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扣
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ひか
ふりがな文庫
“
扣
(
ひか
)” の例文
座敷の
中央
(
まんなか
)
が、取片付けられるので、何かと思つたら、
年長
(
としかさ
)
な芸妓が三人三味線を
扣
(
ひか
)
へて入口の方に列んだ。市子が立つて踊が始まる。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ただしアプレウスの書に
無花果
(
いちじく
)
の一種能く屁放らしむるを婦女避けて食わずとあれば、婦女はなるべく
扣
(
ひか
)
え慎んだらしいとあって
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
いやいやかれに限つては、乃公を真底主人ぞと、
崇
(
あが
)
むればこそ、勝気のかれが、もの数さへにいひかねて、
扣
(
ひか
)
え目がちの、涙多。
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
と逃げもすれば
殴飛
(
はりとば
)
す勢いで、市四郎は拳を固めて
扣
(
ひか
)
えて居ます。松五郎お瀧の両人は多勢に云い
捲
(
まく
)
られ、何も云わず
差俯向
(
さしうつむ
)
いて居ました処へ
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その横に小机を
扣
(
ひか
)
えて上品な白髪の老人が一人坐っています。その人の事をさにわというのだと聞きました。いわば審判官みたいな役だろうと思いました。
消えた霊媒女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
▼ もっと見る
そうして客は端然として竿先を見ているのです。船頭は客よりも後ろの次の
間
(
ま
)
にいまして、丁度お供のような形に、先ずは少し
右舷
(
うげん
)
によって
扣
(
ひか
)
えております。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
やがて
二頭曳
(
にとうびき
)
の馬車の
轟
(
とどろき
)
が聞えると思うと、その内に
手綱
(
たづな
)
を
扣
(
ひか
)
えさせて、
緩々
(
ゆるゆる
)
お乗込になっている殿様と奥様、
物慣
(
ものなれ
)
ない僕たちの眼にはよほど
豪気
(
ごうぎ
)
に見えたんです。
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
病氣を隱蔽する者が多いため、巡査は夜中に村を巡つて村民の
厠
(
かはや
)
通ひに注意し出したので、靴の音がすると、誰れでも便所へ行くのをさへ
差
(
さ
)
し
扣
(
ひか
)
へるといふ噂さへ起つた。
避病院
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
扣
(
ひか
)
え
地内
(
ちない
)
狭少につき、近隣村々へ年々運上金差し出し、草場借り受け、あるいは一里二里にも及ぶ遠方馬足も相立たざる嶮岨へ罷り越し、
笹
(
ささ
)
刈り、背負い、持ち運び等仕り
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
過
(
す
)
ぎし
心
(
こゝろ
)
に
恥
(
はづ
)
かしや、
我
(
わ
)
れ
迷
(
まよ
)
ひたりお
姿
(
すがた
)
今
(
いま
)
一
度
(
ど
)
見
(
み
)
まほしゝと
延
(
の
)
び
上
(
あ
)
がれば、モシと
扣
(
ひか
)
へらるゝ
袂
(
たもと
)
の
先
(
さき
)
、
誰
(
た
)
れぞオヽ
松野
(
まつの
)
か
何
(
なん
)
として
此所
(
こゝ
)
へは
否
(
い
)
や
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にと
詞
(
ことば
)
有哉無哉
(
うやむや
)
支離滅裂
(
しりめつれつ
)
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
今一度お勢の
袖
(
そで
)
を
扣
(
ひか
)
えて
打附
(
うちつ
)
けに
掻口説
(
かきくど
)
く外、他に仕方もないが、しかし、今の如くに、こう
齟齬
(
くいちが
)
ッていては言ったとて聴きもすまいし、また毛を吹いて
疵
(
きず
)
を求めるようではと思えば
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
……そう
肚
(
はら
)
を
据
(
す
)
えると、
銅提
(
ひさげ
)
が新たに
榾火
(
ほたび
)
から取下ろされて、
赤膚焼
(
あかはだやき
)
の大
湯呑
(
ゆのみ
)
にとろりとした液体が満たされたのを片手に
扣
(
ひか
)
えて、折からどうと杉戸をゆるがせた
吹雪
(
ふぶき
)
の音を
虚空
(
こくう
)
に聴き澄ましながら
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
意外に打れたる貫一は
箸
(
はし
)
を
扣
(
ひか
)
へて女の顔を
屹
(
き
)
と
視
(
み
)
たり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
木場を
扣
(
ひか
)
えているだけにすることがまた格別だ。
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
ポセードーンはこれがため
現
(
あらは
)
の救助さし
扣
(
ひか
)
へ
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
惣「えゝ
慥
(
たし
)
かお次に
扣
(
ひか
)
え居りましょう、
上
(
かみ
)
のお
使
(
つかい
)
でございますから、紅葉の方へ案内致しまして、一献出しますように膳の支度をいたして居ります」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ひよつと夕飯までに帰らなんだら、少し
御飯
(
ごぜん
)
を
扣
(
ひか
)
へて喰べとくがよい、腹のすいてる方がおいしいさかいな。
心の鬼
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
それも其筈で、いろいろの
経緯
(
いきさつ
)
があった蒲生忠三郎を面前に
扣
(
ひか
)
えているのであるから。又蒲生忠三郎氏郷も、何をと云わぬばかりの様子でスイと澄まして居る。これも其筈だ。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
……さう
肚
(
はら
)
を
据
(
す
)
ゑると、
銅提
(
ひさげ
)
が新たに
榾火
(
ほたび
)
から取下ろされて、
赤膚焼
(
あかはだやき
)
の大
湯呑
(
ゆのみ
)
にとろりとした液体が満たされたのを片手に
扣
(
ひか
)
へて、折からどうと杉戸をゆるがせた
吹雪
(
ふぶき
)
の音を
虚空
(
こくう
)
に聴き澄ましながら
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
と法外な
雑言
(
ぞうごん
)
を申しますから、恒太郎が
堪
(
こら
)
えかねて拳骨を固めて立かゝろうと致しますを、清兵衛が
睨
(
にら
)
みつけましたから、
歯軋
(
はぎしり
)
をして
扣
(
ひか
)
えて居ります。
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
九日、朝四時というに起き出でて手あらい口そそぎ、高き杉の
樹梢
(
こずえ
)
などは見えわかぬほど霧深き暁の冷やかなるが中を歩みて、寒月子ともども本社に至り
階
(
きざはし
)
を上りて片隅に
扣
(
ひか
)
ゆ。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
振り向きて
肩後
(
うしろ
)
に
扣
(
ひか
)
へし張箪笥の上より、庄太郎の為には、六韜三略虎の巻たる算盤、うやうやしく取上げて、膝の上に置き、上の桁をカラカラツと一文字に弾きて、エヘント咳払ひ
心の鬼
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
賤
(
いや
)
しからぬ拵えですから、長二は遠慮して片隅の方に
扣
(
ひか
)
えて
居
(
お
)
ると、其の男は和尚に
雑
(
ざっ
)
と挨拶して布施を納め、一二服煙草を呑んで本堂へお
詣
(
まい
)
りに行きました。
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
麁
(
そ
)
末なる煙草盆の、しかも丈夫に、火入れは小さき茶釜形なるを
扣
(
ひか
)
へて、主人庄太郎外見ばかりはゆつたりと坐りたれど、心に少しの油断もなきは、そこらジロジロ見廻す眼の色にも知られぬ。
心の鬼
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
庫裏より通り、とある一
ト
間に待たされて
坐
(
ざ
)
を正しくし
扣
(
ひか
)
えける。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
年寄子供を
扣
(
ひか
)
えて
軽躁
(
かるはずみ
)
な事がなければ
宜
(
よ
)
いがと思って居ます処の、
昨日
(
きのう
)
私が
処
(
とけ
)
えねえ……少し家へ来られねえだけれども、逢いてえッて来た様子が誠に案じられますから
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
とある一
ト
間に待たされて坐を正しくし
扣
(
ひか
)
へける。
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
いや供は入らんと仰しゃるから、心配しながら皆々
扣
(
ひか
)
えて居ったが、お帰り有ってもとんとお話がないが、何ういう訳ですか、甚だ心配で、山三郎は我々の悪事でも存じて居りますかな
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
自分は飛鳥山で大藏に恩になって居りますから、
片贔屓
(
かたびいき
)
になるようで
却
(
かえ
)
って当人のためにならんからと云って、
扣
(
ひか
)
え目にして居りますと、秋月の引立で
御前体
(
ごぜんてい
)
へ
執成
(
とりな
)
しを致しましたから
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
鋏鍛冶金重の宅に居た恭太郎という馬鹿な奴で、
先方
(
むこう
)
は奉公中一晩でもお店を明けたことのない
頑固
(
かたくね
)
な番頭さんがちゃんと
扣
(
ひか
)
えて居りまする所へ掛合いに参ったのでございますから、余程面倒で
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
扣
漢検1級
部首:⼿
6画
“扣”を含む語句
扣鈕
扣金
差扣
手扣
扣家
扣釼
痩藤破笠扣禅扉
角扣紐
鉦扣