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家扶
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かふ
ふりがな文庫
“
家扶
(
かふ
)” の例文
そう思っていたが、又左衛門は朝早く
家扶
(
かふ
)
を呼んで、病気の届けを出すようにと命じた。それを聞いて、折之助はもうだめだと思った。
雪と泥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
が、一寸間を置いて、あわただしく車内へ馳せ込んだ男は、先の紳士と同年輩らしい少し古びた洋服着の、一見して一行の
家扶
(
かふ
)
であることが分った。
動かぬ女
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
もしこの
家扶
(
かふ
)
が
下座敷
(
したざしき
)
にゐたまゝであつたならば
無論
(
むろん
)
壓死
(
あつし
)
したであらうが、
主人
(
しゆじん
)
思
(
おも
)
ひの
徳行
(
とくこう
)
のために
主人夫妻
(
しゆじんふうふ
)
と
共
(
とも
)
に
無難
(
ぶなん
)
に
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
されたのであつた。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
総立になって客間へ転げこんだのは、日頃沈着そのもののような顔をして居る、
家扶
(
かふ
)
の
本藤
(
もとふじ
)
です。息せき切って
判官三郎の正体
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
家扶
(
かふ
)
をしておいでになりましたでしょう? 殿下の御改革で、宮家をお離れになって、ここにおいでになる御婦人の旦那様のペーデル・ステーンセン伯爵の手で
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
▼ もっと見る
それは、新門跡夫人の父君、九条
道孝
(
みちたか
)
公が、
家扶
(
かふ
)
をつれて急いで東京から来着し、
主
(
おも
)
な役僧一同へ
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
家扶
(
かふ
)
の娘の十二三になるのを
頭
(
かしら
)
にして、娘が二三人いたが、僕を見ると遠い処から指ざしなんぞをして、
咡
(
ささや
)
きあって笑ったり何かする。これも嫌な女どもだと思った。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
甚之助
(
じんのすけ
)
とて
香山家
(
かやまけ
)
の
次男
(
じなん
)
、すゑなりに
咲
(
さ
)
く
花
(
はな
)
いとヾ
大輪
(
おほりん
)
にて、
九
(
こヽの
)
つなれども
權勢
(
いきほひ
)
一
家
(
か
)
を
凌
(
しの
)
ぎ、
腕白
(
わんぱく
)
さ
限
(
かぎ
)
りなく、
分別顏
(
ふんべつがほ
)
の
家扶
(
かふ
)
にさへ
手
(
て
)
に
合
(
あ
)
はず、
佛國
(
ふつこく
)
に
留學
(
りうがく
)
の
兄上
(
あにうへ
)
御歸朝
(
ごきてう
)
までは
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
恰度
(
ちょうど
)
そのころ、彼には
鳥渡
(
ちょっと
)
気懸
(
きがか
)
りな事件が生じた。それは
家扶
(
かふ
)
の
孫火庭
(
そんかてい
)
が、一週間ばかりというものは、行方不明になったことだった。彼に行かれては、漢青年は
浮木
(
ふぼく
)
にひとしかった。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
すると此時
忽
(
たちま
)
ち
室
(
へや
)
の
扉
(
と
)
がスーと明いて、入って来たのは此家の老
家扶
(
かふ
)
で、恭しく伯爵の前に頭を下げ、「殿様に申上げます
唯今
(
ただいま
)
之れなる品物が、
倫敦
(
ロンドン
)
の
玉村
(
たまむら
)
侯爵家より到着致して御座います」
黄金の腕環:流星奇談
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
夜がふけると、一層身に染みて、
惚込
(
ほれこ
)
んだ本は抱いて寝るといふ騒ぎ、頑固な
家扶
(
かふ
)
、
嫉妬
(
じんすけ
)
な旦那に中をせかれていらつしやる貴夫人令嬢方は、すべて此の秘伝であひゞきをなすつたらよからうと思ふ。
いろ扱ひ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこへ、
家扶
(
かふ
)
の大井が、背の高いひとを案内してきた。祖父は
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
六兵衛とは
家扶
(
かふ
)
和田六兵衛のことで、支度というのを見ると釣竿らしい長い包のほかに、小さな
葛籠
(
つづら
)
ほどもある風呂敷包が二つもあった。
半之助祝言
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
當時
(
とうじ
)
二人
(
ふたり
)
とも
木造家屋
(
もくぞうかおく
)
の
二階
(
にかい
)
にをられたので、
下敷
(
したじき
)
になりながら
小屋組
(
こやぐみ
)
の
空所
(
くうしよ
)
に
挾
(
はさ
)
まり、
無難
(
ぶなん
)
に
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
されたが、
階下
(
かいか
)
にゐた
家扶
(
かふ
)
は
主人夫婦
(
しゆじんふうふ
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
を
案
(
あん
)
じながら
辛
(
から
)
うじて
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
死後、
鎮魂曲
(
レクイエム
)
はフランベルク伯爵が自分の名で夫人の死を
悼
(
いた
)
む鎮魂曲を発表するため、
家扶
(
かふ
)
を
遣
(
つかわ
)
してモーツァルトに代作を依頼したのだと解ったが、それはしかし後の祭であった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
漢青年は遂に決心をして、
家扶
(
かふ
)
の孫火庭を呼んで、
痔疾
(
じしつ
)
の治療をしたいと云った。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
自然にこの別寮の
家扶
(
かふ
)
のやうな役廻りになつてゐた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
家扶
(
かふ
)
はともかく供をする小者二人は必要なことなど、かなりな金額のすべてを四人の友達にまかなってもらうほかに、しようがなかったのだ。
あだこ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それでも
家扶
(
かふ
)
の長谷部は、特別丁寧なお辞儀を一つして引っこみます。
死の予告
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その頃、彼は故郷の杭州を亡命して、
孫火庭
(
そんかてい
)
という
家扶
(
かふ
)
と共に、大日本の東京に、日を送っていた。日本へ渡ったときは、まだ小さい少年だったので、日本語を覚えるのに余り苦労をしなかった。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
給仕は
家扶
(
かふ
)
と若い家士たちで、鎌二郎はかれらを見るたびに、この家にも早く嫁を迎えなければならない、と繰返し云った。
滝口
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
下座のほうに、
家扶
(
かふ
)
の
鷺坂靱負
(
さぎさかゆきえ
)
がいて、甲斐に挨拶をし、甲斐のために席をはらった。甲斐はそこで診察の終るのを待った。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
祖父はこのほかにも
家扶
(
かふ
)
の渡辺老人や、七人の家士や、下男女中たちにも彼をひきあわせた。悠二郎はかれらがみんなくみし易いことをみぬいた。
桑の木物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
……泰三の部屋は玄関に近く、
家扶
(
かふ
)
の相模忠之進と隣り合っている、近づいてゆくと、そこでは誰かわからないがいま盛大に組討ちをやっていた。
思い違い物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そこまで読んだとき、
家扶
(
かふ
)
の沢井又二郎がはいって来た。広蓋の上に青竹の籠をのせたのを持っていて、いま使いの者がこれを届けて来たと告げた。
滝口
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
城からさがった孝之助が、父の病間へ挨拶にいって、着替えをしに居間へはいると、
家扶
(
かふ
)
の伊部文吾が来て、北畠から使いがあったと低い声で云った。
竹柏記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
代二郎は居間へ戻った、
家扶
(
かふ
)
の小泉
専之丞
(
せんのじょう
)
や、三人の若い家士たちが、脇の間で不安そうに坐っているのが見えた。
初夜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
伽
(
とぎ
)
をしていたのは格之助兄弟と
家扶
(
かふ
)
の
六郎兵衛
(
ろくろべえ
)
、
用人
(
ようにん
)
左内
(
さない
)
、それに若侍たち四五人だった、女たちは次の間にいた。
日本婦道記:松の花
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「吉川だ」と彼はさえぎった、「彼は
家扶
(
かふ
)
、おまえは功刀の主婦だ、主従のけじめをはっきりさせないと、一家のきりもりはできないと云ってある筈だ」
醜聞
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
にも
拘
(
かか
)
わらず
吝嗇漢
(
りんしょくかん
)
というか、次弟を町奉行所の書記に出し、三弟は
家扶
(
かふ
)
の代役に使い、四番めの昌平などは
七日七夜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
手作りの
牡丹
(
ぼたん
)
を持参され、おまえが城中へ詰めていると聞かれたので、
家扶
(
かふ
)
の
吉塚
(
よしづか
)
に壺を出させ、おまえの居間へ活けて帰られた、そのとき見知らぬ娘がいるので
その木戸を通って
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
家扶
(
かふ
)
はあっと低く叫んだ、図書は拳で膝を打った。衝上げてくる忿怒を抑えることができないらしい。
三十二刻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
庄司千蔵である、「たのむ、たのむ」遠慮も会釈もない叫び声だ、奥から
家扶
(
かふ
)
が走って来て、「お静かにお静かに」と制止した、「なに御用で、
何誰
(
どなた
)
さまでございます」
評釈勘忍記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
住居へ帰り、着替えをするとき、
家扶
(
かふ
)
の吉川甚左衛門が、妻のふじが寝ていることを告げた。いまは
悪阻
(
つわり
)
がいちばんつよい時期らしいから、劬ってあげるようにとも云った。
醜聞
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼は二十九歳になるがまだ妻を
娶
(
めと
)
らない。両親は亡く、古くからいる
家扶
(
かふ
)
、
下僕
(
げぼく
)
らとくらしながら、いつとなく
側女
(
そばめ
)
のような者を引入れ、子供まであるという噂も伝わっていた。
改訂御定法
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
少しばかり腰が曲っている、着物も粗末だし袴は
皺
(
しわ
)
くちゃであった。ひと眼で
家扶
(
かふ
)
だということがわかる人態で、正しくそのとおりだった。そこで菅田平野は本気に腹を立てた。
日日平安
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかし、そこへ
家扶
(
かふ
)
の権之丞が来た。詳しいことはわからないが、父が病気になったし、江戸の滞在が延びすぎたから、ひきあげて甘利へ帰るように、といいに来たものらしい。
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
襖をあけたのは、
家扶
(
かふ
)
の堀内
惣左衛門
(
そうざえもん
)
であった。甲斐は筆をとめて振返った。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
計之介が帰って一刻ばかりすると、
家扶
(
かふ
)
の松野
伊太夫
(
いだゆう
)
が、二人の下僕をつれて来た。松野は父の代からの家扶であるが、半年まえに自分から暇を取り、親類の家に寄食していたものであった。
葦は見ていた
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
半三郎は出仕もせず、酒を飲んだり遊び歩いたりするばかりで、家計は窮迫し、
家扶
(
かふ
)
も
家士
(
かし
)
も、下男小者も出ていってしまった。借財は
嵩
(
かさ
)
むだけ嵩み、いまでは友人たちも
匙
(
さじ
)
を投げてしまった。
あだこ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
弘田家には
家扶
(
かふ
)
の渡辺五郎兵衛と、ほかに家士が七人と、下僕と下婢とで五人、馬を三頭飼っていた。若尾は侍長屋のほうへは近よるなと云われ、内庭の仕切からそっちへは決してゆかなかった。
みずぐるま
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
家扶
(
かふ
)
がなにを云いたがっているか、正四郎にはもう察しがついていた。
その木戸を通って
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と
家扶
(
かふ
)
が知らせにきた。
入婿十万両
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“家扶”の意味
《名詞》
かつて皇族や華族の家の職員で、家務や会計を司り、家令に次ぐ。
(出典:Wiktionary)
家
常用漢字
小2
部首:⼧
10画
扶
常用漢字
中学
部首:⼿
7画
“家”で始まる語句
家
家内
家中
家来
家鴨
家主
家人
家族
家並
家庭