大喝だいかつ)” の例文
「おのれ、長二ツ」と篠田は我と我が心を大喝だいかつ叱咜しつたして、かくとばかりまなこを開けり、重畳ちようでふたる灰色の雲破れて、武甲ぶかふの高根、雪に輝く
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
すぐ御葉山みはやまの下の鐘楼の鐘が、耳もとで鳴るように、いんいんと初更をつげわたると、範宴は、はっとわれにかえって、思わず大喝だいかつ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ずばりと大喝だいかつ一声! いいつつぱらりと雪ずきんをかなぐりすてると、うって変わって、すうと溜飲りゅういんのさがる伝法な啖呵でした。
いきおい込んでいた彼にとって、この大喝だいかつは、まッ向からどさッとぶち当った。問いかえす間もなく、阿賀妻は満面に朱をそそいで云った。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
と蠅男の大喝だいかつと共に長い黒マントの肩先がブルブルと痙攣けいれんするより早く、ダダダッと耳をつん裂くような激しい銃声!
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
こはき獲物よと、急ぎ走りよって足に押へ、すでに喰はんとなせしほどに。忽ちうしろに声ありて、「憎き野良犬、其処そこ動きそ」ト、大喝だいかつせいえかかるに。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
相手は大喝だいかつしたらしい、声は聞えなかったが、口と両眼をいっぱいにあけ、充血した顔に歯をき出し、そうして刀を打ちおろしながら踏み込んで来る。
日日平安 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「裸になれ!」と大喝だいかつした。そう云われて、相手はおずおずとボタンはずしだした。が、教官はいよいよたけって来た。
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)
丁度墨染すみぞめの麻の衣の禅匠が役者のようなの衣の坊さんを大喝だいかつして三十棒をくらわすようなものである。
平次がいきなり大喝だいかつすると、權八は雷鳴かみなりに打たれたやうに、がばと身を起して居ずまひを直しました。
最後の五百メエトルに日本選手は渾身こんしんの勇をふるって、ピッチを四十に上げ、見る見る中に伊太利へ追い着くと見え伊太利の舵手だしゅガゼッチも大喝だいかつ一声、漕手をはげまし
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
と、三つボタンは大喝だいかつして拳をふりあげた。もういよいよ我慢がならんといった彼の顔つきだった。
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「本当に、そのお心掛けが大事ですわね」と真面目まじめに感心したような口調で申しますので、立つ瀬が無く、「無礼者!」と大喝だいかつして女を力まかせに殴り、諸行無常を観じ
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
南部なんぶの山中からけ出した十六歳の少年が仙台で将軍の応接間おうせつまの椅子に先ず腰かけて「馬鹿ッ!」と大喝だいかつされてから、二十八歳の休職士官が失意失恋故山に悶死もんしするまで
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
思切おもいきり大声を張上はりあげて「誰だ!」と大喝だいかつ一声いっせい叫んだ、すると先方さきは、それでさも安心した様に、「先生ですか」というのだ、私はその声を聞いて、「吉田よしだ君かい」というと
怪物屋敷 (新字新仮名) / 柳川春葉(著)
悟空また同じく本相をあらわし、大喝だいかつ一声するよと見るまに、身の高さ一万丈、かしら泰山たいざんに似て眼は日月のごとく、口はあたかも血池にひとし。奮然鉄棒をふるって牛魔王を打つ。
「あなただって官衙にいるんじゃありませんか」とラスコーリニコフは大喝だいかつ一声した。
突然進みて生田の腕を捕え大喝だいかつ一声に「法律の名に於て其方そのほうを捕縛する」と叱り附る
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
弁兆は徳利を落し、さて、臍下丹田せいかたんでんに力を籠めて、まず大喝だいかつ一番これに応じた。
閑山 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
浴槽よくそうに浸りおられたる儀山禅師、その刹那せつな大喝だいかつ一声、ばかッとどなられた。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
と七人の異体の知れぬ豪傑のうちの一人が、与八に向って大喝だいかつしました。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と叔父は大喝だいかつした。叔父は植物学こそ国家の為めだと思っている。
変人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
御行 (興奮して、大喝だいかつする)生意気なまいきを云うなッ!
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
かほげさせず、黒髯くろひげ大喝だいかつして
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
如来衛門は大喝だいかつした。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
清盛は大喝だいかつした。
むしろ、それを誘発し、その心理的な機会を待ってでもいたように、この時、大岡越前守も満身の気をこめて、大喝だいかつを発した。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「黙れ女、控えおろうぞ」武士は大喝だいかつした、「これ返答をしろ、其の方はなに者であるか」
長屋天一坊 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
威嚇しながら、同じくすいすいと歩み近よったかと思われましたが、同時に大喝だいかつ
「虎! ……権!」とつづけざまに大喝だいかつした。そして、いきなり両肌をぬいで
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
大喝だいかつしたその太い声は、いまや引金を引こうとする「折れた紫陽花」の精神を乱すのに充分だった。声にのまれて思わずハッとするところへ、右手が後へねじられて、手首がピーンとしびれた。
流線間諜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
道庵先生が大喝だいかつ一声しました。米友が眼を円くしていると
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と社長は大喝だいかつ一声、食堂へ入ってしまった。
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
紋太夫は大喝だいかつした。
彼は大喝だいかつした。
と、足蹴にかけないばかり大喝だいかつで追い払われた。その後、愚堂の心にかなう所を認められたか、許されて室に参じたが、或る折、前の一詩を示して
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
久良馬は大喝だいかつした、少ししゃがれた、よく徹る声で、玄関の天床がびんと反響した。
初夜 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
いのししのように鼻をふくらまして、小次郎がおどりこむと、先ず大喝だいかつをあびせた。
流行暗殺節 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
首領は大喝だいかつした。からだがいかりでブルブルふるえた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
お国なまりの大喝だいかつ
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それでも、癒らぬ者は、張角自身が行って、大喝だいかつじゅとなえ、病魔を家から追うと称して、符水ふすいの法を施した。それで起きない病人はほとんどなかった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と答えた、時宗は大喝だいかつし、元軍討滅の決意をかためたという
ひらり舞台におどり上がると、大喝だいかつ一声!
右門捕物帖:23 幽霊水 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
モレロの大喝だいかつだった。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
大喝だいかつしました。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ここまで、黙って聞いた林冲りんちゅうは、ついにその双眉そうびをきっと青白い炎にして、末席の椅子から大喝だいかつを発した。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一声鋭く大喝だいかついたしました。
意外な大喝だいかつを投げて、そこから吹き出した松葉のけむといッしょに、二本の十手がおどッて出たので
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「だまれっ」と、辺りの耳を奪うような大喝だいかつで叱った。面に、朱をそそいで立腹したのである。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ドンとつぎの千畳敷せんじょうじきへ投げつけられた。起きあがると、またふたたび、毛受勝介めんじゅかつすけ大喝だいかつせい
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)