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呵々
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ふりがな文庫
“
呵々
(
からから
)” の例文
父は例の
気性
(
きしょう
)
だから、
呵々
(
からから
)
と笑いながら、「それも
御土産
(
おみやげ
)
の一部分です、どうか一緒に受取っておいて下さい」と云った。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
斯う言つて翁は自髯を夕風にそよがせながら、さも心地よげに
呵々
(
からから
)
と笑はれた。予も噴き出さずには居られなかつた。
大野人
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「色男!」といって
呵々
(
からから
)
と笑ったのは、男の声。呆れて棒立になった多磨太は、余りのことにその手を持ったまま動かず、ほとんど無意識に
窘
(
すく
)
んだ。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
相当の覚悟はして来たものの、よもや、プラスビイユを呼び出そうとは思わなかったが、しかしこれくらいのことでビクともする男じゃない、彼は
呵々
(
からから
)
と笑った。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
『これよりは、必ず、蟇口検定を受けて後ち、出遊することに定められたれば、釣は俄かに下手になり、大手振りて、見せびらかす機会も無くて』と、
呵々
(
からから
)
と大笑す。
釣好隠居の懺悔
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
▼ もっと見る
怪しの者は
首肯
(
うなず
)
いて、
忽
(
たちま
)
ちひらりと飛び出したかと見る
中
(
うち
)
に、
樹根
(
きのね
)
岩角
(
いわかど
)
を
飛越
(
とびこ
)
え、
跳越
(
はねこ
)
えて、小さい姿は霧の奥に隠れて
了
(
しま
)
った。お杉は白い息を
吐
(
は
)
いて
呵々
(
からから
)
と笑った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
呵々
(
からから
)
と気違いじみた笑いを突走らせるのは、黒髪も
衣紋
(
えもん
)
も滅茶滅茶に乱した妖婦お小夜、
金泥
(
きんでい
)
に荒海を描いた
大衝立
(
おおついたて
)
の前に立ちはだかって、
艶
(
あで
)
やかに
邪
(
よこしま
)
な眼を輝かせます。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いふ時鷲郎が後より、黄金丸は歩み来て、
呵々
(
からから
)
と打笑ひ、「
爾
(
なんじ
)
黒衣。
縦令
(
たと
)
ひ酒に酔ひたりともわが
面
(
おもて
)
は見忘れまじ。われは昨日
木賊
(
とくさ
)
ヶ原
(
はら
)
にて、爾に射られんとせし黄金丸なるぞ」
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
文房粧飾というようなそんな問題には極めて無頓着であって、或る時そんな咄が出た時、「百万両も儲かったら眼の玉の飛出るような立派な書斎を作るサ、」と事もなげに
呵々
(
からから
)
と笑った。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
それも蒲団かぶつて半日も居ればけろけろとする病だから子細はなしさと元気よく
呵々
(
からから
)
と笑ふに、
亥之
(
ゐの
)
さんが見えませぬが今晩は
何処
(
どちら
)
へか参りましたか、あの子も替らず勉強で御座んすかと問へば
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
とこの菊専門の市長は
呵々
(
からから
)
と大笑したが
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
中川
呵々
(
からから
)
と笑い
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
続いたのが、例の
高張
(
たかはり
)
を揚げた威勢の
可
(
い
)
い、水菓子屋、
向顱巻
(
むこうはちまち
)
の結び目を、山から飛んで来た、と
押立
(
おった
)
てたのが、仰向けに
反
(
そり
)
を打って、
呵々
(
からから
)
と笑出す。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その席に
列
(
つら
)
なっていた和田弥太郎は、なんと思ったか声を立てて
呵々
(
からから
)
と笑った。
鷲
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いへば黄金丸
呵々
(
からから
)
と打ち笑ひ
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
「そこは大悟徹底している。生延びようとは決して思わんが、欲しいと思うものは頭のハッキリしている
中
(
うち
)
に自分の物として、一日でも長く見て置かないと執念が残る。字引に執念が残ってお化けに出るなんぞは男が
廃
(
すた
)
らアナ!」と力のない声で
呵々
(
からから
)
と笑いながら
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
お貞の
言
(
ことば
)
途絶えたる時、
先刻
(
さっき
)
より
一言
(
ひとこと
)
も、ものいわで
渠
(
かれ
)
が物語を味いつつ、是非の分別にさまよえりしごとき芳之助の、何思いけん
呵々
(
からから
)
と笑い出して
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
市郎も驚いて
顧
(
みかえ
)
ると、怪しの
婆
(
ばばあ
)
は傍若無人に
呵々
(
からから
)
と笑った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
金眸
呵々
(
からから
)
と打笑ひ
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
英臣は身心ともに燃ゆるがごとき中にも、思わず
掉下
(
ふりおろ
)
す得物を留めると、主税は正面へ顔を出して、
呵々
(
からから
)
と笑って
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
拳は宙に立ちたるまま上へも下へも動かばこそ、三吉ぎょっとして、「や、
汝
(
うぬ
)
は。」「
天狗
(
てんぐ
)
だ。」と
呵々
(
からから
)
と笑い、「二才めばたばたすると二つに裂くぞ。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
七左 (
呵々
(
からから
)
と笑う)はッはッはッ。慌てまい。うろたえまい。騒ぐまい。
信濃国東筑摩郡
(
しなののくにひがしちくまこおり
)
松本中が粗相をしても、腹を立てる
私
(
わし
)
ではない。証拠を見せよう。
錦染滝白糸:――其一幕――
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
斉
(
ひと
)
しく左右へ
退
(
の
)
いて、
呆気
(
あっけ
)
に取られた
連
(
つれ
)
の
両人
(
ふたり
)
を顧みて、
呵々
(
からから
)
と笑ってものをもいわず、
真先
(
まっさき
)
に立って
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
画の
画伯方
(
せんせいがた
)
の名を呼んで、
片端
(
かたっぱし
)
から、
奴
(
やつ
)
がと苦り、あれめ、と
蔑
(
さげす
)
み、小僧、と
呵々
(
からから
)
と笑います。
雪霊記事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
世は
戦
(
いくさ
)
でも、
胡蝶
(
ちょう
)
が舞う、
撫子
(
なでしこ
)
も
桔梗
(
ききょう
)
も咲くぞ。——馬鹿めが。(
呵々
(
からから
)
と笑う)ここに獅子がいる。お
祭礼
(
まつり
)
だと思って騒げ。(鑿を当てつつ)槍、刀、弓矢、鉄砲、城の
奴等
(
やつら
)
。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「二よ。」と、庄屋殿が鉄砲二つ、ぬいと前へ突出いて、励ますごとく
呵々
(
からから
)
と弥次郎兵衛
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ははあ、いや、お若い
中
(
うち
)
また余り悟り
澄
(
すま
)
さないのも
宜
(
よろ
)
しかろう。たんと迷わっしゃるも面白い。」とこの人こそ悟り切ったらしいことをいって、
呵々
(
からから
)
と笑って、
行
(
ゆ
)
きがけに大音で
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と顔を
視
(
なが
)
めて元気らしく、
呵々
(
からから
)
と笑うと、
柔
(
やさし
)
い瞳が
睨
(
にら
)
むように動き止まって
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
歯の抜けた笑いに威勢の可い
呵々
(
からから
)
が交って
哄
(
どっ
)
となると、
件
(
くだん
)
の
仕舞屋
(
しもたや
)
の月影の格子戸の処に立っていた、浴衣の上へちょいと
袷羽織
(
あわせばおり
)
を
引掛
(
ひっか
)
けた
艶
(
えん
)
なのも
吻々
(
ほほ
)
と遣る。実はこれなる御隠居の持物で。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
赤蛙
(
あかがえる
)
が化けたわ、化けたわと、
親仁
(
おやじ
)
が
呵々
(
からから
)
と笑ったですが、もう耳も聞えず
真暗三宝
(
まっくらさんぼう
)
。何か
黒山
(
くろやま
)
のような物に
打付
(
ぶッつ
)
かって、
斛斗
(
もんどり
)
を打って
仰様
(
のけざま
)
に転ぶと、滝のような雨の中に、ひひんと馬の
嘶
(
いなな
)
く声。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
といって
猪口
(
ちょく
)
をさして、山の井さんが、
呵々
(
からから
)
と笑ったとお思いなさい。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そら、ポンプだ、というと
呵々
(
からから
)
と高笑いで、水だらけの人間が総崩れになる中を澄まして通って、井戸端へ
引返
(
ひっかえ
)
して、ウイなんて
酔醒
(
よいざめ
)
の胸のすく
噯
(
おくび
)
でね、すぐにまた汲み込むと、提げて行くんです。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お
庇様
(
かげさま
)
を持ちまして、女の子は
撫切
(
なでぎり
)
だと、
呵々
(
からから
)
と笑う
大気焔
(
だいきえん
)
。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と言って、瞬きして、たちまち
呵々
(
からから
)
と笑出した。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とたんに
外面
(
そとも
)
に女の声して
呵々
(
からから
)
と打笑いぬ。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と高田がいえば、得三
呵々
(
からから
)
と打笑いて
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と主税は呆れた顔で
呵々
(
からから
)
と笑って
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
頭
(
かしら
)
はわざとらしく
呵々
(
からから
)
と笑って
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
此の時媼、
呵々
(
からから
)
と
達者
(
たっしゃ
)
に笑ひ
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
呵々
(
からから
)
と笑って大得意。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
呵々
(
からから
)
と一人で笑った。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
呵
漢検1級
部首:⼝
8画
々
3画
“呵々”で始まる語句
呵々大笑