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鴨居
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かもゐ
ふりがな文庫
“
鴨居
(
かもゐ
)” の例文
「昨日行燈の出てゐた二階に間違ひはありませんよ。
鴨居
(
かもゐ
)
から赤い
扱帶
(
しごき
)
で、女草履が片つ方ブラ下がつてゐるのは不思議ぢやありませんか」
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「代助はまだ
帰
(
かへ
)
るんぢやなからうな」と
父
(
ちゝ
)
が云つた。代助はみんなから
一足
(
ひとあし
)
後
(
おく
)
れて、
鴨居
(
かもゐ
)
の
上
(
うへ
)
に両手が
届
(
とゞ
)
く様な
伸
(
のび
)
を一つした。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一人は七尺の
鴨居
(
かもゐ
)
を頭を下げてくゞる程の大男の異国人であり、一人は、ずんぐりとしたその供の下役であつた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
翁は我手の
尖
(
さき
)
に接吻し、我衣の裾に接吻していふやう。かしこなるは我
破屋
(
あばらや
)
なり。されど
鴨居
(
かもゐ
)
のいと低くて君が如き貴人を入らしむべきならぬを奈何せん。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
従つて彼の借りてゐた家には二階の戸棚の中は
勿論
(
もちろん
)
、柱や
鴨居
(
かもゐ
)
に打つた釘にも瓢箪が幾つもぶら下つてゐた。
仙人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
私の部屋の障子窓の柱や
鴨居
(
かもゐ
)
などには、小さなまるい穴が幾つも幾つもあいてゐる。それが何であるか、いつどうしてできたものか、私は今まで一向気にもとめなかつた。
ジガ蜂
(新字旧仮名)
/
島木健作
(著)
「電氣は不經濟なばかりぢやない、柱や
鴨居
(
かもゐ
)
へ穴を明けて家を臺なしにするから考へ物ぢや。今夜のやうなことがあるとすると保險はつけといた方がえゝかも知れんが。」
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
或
(
あ
)
る
農村
(
のうそん
)
にびんぼうなお
百姓
(
ひやくせう
)
がありました。びんぼうでしたが
深切
(
しんせつ
)
で
仲
(
なか
)
の
善
(
よ
)
い、
家族
(
かぞく
)
でした。そこの
鴨居
(
かもゐ
)
にことしも
燕
(
つばめ
)
が
巣
(
す
)
をつくつてそして四五
羽
(
は
)
の
雛
(
ひな
)
をそだててゐました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
明
(
あけ
)
て見るに
絹布
(
けんぷ
)
木綿
(
もめん
)
の
夜具
(
やぐ
)
夥多
(
おびたゞし
)
く
積上
(
つみあげ
)
てあり
鴨居
(
かもゐ
)
の上には枕の
數
(
かず
)
凡そ四十
許
(
ばか
)
りも有んと思はれます/\
不審
(
ふしん
)
な
住家
(
すみか
)
なりと吉兵衞は
怪
(
あやし
)
みながらも
押入
(
おしいれ
)
より夜具取出して次の間へこそ
臥
(
ふし
)
たりける
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
青木さんは袂から真鍮の
螺旋釘
(
ねぢくぎ
)
をお出しになつて、
鴨居
(
かもゐ
)
の下へお打ちになる。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
髮
(
かみ
)
は、ふさ/\とあるのを
櫛卷
(
くしまき
)
なんどに
束
(
たば
)
ねたらしい……でないと、
肱
(
ひぢ
)
かけ
窓
(
まど
)
の、
然
(
さ
)
うした
處
(
ところ
)
は、
高
(
たか
)
い
髷
(
まげ
)
なら
鴨居
(
かもゐ
)
にも
支
(
つか
)
へよう、
其
(
それ
)
が、やがて二三
寸
(
ずん
)
、
灯
(
ひ
)
のない
暗
(
くら
)
がりに、
水際立
(
みづぎはた
)
つまで、
同
(
おな
)
じ
黒
(
くろ
)
さが
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
血の気のない顔が
仄白
(
ほのじろ
)
く
鴨居
(
かもゐ
)
の下に浮いた。
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
尤
(
もつと
)
も
長押
(
なげし
)
へ釘を打てば何んでもないが、それでは家がたまらないから、
欄間
(
らんま
)
から
鴨居
(
かもゐ
)
へ紐を一本通してくれと仰しやつて、私は
萠黄
(
もえぎ
)
の細い紐を見付けて通して上げました。
銭形平次捕物控:114 遺書の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
船橋屋も家は
新
(
あら
)
たになつたものの、大体は昔に変つてゐない。僕等は
縁台
(
えんだい
)
に腰をおろし、
鴨居
(
かもゐ
)
の上にかけ並べた日本アルプスの写真を見ながら、葛餅を
一盆
(
ひとぼん
)
づつ食ふことにした。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
次第
(
しだい
)
に、
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
の
柱
(
はしら
)
、
天井裏
(
てんじやううら
)
、
鴨居
(
かもゐ
)
、
障子
(
しやうじ
)
の
棧
(
さん
)
、
疊
(
たゝみ
)
のへり。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
見兼
(
みかね
)
たりけん客人には餘程
草臥
(
くたびれ
)
しと見えたり
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
勝手
(
かつて
)
に休み給へ今に家内の者共が
大勢
(
おほぜい
)
歸り來るが
態々
(
わざ/\
)
起
(
おき
)
て
挨拶
(
あいさつ
)
には及ばず明朝まで
緩
(
ゆる
)
りと
寢
(
ねら
)
れよ
夜具
(
やぐ
)
は
押入
(
おしいれ
)
に
澤山
(
たくさん
)
ありどれでも勝手に着玉へ
枕
(
まくら
)
は
鴨居
(
かもゐ
)
の上に
幾許
(
いくつ
)
もありいざ/\と進めながら
奧座敷
(
おくざしき
)
は
差支
(
さしつか
)
へ有れば是へは
猥
(
みだ
)
りに
這入
(
はいり
)
給ふな此儀は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そこで下女のお元に頼んで
蚊帳
(
かや
)
の中釣りだと言つて、細い紐を
鴨居
(
かもゐ
)
に通して貰ひ、その紐の端に赤い
縮緬
(
ちりめん
)
の
扱帶
(
しごき
)
——死んだ娘の形見を出して結び、紐を引いて扱帶を
欄間
(
らんま
)
にかけた
銭形平次捕物控:114 遺書の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
鴨居
(
かもゐ
)
に
扱帶
(
しごき
)
を掛けて自分で
縊
(
くび
)
れ死んだといふことにして檢屍まで受けたので御座います
銭形平次捕物控:114 遺書の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“鴨居”の解説
鴨居(かもい)は、柱間の上下に水平に取り付けて襖や障子などの建具をはめ込む枠のうち上部にあたる部材。枠の下部にあたる敷居とは対になっており、通常、建具を滑らせて開閉できる構造になっている。敷居、鴨居、長押を総称して内法物(うちのりもの)という。
一般的には溝を掘った横木である。ただし筋溝のない無目鴨居もあり、開き戸や開き障子を用いる箇所に施される。
なお鉄道車両においては、客用扉上部のスペースのことを指すことがある。
(出典:Wikipedia)
鴨
漢検準1級
部首:⿃
16画
居
常用漢字
小5
部首:⼫
8画
“鴨”で始まる語句
鴨
鴨川
鴨緑江
鴨跖草
鴨頭草
鴨下
鴨緑
鴨東
鴨猟
鴨長明