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根柢
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こんてい
ふりがな文庫
“
根柢
(
こんてい
)” の例文
こう相反する二つの信雄観は、秀吉も家康も、目的の
根柢
(
こんてい
)
は一つだが、策において、対立のかたちをここに現わして来たものだった。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日本人だの外国人だのと狭い量見で考えずに、世界を一つの国と見て考えるべしと言うのであった。
即
(
すなわ
)
ち彼の
世界聯邦論
(
せかいれんぽうろん
)
の
根柢
(
こんてい
)
である。
咢堂小論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
宮下君は失恋だと言うけれど、そんな
根柢
(
こんてい
)
の深いものでない。単に
不注意
(
ケヤーレス
)
。ミステークだ。失恋でない証拠に手傷少々も負わない。
ロマンスと縁談
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
名誉心は抽象的なものであるにしても、昔の社会は今の社会ほど抽象的なものでなかった
故
(
ゆえ
)
に、名誉心はなお
根柢
(
こんてい
)
のあるものであった。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
然るが故に社会百般の現象時として甚だ
相容
(
あいい
)
れざるが如きものありといへども
一度
(
ひとたび
)
その
根柢
(
こんてい
)
に
窺
(
うかが
)
ひ
到
(
いた
)
れば必ず一貫せる脈絡の存するあり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
されど、予は信ず、偉大なる信念の
根柢
(
こんてい
)
には、常に偉大なる見神あることを。真に神を見ずして真に神を信ずるものはあらず。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
けれども、この
明瞭
(
めいりょう
)
な現実の
根柢
(
こんてい
)
であるところの種族を黙殺して、何の知性が種族の知性となるのであろうか。梶はこう思う。
厨房日記
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
もしショペンハウエルの部屋の空気の中に少しくこのガスをまじえておいたならば、彼の哲学も全く
根柢
(
こんてい
)
から違うたものとなったかもしれぬ。
脳髄の進化
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
他
(
ひと
)
に対して
面目
(
めんぼく
)
を失う事、万一そんな不始末をしでかしたら大変だ。これが彼の倫理観の
根柢
(
こんてい
)
に
横
(
よこた
)
わっているだけであった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その考え方の中にはどこかやはり「人柱」の習俗の
根柢
(
こんてい
)
に横たわる思想とおのずから相通ずるものがあるような気がする。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
この愛を
根柢
(
こんてい
)
とせざる時、いたずらに純福音と誇称するも無効である。無効であるのみならず、大なる害を伴うのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
私の卑陋はここでも私に卑陋な行いをさせた。私の属していた団体の言葉を借りていえば、私の
行
(
おこない
)
の
根柢
(
こんてい
)
には大それた高慢が働いていたと云える。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
けれど、詩歌は、都会的であると、田園的であるとを問わず
根柢
(
こんてい
)
に原始的感情を有せない芸術は、人を魅するものでないことを確言し得るのである。
単純な詩形を思う
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
自然人生の現実に重大な意味を持つ写生ということに
根柢
(
こんてい
)
の基礎を置かねばならぬ。写生というのは自然人生の現実に重大な意味を持つことである。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
信ずべき
根柢
(
こんてい
)
のある信仰と、信ずべき
根柢
(
こんてい
)
のなき信仰とは、決して同一架上のものではない。われ等はどこまでも、理性に向って訴えるものである。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
しかも
根柢
(
こんてい
)
の足場に於て、民衆と同じ詩的精神の線上に立っているところの、一の
毅然
(
きぜん
)
たる
風貌
(
ふうぼう
)
を有する人物である。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
平和会議に集る世界の列強の
使臣
(
ししん
)
にして、この人道の
根柢
(
こんてい
)
をさえ忘却する事なくんば、ここに掲ぐる二大問題の解決の如きは誠に
易々
(
いい
)
たるのみである。
永久平和の先決問題
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
細君の
印形
(
いんぎょう
)
は五万円の基本金を借入れて夫の手に渡し、川上座の基礎はその金を
根柢
(
こんてい
)
として築きあげられていった。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
後にしばしば彼の気持を支配して来た職業心理というものも混ざりこんではいなかった。ただ
方嚮
(
ほうこう
)
のない生活意慾の、
根柢
(
こんてい
)
からの動揺でしかなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「貴官を頼みにしていたばかりに、作戦計画は
根柢
(
こんてい
)
から、ひっくりかえった。第一岬要塞が奪還できなければ、貴官は当然死刑だ。どうするつもりじゃ」
二、〇〇〇年戦争
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
『
凡
(
すべ
)
ての事は金だ。金さえあればどんな事でも出来る。』と思っていた彼の誇は、
根柢
(
こんてい
)
から揺り動かされていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ユウゴオの
描
(
か
)
いた絵の多いのに驚いた。ロマンチツクな物ばかりではあるが、
確
(
たしか
)
な写実が
根柢
(
こんてい
)
と成つて居る。故人の狂𤍠と沈毅と
凝
(
こ
)
り
性
(
しやう
)
とが
其
(
それ
)
等にも窺はれた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
世界が
根柢
(
こんてい
)
から
覆
(
くつがえ
)
り、今までの自分が自分でなくなったような
昏迷
(
こんめい
)
に、悟空はなおしばらく
顫
(
ふる
)
えていた。事実、世界は彼にとってそのとき以来一変したのである。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
彼にしても矢張り物思いに沈みはしたけれど、それはより着実な考え方で、決して無分別なことではなく、一面彼の考えには非常にしっかりした
根柢
(
こんてい
)
さえあった。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
これら一切を自分の心から放下すること、換言すれば古典によって与えられた自己への幻想を
根柢
(
こんてい
)
から打ち破ること、私の心はそういう方へ傾いて行ったのである。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
学者が献身的態度を
以
(
もっ
)
て学術界に貢献しながら、同時に君国の用をなすと云う方面から見ると、模範的だと云って、ハルナックが事業の
根柢
(
こんてい
)
をはっきりさせる為めに
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
(一) すべてを越えて
根柢
(
こんてい
)
となる工藝の本質は「用」である。一切の品質、一切の形態、一切の外装、工藝にまつわるすべての出来事はここを中心として転廻する。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
師匠東雲師のように既に一家を成して東京でも一、二の仏師と知られていれば、いかに社会が変化して来ても
根柢
(
こんてい
)
が固まっているから、さほどに影響を受けもしません。
幕末維新懐古談:35 実物写生ということのはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
けれども
勿論
(
もちろん
)
穩
(
おだや
)
かな
日和
(
ひより
)
ばかりは
續
(
つづ
)
きません、ある時は
烏
(
からす
)
が來て
折角
(
せつかく
)
生
(
は
)
えかけたその芽をついばみ、ある時は恐ろしい
嵐
(
あらし
)
があれて、
根柢
(
こんてい
)
から何も
彼
(
か
)
もを
覆
(
くつがへ
)
してしまひます。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
その
根柢
(
こんてい
)
をなしたる社会的条件は、甚だしく、幽玄なものであったと言わなければならない。
幻覚の実験
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
家屋
(
かおく
)
は一
代
(
だい
)
かぎりのもので、
子孫繼承
(
しそんけいしやう
)
して
住
(
す
)
まふものでないといふ
思想
(
しさう
)
が
深
(
ふか
)
い
根柢
(
こんてい
)
をなした。
日本建築の発達と地震
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
「正常にするためには、もとからある生活を
根柢
(
こんてい
)
からこわさなければならないとしたら——」
二つの庭
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
この不足のゆえに公共生活の訓練が不充分であり、従ってあらゆる都市の経営が
根柢
(
こんてい
)
を欠いている。日本人はまだ都市の公共性を理解しない、これが著者の嗟嘆の一つである。
『青丘雑記』を読む
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
この二つの大きな仕事と共に、明治年代に入って言文一致の創設とその発達に力を添えた人々の骨折と云うものは、文学の
根柢
(
こんてい
)
に横たわる基礎工事であったと私には思われる。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
支那の革命思想に就いては、私も深くは知らないが、あの三民主義というのも、民族の自決、いや、民族の自発、とでもいうようなところに
根柢
(
こんてい
)
を置いているのではないかと思う。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
父と朝倉先生とは、どうしてこうも人生に対するものの考え方の
根柢
(
こんてい
)
が一致しているのだろう。そして自分は、何といういい父をもち、何というすぐれた先生を恵まれたことだろう。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「空の
根柢
(
こんてい
)
」となり、「空の内容」となっているところの「因縁」という言葉からお話ししていって、そして自然に、空という意味を
把
(
つか
)
んでいただくようにしたい、と思うのであります。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
天神川も
溢
(
あふ
)
れ、
竪川
(
たてかわ
)
も溢れ、横川も溢れ出したのである。平和は
根柢
(
こんてい
)
から破れて、戦闘は開始したのだ。もはや恐怖も遅疑も無い。進むべきところに進む
外
(
ほか
)
、何を
顧
(
かえり
)
みる余地も無くなった。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
その人への愛を今自分は
根柢
(
こんてい
)
から捨てねばならぬと御息所は考えた。
源氏物語:09 葵
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
思索が甘いものであるのではない、甘い思索というものは何等思索ではないであろう。思索の
根柢
(
こんてい
)
にある瞑想が甘美なものなのである。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
なにしても、村重の離反は、ひとり安土を狼狽させたばかりでなく、中国経略の前途をも
根柢
(
こんてい
)
から危うくさせたものといえる。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
愚劣な小説ほど浅薄な
根柢
(
こんてい
)
から取捨選択され一のことに十の紙数を
費
(
ついや
)
すに
拘
(
かかわ
)
らず、なお一の核心を言い得ないものである。
意慾的創作文章の形式と方法
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
これと同時に、各派の神学、各種の教会の唱えつつある教義が、その
根柢
(
こんてい
)
に
於
(
おい
)
て、格別
異
(
ちが
)
ったものでもないことが、われ等の眼にはよく映るのである。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
すべての問題がみな
根柢
(
こんてい
)
において不可解たるをまぬがれず、専門の学者らがいかに
詭辯
(
きべん
)
を弄しても、とうてい満足な説明を得られぬことは明らかである。
人道の正体
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
とにかく僕の知る限り、従来僕の詩論に対して反対したり、挑戦的態度を見せたりした人の殆ど大部は、思想の
根柢
(
こんてい
)
の立場に於て、悉く僕を誤解している。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
それをすべての
根柢
(
こんてい
)
とした上での・仁であり義でなければ、彼等には危くて仕方が無いに違いない。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
彼らから見て
闇
(
やみ
)
に等しい科学界が、一様の程度で彼らの眼に暗く映る間は、彼らが
根柢
(
こんてい
)
ある人生の活力の或物に対して公平に無感覚であったと非難されるだけで済むが
学者と名誉
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これが人間生存の
根柢
(
こんてい
)
である。この偉大なる思想は儒教に依って現されたところの仁義である。人のために働くということである。社会のために働くということである。
始業式に臨みて
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
然
(
しか
)
し、パリー人というものは自身や他人の金利のことについては口に出さぬ。もしこれに一口でも触れようものならパリー生活の秩序は
根柢
(
こんてい
)
から破壊されてしまうのだ。
厨房日記
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
客観写生ということによって苦労して来た人に
較
(
くら
)
べて
根柢
(
こんてい
)
の習練が足りないことがすぐに分る。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
根
常用漢字
小3
部首:⽊
10画
柢
漢検1級
部首:⽊
9画
“根柢”で始まる語句
根柢的