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所以
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ゆえん
ふりがな文庫
“
所以
(
ゆえん
)” の例文
彼の文章は、単純なようでいて「間違い易く」、ひと癖あるようで、その実、最も正しいフランス語という定評のある
所以
(
ゆえん
)
であろう。
博物誌あとがき
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
結局、冗費と思えるものの一切を省いてがまんすることが、
所謂
(
いわゆる
)
国策に沿う
所以
(
ゆえん
)
でもあり、それ以外に考えつかない良策でもあろう。
指導物語:或る国鉄機関士の述懐
(新字新仮名)
/
上田広
(著)
……まげてもひとつ、皇叔のご来遊を願って、この祝い事を成功させたい
所以
(
ゆえん
)
は、誰よりも呉妹君に実はご希望があるわけなのです。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
余はこの時立ちながら心の
中
(
うち
)
で、要するに千山行を撤回した方が、馬術家としての余の名誉を
完
(
まっと
)
うする
所以
(
ゆえん
)
ではなかろうかと考えた。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
閑寂をもとめ平淡を愛しながら、なお決して世を離れるような
退嬰
(
たいえい
)
的な態度をとらしめるに至らなかった
所以
(
ゆえん
)
はここにあると私は思う。
左千夫先生への追憶
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
▼ もっと見る
強いて今人の思想でそれを合理的に取り扱おうとするのであって、上代人の思想から生まれた物語を正当に理解する
所以
(
ゆえん
)
ではあるまい。
神代史の研究法
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
そのいろいろに異なって居る
所以
(
ゆえん
)
は、即ち「時代」により「処」によりて「人の胸中の人物」が生れたり活きたり死んだりする所以で
馬琴の小説とその当時の実社会
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
江戸木板画の悲しき色彩が、全く時間の
懸隔
(
けんかく
)
なく深くわが
胸底
(
きょうてい
)
に
浸
(
し
)
み入りて常に親密なる
囁
(
ささや
)
きを伝ふる
所以
(
ゆえん
)
けだし偶然にあらざるべし。
浮世絵の鑑賞
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
即ち公徳私徳の名ある
所以
(
ゆえん
)
にして、その
分界
(
ぶんかい
)
明白なれば、これを教うるの法においてもまた前後本末の区別なかるべからざるなり。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
とありて、真神原と呼ばれる
所以
(
ゆえん
)
を説明してあるが、「風土記」が撰ばれた頃既に昔というた程であるから
可
(
か
)
なり古い言い伝えである。
二、三の山名について
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
してみれば徳利の徳利たる
所以
(
ゆえん
)
はある最小限以上の容積すなわち分量すなわち仕事にあると思わるれども、分量の
多寡
(
たか
)
には大差がある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
この失敗を来す
所以
(
ゆえん
)
は
畢竟
(
ひっきょう
)
科学の素養を欠くから応病与薬の適切な方法を案出する事が出来ないのだと考えて益々研究に深入した。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
と、米友が思わず口を突いて出たけれども、宿役も、人足も、米友の米友たる
所以
(
ゆえん
)
を知らず、いやに気の強い子供だと軽くあしらって
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼らがいうように、これは現代の資本主義と機械主義との大なる魔手から安全に脱れしめ、人類に幸福を将来する
所以
(
ゆえん
)
となるであろう。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
最も安全なるべき警察力を利用せらるるは、貴家にとりて却て怖るべき禍根と相なるべく慎重なる御熟考を勧むる
所以
(
ゆえん
)
に御座候。
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
これ勝伯が一
身
(
しん
)
を以て
万死
(
ばんし
)
の途に
馳駆
(
ちく
)
し、その
危局
(
ききょく
)
を
拾収
(
しゅうしゅう
)
し、維新の大業を
完成
(
かんせい
)
せしむるに余力を
剰
(
あま
)
さざりし
所以
(
ゆえん
)
にあらずや
云々
(
うんぬん
)
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
科学の科学たる
所以
(
ゆえん
)
は、その中で取り扱う対象が自己を含まない点にある。即ち「所知者ばかりを抽出してそれらの間の普遍的関係を論」
救われた稀本:——寺田寅彦著『物理学序説』
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
英樹さんに対して私が点がカライのはその
所以
(
ゆえん
)
です。私の机の上には中学生じみた馬の首のついた文鎮と庭の山茶花の花とあり。
獄中への手紙:03 一九三六年(昭和十一年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ともかく一心専念にやっているという事が僕は君の今日成功している
所以
(
ゆえん
)
だと信ずる、成功とも! 教育家としてこの上の成功はないサ。
郊外
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
ただそれが場所の指示ということの上にその蟻の道の続いている
所以
(
ゆえん
)
をも考えねば不満足であった点に興味があるのであります。
俳句の作りよう
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
外人が鋭意して
真似
(
まね
)
んともがく
所以
(
ゆえん
)
のものを、われにありては
浪
(
みだ
)
りに滅却し去りて悔ゆるなからんとするは、そもそも何の意ぞ。
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
単に石臼が捨ててあるだけで満足せず、その石臼の薄いことを
見遁
(
みのが
)
さなかったのは、この句のやや平凡を免れ得る
所以
(
ゆえん
)
であろう。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
第二、リベルテーポリチックは即ち行為の自由にして人々の自らその処する
所以
(
ゆえん
)
の者、及びその他人とともにする所以の者皆この中にあり。
『東洋自由新聞』第一号社説
(新字旧仮名)
/
中江兆民
(著)
しかしそれをそう云わなければ、この楽天家の中尉の頭に
変態性慾
(
へんたいせいよく
)
の
莫迦莫迦
(
ばかばか
)
しい
所以
(
ゆえん
)
を
刻
(
きざ
)
みつけてしまうことは不可能だからである。……
文章
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
種々なる種の成立する
所以
(
ゆえん
)
である。多と一との絶対矛盾的自己同一の世界において、矛盾が解かれるかぎり、一つの種が成立するのである。
絶対矛盾的自己同一
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
かつや恐れ多けれども師団長殿下を始め奉り旅団長参謀佐官を失ふに至りては天の近衛に
殃
(
わざわい
)
する
所以
(
ゆえん
)
の者を怪まずんばあらず。
従軍紀事
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
目の前に現れた結果は誰でも見ますが、大切なのは結果とともにその過程を見ることです。すなわち歴史を尊重する
所以
(
ゆえん
)
です。
一商人として:――所信と体験――
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
、
相馬黒光
(著)
彼が日本へ慰めを求めに来た失恋の
所以
(
ゆえん
)
は、相思の令嬢の母親によって破られたのだったからだ。彼は厭な顔をしないではいられなかった。
モルガンお雪
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
さてこの蝶を得たばかりに、江戸入りをした小一郎はさまざまの危難に遭遇し、その剣侠の剣侠たる
所以
(
ゆえん
)
を、縦横に発揮することになった。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
野暮な女房を持ったばかりに亭主は人殺しをして
牢
(
ろう
)
へはいるという筋の芝居を見せて、女房の悋気のつつしむべき
所以
(
ゆえん
)
を無言の
裡
(
うち
)
に教訓し
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
小山「なるほど、それが則ちアイスクリームと称する
所以
(
ゆえん
)
ですね。世間にあるのはアイスクリームでなくってアイスミルクですな、アハハ。 ...
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
吾輩が「心理遺伝」の恐しい事を、
大声疾呼
(
たいせいしっこ
)
して主唱する
所以
(
ゆえん
)
の第一は、それが
斯様
(
かよう
)
にして精神病者に現われるばかりでない。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それどころか、かれらが人間から軽侮される生活そのものが、実は人間にとって意外な
祝福
(
しゅくふく
)
をもたらす
所以
(
ゆえん
)
になるのである。
蛆の効用
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「人を治むる
所以
(
ゆえん
)
を知るは天下国家を治むる所以を知るなり」(『中庸』)と説いた支那の昔の哲人たちに聴いても明白な道理だと思います。
平塚・山川・山田三女史に答う
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
相場で云えば売買両方の
玉
(
ぎょく
)
を出して置く両建と云ったようなものである。しかし、両建と云うのは、大勝する
所以
(
ゆえん
)
ではない。
真田幸村
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
人生がただ動くことでなくて作ることであり、単なる存在でなくて形成作用であり、またそうでなければならぬ
所以
(
ゆえん
)
である。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
吾助が長屋代表に寄合を求め、かかる重大秘密を自ら
曝露
(
ばくろ
)
した
所以
(
ゆえん
)
のものはなんであるかという……、彼は左の如き要求を発したのであった。
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
然
(
しか
)
れども彼らは
自
(
みず
)
から裁する
所以
(
ゆえん
)
を知らざるを
如何
(
いか
)
ん。
蓋
(
けだ
)
し理を主とせずして気を主とするもの、実にかくの如くそれ恐るべきものあるなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
民家の一軒ずつを眺め、また築地の有様や立木の姿や路傍の石にまで眼をとめて、その雅致ある
所以
(
ゆえん
)
を改めて心にとめたいと思ったのである。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
する筈はないから、衣裳万端当該町民が負担しなければならない。これが大変な
金高
(
きんだか
)
のようだよ。三馬鹿の三馬鹿たる
所以
(
ゆえん
)
さ
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
すなわち座頭の坊の物語が
夙
(
はや
)
くから、当時実際に参与した勇士どもの霊の、託言または啓示なることを要した
所以
(
ゆえん
)
である。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
拒モウトシテモ誘惑ニ打チ
克
(
か
)
チ得ズ、カエッテソレヲ喜ビ迎エル。ソコガ淫婦ノ淫婦タル
所以
(
ゆえん
)
デアルヿヲ、僕ハ見落シテイタノデアッタ。………
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ボッテリした、顎化けの化けの
所以
(
ゆえん
)
であるところの、人間ばなれのした馬鹿長い顎をふりながら、ひとりで悦に入って
顎十郎捕物帳:16 菊香水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
しかしながら、吾人が彼を尊崇する
所以
(
ゆえん
)
は、独り学識の上にのみ存するのではない。その毅然たる節義あって
甫
(
はじ
)
めて吾人の尊敬に値するのである。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
パリス 過ぎし日の魅力ある
所以
(
ゆえん
)
だ。限り知れぬ美しさの源はそれだ。慣れ切った事は、実際われわれを窒息せしめる。
チチアンの死
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
この
火山
(
かざん
)
の
噴出時
(
ふんしゆつじ
)
に
於
(
お
)
ける
閃光
(
せんこう
)
は
遠
(
とほ
)
く
百海里
(
ひやくかいり
)
を
照
(
て
)
らすので、そこでストロムボリが
地中海
(
ちちゆうかい
)
の
燈臺
(
とうだい
)
と
呼
(
よ
)
ばれる
所以
(
ゆえん
)
である。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
ありのままを伝て世人の判断を自由にするがかえって子規子に忠なる
所以
(
ゆえん
)
、文壇に忠なる所以であると信ずるのである。
竹乃里人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
人麿は斯く見、斯く感じて、詠歎し写生しているのであるが、それが即ち犯すべからざる大きな歌を得る
所以
(
ゆえん
)
となった。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
これが大衆獲得の希望をひとまず棄てて、会員相互の結束、会員意識の涵養に全力を集中するにいたった
所以
(
ゆえん
)
である。
三田社会科学研究会
(新字新仮名)
/
野呂栄太郎
(著)
すなわち職を辞してもっぱら政理の究察に従事せり。ああ、これ先生の一世の知識を開拓して余りありし
所以
(
ゆえん
)
なるか。
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
“所以”の意味
《名詞》
所 以(ゆえん)
そうである理由。ゆえんを参照。
(出典:Wiktionary)
所
常用漢字
小3
部首:⼾
8画
以
常用漢字
小4
部首:⼈
5画
“所以”で始まる語句
所以者何
所以也
所以原免
所以尭巽舜