)” の例文
新字:
「坊樣暗う御座いますよ」と言つたぎり、女と共に登つてしまつたから僕も爲方しかたなしに其後にいて暗い、狹い、急な梯子段を登つた。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
私は彼女に話しかけたかつたけれど、手は鐵のやうな握り方で、掴まれてゐた——私はいて行けないやうな大胯でき立てられた。
骨惜ほねをしみしちや、いゝ御用聞にはなれないよ。先づ默つていて來な、歸りは石原の利助兄哥のところを覗いて見舞でも言つて行かう」
『繁ちやん、それアおも一緒にいち行きね。た方がいゝが、……土産物みやげもんどんもろちよつたちつまらん。それア行たほがよつぽづいゝが……』
金比羅参り (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
卯平うへい田圃たんぼいて北側きたがはみちあるいたのでかれにはこと/″\夜明よあけごとしろつめたいしももつおほはれてはたけのみがうつつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「ああ!」と歎息して、ちよツと兩手を目に當てたが、あとは手もち無沙汰のやうに無言で義雄の跡にいて來る。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
其の姿を見ると、待構へてゐた學生等は、また更に響動どよめき立ツて、わい/\ひながら風早學士の後にいて行く。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
が、漸々だん/\病勢が猖獗になるにれて、渠自身も餘り丈夫な體ではなし、流石に不安を感ぜぬ譯に行かなくなつた。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
とらへてくれう。……やい、モンタギューめ、破廉恥はれんち所行しょぎゃうめい。うらみ死骸むくろにまでおよぼさうとは、墮地獄だぢごく人非人にんぴにんめ、引立ひきたつる、尋常じんじゃういてい。けてはおかぬぞ。
かるすその、すら/\と蹴出けだしにかへるとおないろ洋傘かうもりを、日中ひなかあたるのに、かざしはしないで、片影かたかげ土手どていて、しと/\とつたは、るさへ帶腰おびごし弱々よわ/\しいので
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『そんなら私がいて行つたつていだらう。そしてかへりに引張つて行くから。』
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
その後から八五郎が、自分の彌造を追つ驅けるやうな恰好かつかうで、ホクホクといて行つたことは言ふ迄もありません。
僕は前にも、あなた位の年頃の獨身の女の人が、僕位の年頃の獨身者にいて、外國へ出掛けて行き度いなどゝ云ふ事が、とても話にならないつて事は話したでせう。
老人らうじんさきたつくので若者わかもの其儘そのまゝあとき、つひ老人らうじんうちつたのです、砂山すなやまえ、竹藪たけやぶあひだ薄暗うすぐらみちとほると士族屋敷しぞくやしきる、老人らうじん其屋敷そのやしきひとつはひりました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
カピューレット長者ちゃうじゃさきに、おなじく夫人ふじん乳母うばならびに下人げにんかふおついて出る。
平次は死體の背から刄物を拔いて見せると、五六人いて來た人々は、互に顏を見合せて口をきく者もありません。
導かれようと、引きずられようと、唯、いて行くのみだつた、——事件に次ぐに事件、露顯に次ぐに露顯を見守つてゐたのみであつた。しかし今こそ私は考へたのである。
カピューレット長者ちゃうじゃさきに、年若としわか貴公子きこうしパリス(下人げにんにんいて)る。
八五郎は小首をかしげながら、平次にいて黒船町に向ひました。
後ろにはお北がいて居ります。