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よろこ
ふりがな文庫
“
欣
(
よろこ
)” の例文
甚兵衛は、華々しい城攻めが近づいて来たことを
欣
(
よろこ
)
んだ。しかし伊豆守もまた、兵糧攻めの策を採って、いたく甚兵衛を落胆させた。
恩を返す話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
あんなことをいって、人を
欣
(
よろこ
)
ばせておきながら、逃げてしまうのではなかろうか。城太郎は、不安になって、藪の中から首を出した。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
欣
(
よろこ
)
んでオギワルのレンゲの所へ治療を受けに行ったが、病気は少しもよくならず、到頭その村の親戚の家で死んだということであった。
南島譚:03 雞
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
求めて探しても
斯様
(
かよう
)
な親船は無かろうのに、偶然それを発見し得たことの仕合せを、兵馬は
雀躍
(
こおどり
)
して
欣
(
よろこ
)
ばないわけにはゆきません。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
峰の茸を採り終えて、さてこんな場合私の眼を
欣
(
よろこ
)
ばしめるものは、渓谷深く生い立った松の樹幹とそうして其の葉の色彩である。
茸をたずねる
(新字新仮名)
/
飯田蛇笏
(著)
▼ もっと見る
医者が、モセ嬶の、商人に売って行く山芋が、大変高いものだと思うのも、あきよ嬶のくれた蕨を
欣
(
よろこ
)
んだのも、決して無理なことではない。
芋
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
もっと多くの人を
欣
(
よろこ
)
ばせ、もっと多くの人を楽しませたらどんなにいいだろうと思うが、人間の器量は別で、これ以上伸びなければ仕方がない。
握り寿司の名人
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
コノール (勝ち誇って)神々は我等と共においでになる! (少し声を低くして、デュアックに向って、
欣
(
よろこ
)
ばしげに)
ウスナの家
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
すると
此方
(
こつち
)
で、太陽の下では睡げだつた連中が、ウアハハハツと云つて
欣
(
よろこ
)
ぶ。その形態たるや彼我相似てゐる。鉄管も管であり、地下鉄道も管である。
散歩生活
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
この頃は我々にも十分納得ゆくようになって
欣
(
よろこ
)
びにたえない、と語ったことは現実的な深い内容を暗示した。
三年たった今日:日本の文化のまもり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
みんな助かったという顔つきで、ホッとした
欣
(
よろこ
)
びは、おおいようもなく、その面色にみなぎっているので。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
この
間
(
あいだ
)
御両親様
(
ごりょうしんさま
)
にもお
目
(
め
)
にかからせて
戴
(
いただ
)
きましたが、イヤその
時
(
とき
)
は
欣
(
よろこ
)
んでよいのやら、
又
(
また
)
は
悲
(
かな
)
しんでよいのやら……
現世
(
げんせ
)
の
気持
(
きもち
)
とは
又
(
また
)
格別
(
かくべつ
)
でござりました……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
ちょうど、子を持って、はじめて子を持つことの悩み、
欣
(
よろこ
)
びがわかるように、私どもは子をもって、親の恩を知ると同時に、子の恩をも知ることができるのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
四季のお便りに、いつもお元気の体を拝察して
欣
(
よろこ
)
ばしく存じておりましたが、いつもご健勝で何より。その節はいろいろとお世話に相成りまして有難うございました。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
子供たちは鬼ごっこで無中になったが、なかで一番
大童
(
おおわらわ
)
なのが校長秋山先生だった。先生は運動場をもったことと、子供たちが
悦
(
よろこ
)
ぶのとで
欣
(
よろこ
)
びが二倍であったと見える。
旧聞日本橋:04 源泉小学校
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
貧を厭い富を
欣
(
よろこ
)
ぶの念を今少し緩くするか、もしくはこれを放下しさえすれば、幸福を生じ、もしくは幸福であり得るものを、貧即不幸福の俗見に囚わるることの
甚
(
はなはだ
)
しい為に
貧富幸不幸
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その意味に
於
(
おい
)
て彼を一の贖罪者と言おうとするなら、われ等も
欣
(
よろこ
)
んでこれに
左袒
(
さたん
)
する……。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
これが
泉鏡花
(
いずみきょうか
)
の小説だと、
任侠
(
にんきょう
)
欣
(
よろこ
)
ぶべき芸者か何かに、
退治
(
たいじ
)
られる奴だがと思っていた。しかしまた現代の日本橋は、とうてい鏡花の小説のように、動きっこはないとも思っていた。
魚河岸
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
前年除夕の作に「不材空愧逢昭代。多難猶欣過厄年。」〔不材空シク愧ヅ昭代ニ逢フヲ/多難猶
欣
(
よろこ
)
ブ厄年ヲ
過
(
こ
)
ユルヲ〕というを見れば、甲辰の年には二十五の
厄年
(
やくどし
)
に一歳を加うべきである。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかし、貧民窟の人々は
欣
(
よろこ
)
び勇んで、小踊りしつつ、吸上げられて行く。
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
この仕事は少年を
欣
(
よろこ
)
ばせた。大人に信頼されるといふことは、なんと素晴らしいことだらう。ひよつとすると金井は、この世の中で繁夫を信用してくれた最初の、そして最後の人なのかも知れない。
地獄
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
婦人の本性を発揮するに至れるは、妾らの大いに
欣
(
よろこ
)
ぶ所なり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
心や目を
欣
(
よろこ
)
ばしめるものは少しもないからである。
不周山
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
「おゝ、嬉しい。……」と、山吹が
魁
(
さきが
)
けて
欣
(
よろこ
)
んだ。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
得テ年来ノ宿望漸ク将ニ成ラントスルヲ
欣
(
よろこ
)
ビ奮ツテ自ラ其説文ヲ起コシ其図面ヲ描キ
拮据
(
きっきょ
)
以テ日ニ其業ニ従ヘリ而シテ其書タル精ヲ極メ
微
(
び
)
ヲ
闡
(
ひら
)
キ以テ本邦今日日新学術ノ精華ヲ万国ニ発揚スルニ足ルベキモノト為サント欲スルニ在ルヲ以テ之ヲ
済
(
な
)
ス必ズヤ此ニ幾十載ノ星霜ヲ費ス可ク其間日夜
孳々
(
しし
)
事ニ之レ従ヒ其精神ヲ
抖擻
(
とそう
)
シ其体力ヲ
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
彼は同乗者が学生であるのを
欣
(
よろこ
)
んだ。
殊
(
こと
)
に、自分の母校——と
云
(
い
)
う程の親しみは持っていなかったが——の学生であるのを欣んだ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
師匠の応挙は、彼の親元である江戸の狩野善納という貧乏画家へ、その由を、報じたきりで、結局、厄介払いをしたように、
欣
(
よろこ
)
んでいた。
雲霧閻魔帳
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は、私が部屋を間違えたような風を装って這入って行ったのにもかかわらず、私の顔を見ると、驚きと
欣
(
よろこ
)
びとの眼を
瞬
(
みは
)
りながら腰を上げた。
三稜鏡:(笠松博士の奇怪な外科手術)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
孔子の
粘
(
ねば
)
り強さもついに諦めねばならなくなった時、子路はほっとした。そうして、師に従って
欣
(
よろこ
)
んで魯の国を
立退
(
たちの
)
いた。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
充分の好意を披瀝せねばならぬとでも考えたのでしょう、暫くして馬共は、
欣
(
よろこ
)
んで二人のために背中を貸しました。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかし、支店みっちゃんの方はうまいにはうまいが、旧式立食形なる
軒先
(
のきさき
)
の小店で
狭小
(
きょうしょう
)
であり、
粗末
(
そまつ
)
であり紳士向きではない。ただ
口福
(
こうふく
)
の
欣
(
よろこ
)
びを感ずるのみである。
握り寿司の名人
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
自分たちの
埒外
(
らちがい
)
の分野から同格者を
見出
(
みいだ
)
した
欣
(
よろこ
)
びを
以
(
もっ
)
て尊敬し迎えいれられたことが見
逃
(
のが
)
せない。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
今すぐ謎の下手人のわかると聞いて勇みと憎悪に顔色を蒼くしながら
欣
(
よろこ
)
ばし気にいそいそ起って来る文字若——四人を伴れて、藤吉は、その真下の初太郎の部屋へ降りて来た。
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
コノール (一人になって、
欣
(
よろこ
)
ばしそうに)わしは王だ。わしはいい夢を見た。
ウスナの家
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
二 書生の恥ぢるのを
欣
(
よろこ
)
んだ同船の客の喝采は如何に俗悪を極めてゐたか!
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これは地味な手紙だけれども、丁度この頃の土のように底に暖みを感じているよろこびの手紙なのです。
翔
(
と
)
ぶような歓び、又こうやって地べたを眺めるような
欣
(
よろこ
)
び。いろいろね。丁重な挨拶をもって
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
かくてわれはいかにかして仏蘭西語を学び仏蘭西の地を踏まんとの心を起せしが、
幸
(
さいわい
)
にして今やその望み
半
(
なかば
)
既に達せられし折柄、あたかも
好
(
よ
)
し先生の巴里に
来
(
きた
)
れるを耳にす。わが
欣
(
よろこ
)
び
譬
(
たと
)
へんに物なし。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それと同時に、子供の全快はそのまま親の全快です。親と子とは、悲しみを通じて、
欣
(
よろこ
)
びを通して、少なくとも二にして一です。子をもって欣ぶのも親心なれば、また子をもって悲しむのも親心です。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
欣
(
よろこ
)
んで散りゆくものだ
雲
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
すると、昨日の少女が、昨日彼女が
蹲
(
うずくま
)
っていたのと同じ場所に蹲っているのを見る。俊寛の胸には、湧き上るような
欣
(
よろこ
)
びが感ぜられる。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
嘘
(
うそ
)
もけれんもないところ、お千絵様はあなたにしんから
惚
(
ほ
)
れています。顔だけ見せてあげただけでも、どんなにお
欣
(
よろこ
)
びかもしれませんぜ。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
母は奥から、新しい
晒
(
さら
)
し
木綿
(
もめん
)
を持って来て、
再度生
(
にとせ
)
老人に渡した。老人は、綿入れと褌とで、すっかり温かくなったと言って、
欣
(
よろこ
)
んで帰って行った。
再度生老人
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
ア・バイの壁の隙間から一部始終を覗いていた夫のギラ・コシサンは、半ば驚き半ば
欣
(
よろこ
)
び、大体に於て
惶
(
おそ
)
れ惑うた。
南島譚:02 夫婦
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
心中の
欣
(
よろこ
)
び、たとうる物なく、明治二十年代の子供が「小国民」を買ってもらった時のように、嬉しがって、声高に読み且つ吟じて行くという有様です。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
二 書生の恥じるのを
欣
(
よろこ
)
んだ同船の客の
喝采
(
かっさい
)
は如何に俗悪を極めていたか!
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
友達の訪れを、心待ちにしていたらしい令嬢の路子は、さっぱりした趣味のよいアフタヌーンを
被
(
き
)
て、新子を
欣
(
よろこ
)
び迎えてくれた。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「大慈悲心を起されました。禅尼にもそれを聞かれたら、どんなにお
欣
(
よろこ
)
び遊ばすかしれません。……ではさっそくにも、泉殿へ」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
…………独逸を離れて大分航海してから、川の様な狭い海を船がゆっくり進んだ。聖書の中で聞いていた紅海だと教えられ、
欣
(
よろこ
)
ばしい好奇心で眺めた。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
ヴィクトル・ユーゴーが初めてエルナニを上演した時に、一派のものは、わざとおででこ芝居を狩り催して、それにエルナニをカリカチアさせて
欣
(
よろこ
)
んだ。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
耕作価値が急に所有価値に変り、所有価値が暴騰したために、却って職を失った耕地を持たない小作百姓達は何れにしても土地の発展を
欣
(
よろこ
)
んではいなかった。
都会地図の膨脹
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
欣
漢検準1級
部首:⽋
8画
“欣”を含む語句
欣々
欣喜
欣幸
欣々然
欣舞
欣〻
欣然
欣求
欣喜雀躍
欣慕
欣快
欣求浄土
欣懐
欣羨
村越欣弥
欣求淨土
欣求心
鼓欣
欣楽
欣求精進
...