたり。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こればかりは、純情なお園に無かった事ですが、
歓喜
(
よろこび
)
に夢中になって丈太郎の心は、そんな事に気の付く余裕もありません。
新奇談クラブ:05 第五夜 悪魔の反魂香
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
「いいえ。私達の神様は、人間の感謝が
歓喜
(
よろこび
)
の声となって、大げさに告白されるのを、大層およろこびになりますよ。」
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
渠
(
かれ
)
は、
自己
(
おのれ
)
一人の力でこの村を教化し尽した勝利の暁の今迄遂ぞ夢にだに見なかつた大いなる
歓喜
(
よろこび
)
を心に描き出した。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「それ神は
完
(
まった
)
き人を棄て給わず……(汝もし神に帰らば)
遂
(
つい
)
に
哂笑
(
わらい
)
をもて汝の口を
充
(
み
)
たし
歓喜
(
よろこび
)
を汝の唇に置き給わん」
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
女の胸に堪へ堪へて鬼女蛇神のやうに過ぎ来つるは、我が悲みを悲とせで偏に君が
歓喜
(
よろこび
)
を我が歓喜とすればなるを
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
少年
(
こども
)
の
歓喜
(
よろこび
)
が詩であるならば、
少年
(
こども
)
の
悲哀
(
かなしみ
)
もまた詩である。自然の心に宿る
歓喜
(
よろこび
)
にしてもし歌うべくんば、自然の心にささやく
悲哀
(
かなしみ
)
もまた歌うべきであろう。
少年の悲哀
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
部屋にはそういうものから来る一種の匂いが漂うて、涼しい風が疲れた産婦の顔に、心地よげに当った。笹村の胸にもさしあたり軽い
歓喜
(
よろこび
)
の情が動いていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
韓蘇紫兼
(
かんそしけん
)
の筆恐くは田夫野老の舌に及ばざらん、又他の一例を引んに、後醍醐天皇新田義貞に
勾当
(
こうとう
)
の内侍を賜わる、義貞
歓喜
(
よろこび
)
の余り「されば
死
(
し
)
ねとの
仰
(
おお
)
せかや」
松の操美人の生埋:01 序
(新字新仮名)
/
宇田川文海
(著)
しかし悲喜哀歓は実にこの手の裏表も同じこと、
歓喜
(
よろこび
)
の後には必ず悲しみが控えているが世の中の習わし。
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
発
(
はずみ
)
に乗せられて貫一は思はず
受
(
うく
)
ると
斉
(
ひとし
)
く
盈々
(
なみなみ
)
注
(
そそが
)
れて、下にも置れず一口附くるを見たる満枝が
歓喜
(
よろこび
)
!
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そこで
王子
(
おうじ
)
は、ラプンツェルを
連
(
つ
)
れて、
国
(
くに
)
へ
帰
(
かえ
)
りましたが、
国
(
くに
)
の
人々
(
ひとびと
)
は、
大変
(
たいへん
)
な
歓喜
(
よろこび
)
で、この
二人
(
ふたり
)
を
迎
(
むか
)
えました。その
後
(
ご
)
二人
(
ふたり
)
は、
永
(
なが
)
い
間
(
あいだ
)
、
睦
(
むつま
)
じく、
幸福
(
こうふく
)
に、
暮
(
くら
)
しました。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
他人
(
ひと
)
のためにもなる
光明
(
ひかり
)
と
歓喜
(
よろこび
)
にあふれたものになって来るのであります。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
栄三郎は、つと身も世もない
歓喜
(
よろこび
)
が背筋を走るのを覚えつつ
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
田舎は
淋
(
さび
)
しい。人が
殖
(
ふ
)
え家が殖えるのは、田舎の
歓喜
(
よろこび
)
である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
君が家に充てる
歓喜
(
よろこび
)
あれば、人に老は来らじ
ウスナの家
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
そして空の静かな
歓喜
(
よろこび
)
に蝋燭を立てつづけて
心のゆくところ(一幕)
(新字新仮名)
/
ウィリアム・バトラー・イエイツ
(著)
響なき
絃
(
いと
)
を弾ずる
歓喜
(
よろこび
)
の
撥
(
ばち
)
の
疲労
(
つかれ
)
。
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
舞ひたつ
疾風
(
はやち
)
歓喜
(
よろこび
)
空を
揺
(
ゆ
)
りて
機縁:(友なる画家の画稿に題す)
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
と、浪路は、
歓喜
(
よろこび
)
に
戦慄
(
せんりつ
)
して
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
幸福
(
しあわせ
)
、
歓喜
(
よろこび
)
、唄、
微笑
(
わらい
)
沙漠の歌:スタンレー探検日記
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
歓喜
(
よろこび
)
あれよ
幸
(
さち
)
あれよ
全都覚醒賦
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
その寂しい月日が長かっただけ、心を苦めることが多かっただけ、それだけ胸に満ちる
歓喜
(
よろこび
)
も大きなもののように思って来た。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お島は
漸
(
やっ
)
と胸一杯に安心と
歓喜
(
よろこび
)
との
溢
(
あふ
)
れて来るのを感じたが、
矢張
(
やっぱり
)
声をかける気になれなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
青年の顔には、悲しみのうちにも、包み切れない
歓喜
(
よろこび
)
が、潮のようにさして来るのでした。
天才兄妹
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もし我エルサレムをわがすべての
歓喜
(
よろこび
)
の
極
(
きょく
)
となさずば
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
そのことを知らせた時には一同
歓喜
(
よろこび
)
の声を上げた。
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
そこで私たちに、
希望
(
のぞみ
)
と
歓喜
(
よろこび
)
の光が照り出します。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
まことに君ときみが家には
歓喜
(
よろこび
)
多くあり
ウスナの家
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
満腔の
歓喜
(
よろこび
)
高く
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
そして、その存在を語っていた。寂しい夕方の道を友達と一緒に寄宿舎へ引返して行った時は、言いあらわし難い
歓喜
(
よろこび
)
が捨吉の胸に満ちて来た。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
雨戸を開けると、一パイに春の
陽
(
ひ
)
が、
歓喜
(
よろこび
)
と希望とを惜し気もなく家中に
漲
(
みなぎ
)
らせます。
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あまりにこの光明の殊妙なのに
歓喜
(
よろこび
)
禁
(
とど
)
めあえず
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
お志保は
酒瓶
(
てうし
)
を持添へて勧めた。
歓喜
(
よろこび
)
と
哀傷
(
かなしみ
)
とが一緒になつて小な胸の中を往来するといふことは、其白い、優しい手の
慄
(
ふる
)
へるのを見ても知れた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「悲しみこそ、真の
歓喜
(
よろこび
)
への前奏曲である」とかつて私は書いた。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
しかし、捨吉がその
歓喜
(
よろこび
)
を感じ得る頃は、やがて何等の
目的
(
めあて
)
もない旅に上ろうとしている時であった。青木も心配して、菅と連立って、田辺の家に捨吉を見に来た。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
斯の大祭の
歓喜
(
よろこび
)
の中にも、丑松の心を驚かして、突然新しい
悲痛
(
かなしみ
)
を感ぜさせたことがあつた。といふは、猪子蓮太郎の病気が重くなつたと、ある東京の新聞に出て居たからで。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
ほんとうに人一人でも救いたいと考えれば考えるほど、彼は節子の違って来たのを自分の胸に浮べて、その
生命
(
いのち
)
の動きから
湧
(
わ
)
いて来る
歓喜
(
よろこび
)
を自分の身に切に感ずるように成った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それほど彼は自分の小さな胸に満ち来る
狂気
(
きちがい
)
じみた
歓喜
(
よろこび
)
を隠せなかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“歓喜”の意味
《名詞》
歓喜(かんき、古くは、かんぎ)
喜び。
(出典:Wiktionary)
歓
常用漢字
中学
部首:⽋
15画
喜
常用漢字
小5
部首:⼝
12画
“歓喜”で始まる語句
歓喜天
歓喜戯曲
歓喜光寺