“峻厳:しゅんげん” の例文
“峻厳:しゅんげん”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治17
ロマン・ロラン4
ヴィクトル・ユゴー3
柳宗悦2
海野十三2
“峻厳:しゅんげん”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 芸術・美術 > 芸術史 美術史40.0%
芸術・美術 > 工芸 > 工芸25.0%
文学 > フランス文学 > 小説 物語17.3%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
案の定、七郎兵衛はぎくりとなりましたが、右門のことばは間をおかないで、峻厳しゅんげんそのもののごとくに飛んでいきました。
鬼作左は、峻厳しゅんげんをもって聞え、仏高力ほとけこうりきは仁者として親しまれ、天野は、中和の人という定評だった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
言わず語らず、万太郎をそばに据置いて、手厳しくらしめている吉宗は、この機に峻厳しゅんげんたる彼の半面を見せました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水や薬を持って来た下僕しもべ達も、小六の峻厳しゅんげんなその顔つきに、むなしく遠くから見ているだけだった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
博士は、僕と一所に、同じ卓子を囲んでいた。そしていつものような峻厳しゅんげんな表情を続けていたが、やがて重々しく唇をひらいた。
宇宙尖兵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼のうしろには、彼のこわばった峻厳しゅんげんよりも、もっと冷々として理智的な、羅門らもん塔十郎の眼が蛍いろに光っていた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(と村井保は、係官の第二回目の峻厳しゅんげん訊問じんもんに対して、頭をうなだれ、声をふるわして答えた)すっかり申し上げます。
アパートの殺人 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
「諸君といっしょに生きることくらい不幸なことはない、」と言うらしい人の上には、あらゆる峻厳しゅんげんな法の制裁が喜んで加えられる。
父のいいつけと聞き、また、その家臣の口吻くちぶりにも、何やら峻厳しゅんげんなものを覚えたので、宗矩は、はっと立って、命を待った。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『然し、私の今日あるのは、父上の峻厳しゅんげんな御教育のほかに、どこまでも甘い、どこまでも許してくださる、母の慈愛がございました』
梅颸の杖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「だまれ、法は峻厳しゅんげんぐべからざるもの、さような自由は相成らん。ばくにつかぬとあらば、押しくるんで召し捕る分じゃ」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殿のおことばであるぞ——と何日いつもの源吾とはまるで違った人のように峻厳しゅんげんに云い渡しがあった。
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日本に於ても浜尾子爵閣下はまおししゃくかっかが「自動車轢殺れきさつ取締とりしまりをもっと峻厳しゅんげんにせよ」と叫んで居られる。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかし、「いき」のうちには「慮外りょがいながら揚巻あげまき御座ござんす」という、曲線では表わせない峻厳しゅんげんなところがある。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
これは相手が峻厳しゅんげんな検事であろうと第一流のポレミストであろうと、共通して言われることである。
この峻厳しゅんげんにして、容易に人を信用しない僧侶でさえもが、『奇跡』の消息を読むと、苦い顔をして
瑠璃子の言葉は、これから判決文を読み上げようとする裁判長の言葉のように、峻厳しゅんげんであった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
真実にたいする敬虔峻厳しゅんげんな尊敬のないところには、良心は存しないし、高い生活は存しないし、犠牲の可能性は存しないし、高潔は存しないのだ。
洛中らくちゅうの庶民は、信長の公平と、法令の峻厳しゅんげんに感じ合った。かねて諸処の公札に、
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここで見れば、父の眼は急にやさしい。けれど、孤独の涙と、峻厳しゅんげんをもった優し味である。
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遂に、引籠る。心は一層暗くなる。彼に対する自分の批評は、それにつれて峻厳しゅんげんになる。何か、自己擁護的な本能の力で、そうなるようにさえ見える。
先生を高等学校の廊下で毎日のように見たころは、ただ峻厳しゅんげんな近寄り難い感じがした。
夏目先生の追憶 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
また犯罪については、峻厳しゅんげんな取締の詔を発せらるる一方、事あるごとに大赦を命じ
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
浪士一党の裁決が内々予告されたのである。同時刻に、他の三家へも使者は向けられていたろう。儼として、幕府はここに、法の峻厳しゅんげんを示す内意とある。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長歌が蒼古峻厳しゅんげんの特色を持っているが、この反歌もそれに優るとも劣ってはいない。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
が——君は、峻厳しゅんげんで、賞罰明らかである。民は恐れるが、同時に大きな歓びも持つ。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また、信長が出向いて、直接、指揮に当ったり、占領治下の後始末したところなどは、余りに、その峻厳しゅんげんに、民衆はただ恐れすくんでいる風があった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そんな学問のどこに熱烈峻厳しゅんげんな革新の気魄きはくが求められましょうか——
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そして、兄弟のごとくまた法官のごとく、同時に慈愛と峻厳しゅんげんとに満ちた心をもって、なかなかはいれない地下の洞穴どうけつまで下ってゆかなければならない。
そのためにはどんな峻厳しゅんげんな精神の訓練にも堪えねばならぬと僕は思っている。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
謂わば、人生の峻厳しゅんげんは、男ひとりの気ままな狂言を許さなかったのである。
花燭 (新字新仮名) / 太宰治(著)
しかし、以前にかわらないものは、子に対してじっと向ける眸の大きな愛と峻厳しゅんげんな強さであった。こぼれ落ちそうな涙をもこらえて、老母は、静かにいうのだった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼はまた浪漫派ロマンチック作家らにたいしても、同じく峻厳しゅんげんだった。
彼はバラモン教徒のような慈悲心と法官のような峻厳しゅんげんさとを持っていた。
初めは、峻厳しゅんげんだったが、語尾には、やさしい感謝をこめて諭すのだった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殷答えて曰く、進香は皇考こうこう禁あり、したがう者は孝たり、したがわざる者は不孝たり、とて使者の耳鼻じびき、峻厳しゅんげんの語をもてしりぞく。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
苦虫をかみつぶしたような顔つきで、嗅煙草かぎたばこでよごれた着物を着て、木箆きべら(5)を手にしながら学校の峻厳しゅんげんな法則を執行していた人なのであろうか? おお
ここは峻厳しゅんげんとか崇高とか、遠きに仰ぐ世界ではない。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
ここは峻厳しゅんげんとか崇高とか、遠きに仰ぐ世界ではない。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
そしてクリストフはチューリッヒの剛健な市民ゴットフリート・ケルレル老人——峻厳しゅんげんな誠実さと郷土的な強い風味とによって彼には最もなつかしい作家の一人——の詩句を引用していた。
相応に峻厳しゅんげんなものであったろうと思われる。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
いや、いわきざんだ何人なんびとかの巨像のように、峻厳しゅんげんそのものを示すだけで、宗矩が胸にこみあげているような父子の温情らしいものは、その白い眉毛の一すじも見えなかった。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして現在では、みずから力の充実した感じがしていたし、いかなる苦しみのためにもせよ奮闘を断念するということは、考え得られなかったので、自殺にたいしては峻厳しゅんげんな考えをもってさえいた。
貢納金の取立て峻厳しゅんげんを極めている。
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
峻厳しゅんげん執拗しつよう、わが首すじおさえては、ごぼごぼ沈めて水底這わせ、人の子まさに溺死できしせんとの刹那せつな、すこし御手ゆるめ、そっと浮かせていただいて陽の目うれしく、ほうと深い溜息
二十世紀旗手 (新字新仮名) / 太宰治(著)
なぜならその感情は、荒涼とした、あるいはものすごい自然のもっとも峻厳しゅんげんな姿にたいするときでさえも常に感ずる、あの詩的な、なかば心地よい情趣によって、少しもやわらげられなかったからである。
——小幡氏の話では、政変前はアグラムの有名なニーシュ百貨店の総支配人をしてゐたといふことだが、そんな出身とはちよつと受取れぬほどの、見るからに精悍せいかん気魄きはくと武人型の峻厳しゅんげんさが
灰色の眼の女 (新字旧仮名) / 神西清(著)
同時に峻厳しゅんげんでもあった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
主従という段階があるので、忠利も、公務の場合は、峻厳しゅんげんな容態をくずさないが、晩飯の後など帷衣かたびら一重ひとえになって、宿直とのいの者たちの世間ばなしでも聞こうとする時は、自分もくつろぎたいし、人をも寛がせたいのであった。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「御理想はそうありましょうとも、これが民心に映るものは、悪鬼の所業と見えましょう。て、小愛の仁は、衆民によろこばれますが、余りな苛烈かれつ峻厳しゅんげんは、うけ容れられません。たとえそれが、わが殿の大愛から出たものでありましょうとも」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すなわち、甘受してまた返してやった親切、献身、慈悲、寛容、憐愍れんびんから発した峻厳しゅんげん毀損きそん、個人性の承認、絶対的裁断の消滅、永劫定罪の消滅、法律の目における涙の可能、人間に依存する正義とは反対の方向を取る一種の神に依存する正義。
「どのうつわを手にしても、貴方はこう尋ねてよい、“お前は工藝品か”と。器に対してこれ以上の峻厳しゅんげんな批判はない。そうしてそれが美しい器であったらさらにこう云ってよい、“お前の美しさは、工藝的だからだ”と。そうしてこれ以上の正当な批評はない」
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
峻厳しゅんげんな父基経に似あわず、優柔で姑息で、わがままな嬌児にすぎない忠平が、政治家としては、右大臣の顕職を獲、一門の長者としては、父以上、兄以上な生活の見栄を張っても、心のどこかには、たえず弱い迷妄と狂疾がうずいていたことは、察するにもかたくない。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは、労苦せる知力の時としては荒い熱をもしずめる、そして精神のうちにさわやかな柔らかいうるおいを生じさして、醇乎じゅんこたる思索の、あまりに峻厳しゅんげんな輪郭をなめらかにし、処々の欠陥や間隙かんげきをうずめ、全体をよく結びつけ、観念の角をぼかしてくれる。
われわれは、彼らをおかへ追いやれば、彼らはすぐ政府の役人によって捕縛ほばくされるだろう。そして、日本の峻厳しゅんげんな法律は、彼らの首を身体から斬り放つだろう。我々合衆国人の渡航によって好奇心を起し、我々の故国を慕うものを、われわれの手によって、断頭台の上へ追い登らせることは、アメリカ合衆国の恥ではないか。
船医の立場 (新字新仮名) / 菊池寛(著)