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峻厳
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しゅんげん
ふりがな文庫
“
峻厳
(
しゅんげん
)” の例文
旧字:
峻嚴
『然し、私の今日あるのは、父上の
峻厳
(
しゅんげん
)
な御教育のほかに、どこまでも甘い、どこまでも許してくださる、母の慈愛がございました』
梅颸の杖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「諸君といっしょに生きることくらい不幸なことはない、」と言うらしい人の上には、あらゆる
峻厳
(
しゅんげん
)
な法の制裁が喜んで加えられる。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
しかし、「いき」のうちには「
慮外
(
りょがい
)
ながら
揚巻
(
あげまき
)
で
御座
(
ござ
)
んす」という、曲線では表わせない
峻厳
(
しゅんげん
)
なところがある。冷たい無関心がある。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
一年に三万人の
生霊
(
せいれい
)
が、この便利な機械文明に
喰
(
く
)
われてしまっている。日本に於ても
浜尾子爵閣下
(
はまおししゃくかっか
)
が「自動車
轢殺
(
れきさつ
)
取締
(
とりしまり
)
をもっと
峻厳
(
しゅんげん
)
にせよ」
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
自分さえよければ人はどうでもいい、百姓や町人はどうなってもいい、そんな学問のどこに熱烈
峻厳
(
しゅんげん
)
な革新の
気魄
(
きはく
)
が求められましょうか——
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
各王国居城に
豪奢
(
ごうしゃ
)
な官邸を構え、
儀仗
(
ぎじょう
)
兵を付して威容を整え、各
国王
(
マハラージャ
)
の内政に
容喙
(
ようかい
)
して、貢納金の取立て
峻厳
(
しゅんげん
)
を極めている。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
案の定、七郎兵衛はぎくりとなりましたが、右門のことばは間をおかないで、
峻厳
(
しゅんげん
)
そのもののごとくに飛んでいきました。
右門捕物帖:11 身代わり花嫁
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
ちょうど近頃の塩・
煙草
(
たばこ
)
の専売のごとく、その自用の禁止は全島にわたって、相応に
峻厳
(
しゅんげん
)
なものであったろうと思われる。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
(と村井保は、係官の第二回目の
峻厳
(
しゅんげん
)
な
訊問
(
じんもん
)
に対して、頭をうなだれ、声をふるわして答えた)すっかり申し上げます。
アパートの殺人
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
ここは
峻厳
(
しゅんげん
)
とか崇高とか、遠きに仰ぐ世界ではない。ここは密な親しげな領域である。されば工藝は情趣の世界、滋潤とか親和とかがその心である。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
彼に対する自分の批評は、それにつれて
峻厳
(
しゅんげん
)
になる。何か、自己擁護的な本能の力で、そうなるようにさえ見える。
日記:09 一九二三年(大正十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そして、兄弟のごとくまた法官のごとく、同時に慈愛と
峻厳
(
しゅんげん
)
とに満ちた心をもって、なかなかはいれない地下の
洞穴
(
どうけつ
)
まで下ってゆかなければならない。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
峻厳
(
しゅんげん
)
な力強い感情に輝きうる、つつましやかな青い目や、
憤懣
(
ふんまん
)
と
激昂
(
げきこう
)
になおも震えているその小柄な体に見入った。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
苦虫をかみつぶしたような顔つきで、
嗅煙草
(
かぎたばこ
)
でよごれた着物を着て、
木箆
(
きべら
)
(5)
を手にしながら学校の
峻厳
(
しゅんげん
)
な法則を執行していた人なのであろうか? おお
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
また犯罪については、
峻厳
(
しゅんげん
)
な取締の詔を発せらるる一方、事ある
毎
(
ごと
)
に大赦を命じ、天平三年十一月の紀には
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
御弓矢槍奉行
(
おゆみややりぶぎょう
)
の
丹後守忠長
(
たんごのかみただなが
)
はすぐに伺候した。家綱はまだ十九歳であるが、三代
家光
(
いえみつ
)
の
濶達
(
かったつ
)
な気性をうけてうまれ、父に似てなかなか
峻厳
(
しゅんげん
)
なところがおおかった。
日本婦道記:箭竹
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そんなにうまく人柱なぞという光栄の名の下に死ねなかった。謂わば、人生の
峻厳
(
しゅんげん
)
は、男ひとりの気ままな狂言を許さなかったのである。虫がよいというものだ。
花燭
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
これは相手が
峻厳
(
しゅんげん
)
な検事であろうと第一流のポレミストであろうと、共通して言われることである。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
瑠璃子の言葉は、これから判決文を読み上げようとする裁判長の言葉のように、
峻厳
(
しゅんげん
)
であった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
長歌が蒼古
峻厳
(
しゅんげん
)
の特色を持っているが、この反歌もそれに優るとも劣ってはいない。この一首の単純にしてきびしい形態とその響とは、恐らくは婦女子等の鑑賞に堪えざるものであろう。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
燕王これを聞き、殷に書を
遣
(
おく
)
り、
香
(
こう
)
を
金陵
(
きんりょう
)
に進むるを以て辞と
為
(
な
)
す。殷答えて曰く、進香は
皇考
(
こうこう
)
禁あり、
遵
(
したが
)
う者は孝たり、
遵
(
したが
)
わざる者は不孝たり、とて使者の
耳鼻
(
じび
)
を
割
(
さ
)
き、
峻厳
(
しゅんげん
)
の語をもて
斥
(
しりぞ
)
く。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
先生を高等学校の廊下で毎日のように見たころは、ただ
峻厳
(
しゅんげん
)
な近寄り難い感じがした。友人たちと夕方の散歩によく先生の
千駄木
(
せんだぎ
)
の家に行ったが、中へはいって行く勇気はどうしても出なかった。
夏目先生の追憶
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
「だまれ、法は
峻厳
(
しゅんげん
)
、
枉
(
ま
)
ぐべからざるもの、さような自由は相成らん。
縛
(
ばく
)
につかぬとあらば、押しくるんで召し捕る分じゃ」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここは
峻厳
(
しゅんげん
)
とか崇高とか、遠きに仰ぐ世界ではない。ここは密な親しげな領域である。されば工藝は情趣の世界、
滋潤
(
じじゅん
)
とか、親和とかがその心である。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
あるいはもの
凄
(
すご
)
い自然のもっとも
峻厳
(
しゅんげん
)
な姿にたいするときでさえも常に感ずる、あの詩的な、なかば心地よい情趣によって、少しもやわらげられなかったからである。
アッシャー家の崩壊
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
この
峻厳
(
しゅんげん
)
にして、容易に人を信用しない僧侶でさえもが、『奇跡』の消息を読むと、苦い顔をして、心の中のある種の感情を全く押えることができなかったのである。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
政変前はアグラムの有名なニーシュ百貨店の総支配人をしてゐたといふことだが、そんな出身とはちよつと受取れぬほどの、見るからに
精悍
(
せいかん
)
な
気魄
(
きはく
)
と武人型の
峻厳
(
しゅんげん
)
さが
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
一瞬間前にはハムレットの演出にたいして
峻厳
(
しゅんげん
)
だったにもかかわらず、オフェリアが自分の描いていた面影とほとんど似てもいないことを、少しも遺憾とは思わなかった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
憐愍
(
れんびん
)
から発した
峻厳
(
しゅんげん
)
の
毀損
(
きそん
)
、個人性の承認、絶対的裁断の消滅、永劫定罪の消滅、法律の目における涙の可能、人間に依存する正義とは反対の方向を取る一種の神に依存する正義。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そういう人間自身の弱さに古典が
恰好
(
かっこう
)
の化粧となり、しかも徹底してこの惑いから
脱
(
のが
)
れるのは至難なのである。誰しも古典の
峻厳
(
しゅんげん
)
について言う。だがその峻厳さはつねに無言である。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
そしていつものような
峻厳
(
しゅんげん
)
な表情を続けていたが、やがて重々しく唇をひらいた。
宇宙尖兵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
峻厳
(
しゅんげん
)
、
執拗
(
しつよう
)
、わが首すじおさえては、ごぼごぼ沈めて水底這わせ、人の子まさに
溺死
(
できし
)
せんとの
刹那
(
せつな
)
、すこし御手ゆるめ、そっと浮かせていただいて陽の目うれしく、ほうと深い溜息、せめて
二十世紀旗手
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そして、日本の
峻厳
(
しゅんげん
)
な法律は、彼らの首を身体から斬り放つだろう。
船医の立場
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
父のいいつけと聞き、また、その家臣の
口吻
(
くちぶり
)
にも、何やら
峻厳
(
しゅんげん
)
なものを覚えたので、宗矩は、はっと立って、命を待った。
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どの
器
(
うつわ
)
を手にしても、貴方はこう尋ねてよい、“お前は工藝品か”と。器に対してこれ以上の
峻厳
(
しゅんげん
)
な批判はない。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
一つの
衒学
(
げんがく
)
的な
峻厳
(
しゅんげん
)
さと思想上の専制主義、力にたいするひそかな崇拝、反対の意味の軍国主義、などを見出したが、それは彼が毎日ドイツで聞いているところのものと
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ところが、彼は
峻厳
(
しゅんげん
)
に自己を裁いてみたけれど、
猛
(
たけ
)
り狂った彼の良心は、誰にでもありがちの単なる失敗を除いては、自分の過去にかくべつ恐るべき罪を
見出
(
みいだ
)
さなかった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
観光地として繁栄する平和の日などは
軽蔑
(
けいべつ
)
しよう。日本を世界に冠絶する美の国、信仰の国たらしめたい。そのためにはどんな
峻厳
(
しゅんげん
)
な精神の訓練にも堪えねばならぬと僕は思っている。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
彼はバラモン教徒のような慈悲心と法官のような
峻厳
(
しゅんげん
)
さとを持っていた。
蛙
(
かえる
)
をあわれむとともに
蛇
(
へび
)
を踏みつぶすだけの心を持っていた。しかるに彼が今のぞき込んだ所は、
蝮
(
まむし
)
の穴であった。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
初めは、
峻厳
(
しゅんげん
)
だったが、語尾には、やさしい感謝をこめて諭すのだった。土民たちは
自
(
おのず
)
から首を垂れ、そして、棒切れや竹槍を捨ててしまった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
真実にたいする敬虔
峻厳
(
しゅんげん
)
な尊敬のないところには、良心は存しないし、高い生活は存しないし、犠牲の可能性は存しないし、高潔は存しないのだ。真実という困難な義務を修業したまえ。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そして精神のうちにさわやかな柔らかい
潤
(
うるお
)
いを生じさして、
醇乎
(
じゅんこ
)
たる思索の、あまりに
峻厳
(
しゅんげん
)
な輪郭をなめらかにし、処々の欠陥や
間隙
(
かんげき
)
をうずめ、全体をよく結びつけ、観念の角をぼかしてくれる。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
また、信長が出向いて、直接、指揮に当ったり、占領治下の後始末したところなどは、余りに、その
峻厳
(
しゅんげん
)
に、民衆はただ恐れ
竦
(
すく
)
んでいる風があった。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてクリストフはチューリッヒの剛健な市民ゴットフリート・ケルレル老人——
峻厳
(
しゅんげん
)
な誠実さと郷土的な強い風味とによって彼には最もなつかしい作家の一人——の詩句を引用していた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
言わず語らず、万太郎をそばに据置いて、手厳しく
懲
(
こ
)
らしめている吉宗は、この機に
峻厳
(
しゅんげん
)
たる彼の半面を見せました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして現在では、みずから力の充実した感じがしていたし、いかなる苦しみのためにもせよ奮闘を断念するということは、考え得られなかったので、自殺にたいしては
峻厳
(
しゅんげん
)
な考えをもってさえいた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼のうしろには、彼の
硬
(
こわ
)
ばった
峻厳
(
しゅんげん
)
よりも、もっと冷々として理智的な、
羅門
(
らもん
)
塔十郎の眼が蛍いろに光っていた。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
得
(
え
)
て、小愛の仁は、衆民によろこばれますが、余りな
苛烈
(
かれつ
)
や
峻厳
(
しゅんげん
)
は、うけ容れられません。たとえそれが、わが殿の大愛から出たものでありましょうとも
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
峻厳
(
しゅんげん
)
な容態をくずさないが、晩飯の後など
帷衣
(
かたびら
)
一重
(
ひとえ
)
になって、
宿直
(
とのい
)
の者たちの世間ばなしでも聞こうとする時は、自分も
寛
(
くつろ
)
ぎたいし、人をも寛がせたいのであった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、以前にかわらないものは、子に対してじっと向ける眸の大きな愛と
峻厳
(
しゅんげん
)
な強さであった。こぼれ落ちそうな涙をもこらえて、老母は、静かにいうのだった。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
峻
漢検準1級
部首:⼭
10画
厳
常用漢字
小6
部首:⼚
17画
“峻厳”で始まる語句
峻厳崎嶇
峻厳酷烈