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寡
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すく
ふりがな文庫
“
寡
(
すく
)” の例文
だが、
山家
(
やまが
)
らしい質素な食事に二人で相変らず口数
寡
(
すく
)
なく向った後、私達が再び暖炉の前に帰っていってから大ぶ立ってからだった。
楡の家
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
蝮蛇の
中
(
うち
)
にも毒質の
多
(
お
)
おいのと
寡
(
すく
)
ないのがありましてアルコールや焼酎へ漬けた時肉の縮まるのは良いし肉の
弛
(
ゆる
)
むのは悪いと申します。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
兼山の採ったこの方法は即ち敵本主義の側面立法であって、民心を刺激すること
寡
(
すく
)
なくしてしかも易俗移風の効多きものである。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
想
(
おも
)
うに
渠
(
かれ
)
が雪のごとき
膚
(
はだ
)
には、
剳青淋漓
(
さっせいりんり
)
として、
悪竜
(
あくりょう
)
焔
(
ほのお
)
を吐くにあらざれば、
寡
(
すく
)
なくも、その左の
腕
(
かいな
)
には、
双枕
(
ふたつまくら
)
に
偕老
(
かいろう
)
の名や刻みたるべし。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
なぜあれほど言葉の
寡
(
すく
)
ない嫂が自分にだけそれを話し出したのだろうか。彼女は平生から落ちついている。今夜も平生の通り落ちついていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
野童は今夜の会の話などをして聞かせたが、冬坡はことば
寡
(
すく
)
なに挨拶するばかりで、身にしみて聞いていないらしかった。
鴛鴦鏡
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
麦門冬は実の数は
寡
(
すく
)
ないけれどすこぶる顕著な実が生り、子供等でもよく知っていて女の児はお手玉にして遊ぶのである。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
ただ御詞
寡
(
すく
)
なに、たとへ世に甲斐なき女の身にてもあらばあれ、一心にさへなれば、子は育てらるるものぞとの……
葛のうら葉
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
さて昨日は殿様に御無理を願い早速お
聞済
(
きゝず
)
み下さいましたが、
高
(
たか
)
は
寡
(
すく
)
なし娘は
不束
(
ふつゝか
)
なり、
舅
(
しゅうと
)
は知っての通りの
粗忽者
(
そこつもの
)
、実に
何
(
なん
)
と云って取る所はないだろうが
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
三一〇 彼はよからざる名を得、又惡趣に墮す、而して(自ら)畏れて畏れたる(婦人)と樂むは
寡
(
すく
)
なく、又王は重刑を科す、故に人は他人の婦に狎れ親む可らず。
法句経
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それらの人たちはまた、閲歴も同じくはないし、旧幕時代の役の位もちがい、
禄
(
ろく
)
も多かったものと
寡
(
すく
)
なかったものとあるが、大きな
瓦解
(
がかい
)
の悲惨に直面したことは似ていた。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その言
寡
(
すく
)
なくて注意の深き、感歎のほかなし。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
と道子さんは言葉
寡
(
すく
)
なに答える。
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
白粥は水分ばかり多くって滋養分が
寡
(
すく
)
ないのみならずその
粘着性
(
ねばりけ
)
が胃の粘膜を刺撃しますから胃の悪い病人には
極
(
ご
)
くいけません。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
しかし熟する時までその八子の完全に残るものは
寡
(
すく
)
なく、大抵はその前に落ち、残って熟するものは唯二三子のみである。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
自ら知るの明あるもの
寡
(
すく
)
なしとは世間にて云ふ事なり、われは人間に自知の明なき事を断言せんとす、之を「ポー」に聞く、
曰
(
いは
)
く、功名眼前にあり
人生
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ふだんから無口の女であるということであったが、殊にこの場合、かれは極めて神妙にして、いかなる問いに対しても努めてことば
寡
(
すく
)
なに答えていた。
半七捕物帳:34 雷獣と蛇
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一
廉
(
かど
)
慰め顔にいふ詞も、お糸にとりては何となくうるさく情なければ、とかく
詞
(
ことば
)
寡
(
すく
)
なに、よそよそしくのみもてなすを、廻り気強き庄太郎は、おひおひに気を廻し
心の鬼
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
山三郎は心が
急
(
せ
)
いて居りますから、言葉
寡
(
すく
)
なに
暇
(
いとま
)
を告げて
立出
(
たちい
)
でますと、其の頃の御奉行様が玄関まで出て町人を送ると云うことはないが、何か気になると見えまして
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
引斷
(
ひきちぎ
)
りては
舌鼓
(
したうち
)
して
咀嚼
(
そしやく
)
し、
疊
(
たゝみ
)
とも
言
(
い
)
はず、
敷居
(
しきゐ
)
ともいはず、
吐出
(
はきいだ
)
しては
舐
(
ねぶ
)
る
態
(
さま
)
は、ちらと
見
(
み
)
るだに
嘔吐
(
おうど
)
を
催
(
もよほ
)
し、
心弱
(
こゝろよわ
)
き
婦女子
(
ふぢよし
)
は
後三日
(
のちみつか
)
の
食
(
しよく
)
を
廢
(
はい
)
して、
病
(
やまひ
)
を
得
(
え
)
ざるは
寡
(
すく
)
なし。
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
知っている者は動物学にたずさわる人々また植物学にたずさわる人々の中でも割合に
寡
(
すく
)
ないではないかと想われる。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
其上
(
そのうへ
)
御米
(
およね
)
は
若
(
わか
)
い
女
(
をんな
)
に
有勝
(
ありがち
)
の
嬌羞
(
けうしう
)
といふものを、
初對面
(
しよたいめん
)
の
宗助
(
そうすけ
)
に
向
(
むか
)
つて、あまり
多
(
おほ
)
く
表
(
あら
)
はさなかつた。たゞ
普通
(
ふつう
)
の
人間
(
にんげん
)
を
靜
(
しづか
)
にして
言葉
(
ことば
)
寡
(
すく
)
なに
切
(
き
)
り
詰
(
つ
)
めた
丈
(
だけ
)
に
見
(
み
)
えた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
渠らの仲間は便宜上
旅籠
(
はたご
)
を取らずして、小屋を家とせるもの
寡
(
すく
)
なからず。白糸も
然
(
さ
)
なり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そら、さう云ふ国柄だから、どうしたつて材料の
寡
(
すく
)
ない大きな
眼
(
め
)
に対する審美眼が発達しやうがない。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
渠はもとよりこの女をもって良家の女子とは思い
懸
(
か
)
けざりき、
寡
(
すく
)
なくとも、海に山に五百年の怪物たるを看破したりけれども、見世物小屋に起き臥しせる乞食芸人の徒ならんとは
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
口数の
寡
(
すく
)
ない細君は、自分の生家に関する詳しい話を今まで夫の耳に入れずに通して来たのである。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その上御米は若い女にありがちの
嬌羞
(
きょうしゅう
)
というものを、初対面の宗助に向って、あまり多く表わさなかった。ただ普通の人間を静にして言葉
寡
(
すく
)
なに切りつめただけに見えた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
兄さんはお貞さんを
宅中
(
うちじゅう
)
で一番慾の
寡
(
すく
)
ない善良な人間だと云うのです。ああ云うのが幸福に生れて来た人間だと云って
羨
(
うらや
)
ましがるのです。自分もああなりたいと云うのです。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
此盲動的動作亦必ず人意にあらじ、人を殺すものは死すとは天下の
定法
(
ぢやうはふ
)
なり、されども自ら死を決して人を殺すものは
寡
(
すく
)
なし、呼息
逼
(
せま
)
り
白刃
(
はくじん
)
閃
(
ひらめ
)
く此
刹那
(
せつな
)
、既に身あるを知らず
人生
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
“寡”の意味
《名詞》
(カ)少数派。少人数。
(やもめ)夫を失った女。
(出典:Wiktionary)
寡
常用漢字
中学
部首:⼧
14画
“寡”を含む語句
寡言
寡婦
寡聞
鰥寡
寡人
言葉寡
多寡
寡黙
衆寡
寡勢
寡少
寡欲
寡兵
寡慾
寡居
鰥寡孤独
寡婦暮
口寡
寡作
寡口
...