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厳粛
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げんしゅく
ふりがな文庫
“
厳粛
(
げんしゅく
)” の例文
旧字:
嚴肅
我々は今まで議論以外もしくは以上の事として取扱われていた「趣味」というものに対して、もっと
厳粛
(
げんしゅく
)
な態度をもたねばならぬ。
弓町より
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
私はそう自問自答すると、急に赤ん坊に対する肉体的な
親近感
(
しんきんかん
)
をおぼえ、父親らしい
厳粛
(
げんしゅく
)
な態度で話しかけたい気持になってきた。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
戦
(
いくさ
)
があっても貧相でなく、
新鋳
(
しんちゅう
)
の
小判
(
こばん
)
がザラザラ町にあらわれ、はでで、
厳粛
(
げんしゅく
)
で、陽気で、活動する
人気
(
にんき
)
は秀吉の
気質
(
きしつ
)
どおりだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その頸から上が、
厳粛
(
げんしゅく
)
と緊張の極度に安んじて、いつまで経っても変る
恐
(
おそれ
)
を有せざるごとくに人を
魅
(
み
)
した。そうして頭には一本の毛もなかった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
姉の意見は
厳粛
(
げんしゅく
)
な悲劇をわざと喜劇に翻訳する世間人の遊戯であるなどとも言った。こう言う言い合いのつのった末には二人ともきっと怒り出した。
春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
それは西山にとってはどっちから見てもこの上なく
厳粛
(
げんしゅく
)
な壮美な
印象
(
イメージ
)
だった。西山はしばしばそれに
駆
(
か
)
りたてられた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
私にとっては、
厳粛
(
げんしゅく
)
なるお酒を、
嘗
(
な
)
めながら、私は、庭を眺めて、しぶい眼を見はった。庭のまんなかに、一坪くらいの扇型の花壇ができて在るのだ。
めくら草紙
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
急に
厳粛
(
げんしゅく
)
に変わった如来の目が悟空をキッと
見据
(
みす
)
えたまま、たちまち天をも隠すかと思われるほどの大きさに
拡
(
ひろ
)
がって、悟空の上にのしかかってきた。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
それは五階建ての白い鉄筋コンクリートの真四角なビルディングが、同じ距離を
距
(
へだ
)
てて、墓場のように
厳粛
(
げんしゅく
)
に、そして冷たく立ち並んでいる構内であった。
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
かくばかり
不穏
(
ふおん
)
なる精神も、実に如何なる
厳粛
(
げんしゅく
)
、
敬虔
(
けいけん
)
、
幽静
(
ゆうせい
)
、崇高なる道念を発せしめたるか。
吾人
(
ごじん
)
はその父兄に与うる書についてこれを知るを得るなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
彼女はあらためてパパとママンになりそうな人が
欲
(
ほ
)
しいと希望を持ち出した。この
界隈
(
かいわい
)
に
在
(
あ
)
っては
総
(
すべ
)
てのことが喜劇の
厳粛
(
げんしゅく
)
性をもって真面目に受け取られた。
売春婦リゼット
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
語り終った花田警部は、いつになく
厳粛
(
げんしゅく
)
な顔で、そこに突ッ立ったまま、ふたりの様子を見守った。あけみは話の半ばから、ベッドに倒れて泣き入っていた。
月と手袋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
沈黙
(
ちんもく
)
がかなりながいことつづいた。次郎はかって経験したことのない異様な興奮と、
厳粛
(
げんしゅく
)
な気持ちとを同時に味わいながら、じっと先生の横顔を見つめていた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
参謀総長は
厳粛
(
げんしゅく
)
そのもののような顔をして、少佐をじっと見詰めながら重々しく云いました。
計略二重戦:少年密偵
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
かれはこう心に決めた、が職員室へはいるとかれは第一に
厳粛
(
げんしゅく
)
な室内の空気におどろいた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
なお
厭
(
いや
)
な事はこういう
厳粛
(
げんしゅく
)
の
法会
(
ほうえ
)
の時に当ってとにかく金を沢山貰えるものですから、貧乏な壮士坊主の常としてうまい肉を余計喰う奴もありまた小僧を
慕
(
した
)
う壮士坊主もある。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そして
覗
(
のぞ
)
き込んだ彼の眼に映ったものは意外にも職工頭の山田の顔だった。ニベもなくさっき自分を断ったあの職工頭の顔だった。なんともいえぬ
厳粛
(
げんしゅく
)
なものが彼の胸を打った。
秋空晴れて
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
彼らはひどくお
喋舌
(
しゃべ
)
りであって、どうも一向
厳粛
(
げんしゅく
)
でなかった。全く礼節にかかわらなかった。「お
前
(
めえ
)
」だの「
俺
(
おい
)
ら」だの「
汝
(
うぬ
)
」だの「
俺
(
わい
)
」だのと、こういう言葉を平気で使った。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
長い長い人生のうちにも、滅多にこんな
厳粛
(
げんしゅく
)
な気持になる時間はないものです。
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あれやこれやの不快感を、進級式の作法の練習といふ緊張と
厳粛
(
げんしゅく
)
の表情の下にかくすことは、さほど難かしいことではなかつた。少年はそれに成功し、教師も満足して、やがて少年を解放した。
少年
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
その原始的生活に於ては人類と他動物との間にさまでの
径庭
(
けいてい
)
なく、皆雑婚で、目迎え目送って
相可
(
あいか
)
なりとすれば、直ちに相握手して
憚
(
はばか
)
らず、なんらその間に
厳粛
(
げんしゅく
)
なる制限の存在せぬのであったが
婦人問題解決の急務
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
われらの罪の方面からみるときに、
幼児
(
おさなご
)
はじつにかわいそうな存在であり、
能力
(
ちから
)
の方面からみるときによろこばしい存在であり、全然新しい
独自
(
どくじ
)
の人としてみるときにじつに
厳粛
(
げんしゅく
)
な存在であります。
おさなご
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
「二百二十四号は?」三十号が
厳粛
(
げんしゅく
)
にたずねた。
鉄の規律
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
嘉三郎は
厳粛
(
げんしゅく
)
な調子で言って、固く唇を結んだ。
栗の花の咲くころ
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
瑠璃子は、可なり
厳粛
(
げんしゅく
)
な態度でそう
訊
(
き
)
いた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
総理は
厳粛
(
げんしゅく
)
な口調でいった。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
自己および自己の生活を
厳粛
(
げんしゅく
)
なる理性の判断から回避している卑怯者、劣敗者の心を筆にし口にしてわずかに慰めている臆病者
弓町より
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
阿部豊後守を初め、土屋、小笠原、稲葉の諸大老以下、若年寄、大目付たちの歴々が、膝をかためて、
厳粛
(
げんしゅく
)
に詰めあっている。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の話を聞くと共に、ほとんど
厳粛
(
げんしゅく
)
にも近い感情が私の全精神に云いようのない波動を与えたからである。私は
悚然
(
しょうぜん
)
として再びこの沼地の画を
凝視
(
ぎょうし
)
した。
沼地
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この時宗助と並んで
厳粛
(
げんしゅく
)
に控えていた男のうちで、
小倉
(
こくら
)
の
袴
(
はかま
)
を着けた一人が、やはり無言のまま立ち上がって、室の
隅
(
すみ
)
の廊下口の真正面へ来て着座した。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ケンは
厳粛
(
げんしゅく
)
に言いはなつと、今まで
熱狂的
(
ねっきょうてき
)
にあおいでいた眼をふせて、岬のはずれをふたたび見守った。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
こんな風にして、何とも形容し難い、奇妙な
晩餐
(
ばんさん
)
がすんだ。結局木島刑事は、誰の顔からも、疑わしい色を読み取ることが出来なかった。皆青ざめた
厳粛
(
げんしゅく
)
な表情をしていた。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
隊の
指揮
(
しき
)
をしていた青年が、そのまま先方の代表として進み出た。かれはまず大河をはじめこちらの塾生たちに
厳粛
(
げんしゅく
)
な
挙手
(
きょしゅ
)
注目
(
ちゅうもく
)
の礼をおくったあと、精一ぱいの声をはりあげて
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
厳粛
(
げんしゅく
)
と云いたいような声であった。彼女にそぐわない声であった。
銀三十枚
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ゴルドンの一言が
厳粛
(
げんしゅく
)
に
響
(
ひび
)
いた、一同は位置についた。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
あまりの
厳粛
(
げんしゅく
)
さに園はしばらく
茫然
(
ぼうぜん
)
としていた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
署長はそう
厳粛
(
げんしゅく
)
な口調で云った。
三稜鏡:(笠松博士の奇怪な外科手術)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
だが部下の巡査は、その小さな一事件にも、職務の忠実を示し得るように、おそろしく
厳粛
(
げんしゅく
)
がって、鉛筆のシンを
舐
(
な
)
める。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それらは皆電燈の光に、この古めかしい応接室へ、何か妙に薄ら寒い、
厳粛
(
げんしゅく
)
な空気を与えていた。が、その空気はどう云う
訣
(
わけ
)
か、少将には愉快でないらしかった。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
電話が終ると、首領は
俄
(
にわ
)
かに
厳粛
(
げんしゅく
)
な態度にかえって、団員一同を見渡すと、やがて静かに口を開いた。
人造人間殺害事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それは、何という
滑稽
(
こっけい
)
な、
然
(
しか
)
しながら又、何という
厳粛
(
げんしゅく
)
な、一つの光景であったろう。私は余りの怖さに、ワッと叫んで、いきなり走り出したい様な気持になったことである。
毒草
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
……こういう時こそ、一人一人が、もっと
厳粛
(
げんしゅく
)
に……もっと
謙遜
(
けんそん
)
に、自分を反省してみなくちゃあ。……大事なのは、友愛塾が友愛塾という形で勝つか負けるかということじゃない。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
すると森本は比較的
厳粛
(
げんしゅく
)
な顔をして
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
横に、笛を構えて、
歌口
(
うたくち
)
を
潤
(
しめ
)
しているお菊ちゃんの形が、優雅で、
厳粛
(
げんしゅく
)
で、斧四郎も露八も芸妓たちも、
惚
(
ほ
)
れ
惚
(
ぼ
)
れと
眸
(
ひとみ
)
を彼女の顔にあつめていた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「帆村君」司令官は、
厳粛
(
げんしゅく
)
な態度のうちに、感激を見せて、名探偵の名を呼んだ。「いろいろと、御苦労じゃった。なお、これからも、お骨折りを、願いまするぞ」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あの犬は入り日の光の中に反対の方角へ顔を向けたまま、一匹のようにじっとしていた。のみならず妙に
厳粛
(
げんしゅく
)
だった。死と云うものもあの二匹の犬と何か似た所を持っているのかも知れない。……
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
人間と土くれとの情死、それが滑稽に見えるどころか、何とも知れぬ
厳粛
(
げんしゅく
)
なものが、サーッと私の胸を引しめて、声も出ず涙も出ず、ただもう
茫然
(
ぼうぜん
)
と、そこに立ちつくす外はないのでございました。
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と思うと、すでに二
番
(
ばん
)
試合
(
じあい
)
の
合図
(
あいず
)
が、
息
(
いき
)
もつかずとうとうと鳴りわたって、
清新
(
せいしん
)
な
緊張
(
きんちょう
)
と、まえにもまさる
厳粛
(
げんしゅく
)
な空気を、そこにシーンとすみかえらせてきた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彦田博士も、帆村荘六も、しばし
厳粛
(
げんしゅく
)
な顔で沈黙していた。しかし、ついに博士が口を開いた。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼のからだ全体に、何かしら
厳粛
(
げんしゅく
)
なものが感じられた。
黒蜥蜴
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
厳
常用漢字
小6
部首:⼚
17画
粛
常用漢字
中学
部首:⾀
11画
“厳粛”で始まる語句
厳粛味