彼奴等あいつら)” の例文
……そいつは冗談だが、こいつはもうけ話なんだ。相手は屹度きっと買うよ。彼奴等あいつらはきっと今朝がた、留置場りゅうちじょうのカンカン寅と連絡をしたのだ。
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
これが彼奴等あいつらの本音であったのだ。長い道中を、散々怖がらせ、いじめ抜いて置いて、最後には、今の世に聞いたこともない磔刑の目論見もくろみとは。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
七兵衛はうしたろう。彼奴等あいつらみちに迷っているのか知ら。それにしても使つかいの男が早く行着いきついてくれればいが……。一体、あの男は何者だろう。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
おりは何ともはアお礼の云うようもござえません、わしなんざアこれもう六十四になりますから、何もこれ彼奴等あいつら打殺ぶちころされても命のおしいわけはなし
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今に見ろ、彼奴等あいつらを根絶やしにして呼吸いきめてるからなんてワイ/\いったのは毎度の事であるが、れとても此方こっち如斯こうと云う成算せいさんも何もない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
彼奴等あいつらは知って居たと言うのかな——それとも——国民劇場は一体今んな狂言をやって居るんだろう?
青い眼鏡 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
彼奴等あいつらみんな東京弁がうまいんだけれど、叔母さんに歓迎の意を表して、大阪弁を使ってるんですよ」
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
しからん親友もあればあるものです。私が肥っているのを見て煮て喰いとうなって保険のなべに這入れとすすめに来る奴です。彼奴等あいつらの無学文盲にも呆れました」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
鯉七 忘れたか、つりがねがここにある。……御先祖以来、人間との堅い約束、夜昼三度、打つ鐘を、彼奴等あいつらが忘れぬうちは、村は滅びぬ天地の誓盟ちかい姫様ひいさまにも随意ままにならぬ。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼奴等あいつら可憐いとしいヂュリエットの白玉はくぎょくつかむことも出來でくる、またひめくちびるから……その上下うへしたくちびるが、きよ温淑しとやか處女氣をぼこぎで、たがひに密接ひたふのをさへわるいことゝおもうてか
でも私はチヤァルズが好きなの——尊敬するの——氣の毒になるの、可哀さうな暗殺された王樣! さうよ、彼の敵が一等惡いわ。彼奴等あいつらは流す權利のない血を流したんだわ。
「それ見ろ。その通り彼奴等あいつらは狸のだまし合いだ。もう断ってしまえ」
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「どうした、彼奴等あいつらことせてんべぢやねえか」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
わしは昨年の春彼奴等あいつらを羽根田の浜辺で一度見たことが有りますが、一遍は助けて遣わしましたが、向後のために成りませんかと心得斬って捨てましたが
それにしても、何という恐ろしい力を持ったウラゴーゴルだろう! 彼奴等あいつらの知識は、わが地球に棲む人類よりも、百年以上も進歩している。恐ろしい大宇宙の敵!
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そりゃうございますが、彼奴等あいつら人を狂人きちがいにしやあがってさ、寄付よッつきゃしませんでした、男ごかしだの、たてごかしだのは幾らもあるんだけれど、狂人ごかしは私あはじめてなんで
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
事に依ると彼奴等あいつらは、「一概に藝術と云っても、文学と音楽とは条件が違う。」などゝごまかすかも知れないが、己はなかなか其の手はわない。条件が違っても藝術の目的は一つな訳だ。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
蒼蠅あをばへでもうすることをロミオばかりはうせぬ、彼奴等あいつら自由じいう吾等われら追放つゐはう! これでも足下おぬし追放つゐはう死罪しざいでないとおしゃるかいの? 調合てうがふしたどくはないか、ぎすましたやいばはないか
して外国の書をよん欧羅巴ヨーロッパの制度文物をれと論ずるような者は、どうも彼輩あいつ不埒ふらちな奴じゃ、畢竟ひっきょう彼奴等あいつら虚言うそついて世の中を瞞着まんちゃくする売国奴ばいこくどだと云うような評判がソロ/\おこなわれて来て
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
茂「もう只ア置かねえ、彼奴等あいつらを殺して己も其の場で腹を切って死ぬより他にようは無い」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
三の烏 あれほどのものを、(天幕を指す)持運びから、始末まで、俺たちが、この黒い翼で人間の目からおおうて手伝うとは悟り得ず、すすきの中に隠したつもりの、彼奴等あいつらの甘さがたまらん。
紅玉 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「よし、よし、己が彼奴等あいつらを追っ拂って来てやる」
紀伊国狐憑漆掻語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
半五「こりゃアどうも飛んだ事を云ったが、何うも旦那、じゃア止めえから斯うして下さい、野郎共が今二百四五十人も遊んで居るから彼奴等あいつらを連れて供をさして遣って下さい」
三の烏 れほどのものを、(天幕テントを指す)持運もちはこびから、始末まで、俺たちが、此の黒い翼で人間の目からおおうて手伝ふとはさとり得ず、すすきの中に隠したつもりの、彼奴等あいつらの甘さがたまらん。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
彼奴等あいつら二人を殺さんではわたしが親に対して済みませんから、何卒どうぞお暇を戴いて下さいまし
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
文「茶などを呑ませてたまるものか、彼奴等あいつらどぶの水で沢山だ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
國「もし旦那、彼奴等あいつら何処どこへ連れておでなさいやしたえ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)