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垣間
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かいま
ふりがな文庫
“
垣間
(
かいま
)” の例文
寅彦の西欧的な深い学識と、高い識見とを
垣間
(
かいま
)
見るには、初期の作品では、『丸善と三越』『蓄音機』『案内者』などが適当であろう。
寅彦の作品
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
だが元三は息を殺し再び首を突き出しておずおず入口の隙間から外を
垣間
(
かいま
)
見た。雨が降っているのに婦は上体に何も着けていなかった。
土城廊
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
女は
頸
(
うなじ
)
に懸けたる
金
(
きん
)
の
鎖
(
くさり
)
を解いて男に与えて「ただ
束
(
つか
)
の
間
(
ま
)
を
垣間
(
かいま
)
見んとの願なり。
女人
(
にょにん
)
の頼み引き受けぬ君はつれなし」と云う。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
肉情さえ許したもののあることは東洋の
躾
(
しつけ
)
と道徳の間から僅にそれ等を
垣間
(
かいま
)
見させられていたものに取っては驚きの外無かった。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
垣間
(
かいま
)
見ることができ、
瞥見
(
べっけん
)
することができるならば、彼女らはすべてを捨てて顧みず、すべてを冒し、すべてを試みたであろう。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
▼ もっと見る
縁側の障子にはまってる硝子越しに
垣間
(
かいま
)
見る空は、いつも陰鬱に夢のように彼には感ぜられた。寒暖、風の有無、それらは更に分らなかった。
二つの途
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
あさひは
暗澹
(
あんたん
)
たる前途を見透し、地獄へ
墜
(
お
)
ちる瞬間の光景を
垣間
(
かいま
)
見たひとのような悲愴な顔で、生きにくい東京という土地を離れる決心をした。
虹の橋
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そしてその男の姿をちらりと
垣間
(
かいま
)
見た瞬間に、彼はおもわずハッと思い、軽い胸のときめきをさえ感じてそこに立ちつくしてしまったのであった。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
八坂の覚然は、祇園女御を、ふと
垣間
(
かいま
)
みて、欲情に駆られた。だが、上皇の思い者なので、たやすく近づけないでいた。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼が彼女を
垣間
(
かいま
)
見たのは後にも先にもたった一度だったけれど、でもそれからは琴のしらべと唄のこえとに一としお耳をそばだてるようになって
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
源三郎さまと、自分と……この男は、さっきから障子のそとで、じぶんがこの人形をくっつけておくところなど、そっと
垣間
(
かいま
)
見ていたに相違ない。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
朝景色に見惚れている女の姿を
垣間
(
かいま
)
見たりなどすることがあると、垣根のもとに忍び寄って、隙見する習いであった。
紫大納言
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そんなときでもなければ
垣間
(
かいま
)
見ることを許されなかった、聖なる時刻の有様であった。そう思ってみて堯は
微笑
(
ほほえ
)
んだ。
冬の日
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
庭の一隅にあったテニスコオトで愉快そうに
球
(
たま
)
を打ち合っていらっしゃるのが、往来からもダリヤやフランス菊なぞの咲き乱れた間に
垣間
(
かいま
)
見えました。
朴の咲く頃
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
嘗つての夜の思出に
刺戟
(
しげき
)
されたのであったか、ふと芙蓉の素顔が
垣間
(
かいま
)
見たくなったので、闇と群集にまぎれて、ソッと楽屋口の方へ廻って見たのである。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
時々チラと
垣間
(
かいま
)
見る彼の絵には、大岩に寄りすがった俺の全身を中心として、霧に煙る雪田が、上半に大きく描き出されてあり、そこに俺の姿勢の必然さも
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
彼は非常に骨折って、はっきりと個々の事柄を少しずつ聞き出した。そして、ブラウンのごく軽率な好人物的性質のおかげで、その生活の
秘奥
(
ひおう
)
を
垣間
(
かいま
)
見ることができた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
垣間
(
かいま
)
見ただけでも身の内が、ぼッと熱くなる程な容色を持っているというのに、こういう野暮天な人斬り亡者共にかかっては、折角稀れな美貌も一向役に立たぬとみえて
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
それと同時に親子の関係がどんな釘に引っかかっているかを
垣間
(
かいま
)
見たようにも思った。親子といえども互いの本質にくると赤の他人にすぎないのだなという淋しさも襲ってきた。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それより
無言
(
むごん
)
にて
半町
(
はんちやう
)
ばかり、たら/\と
坂
(
さか
)
を
上
(
のぼ
)
る。こゝに
晝
(
ひる
)
も
暗
(
くら
)
き
樹立
(
こだち
)
の
中
(
なか
)
に、ソと
人
(
ひと
)
の
氣勢
(
けはひ
)
するを
垣間
(
かいま
)
見
(
み
)
れば、
石
(
いし
)
の
鳥居
(
とりゐ
)
に
階子
(
はしご
)
かけて、
輪飾
(
わかざり
)
掛
(
か
)
くる
少
(
わか
)
き
一人
(
ひとり
)
、
落葉
(
おちば
)
掻
(
か
)
く
翁
(
おきな
)
二人
(
ふたり
)
あり。
城の石垣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
独
(
ひと
)
りでひそかに物想いにふけっている悲しい少女の姿を、ひょいと
垣間
(
かいま
)
見たりすると、それは悲しいものだが、相手からそれを見せびらかされるのは、たとえその相手が十四五の娘にしろ
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
板倉屋のお絹は、その頃御藏前中の人氣者で、下谷淺草中の若い男は、お絹を
垣間
(
かいま
)
見るのを、何よりの樂しみにし、板倉屋の前を通る若い男達は、一度は
屹度
(
きつと
)
躓
(
つまづ
)
いたとさへ言はれてをりました。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その頃はまだ今のやうに店をひろげてゐなかつた「たむら」の前をうろうろして、彼女の姿をひとめでも
垣間
(
かいま
)
見ようとしたこともある、あたいなんぞ、あとからついて行つた、あたいの顔を見て
一の酉
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
心ゆくまで
垣間
(
かいま
)
見た訳ですが、その時のAの驚きはドンなでしたろう。
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
(アクテオンは、希臘の男神の名なり、女神ヂアナを
垣間
(
かいま
)
見て、罰のために鹿に變ぜられ、
畜
(
やしな
)
ふ所の群犬に
噬
(
か
)
まる。)二個の「スフインクス」(女首獅身の石像)を脚としたる大理石の
巨卓
(
おほづくゑ
)
あり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
垣間
(
かいま
)
見
(
み
)
とれしを誰と知るや。
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
垣間
(
かいま
)
見る
好色者
(
すきもの
)
に草
芳
(
かぐわ
)
しき
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
「おれは、ちらと、
垣間
(
かいま
)
見たぞ」というのがあれば、「じゃあ、おれも何とか、いちどは覗いてみなくては」
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
内心にさしてきた
嫌悪
(
けんお
)
すべき光に彼は
戦慄
(
せんりつ
)
を覚えた。
慄然
(
りつぜん
)
たる一つの観念が彼の精神を
過
(
よ
)
ぎった。自分にあてられてる一つのおぞましい宿命を、未来のうちに
垣間
(
かいま
)
見た。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
疾病
(
しっぺい
)
、埋葬、
苦々
(
にがにが
)
しい論争、困窮、世に認められない天才、——そしてことに、その音楽、その信仰、解放と光明、
垣間
(
かいま
)
見られ予感され欲求され
把握
(
はあく
)
された喜悦、——神
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
垣間
(
かいま
)
見
(
み
)
ていたのと違って、私にとっては、生れてはじめての、この世にたった一人の方なのですもの、それは当り前でございましょうけれど、日が経つにつれて、段々
立
(
たち
)
まさって見え
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
やあ、緑青色の
夥間
(
なかま
)
に
恥
(
は
)
じよ、
染殿
(
そめどの
)
の
御后
(
おんきさい
)
を
垣間
(
かいま
)
見た、
天狗
(
てんぐ
)
が通力を失って、羽の折れた
鵄
(
とび
)
となって都大路にふたふたと
羽搏
(
はう
)
ったごとく……
慌
(
あわただ
)
しい
遁
(
に
)
げ方して、通用門から、どたりと廻る。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
地獄へ
堕
(
お
)
ちる瞬間の光景を
垣間
(
かいま
)
見た、聖者のような悲愴な顔で、さっき町へ行ったとか、千葉まで買物にとか、ささやくような声でつぶやいていたが、いまになって思いあわせると、千々子さまは
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「いったい、どんな
態
(
てい
)
たらくで参るか、どんな男か、公式に対面する前に、ちょっと
垣間
(
かいま
)
みたい」
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
土蔵の窓の双生児を
垣間
(
かいま
)
見て、その一方の女性(つまり日記にあった秀ちゃん)の美貌にうたれたことは前章に記した通りだが、異様なる環境がこの片輪娘の美しさを
際立
(
きわだ
)
たせたとしても
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
紅筆を含める
状
(
さま
)
を、
垣間
(
かいま
)
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一方島の人々は、千代子女王の姿を
垣間
(
かいま
)
見ることさえ許されませんでした。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
松下
嘉兵衛
(
かへえ
)
から貰った金はあるはずだが、それは、乙若の家を訪ねる前の夜、中村の家の外まで行き、母の無事なすがたを
垣間
(
かいま
)
見
(
み
)
、そっと投げ込んで来たので、身には一銭も持っていなかったし
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
垣
常用漢字
中学
部首:⼟
9画
間
常用漢字
小2
部首:⾨
12画
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