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兄哥
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あにい
ふりがな文庫
“
兄哥
(
あにい
)” の例文
『千兩の褒美はこの清吉がきつと取つて見せる、濟まねえが八
兄哥
(
あにい
)
後で文句は言はないでくれ』つて、
癪
(
しやく
)
な言ひ草ぢやありませんか。
銭形平次捕物控:164 幽霊の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「はァて、己れも長兵衛だ、潔く死なしてくれ」の一言を遺して水野の屋敷へ単身に乗ッ込んだ先祖の
兄哥
(
あにい
)
を俟つまでもないこと
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
みなまで聞かずに、気も足も早い与吉
兄哥
(
あにい
)
、オイきたとばかり、すぐその場からお尻をはしょって、東海道をくだってきたのです。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「ざまあ見ろ、
巫女
(
いちこ
)
の
宰取
(
さいとり
)
、
活
(
い
)
きた
兄哥
(
あにい
)
の魂が分るかい。へッ、」と肩をしゃくりながら、ぶらりと見物の
群
(
むれ
)
を離れた。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
兄哥
(
あにい
)
あにいって立てられるしさ、あたしみたいな者にもおまえさん、道で会うと向うから声をかけて呉れて——
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
きっと、若い野獣のような、すばらしい美丈夫の
巷
(
ちまた
)
の
無頼漢
(
ぶらいかん
)
「チャア公
兄哥
(
あにい
)
」に成長していることであろう。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
『アイサ。』と、人影は暗い軒下に立留つて、
四邊
(
あたり
)
を憚る樣に答へた。『隣の
兄哥
(
あにい
)
か? 早かつたなす。』
赤痢
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ここへ雲霧の
兄哥
(
あにい
)
と四ツ目屋の新助も一緒に参っておりますから、支度がよかったらすぐ裏口の方から……
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こんな立派な
兄哥
(
あにい
)
さんたちが、四人も揃うて、お前さんから、懐中ランプを頂こうというて、わざわざ、お出ましになっとるんじゃ。それでも、楯つくつもりかえ?
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
その前景気のすばらしいことすばらしいこと、お祭り好きの江戸っ子たちはいずれも質を八において、威勢のいい
兄哥
(
あにい
)
なぞは、そろいのちりめんゆかたをこしらえるために
右門捕物帖:05 笛の秘密
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「おい、松
兄哥
(
あにい
)
、
垢離場
(
こりば
)
の高物小屋へ仙台の
金華山
(
きんかざん
)
から鯨が泳ぎついたそうだ」
顎十郎捕物帳:19 両国の大鯨
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
吝
(
しみ
)
ったれた
兄哥
(
あにい
)
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「お前のところにはないだろうが曲者はそれで三郎兵衞を突き殺したよ。——さア、飛んだ無駄をしたね。向うへ行かうか兼吉
兄哥
(
あにい
)
」
銭形平次捕物控:318 敵の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
とせきたてられて、泰軒先生、急にこの真夜中に、チョビ安
兄哥
(
あにい
)
の手を引いて、はるばる日光へ出発することになったのである。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
蘇子、白居易が雅懐も、倶利迦羅紋紋の
兄哥
(
あにい
)
が風流も詮ずるところは同じ境地、忘我の途に踏み入って煩襟を滌うを得ば
庶幾
(
しょき
)
は已に何も叶うたのである。
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
もう一人、
袷
(
あわせ
)
の
引解
(
ひっと
)
きらしい、汚れた
縞
(
しま
)
の
単衣
(
ひとえ
)
ものに、
綟
(
よ
)
綟れの三尺で、
頬被
(
ほおかぶ
)
りした、ずんぐり
肥
(
ふと
)
った赤ら顔の
兄哥
(
あにい
)
が一人、のっそり腕組をして
交
(
まじ
)
る……
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『アイサ。』と、人影は暗い軒下に立留つて、
四辺
(
あたり
)
を憚る様に答へた。『隣の
兄哥
(
あにい
)
か? 早かつたなす。』
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「ねえ、四ツ目屋の
兄哥
(
あにい
)
、親分に会おうと思えば、いつでもじきに会われますぜ」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
新造禿
(
しんぞうかむろ
)
、出前持の
兄哥
(
あにい
)
、はては目の見えぬ按摩迄が口々にさざめき立てました。
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「まア、宜い。與吉
兄哥
(
あにい
)
の前だが、岡つ引を相手に大きな口を叩く人間は、
大概
(
たいがい
)
馬鹿か底拔けの正直者にきまつたものだ。ね、御坊」
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
人の輪の中に突っ立って、大声にこれを唄うチョビ安
兄哥
(
あにい
)
……ひさしぶりのチョビ安だが、その
服装
(
なり
)
がまたたいへんなもので。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
魚友
(
うおとも
)
は意気な
兄哥
(
あにい
)
で、お来さんが少し
思召
(
おぼしめ
)
しがあるほどの男だが、
鳶
(
とび
)
のように魚の腹を
握
(
つか
)
まねばならない。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もしそれ南枝の梢に短冊の昔を愛する振舞いに至っては、必ずしも歌句の拙きを嗤うを要せぬ、倶利迦羅紋紋の
兄哥
(
あにい
)
にもこの風流あるは寧ろ頼もしからずとせんや。
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
「そうだとも、武松
兄哥
(
あにい
)
のいう通りだ。おれっちは根っからの野育ち野郎。そんなものには、縁もゆかりも持ッちゃあいねえや。へん、おもしろくもねえ! 誰か、陽気な唄でもうたえよ!」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
江戸ならば先ず、町の
兄哥
(
あにい
)
の
鳶頭
(
とびがしら
)
とでも言うところに違いない。
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
黒助
兄哥
(
あにい
)
、怨みのある石見様は隠居した上、御親類中から
爪弾
(
つまはじ
)
きされて、行方不明になってしまった。
敵
(
かたき
)
は討ったも同じことだろう。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ひょんな出入りから国を売ってわらじをはいているように見えるものの、さて顔を眺めると……まぎれもないあさくさ駒形の
兄哥
(
あにい
)
つづみの与吉。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
何だって意固地な奴等、
放火
(
ひつけ
)
盗賊、ちょッくらもち、
掏摸
(
すり
)
の
兄哥
(
あにい
)
、三枚目のゆすりの肩を持つんでしょう。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「しようのねえ婆さんだな。——おいおい小六
兄哥
(
あにい
)
」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「幸吉と言って、こいつは親に似ぬ堅い男だ。浅草で
小商
(
こあきな
)
いをしているのを
手繰
(
たぐ
)
って、二日前に金富町の留吉
兄哥
(
あにい
)
が挙げて来たよ」
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これが一つ間違えばどこでも裾をまくってたんかをきる駒形名うての
兄哥
(
あにい
)
とは思えないから、栄三郎もつい気を許して
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
もっともこりゃ谷中へ行く前に、お夏さんが呼び出しをかけたその梅岡薬剤
兄哥
(
あにい
)
と二人で、休んだ縁もあったんでがすから、その奥座敷へ内証で抱え込んだ折でした。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「小二
兄哥
(
あにい
)
。来たからにゃあ、弱音は吹くめえぜ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「幸吉と言つて、こいつは親に似ぬ堅い男だ。淺草で
小商
(
こあきな
)
ひをしてゐるのを
手繰
(
たぐ
)
つて、二日前に金富町の留吉
兄哥
(
あにい
)
が擧げて來たよ」
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ゆうき
木綿
(
もめん
)
の
単衣
(
ひとえ
)
に、そろばん絞りの三尺を、腰の下に横ちょに結んで、こいつ、ちょいとした
兄哥
(
あにい
)
振りなんです。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
……
消防手
(
かしら
)
御免
(
ごめん
)
よ。
兄哥
(
あにい
)
怒
(
おこ
)
るな。
金屏風
(
きんびやうぶ
)
の
鶴
(
つる
)
の
前
(
まへ
)
に、おかめ、ひよつとこ、くりからもん/\の
膚
(
はだ
)
ぬぎ、あぐら、
中
(
なか
)
には
素裸
(
すつぱだか
)
で
居
(
ゐ
)
るではないか。
其處
(
そこ
)
が
江戸
(
えど
)
だい。お
祭
(
まつり
)
だ。
祭のこと
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「オオ雲霧の
兄哥
(
あにい
)
もここに……」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
黒助
兄哥
(
あにい
)
、怨みのある石見樣は隱居した上、御親類中から
爪彈
(
つまはじ
)
きされて、行方不明になつて了つた。敵は討つたも同じことだらう。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
果たして、
良人
(
おっと
)
と
覚
(
おぼ
)
しき女の
同伴
(
つれ
)
が飛んで来て、礼よりさきにどしんと一つ与吉を突きとばしたのは駒形の
兄哥
(
あにい
)
一代の失策、時にとってのとんだ茶番であった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
これはまた学問をしなそうな
兄哥
(
あにい
)
が、二七講の景気づけに、縁日の
夜
(
よ
)
は縁起を祝って、御堂
一室処
(
ひとまどころ
)
で、三宝を据えて、
頼母子
(
たのもし
)
を営む、……世話方で居残ると……お燈明の
消々
(
きえぎえ
)
時
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ちょいと立会って貰いたいことがある。板倉屋は清吉
兄哥
(
あにい
)
に任せて、ほんの
四半刻
(
しはんとき
)
清川へお顔を貸して下さい——と丁寧に言うんだぜ」
銭形平次捕物控:054 麝香の匂い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いい
兄哥
(
あにい
)
が、橋の下の乞食小屋のまえにすわって、しきりにぺこぺこおじぎをしているから、橋の上から見おろした人が、世の中は下には下があると思って、驚いている。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
で、
優柔
(
おとな
)
しく頬被りを取った顔を、と見ると迷惑どころかい、目鼻立ちのきりりとした、
細面
(
ほそおもて
)
の、
瞼
(
まぶた
)
に
窶
(
やつれ
)
は見えるけれども、目の清らかな、眉の濃い、二十八九の
人品
(
ひとがら
)
な
兄哥
(
あにい
)
である。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
御屋敷の新造が解つた方で、——三好屋の知合ひで、風流氣のある方があつたら、是非御一緒に——と斯う言ふのぢや、何うだな、八五郎
兄哥
(
あにい
)
銭形平次捕物控:027 幻の民五郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
浅草
(
あさくさ
)
は
駒形
(
こまがた
)
の
兄哥
(
あにい
)
、つづみの与吉とともに、彼の仲間の
大姐御
(
おおあねご
)
、尺取り横町の
櫛巻
(
くしまき
)
お
藤
(
ふじ
)
の意気な住居に、こけ猿、くだらないがらくたのように、ごろんところがっているんです。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
名物と云えば、も一ツその早瀬塾の若いもので、これが
煮焼
(
にたき
)
、拭掃除、万端世話をするのであるが、通例なら学僕と云う処、
粋
(
いなせ
)
な
兄哥
(
あにい
)
で、鼻唄を
唱
(
うた
)
えばと云っても学問をするのでない。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
御屋敷の
新造
(
しんぞ
)
が解った方で、——三好屋の知合いで、風流気のある方があったら、ぜひ御一緒に——とこう言うのじゃ、どうだな、八五郎
兄哥
(
あにい
)
銭形平次捕物控:027 幻の民五郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
急に
勢
(
いきおい
)
の
可
(
い
)
い声を出した、饂飩屋に飲む博多節の
兄哥
(
あにい
)
は、霜の上の
燗酒
(
かんざけ
)
で、月あかりに直ぐ
醒
(
さ
)
める、色の白いのもそのままであったが、二三杯、
呷切
(
あおっきり
)
の茶碗酒で、目の
縁
(
ふち
)
へ、
颯
(
さっ
)
と
酔
(
よい
)
が出た。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「勘
兄哥
(
あにい
)
じゃねえかしら。」
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
おや、八五郎
兄哥
(
あにい
)
、いつも元気で結構だね。——用事というのは、あっしが持込んで来たんだが、きのう
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
に厄介な殺しがあったのさ。
銭形平次捕物控:121 土への愛着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
兄
常用漢字
小2
部首:⼉
5画
哥
漢検1級
部首:⼝
10画
“兄哥”で始まる語句
兄哥連
兄哥面