こう相反する二つの信雄観は、秀吉も家康も、目的の根柢は一つだが、策において、対立のかたちをここに現わして来たものだった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
霊訓 (新字新仮名) / ウィリアム・ステイントン・モーゼス(著)
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記― (新字新仮名) / 中島敦(著)
彼にしても矢張り物思いに沈みはしたけれど、それはより着実な考え方で、決して無分別なことではなく、一面彼の考えには非常にしっかりした根柢さえあった。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊 (新字新仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
これら一切を自分の心から放下すること、換言すれば古典によって与えられた自己への幻想を根柢から打ち破ること、私の心はそういう方へ傾いて行ったのである。
師匠東雲師のように既に一家を成して東京でも一、二の仏師と知られていれば、いかに社会が変化して来ても根柢が固まっているから、さほどに影響を受けもしません。
幕末維新懐古談:35 実物写生ということのはなし (新字新仮名) / 高村光雲(著)
この不足のゆえに公共生活の訓練が不充分であり、従ってあらゆる都市の経営が根柢を欠いている。日本人はまだ都市の公共性を理解しない、これが著者の嗟嘆の一つである。
この二つの大きな仕事と共に、明治年代に入って言文一致の創設とその発達に力を添えた人々の骨折と云うものは、文学の根柢に横たわる基礎工事であったと私には思われる。
支那の革命思想に就いては、私も深くは知らないが、あの三民主義というのも、民族の自決、いや、民族の自発、とでもいうようなところに根柢を置いているのではないかと思う。
父と朝倉先生とは、どうしてこうも人生に対するものの考え方の根柢が一致しているのだろう。そして自分は、何といういい父をもち、何というすぐれた先生を恵まれたことだろう。
次郎物語:04 第四部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
なにしても、村重の離反は、ひとり安土を狼狽させたばかりでなく、中国経略の前途をも根柢から危うくさせたものといえる。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
意慾的創作文章の形式と方法 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
霊訓 (新字新仮名) / ウィリアム・ステイントン・モーゼス(著)
これが人間生存の根柢である。この偉大なる思想は儒教に依って現されたところの仁義である。人のために働くということである。社会のために働くということである。