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植
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うわ
ふりがな文庫
“
植
(
うわ
)” の例文
見渡す限り
畑
(
はた
)
や
圃
(
はたけ
)
は黄金色に色づいて、家の裏表に
植
(
うわ
)
っている柿や、栗の樹の葉は黄色になって、ひらひらと秋風に揺れています。
嵐の夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あすこは川添いに柳の木が
植
(
うわ
)
っている、何とかいう旅館の塀の前あたりの柳の根方に、川に面して黒い
蹲踞
(
うずくま
)
った男の姿があった。
幽霊を見る人を見る
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
橘
(
たちばな
)
と
榊
(
さかき
)
の
植
(
うわ
)
った庭園の
白洲
(
しらす
)
を包んで、
篝火
(
かがりび
)
が赤々と燃え上ると、不弥の宮人たちは各々手に数枚の
柏
(
かしわ
)
の葉を持って白洲の中へ集って来た。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
橋のあったのは、
市
(
まち
)
を少し離れた処で、
堤防
(
どて
)
に松の木が並んで
植
(
うわ
)
っていて、橋の
袂
(
たもと
)
に
榎
(
えのき
)
が一本、
時雨榎
(
しぐれえのき
)
とかいうのであった。
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
庭はとてもせまい。さるすべりと
八
(
や
)
ツ
手
(
で
)
と、つげの木が四、五本
植
(
うわ
)
って、離れの塀ぎわには
竜
(
りゅう
)
のひげが植えてあった。
貸家探し
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
お島はベンチに腰かけて、
慵
(
だる
)
い時のたつのを待っていた。庭の運動場の
周
(
まわり
)
に
植
(
うわ
)
った桜の葉が、もう大半
黄
(
きば
)
み枯れて、秋らしい雲が遠くの空に動いていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その家は一間
巾
(
はば
)
位の中庭があったので、
天窓
(
ひきまど
)
からのような光線が上から投げかけられ、そこに
植
(
うわ
)
った植木だけが青々と光っていて、かえって店の中の方が薄っ暗かった。
旧聞日本橋:14 西洋の唐茄子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
冗談でしょう。この人の盛上った海岸に、抜身の匕首が、それもたてに
植
(
うわ
)
っていた、というんですか、はははは、——そして、あんなに見事に、心臓をつき抜くほど、体を
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
まぁあなた
方
(
がた
)
にわかり
易
(
やす
)
いためには、
東京
(
とうきよう
)
の
銀座
(
ぎんざ
)
その
外
(
ほか
)
、
街路樹
(
がいろじゆ
)
の
植
(
うわ
)
つてゐる
商店街
(
しようてんがい
)
の、
夜
(
よ
)
ふけて
騷
(
さわ
)
いでゐた
人
(
ひと
)
も、
寢靜
(
ねしづ
)
まつた
後
(
のち
)
の
月光
(
げつこう
)
を
思
(
おも
)
ひ
浮
(
うか
)
べて
見
(
み
)
ればよからうと
思
(
おも
)
ひます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
高台いっぱいに
植
(
うわ
)
っている桜の樹蔭には、そのために警察分署、旅館などの設けがあり、それを中心に小・公学校、蕃産品交易所、茶店などが小さな内地人部落を形づくっている。
霧の蕃社
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
そうして柳の木の
植
(
うわ
)
っている大通りから
賑
(
にぎ
)
やかな往来まで歩いてすぐ電車へ乗った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、それは中庭といっても、狭苦しくって、樹木なんぞは一本も
植
(
うわ
)
っていず、ただ空箱の上に
一鉢
(
ひとはち
)
の菊が置かれてあるっきりだった。しかもそれすら
汚
(
きたな
)
らしく枯れたまんまだった。……
旅の絵
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
横が石の道で、左手の窓際にも木や草花が
植
(
うわ
)
つて居る。
欄干
(
てすり
)
の附いた石段が二つある。
此
(
この
)
二つの
上
(
あが
)
り口の
間
(
あひだ
)
が半円形に突き出て居て、右と左の曲り目に二つの窓が一階
毎
(
ごと
)
に附けられてある。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
左の建物の壁の根に、三つ股になつた、ひよろ/\の低い無花果の木が、上の方に僅かの小さい若芽を附けて、置き忘れられたやうに乏しく
踞
(
こゞ
)
まつてゐる外には、何の
植
(
うわ
)
つてゐるものもない。
女の子
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
半蔵御門
(
はんぞうごもん
)
より
外桜田
(
そとさくらだ
)
の堀あるいはまた
日比谷
(
ひびや
)
馬場先
(
ばばさき
)
和田倉
(
わだくら
)
御門外
(
ごもんそと
)
へかけての
堀端
(
ほりばた
)
には一斉に柳が
植
(
うわ
)
っていて処々に
水撒
(
みずまき
)
の車が片寄せてある。この柳は恐らく明治になってから植えたものであろう。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
銀座に柳の
植
(
うわ
)
つてゐた、
汁粉屋
(
しるこや
)
の代りにカフエの
殖
(
ふ
)
えない、もつと一体に落ち着いてゐた、——あなたもきつと知つてゐるでせう、云はば
麦稈帽
(
むぎわらばう
)
はかぶつてゐても、薄羽織を着てゐた東京なのです。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
山「
彼処
(
あすこ
)
の山の上の柱が二本ある
枳殻
(
きこく
)
の
植
(
うわ
)
ってある
彼
(
あ
)
れか」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「いえ、
桐
(
きり
)
の木が十二本ほど
植
(
うわ
)
っています」
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
見ると、小さな露台があって、瀬戸の大鉢に松が
植
(
うわ
)
っています。一本松ではありません、何とかいう待合、同業の
家
(
うち
)
だった。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
見たところ芋の
植
(
うわ
)
っている平凡な畑だったが、周囲に
欅
(
けやき
)
や杉の森があり近くに人家のないのが、怒るとき大きな声を出す私には好都合だと思った。
睡蓮
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「あの木は村の鬼門に
植
(
うわ
)
っている木で昔からある木でげす……。」と按摩は言った。私は何んだか
慄
(
ぞっ
)
として
黄色い晩
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
お島は庭木のどっさり
植
(
うわ
)
っている母屋の方の庭から、附近に散かっている二三箇所の持地を、小野田と一緒に見廻りながら、五百坪ばかりの細長い地所へ小野田を連れて行って言った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
町内の両側に
柳
(
やなぎ
)
が
植
(
うわ
)
って、柳の
枝
(
えだ
)
が
丸
(
ま
)
るい影を往来の中へ
落
(
おと
)
している。少し散歩でもしよう。北へ登って町のはずれへ出ると、左に大きな門があって、門の突き当りがお寺で、左右が
妓楼
(
ぎろう
)
である。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
竜
(
りゅう
)
の
髯
(
ひげ
)
の石垣の
崖
(
がけ
)
になる、片隅に
山吹
(
やまぶき
)
があって、こんもりした
躑躅
(
つつじ
)
が並んで
植
(
うわ
)
っていて、垣どなりの
灯
(
ひ
)
が、ちらちらと
透
(
す
)
くほどに二、三輪
咲残
(
さきのこ
)
った……その茂った葉の、蔭も深くはない低い枝に
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
植
常用漢字
小3
部首:⽊
12画
“植”を含む語句
植込
植物
田植
移植
植物園
鉢植
植木屋
植木鉢
柘植
植木
植半
植木店
誤植
高山植物
植付
植惣
植村樣
植字
植民地
植木鋏
...