トップ
>
城址
>
しろあと
ふりがな文庫
“
城址
(
しろあと
)” の例文
城址
(
しろあと
)
の森が黒く見える。沼がところどころ闇の夜の星に光った。
蘆
(
あし
)
や
蒲
(
がま
)
がガサガサと夜風に動く。町の
灯
(
あかり
)
がそこにもここにも見える。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
この島のものは実に
見厭
(
みあ
)
きません。もとより古い
城址
(
しろあと
)
や寺院や
廟
(
びょう
)
や神社や、それらの建物には、忘れ得ぬ数々のものがあります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
で、
足
(
あし
)
を
運
(
はこ
)
ぶ
内
(
うち
)
に
至
(
いた
)
り
着
(
つ
)
いたので、
宛然
(
さながら
)
、
城址
(
しろあと
)
の
場所
(
ばしよ
)
から、
森
(
もり
)
を
土塀
(
どべい
)
に、
一重
(
ひとへ
)
隔
(
へだ
)
てた
背中合
(
せなかあ
)
はせの
隣家
(
となり
)
ぐらゐにしか
感
(
かん
)
じない。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ずっと以前に岸本が
信濃
(
しなの
)
の山の上に
田舎教師
(
いなかきょうし
)
をしながら
籠
(
こも
)
り暮した頃、
城址
(
しろあと
)
の方にある学校へ行こうとして浅い
谷間
(
たにあい
)
を通過ぎたことがある。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
上り下りに馬鹿骨が折れる丈けに樋の山はいながらにして
城址
(
しろあと
)
でも
日和山
(
ひよりやま
)
でも一目に見えるから一々足を運ぶ手間が
省
(
はぶ
)
ける。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
▼ もっと見る
しまいには
畠山
(
はたけやま
)
の
城址
(
しろあと
)
からあけびと云うものを取って来て
瓶
(
へい
)
に
挿
(
はさ
)
んだ。それは色の
褪
(
さ
)
めた
茄子
(
なす
)
の色をしていた。そうしてその一つを鳥が
啄
(
つつ
)
いて
空洞
(
うつろ
)
にしていた。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
森蘭丸の父森三左衛門が悲壮な討死をとげた宇佐山の
城址
(
しろあと
)
もこの近くであったし、浅井朝倉などの大軍と織田勢が取り合って
死屍
(
しかばね
)
を積んだ比叡の辻の戦場も遠くない。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
去年頃まで
京成
(
けいせい
)
電車の往復していた線路の跡で、崩れかかった石段の上には取払われた玉の井停車場の跡が雑草に
蔽
(
おお
)
われて、
此方
(
こなた
)
から見ると
城址
(
しろあと
)
のような趣をなしている。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
城址
(
しろあと
)
にのぼり来りて
蹲
(
しやが
)
むとき石垣にてる月のかげの
明
(
あか
)
るさ
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
此方天守の崩れた
城址
(
しろあと
)
にも
日まはり
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
かの
城址
(
しろあと
)
に寝に行きしかな
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
雨滴
(
あまだ
)
れの音はまだしている。時々ザッと降って行く
気勢
(
けはい
)
も聞き取られる。
城址
(
しろあと
)
の沼のあたりで、むぐりの鳴く声が寂しく聞こえた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
前面
(
ぜんめん
)
の
大手
(
おほて
)
の
彼方
(
かなた
)
に、
城址
(
しろあと
)
の
天守
(
てんしゆ
)
が、
雲
(
くも
)
の
晴
(
は
)
れた
蒼空
(
あをぞら
)
に
群山
(
ぐんざん
)
を
抽
(
ぬ
)
いて、すつくと
立
(
た
)
つ……
飛騨山
(
ひださん
)
の
鞘
(
さや
)
を
払
(
はら
)
つた
鎗
(
やり
)
ヶ
嶽
(
だけ
)
の
絶頂
(
ぜつちやう
)
と、
十里
(
じふり
)
の
遠近
(
をちこち
)
に
相対
(
あひたい
)
して
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私は今、小諸の
城址
(
しろあと
)
に近いところの学校で、君の同年位な学生を教えている。君はこういう山の上への春がいかに待たれて、そしていかに短いものであると思う。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「せめて、故主の
城址
(
しろあと
)
に、その
屍
(
かばね
)
でも葬ってやろう」
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かの
城址
(
しろあと
)
にさまよへるかな
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
大名小路の大きな
邸
(
やしき
)
が長い年月に段々つぶれて
畑
(
はたけ
)
になつて行くのをも見た。御殿のあつた
城址
(
しろあと
)
には
徒
(
いたづら
)
に草が
長
(
ちやう
)
じた。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
老爺
(
ぢい
)
が
其
(
そ
)
の
手
(
て
)
を
曳
(
ひ
)
いて
起
(
お
)
こして、さて、かはる/″\
負
(
お
)
ひもし、
抱
(
だ
)
きもして、
嶮岨
(
けんそ
)
難処
(
なんしよ
)
を
引返
(
ひきかへ
)
す。と
二時
(
ふたとき
)
が
程
(
ほど
)
に
着
(
つ
)
いた
双六谷
(
すごろくだに
)
を、
城址
(
しろあと
)
までに、
一夜
(
ひとよ
)
、
山中
(
さんちゆう
)
に
野宿
(
のじゆく
)
した。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
君に
黒斑山
(
くろふやま
)
のことは未だ話さなかったかと思うが、矢張浅間の山つづきだ、ホラ、小諸の
城址
(
しろあと
)
にある天主台——あの石垣の上の松の間から、黒斑のように見える山林の多い高い傾斜
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
城址
(
しろあと
)
の
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
家は
行田町
(
ぎょうだまち
)
の大通りから、昔の
城址
(
しろあと
)
のほうに行く横町にあった。
角
(
かど
)
に柳の湯という湯屋があって、それと対して、きれいな女中のいる料理屋の入り口が見える。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
早朝
(
あさまだき
)
町はずれへ来て、お兼は神通川に架した神通橋の
袂
(
たもと
)
で
立停
(
たちどま
)
ったのである。雲のごときは
前途
(
ゆくて
)
の山、
煙
(
けぶり
)
のようなは、
市中
(
まちなか
)
の最高処にあって、ここにも見らるる
城址
(
しろあと
)
の森である。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
台所の戸を開けても庭へ出掛けて行っても花の香気に満ち
溢
(
あふ
)
れていないところは無い。懐古園の
城址
(
しろあと
)
へでも生徒を連れて行って見ると、短いながらに深い春が私達の心を酔うようにさせる……
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“城址”の意味
《名詞》
城 址(じょうし)
城があった土地のこと。城跡とも。
(出典:Wiktionary)
“城址(
城跡
)”の解説
城跡(しろあと、じょうせき)とは、その土地に城があった跡のこと。城址、城趾(しろあと、じょうし)とも呼ばれる。
(出典:Wikipedia)
城
常用漢字
小4
部首:⼟
9画
址
漢検1級
部首:⼟
7画
“城”で始まる語句
城
城砦
城下
城廓
城普請
城塞
城戸
城山
城跡
城壁