“根柢:こんてい” の例文
“根柢:こんてい”を含む作品の著者(上位)作品数
夏目漱石8
吉川英治6
丘浅次郎5
坂口安吾5
中島敦4
“根柢:こんてい”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 芸術・美術 > 芸術史 美術史60.0%
文学 > 文学 > 文学理論 作法4.0%
芸術・美術 > 彫刻 > 彫刻史 各国の彫刻3.7%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
すべての事は金だ。金さえあればどんな事でも出来る。』と思っていた彼の誇は、根柢こんていから揺り動かされていた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
なにしても、村重の離反は、ひとり安土を狼狽させたばかりでなく、中国経略の前途をも根柢こんていから危うくさせたものといえる。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
損得という利害の打算が生活の根柢こんていで、より高い精神への渇望、自我の内省と他の発見は農村の精神に見出すことができない。
堕落論〔続堕落論〕 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
細君の印形いんぎょうは五万円の基本金を借入れて夫の手に渡し、川上座の基礎はその金を根柢こんていとして築きあげられていった。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
世界が根柢こんていからくつがえり、今までの自分が自分でなくなったような昏迷こんめいに、悟空はなおしばらくふるえていた。
私の属していた団体の言葉を借りていえば、私のおこない根柢こんていには大それた高慢が働いていたと云える。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
こう相反する二つの信雄観は、秀吉も家康も、目的の根柢こんていは一つだが、策において、対立のかたちをここに現わして来たものだった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかもその根柢こんていにあるのは、健康は各自のものであるという、単純な、単純なゆえ敬虔けいけんなとさえいい得る真理である。
人生論ノート (新字新仮名) / 三木清(著)
しかし、梶には、物の根柢こんていを動かしつづけている栖方の世界に対する、云いがたい苦痛を感じたからである。
微笑 (新字新仮名) / 横光利一(著)
信ずべき根柢こんていのある信仰と、信ずべき根柢こんていのなき信仰とは、決して同一架上のものではない。
愚劣な小説ほど浅薄な根柢こんていから取捨選択され一のことに十の紙数をついやすにかかわらず、なお一の核心を言い得ないものである。
名誉心は抽象的なものであるにしても、昔の社会は今の社会ほど抽象的なものでなかったゆえに、名誉心はなお根柢こんていのあるものであった。
人生論ノート (新字新仮名) / 三木清(著)
客観写生ということによって苦労して来た人にくらべて根柢こんていの習練が足りないことがすぐに分る。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
日本の君臣道とは根柢こんていから異なったの国のこととて、当然、彼はまず、武帝をうらんだ。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
それをすべての根柢こんていとした上での・仁であり義でなければ、彼等には危くて仕方が無いに違いない。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
この不足のゆえに公共生活の訓練が不充分であり、従ってあらゆる都市の経営が根柢こんていを欠いている。
『青丘雑記』を読む (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
事実、当初のいきさつから考えても、彼の立場は根柢こんていからくつがえされたものといっていい。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
元々からの部下ではない。——勝家が利家に接する今の気持はすべてがこれに根柢こんていをなしている。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
父と朝倉先生とは、どうしてこうも人生に対するものの考え方の根柢こんていが一致しているのだろう。
次郎物語:04 第四部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
家屋かおくは一だいかぎりのもので、子孫繼承しそんけいしやうしてまふものでないといふ思想しさうふか根柢こんていをなした。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
けれど、詩歌は、都会的であると、田園的であるとを問わず根柢こんていに原始的感情を有せない芸術は、人を魅するものでないことを確言し得るのである。
単純な詩形を思う (新字新仮名) / 小川未明(著)
私は女の不貞を呪っているのか、不貞の根柢こんていがたよりないということを呪っているのだろうか。
私は海をだきしめていたい (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
「正常にするためには、もとからある生活を根柢こんていからこわさなければならないとしたら——」
二つの庭 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「貴官を頼みにしていたばかりに、作戦計画は根柢こんていから、ひっくりかえった。第一岬要塞が奪還できなければ、貴官は当然死刑だ。どうするつもりじゃ」
二、〇〇〇年戦争 (新字新仮名) / 海野十三(著)
親鸞上人しんらんしょうにんに初めから非常な思想があり、非常な力があり、非常な強い根柢こんていのある思想を持たなければ、あれほどの大改革は出来ない。
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
とにかく僕の知る限り、従来僕の詩論に対して反対したり、挑戦的態度を見せたりした人の殆ど大部は、思想の根柢こんていの立場に於て、悉く僕を誤解している。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
とにかく、明治十三年に生まれた竜池会というものは、その後に起った美術界のいろいろな会の母でありました。そして好い根柢こんていを植え附けたのであった。
それには、市十郎のいう通り、大岡家の菩提寺へ行こう。祖先の前で、この身を捨て、さいごの一言をもって、この弟の心を、根柢こんていから鍛え直してやろう。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼らの自由と表裏して発達して来た深い根柢こんていをもった思想にちがいないのです。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自然人生の現実に重大な意味を持つ写生ということに根柢こんていの基礎を置かねばならぬ。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
彼にしても矢張り物思いに沈みはしたけれど、それはより着実な考え方で、決して無分別なことではなく、一面彼の考えには非常にしっかりした根柢こんていさえあった。
理科教育を奨励するには、まずその根柢こんていなる理科的精神を養うことが必要である。
教育と迷信 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
これと同時に、各派の神学、各種の教会の唱えつつある教義が、その根柢こんていおいて、格別ちがったものでもないことが、われ等の眼にはよく映るのである。
これら一切を自分の心から放下すること、換言すれば古典によって与えられた自己への幻想を根柢こんていから打ち破ること、私の心はそういう方へ傾いて行ったのである。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
されど、予は信ず、偉大なる信念の根柢こんていには、常に偉大なる見神あることを。
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
ロマンチツクな物ばかりではあるが、たしかな写実が根柢こんていと成つて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
自分はこれ等の趣味の根柢こんていになつて居る物が何であるかを早く知りたい。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
師匠東雲師のように既に一家を成して東京でも一、二の仏師と知られていれば、いかに社会が変化して来ても根柢こんていが固まっているから、さほどに影響を受けもしません。
同時に君国の用をなすと云う方面から見ると、模範的だと云って、ハルナックが事業の根柢こんていをはっきりさせる為めに、とうとう父テオドジウスの事にまでさかのぼって
かのように (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ただ方嚮ほうこうのない生活意慾の、根柢こんていからの動揺でしかなかった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
すべてに於て、我々はずこの文明情操の根柢こんていを学んでしまおう。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
然るが故に社会百般の現象時として甚だ相容あいいれざるが如きものありといへども一度ひとたびその根柢こんていうかがいたれば必ず一貫せる脈絡の存するあり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この二つの大きな仕事と共に、明治年代に入って言文一致の創設とその発達に力を添えた人々の骨折と云うものは、文学の根柢こんていに横たわる基礎工事であったと私には思われる。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
すなわち彼の世界聯邦論せかいれんぽうろん根柢こんていである。
咢堂小論 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
これが彼の倫理観の根柢こんていよこたわっているだけであった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
(一) すべてを越えて根柢こんていとなる工藝の本質は「用」である。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
自分の希望と自分の仕合せとが、根柢こんていより破壊せられたごとく
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
倫理学の根柢こんていはぜひともこれを生態学に求めなければならぬ。
動物界における善と悪 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
もはや、人間生活のすべての根柢こんていが疑わしいものに見える。
文字禍 (新字新仮名) / 中島敦(著)
ドストエフスキイの罪と罰という小説を、今私は読みつつあるところだが、この小説には、通俗小説の概念の根柢こんていをなすところの、偶然(一時性)ということが、実に最初から多いのである。
純粋小説論 (新字新仮名) / 横光利一(著)
平和は根柢こんていから破れて、戦闘は開始したのだ。
水害雑録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
本当に意味あり根柢こんていのある論争ではない。
それ以上に深い根柢こんていはないからである。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
また、ある時は「(独孤遺書)想邪乃話」という表題で、世人が理由をたずねず、ただ言い聞かされるままに信じている事柄を、根柢こんていから掘り返して論じてみようかなどと考察をめぐらしたこともあった。
我らの哲学 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
世の中に立ってやって行くにはうしても根柢こんていからこれを改めなければならないが、職業を択んで日常欠くからざる必要な仕事をすれば、いて変人を改めずにやって行くことが出来る。
落第 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そして根柢こんてい的な過失を犯している。
特攻隊に捧ぐ (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
ひるがえつて今日の西洋諸国を見るに外来の影響は皆自国の旧文明に一新生命を与へ以てその発達進歩を促したるにひとり我国にありては外国の感化は自国の美点を破却しその根柢こんていを失はしむるに終れり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「くだらんことをしゃべってくれるな、拙者は心の底から心配しているのだ。恩賞の帰参のと、吉運に酔っている貴公たちを見るといっそう後が思いやられる。決して、根柢こんていもなく取越し苦労をしているのではない」
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
妙に紛糾こぐらかった親類筋をたどってみると、その家とお今の家との、遠縁続きになっていることや、その製糸工場の有望なことや、男が評判の堅人かたじんだということなどが、兄の心を根柢こんていから動かしたらしかった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
元来有島は自分自身には確実に生活の根拠を有つて居るのであるから狩太農場を解放して小作人に与へても其生活は何等脅威されないが、私共が若し左様に土地を解放して与へたなら生活の根柢こんていを全く破壊されて了ふのである。
狩太農場の解放 (新字旧仮名) / 有島武郎(著)
それは女性に能力がないというよりは、それらのものがすべてその根柢こんていに於て男性の嗜好しこうを満足するように作られているが故に、それを産出するのもまたおのずから男性の手によってなされるのを適当とするだけのことだ。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
その「空」を説明する前に、まずはじめに、「空の背景」となり、「空の根柢こんてい」となり、「空の内容」となっているところの「因縁」という言葉からお話ししていって、そして自然に、空という意味をつかんでいただくようにしたい
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
彼らから見てやみに等しい科学界が、一様の程度で彼らの眼に暗く映る間は、彼らが根柢こんていある人生の活力の或物に対して公平に無感覚であったと非難されるだけで済むが、いやしくもこの暗い中の一点が木村項の名で輝やき渡る以上
学者と名誉 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「そうして見ると、あの人達は、そっくり私にあとを譲る気はなかったもんでしょうかね」お島は長いあいだ自分一人で極込きめこんでいた、養家やその周囲に於ける自分の信用が、今になって根柢こんていからぐらついて来たような失望を感じた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
けれども勿論もちろんおだやかな日和ひよりばかりはつづきません、ある時はからすが來て折角せつかくえかけたその芽をついばみ、ある時は恐ろしいあらしがあれて、根柢こんていから何ももをくつがへしてしまひます。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
リアリズムと浪曼主義の問題の根柢こんていも、実はここにあって、私などは初めから浪曼主義の立場を守り小説は可能の世界の創造でなければ、純粋小説とはなり得ないと思う方であるのだが、しかし、純文学が、物語を書こうとするこの通俗小説の精神を失わずに
純粋小説論 (新字新仮名) / 横光利一(著)
両者は元来別物であって各独立したものであるというような説も或る意味から云えば真理ではあるが、近来の日本の文士のごとく根柢こんていのある自信も思慮もなしに道徳は文芸に不必要であるかのごとく主張するのははなはだ世人を迷わせる盲者の盲論と云わなければならない。
文芸と道徳 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
倫理学の諸問題もひっきょうはこの謎を解かんと苦心するところから起こることで、この謎の不可解である間は、すべての問題がみな根柢こんていにおいて不可解たるをまぬがれず、専門の学者らがいかに詭辯きべんを弄しても、とうてい満足な説明を得られぬことは明らかである。
人道の正体 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
もし釈迦しゃかの呼吸した雪山の空気の中にこのガスの若干じゃっかん量が混じていたならば、仏教もよほど異なったものができたかもしれず、もしショペンハウエルの部屋の空気の中に少しくこのガスをまじえておいたならば、彼の哲学も全く根柢こんていから違うたものとなったかもしれぬ。
脳髄の進化 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
われわれの現在の考え方だと、これはなんだかむしろ薄気味の悪い凶兆のように思われるのに、当時のローマ人がこれを主都のかための土台石のように感じたのだとすると、その考え方の中にはどこかやはり「人柱」の習俗の根柢こんていに横たわる思想とおのずから相通ずるものがあるような気がする。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
等の句境は、万葉集の歌「うらうらと照れる春日に雲雀ひばりあがり心悲しも独し思へば」や「いもがため貝を拾ふと津の国の由良ゆらみさきにこの日暮しつ」などと同工異曲の詩趣であって、春怨思慕しゅんえんしぼの若々しいセンチメントが、句の情操する根柢こんていを流れている。
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
同業者の三分の二に達しているかおらんかということが自然当局の方へも分ることになりますから、そうすれば当然成立すべき資格をもっていない組合が成立していることになって、谷中派の立場をくつがえさないまでも、根柢こんていのぐらついたものであることを世間に知らせることも出来ますし、また
電線を引くに不便なりとて遠慮会釈えしゃくもなく路傍ろぼうの木をり、または昔からなる名所めいしょの眺望や由緒ゆいしょのある老樹にも構わずむやみやたらに赤煉瓦の高い家を建てる現代の状態は、実に根柢こんていより自国の特色と伝来の文明とを破却はきゃくした暴挙といわねばならぬ。
死んだあとにこの世の人へ恨みの残った霊魂が現われるのはありふれた事実であるが、それさえも罪の深さの思われる悲しむべきことであるのに、生きている自分がそうした悪名を負うというのも、皆源氏の君と恋する心がもたらした罪である、その人への愛を今自分は根柢こんていから捨てねばならぬと御息所は考えた。
源氏物語:09 葵 (新字新仮名) / 紫式部(著)
御存じの通り私は英文學出身のものですから、高等學校在學の頃から歐洲文學の根柢こんていよこたはる二つの寶庫(聖書と希臘ギリシア神話)をいつか機會を見て思ふまゝ熟覽して置きたいといふ希望を抱いてゐましたが、御恥づかしい事に、この機會は永久に多忙な自分の眼前に遂に出現せずにんで仕舞しまひました。
『伝説の時代』序 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
私は東洋全部が一つの家だと思っている。各人各様にひらいてよい。支那の革命思想に就いては、私も深くは知らないが、あの三民主義というのも、民族の自決、いや、民族の自発、とでもいうようなところに根柢こんていを置いているのではないかと思う。民族の自決というと他人行儀でよそよそしい感じもするが、自発は家の興隆のために最もよろこぶべき現象です。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)