其他そのほか)” の例文
其處そこ乘組人のりくみにん御勝手ごかつて次第しだい區劃くくわく彈藥だんやく飮料いんれう鑵詰くわんづめ乾肉ほしにく其他そのほか旅行中りよかうちう必要品ひつえうひんたくわへてところで、固定旅櫃こていトランクかたちをなしてる。
しかし浅草文庫の蔵書印ある内閣本を見ると雁坂峠と書いてある。其他そのほか内閣本および東京府本の『正保武蔵図』を見ても、いずれも雁坂峠である。
秩父の奥山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
其他そのほかは彼女と二人きりの生活であつたし、彼女も私も同じ様な造型美術家なので、時間の使用について中々むつかしいやりくりが必要であつた。
智恵子抄 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
家鴨あひるやドードてう、ローリーてう小鷲こわし其他そのほか種々いろ/\めづらしい動物どうぶつましたが、あいちやんの水先案内みづさきあんないで、みんたいしてのこらずきしおよぎつきました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
其他そのほか「骨董」でも「異国情趣」でも「きまぐれ」でも「天の河縁起」でも、ヘルンの殆ど全作品を一貫してゐる特質は、此の「怪奇」といふことであります。
父八雲を語る (新字新仮名) / 稲垣巌(著)
「坊樣、さア此處へいらつしやい」と女は言つて坐布團をてすりの下に運び、夏橙なつだい/\其他そのほかの果物菓子などを僕にすゝめた。そして次の間を開けると酒肴の用意がしてある。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
山𤢖のわろはおそら和郎わろという意味であろう。で、おおきいのを山男といい、小さいのを山𤢖と云うらしいが、くは判らぬ。まだ其他そのほか山姥やまうばといい、山女郎やまじょろうと云う者もある。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
其他そのほかいづれも断片だんぺんで、文句もんくもとより拙劣せつれつたゞおどるまゝにペンをはしらせたものとしかえぬ。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
其時叔父さんは叔母さんの長襦袢ながじゆばんだの襦袢だの其他そのほかこまごました物を姉妹きやうだいに分けて呉れた。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
この寺はむかしから遊女の病死したもの、又は情死して引取手のないものを葬る処で、安政二年の震災に死した遊女の供養塔が目に立つばかり。其他そのほかの石は皆小さく蔦かつらに蔽はれてゐた。
里の今昔 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
すかされ機械仕掛きかいじかけのあやつり身上しんじやう松澤まつざはももうくだざかよとはやされんは口惜くちをしくなる新田につた後廻あとまははら織元おりもと其他そのほか有金ありがね大方おほかたとりあつめて仕拂しはらひたるうはさこそみゝよりのことなれと平生ひごろねらひすませしまと彼方かなたより延期えんき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其他そのほかべつめてくれますうちもないのでせうか。)
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
武村兵曹たけむらへいそう相變あひかはらず淡白たんぱくで、慓輕へうきんで、其他そのほか三十有餘名いうよめい水兵等すいへいら一同いちどう元氣げんきよく、だいなる希望きぼう待望まちのぞみつゝ、勤勉きんべんはたらいてる。
のみならず、焦々いら/\した学校時代などには半分夢中で附合つて居た人、名前は知らなくても毎日叔父さんのうちの前を通る人、噂に聞いた人、其他そのほか種々いろ/\な女の人を真実に見分るやうに成つた。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『それも至極しごくめうだ。けれども其他そのほかなににしよう。』
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
鋼索こうさく化學用くわがくようしよ劇藥げきやく其他そのほか世人せじん到底たうてい豫想よさうがた幾多いくた材料ざいりよう蒐集中しうしふちうなりしが、何時いつとも吾人われら氣付きづかぬその姿すがたかくしぬ。