“驅(かけ)” の例文
新字:駆
其(そ)の力(ちから)が烈(はげ)しい程(ほど)拂曉(ふつげう)の霜(しも)が白(しろ)く、其(そ)れが白(しろ)い程(ほど)亂(みだ)れて飛(と)ぶ鴉(からす)の如(ごと)き簇雲(むらくも)を遠(とほ)い西山(せいざん)の頂巓(いたゞき)に伴(ともな)うて疾風(しつぷう)は驅(かけ)るのである。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
上(のぼ)る時は直立して天に向ふ此(こゝ)は危なし下(おり)んと云へど聞かぬ顏にていよ/\飛ばす山は恰も驅(かけ)るが如く樹は飛が如くに見ゆ快と云(いは)ば快爽と云ば爽なれどハツ/\と魂を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
雨戸(あまど)をさす間(ま)もなく、今(いま)まで遠(とほ)くの林(はやし)の中(なか)に聞(きこ)えてゐた風(かぜ)の音(おと)は、巨人(きよじん)の手(て)の一煽(あふ)りのやうに吾(われ)にもない疾(はや)さで驅(かけ)て來(き)て、その勢(いきほ)ひの中(なか)に山(やま)の雪(ゆき)を一掃(は)き捲(ま)き込(こ)んでしまつた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
ラツカダイヴ諸島(しよたう)の空(そら)を流星(りうせい)の如(ごと)く驅(かけ)つて、それから何處(いづく)へ、如何(いか)に行(ゆ)くものやら、四晝夜(しちうや)の間(あひだ)は全(まつた)く夢中(むちう)に空中(くうちう)を飛走(ひさう)したが、其(その)五日目(いつかめ)の午前(ごぜん)になつて、風(かぜ)も漸(やうや)くをさまり
心(こゝろ)利(き)いて、すばやい春葉(しゆんえふ)だから、「水(みづ)だ、水(みづ)だ。」と、もう臺所(だいどころ)で呼(よ)ぶのが聞(きこ)えて、私(わたし)が驅(かけ)おりるのと、入違(いれちが)ひに、狹(せま)い階子段(はしごだん)一杯(いつぱい)の大丸(おほまる)まげの肥滿(ふと)つたのと、どうすれ合(あ)つたか
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
せかせかと息を切つて半里ばかり驅(かけ)つて來ると、村役場がそこにあつた。
少年の死 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
偶然(ひよつと)彼(かれ)は俄(にはか)に透明(とうめい)に成(な)つた空氣(くうき)の中(なか)から驅(かけ)つて來(き)て網膜(まうまく)の底(そこ)にひつゝいたものゝやうにぽつちりと一つ目(め)についたものがある。それは遠(とほ)い上流(じやうりう)に繋(かゝ)つて居(ゐ)る小(ちひ)さな船(ふね)であつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
露西亞等(ロシヤとう)の元氣(げんき)盛(さか)んなる人々(ひと/″\)は脛(すね)を叩(たゝ)いて跳(をど)り出(で)たので、私(わたくし)もツイ其(その)仲間(なかま)に釣込(つりこ)まれて、一發(ぱつ)の銃聲(じうせい)と共(とも)に無(む)二無(む)三に驅(かけ)つたが、殘念(ざんねん)なるかな、第(だい)一着(ちやく)に决勝點(けつしようてん)に躍込(をどりこ)んだのは
其(その)眞先(まつさき)に砂塵(すなけむり)を蹴立(けた)てゝ、驅(かけ)つて來(く)るのはまさしく猛犬稻妻(まうけんいなづま)!