其樣そんな)” の例文
新字:其様
それで他國たこく立派りつぱ堂々だう/\たる小學校せうがくかうきふ其樣そんなすぼらしい學校がくかうぼく子供心こどもごころにもけつして愉快ゆくわい心地こゝちなかつたのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
皆樣みなさまは、其樣そんなにあの可愛かあいがつてくださつたのですか。わたくしなん御禮おれい言葉ことばもございません。』とゆきのやうなるほう微※えくぼなみたゝえて
藤本ふぢもと來年らいねん學校がくかう卒業そつげうしてからくのだといたが、うして其樣そんなはやつたらう、爲樣しやうのない野郎やらうだと舌打したうちしながら
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何程なにほど取たイヤサ何程取て頼まれたと申事よと有ければ多兵衞は否々いや/\金子きんすは少しももらひませぬと云へば大岡殿馬鹿ばかな事を云へ金でももらはずに其樣そんな事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ある時などは、家のものゝ袖が長いと言つて——ナニ其樣そんなに長い方ぢや無いんでさ、女としては寧ろ短い方でさ——それを鋏でもつてジヨキ/″\切つちやつた……
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「いや、其樣そんな事はございません。先達せんだつても青年會館でお彈きになつたシヨウパンを拜聽したですが實に驚嘆しました。わたくしの學校の生徒なぞには勿體ない位の御手腕です。」
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
その自分の言葉に對してもみのるには其樣そんなおめ/\した事は義男の前で云へなかつた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
露貨ろくわ其樣そんなに持たない、佛貨ふつくわぜたら有るかも知れぬと云ふと、其でも好いと云ふ。兎に角八十圓を出して仕舞ふと、後は途中の食費と小遣いが十圓も殘るや殘らずになるのである。
巴里まで (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
だから謝罪た、へん其樣な横柄な言草があるけえ、蹈みましたから、御免下さいましと云ふもんだ。何でえ、失敬しただあ。己あ其樣そんなに唐人言葉は知らねえ日本人なら日本の言葉で言へ、う最う少し胸の透く樣な文句を
二十三夜 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
『兄樣……其樣そんな……』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
わたくしだつて、其樣そんな無鐵砲むてつぽうことはない、この工夫くふうは、大佐閣下たいさかくか仲々なか/\巧妙うまい感心かんしんなすつたんです。』と意氣いき昂然こうぜんとして
自分じぶんおほかみにつまゝママれたやうママかほをして(多分たぶんほかからると其樣そんなかほであつたらうとおもふ)『やれ/\』とも『づ/\』ともなんともはず女中ぢよちゆうのすゝめる椅子いすこしおろした。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
其樣そんなに急いで歸るにも當らなかつた。岬で見たのは別の汽船だつた。吾儕を乘せて下田まで歸る船は未だ來なかつた。汽船宿で聞くと一時間の餘も待たなければなるまいと言ふ。
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
飮ながら何だびく/\するな何故なぜ其樣そんなふるへるぞコレ酒がこぼれるぞ落着おちついつぐがよい汝も酒がすきだ一ぱいあひをせよサア/\其茶碗ちやわんがいゝ夫で二三ばいのむべしと酒をついでやり後で飯もくふがよい今に拙者が手前を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「其れぢやアどうして、君は其樣そんなに遊んだんです。」
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
しかし、おまへ何故なぜ其樣そんななげくのかね。』と言葉ことばやさしくひかけると、この一言いちごん老女らうぢよすこしくかほもた
「君の父親おとつさんは其樣そんなに嚴格だつたかね。」
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
食ふも知ずこまりしことと咄しければ荒熊あらくまは聞て然共々々さうとも/\文右衞門めが召捕めしとられなば手前は第一番の引合にて同類どうるゐ同樣どうやうなりと云ければ辨慶は勃然むつとして其樣そんなに馬鹿にするなおらおいちやア憚りながら少しもうしくらい事など仕た事アネヘと彼是咄しあひ乞食こつじき仲間は些少ちとねたましき心より種々に氣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)