強請ゆす)” の例文
すると、或る日のこと、この神明のあたりを地廻りのようにごろ付いている千次という奴がさつきの帳場へ来て、幾らか強請ゆすりました。
半七捕物帳:64 廻り灯籠 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
綺麗な女の子をさらつたのは、親を強請ゆすつて金にする外に、身體の良いのは、輕業娘に仕立てて、田舍向の香具師やしに賣るつもりだらう。
「さようさようそうだそうです。親父おやじを生かして返してくれ、それが出来なかったら財産を渡せ——こう云って強請ゆすったということで」
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
が、治まらないのは馬子先生である。法外な賃金を強請ゆすってがんとして動かぬ。欲張りの田舎者ほどつら憎いものはない。将軍忽ち
「こんなおもしろい聞き込みは近ごろありますまい。ひとつその破戒坊主の範宴をさがし出して、うんと強請ゆすってやったらどうでしょう」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私たちはその窓から電話やタイプライタアの強請ゆすつたり吃つたりする音の聞えてくる商館の間を何となくぶらぶらしてみたり
旅の絵 (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
先月末に二十人ほど工員がくびを切られたとき、わたしを煽動してストライキを起こす張本人たらしめ、社長を脅して一万円の金を強請ゆすり取り
『じゃあ一体、二人が矢島を強請ゆすったとか、話を丸く収めなかったのが、つまりこの事件の動機だね。ありゃあ一体どうして判ったのかね?』
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
強請ゆすられるようになって、うるさがっていたと云う事は蔽うべからざる事実じゃからね。じゃ君はあの女はどうして行方不明になったと思うのだね
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
市川海老蔵えびぞうは甲府へ乗り込む時にここの川越しに百両の金を強請ゆすられたために怖毛おぞけふるって、後にこの本街道を避けて大菩薩越えをしたということ。
今の腕車くるまに、私が乗っていたのを知って、車夫わかいしからで駆下りた時、足の爪をかれたとか何とか、因縁を着けて、端銭はした強請ゆするんであろうと思った。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「糞、豚小屋みたいな空屋に俺たちを叩き込んで置いて、手前は寄附を強請ゆすって世の中の人間を瞞しこんでいるんじあねえか。利いた風な口を利くねえ!」
放浪の宿 (新字新仮名) / 里村欣三(著)
夏子であればこそ屡々穴川甚蔵に強請ゆすられもするのだ、甚蔵の姉(だか妹だか)に当る虎井夫人を憎みながらも猶自分の傍より追い退ける事が出来ぬのだ。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
又よく無頼漢ならずものや不良少年見たような者が生徒をからかいに来たり、母を脅迫おどかしてお金を強請ゆすったりしましたが、そんな時も母は一人で叱り付けて追い払いました。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
其の百姓の家だから旨く往ったら二三百両も強請ゆすってこうという権幕で、相手は名に負う又旅お角、是はちょく/\旅へ出て、昨日帰ったかと思うと又今日旅へ出た
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
これは普通ただの泥棒ではない、きっと何か計画たくらんでいるんだろう。殊によると今夜の行動を最初から見ていて、僕の弱点に附け込み、金品を強請ゆすろうというのかも知れない。
黒猫十三 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
『叔母に直接談判したところで、易々とは手離すまい。よし彼奴を強請ゆするに限る』
『七面鳥』と『忘れ褌』 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
とくに車夫が車賃を貰うて車を引くように、愛国賃を貰うて愛国する者や、愛国を売り物にして強請ゆすって歩いたり無銭飲食をしたりする輩に至っては、言行不一致もまたすこぶるはなはだしい。
人間生活の矛盾 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
これを材料たねにしてさかんやみから暗へ辛辣な手を延ばして、大金を強請ゆすり取り、ついには閣員を脅迫して代議士になりすまし、当路の大官、醜代議士連の弱点を押えては私利私欲をほしいままにしているが
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
加代姫は、六平になにか弱い尻をにぎられていて、今まで強請ゆすられるたびに金を出していた。そのへんまでは我慢が出来たが、酌をしに来いとまでつけあがるんじゃ、この先のことを思いやられる。
まるで大人の無頼漢が強請ゆするような威圧を聞いたりした。
われらの家 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
お金を強請ゆすり取るのをしょうばいにしているんです
雪と泥 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「サア判らねえ、お紋はどうして小屋を拔け出して子供をさらつたんです。——和吉があつしに化けて金を強請ゆすつたのはわかるが」
その車を挽いて行った車夫が怪しんで強請ゆすりかけると、又作はおどろかず、車の蹴込みの板を取って車夫をぶち殺して立ち去る。
寄席と芝居と (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「ところがその後ずっと後になって、ごろつきのような人間が、この征矢野家へやって来て、先代を強請ゆすったということですな」
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私たちはその窓から電話やタイプライタアの強請ゆすったりどもったりする音の聞えてくる商館の間を何となくぶらぶらしてみたり
旅の絵 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
破戒不浄の似非門跡えせもんぜきに会って、面皮をいてくれねば帰らぬと、玄関に立ちふさがるやからもあるし、嫌がらせをいって、金を強請ゆすりにくる無頼漢や浪人もあった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつをあの晩ゴタゴタ並べて強請ゆすりに来たんだ。だから片付けちまったんだ。ただ、それだけさ。
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
支倉を強請ゆすって金にするとは上には上があるものだと感心しながら、石子刑事は膝を進めた。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
おそろしい、をとこつてほねかくす、とむらのものがなぶつたつけの……真個ほん孤屋ひとつやおにつて、狸婆たぬきばゞあが、もと色仕掛いろじかけでわし強請ゆすつて、いまではおあしにするでがすが、旦那だんななにはしつたか
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
内緒ないしょうの苦しいのが多く、うわべは大身に構えても、町人に借金があって首が廻らなかったり、また札差ふださしをさんざん強請ゆするようなことが、少なくともおのれの家に限ってはその憂いのないことと
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
わっちが嚊を連れて旦那の処へ強請ゆすりに往った処がわっち襟首えりっくびつかめえての御意見が身にみて、お奉行様の御理解でもつんぼ程も聞かねえ國藏が改心して、これから真人間になって稼ごうと思ったけれども
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
連判状を材料たねに金を強請ゆすろうと計っていたのでした
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
「幸田、貴様、俺を強請ゆする気か!」
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
お前、人を強請ゆする気だね。
お久美さんと其の周囲 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「工員を煽動せんどうしてストライキを起こさせ、そいつを種に社長を強請ゆする。……きみのような人間がいるからだよ、運動が途中で挫折ざせつするのは」
五階の窓:05 合作の五 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「盜人は容易ならぬ人間だ。それを強請ゆするにしちやお角の樣子は暢氣のんき過ぎた。俺は盜人の隱した金を探し當てたんだと思ふよ」
在方ざいかた徘徊はいかいする悪い虚無僧の中には、断れば断るほど下手へたな尺八を吹き立てて、揚句あげくの果てには強請ゆすりだすような者もあるが、今のは源内の一言ひとことでピッタリ止んだ。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一所不定ふじょうの雲助め、往来の旅人を苦しめる雲助め、おそらく何かの弱味を見つけておれを強請ゆすろうという下心であろうと、今宮さんは彼を憎むの念が一層強くなりましたが
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さても、どれほどの好男いいおとこに生れかわって、どれほどの金子かねを使ったら、遊んでこれだけ好遇もてるだろう。——しかるにもかかわらず、迷いは、その叔母さんに俥賃を強請ゆすって北廓なかへ飛んだ。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
國「己は去年の暮強請ゆすりに往ったからいけねえ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
女敵討を言い立てて、かりそめにも敵から飲み代を強請ゆするような男が、大事の金主を殺すはずはないと思ったのでしょう。
……徒党を組んでの、押し借り強請ゆすりの薬が利きすぎ、とうとう幕府おかみから、お触れ書きさえ出されましたっけねえ。あっしゃア、暗記そらで覚えておりやす。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
早い話が、御用道中の悪い奴に出っくわすと、駕籠屋があべこべに強請ゆすられます。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
黄金を強請ゆすりながら、あいつと、生きくらをしてみたいのだ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それを、一から十まで見て居た者が二人あつたのだ。一人は主人の弟の彌之助、それを種にお前を強請ゆすつて、お前の身體を儘にしようとした」
去年も来た、一昨年おととしも来た。……普通の日にもやって来て、私を強請ゆすったことさえある。……あいつは誤解を
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かれは本所の木賃宿きちんやどに転がっていて、お元から強請ゆする金を酒と女に遣い果たすと、すぐに又お鉄をよび出して来た。お元も嫁の身の上で、店の金銭を自分の自由にするわけにはゆかなかった。
半七捕物帳:37 松茸 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「あああ、さては強請ゆすったな……」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その寸法書を保存しておいて、数年にわたって出羽屋を強請ゆすったのは、前後の事情から、火のように明らかになりました。