ばい)” の例文
「まだ其處そこつくるけえしちや大變たえへんだぞ、戸棚とだなへでもえてけ」勘次かんじ注意ちういした。卯平うへい藥罐やくわんいで三ばいきつした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
指導役しどうやくのおじいさんはそんな御愛想おあいそういながら、おし少女しょうじょみずをすすめ、また御自分ごじぶんでも、さもうまそうに二三ばいんでくださいました。
兄弟きやうだいくつろいでぜんいた。御米およね遠慮ゑんりよなく食卓しよくたく一隅ひとすみりやうした。宗助そうすけ小六ころく猪口ちよくを二三ばいづゝした。めしゝるまへに、宗助そうすけわらひながら
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なにもこうありゃァしねえ。つべこべと、余計よけいなことをいってねえで、はやくおせんちゃんを、おく案内あんないしてやらねえか。師匠ししょうがもう、ちゃを三ばいえてちかねだぜ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ぼくらにつてはるいことかとはれるに、いゑ貴君あなたにはきいいたゞきたいのでござんす、ふとまをしますからおどろいてはいけませぬと嫣然につこりとして、大湯呑おほゆのみとりよせて二三ばいいきをもつかざりき。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あゆの三ばい醤油じょうゆ 秋 第二百十二 魚のグレー
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
これと同じ事で、今日のひるに私は飯を三ばいたべた、晩にはそれを四杯にやしたというのも必ずしも国家のために増減したのではない。正直に云えば胃の具合できめたのである。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おつぎはつめたくなつたときなべのとかへてやつた。おしなしくもない雜炊ざふすゐを三ばいまでたべた。いくらかはらなかあたゝかくなつたのをかんじた。さうしてやうや水離みづばなれのした茶釜ちやがまんでんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
他人は蕎麦そばを食う俺は雑煑ぞうにを食う、われわれは自分勝手にろう御前おまえは三ばい食う俺は五杯食う、というようなそういう事はイミテーションではない。他人が四杯食えば俺は六杯食う。
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おつぎは先頃さきごろやうすぐかまどいて柄杓ひしやくで二三ばいみづ茶釜ちやがました。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)