“もてな”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
待遇27.9%
款待19.7%
13.1%
饗応11.5%
持成6.6%
欵待4.9%
歓待3.3%
饗應3.3%
1.6%
好遇1.6%
1.6%
礼遇1.6%
管待1.6%
1.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ふり残されし身一ツに、雨をも、雪をも、御案じ申し上げれども。かくと明かせぬ切なさは、世に隔てなく待遇もてなしたまふ、良人つまへ我から心の関。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
始終七分身の態度で、款待もてなしつづけ、決してかの女の正面に面と向き合わない夫人の様子に、かの女は不満を覚えて来た。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
二〇一宿ひとよ供養くやうして二一罪をあがなひたてまつらんと、二二ゐやまひて奥の方に迎へ、こころよく食をもすすめてもてなしけり。
と取合う気色も見えぬに、茶一杯饗応もてなされぬ助役は悄然すごすごとして元し道にとってかえしぬ、正兵衛は後見送りて、皺苦茶しわくちゃの眉根をひそめ、ああ厄払い厄払い。
厄払い (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
地方にいる遊行女婦が、こうして官人を持成もてなし優遇し、別れるにのぞんでは纏綿てんめんたる情味を与えたものであろう。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
暑い二階で彼等を欵待もてなしたが、小野田も彼等から、商売の資本でも引出し得るかのように言っているお島のことばを信じて、そこへ出て叮嚀ていねいな取扱い方をしていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ちやほや歓待もてなされるのに、その峠を定規通ていきどおり通り越すと、あとはそろそろ家族の熱が冷めて来て、しまいには有っても無くっても構わないもののように粗末に取り扱われがちになるものである。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
つい挨拶あいさつをぞなしたり其夜吉兵衞には酒肴しゆかう取寄とりよ船頭せんどうはじめ水主かこ十八人を饗應もてな酒宴しゆえんもよほしける明れば極月ごくづき廿九日此日は早天より晴渡はれわたり其上追手おつての風なれば船頭杢右衞門は水主共かこども出帆しゆつぱん用意ようい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
何事とも覚えずおどろかされしを、色にも見せず、怪まるるをもことばいださず、ちとの心着さへあらぬやうにもてなして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
宮は聞えよがしに独語ひとりごちて、そのたがへるをいぶかるやうにもてなしつつ又其方そなた打目戍うちまもれり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
まだそれほどふかくもなしおむかひもいままゐらんゆるりなされと好遇もてなさるゝほど猶更なほさらどくがたくなりて何時いつまでちてもえませねばはゞかりながらくるまひとねがひたしと婢女はしため周旋しうせんのほどたのればそれはなん造作ざうさもなきことなれどつひちがひにおむかひのまゐるまじともまをされず今少いますこしおまちなされてはと澁々しぶ/\にいふは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
九二井臼せいきうつとめはたもてなすにらざれども、おのが心なり。いやしみ給ふことなかれ。赤穴なほ答へもせで、長嘘ながきいきをつぎつつ、しばししていふ。賢弟がまことある饗応あるじぶりをなどいなむべきことわりやあらん。
成吉思汗ジンギスカンは妾を、敵将の妻として、厚く礼遇もてなしてくれましただけで、ほんとうに何事もございませんでした。
此方こなたに入らせ給へとて、奥の方にいざなひ、酒菓子くだもの種々さまざま管待もてなしつつ、うれしきゑひごこちに、つひに枕をともにしてかたるとおもへば、夜明けて夢さめぬ。
本当に病気は対人関係の慰めともてなしを稀薄なものにしてしまう点で最も苦しい気がします。そして私のように溺れやすい者にはことに苦しいことです。
青春の息の痕 (新字新仮名) / 倉田百三(著)