専断偏頗の訴えはそこから起こって来て、教義の紛乱も絶えることがない。外には布教の功もあがらないし、内には協和の実も立たない。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
偏頗これ公道なり。争闘これ平和なり。威力これ権理なり。滅法これ法律なり。かかる社会を称して吾人は大野蛮大圧制の社会とはいうなり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
或階級の人間だけが特別の権利を持って、便宜の多い偏頗な生活をするというようなことのないために必要なものが、この「平等の権利」です。
婦人も参政権を要求す (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
むしろそんなものの記憶のために偏頗に頭脳を使わないで、頭の中を開放しておく事にある、と云っている。
アインシュタインの教育観 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
(五七)租税が消費者に影響を及ぼす限りにおいて、それは平等な租税であるが、しかしそれが利潤に影響を及ぼす限りにおいて、それは偏頗な租税であろう。
経済学及び課税の諸原理 (新字新仮名) / デイヴィッド・リカード(著)
しかしどこへ行っても、ヘヒトのと同じく偏頗な条件に出会ったり、あるいは断わられたりした。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
しからば仏教とかクリスト教とか、かかる宗教を教育に応用すべきかといえば、特殊関係の学校は別として、普通の学校に特殊の歴史的宗教を入るれば必ず偏頗となって混乱を来たす。
明治哲学界の回顧:04 結論――自分の立場 (新字新仮名) / 井上哲次郎(著)
幼少の時から偏頗な母の愛情の下に育ち不可思議な呪ひの中に互に憎み合つて來た、さうした母性愛を知らない圭一郎が丁年にも達しない時分に二歳年上の妻と有無なく結婚したのは
趣味のみに生き得る孫四郎の趣味はどうしても偏頗で局部的であり深みがない。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死 (新字旧仮名) / 長与善郎(著)
しかし『排耶蘇』に現われているような偏頗な考え方は、決して克服されてはいないのである。またその点が、狂信的な情熱を必要とした幕府の政治家に、重んぜられたゆえんであろう。
埋もれた日本:――キリシタン渡来文化前後における日本の思想的情況―― (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
「政党内閣は党派政治となり、一変して偏頗の政治となり、ついに言うべからざるの弊害を生ぜん、帝室内閣は党派に偏せずいわゆる無偏無党、王道蕩々の美政を維持するに足らん云々」
そこには階級の偏頗もなく、貧富の差異もなく、勉強するものは一番になりなまけるものは落第した、だが六年のおわり! おおそれは喜ぶべき卒業式か、はたまた悲しむべき卒業式か
だから私はそれをも偽瞞と言うのではない。しかし直射光線には偏頗があり、一つの物象の色をその周囲の色との正しい階調から破ってしまうのである。そればかりではない。全反射がある。
それは、「婦人作家らしい匂い」とか「婦人作家にしか描けない女心」とかいう批評の基準で、婦人作家の作品を扱って来た従来の日本文学の偏頗な好みと、切っても切れない因果関係にある。
イオーヌィチ (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
だから現実の制度に完全無欠で万能というものはあり得ない。政治制度は、性急、独断、偏頗な態度で評価されてはならぬので、広い立場で比較的にみないと、小児病的な誤りを犯すことになる。
およそ天の道は公平無私にして、人間のごとく偏頗の私心あるものではありませぬから、人の方で自分勝手に願った祈りだとて、天はそれがために規則をまげるようなことは決していたしませぬ。
偏頗の裁判を為す虞れありとして、忌避の申立を為したるも、右申立は訴訟の遅延せしむる目的のみを以て、為したる事明白なるを以て、刑事訴訟法第二十九条第一項に依り、決定する事左の如し。
「女らしさ」とは何か (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)