養子やうし)” の例文
神佛の感應かんおうまし/\天よりして養子やうしにせよと授け給ひし者成べし此家をつがせん者末頼母すゑたのもしと語合かたらふを吉之助ひそかに聞て心の内に冷笑あざわらへど時節を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あはれなるは繼子まゝこ身分みぶんにして、腑甲斐ふがひないものは養子やうしれと、今更いまさらのやうになかのあぢきなきをおもひぬ。
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おそらく此後こののちからうとおもふ。いまところでは養子やうしやうともかんがへてらぬ。されば生活せいかつあまりあるときには、それをこと/″\そゝいで遺跡ゐせき發掘はつくつるのである。
其方儀養子やうし又七にきずつけあまつさへ不義の申かけ致候樣下女きくに申つける段人にはゝたるのおこなひにあら不埓ふらち至極しごくつき遠島ゑんたうつく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そのわがまゝのとほらぬこともあるまじきなれど、らきは養子やうし身分みぶん桂次けいじはつく/″\他人たにん自由じゆううらやみて、これからのすゑをもくさりにつながれたるやうにかんがへぬ。
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其方儀養子やうし又七にきずつけせつとくと樣子も見屆ず其上つまつねむすめくま手代てだいちう八不屆の儀を存ぜぬ段不埓ふらちに付江戸構えどがまひつく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
當主たうしゆ養子やうしにて此娘これこそはいへにつきての一粒ひとつぶものなれば父母ちゝはゝなげきおもひやるべし、やまひにふしたるはさくらさくはるころよりとくに、それより晝夜ちうやまぶたあはするもなき心配しんぱいつかれて
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
石之助いしのすけとて山村やまむら總領そうりやう息子むすこはゝちがふに父親てゝおやあいうすく、これを養子やうしいだして家督あと妹娘いもとむすめなかにとの相談さうだん、十ねんむかしよりみゝはさみて面白おもしろからず、いま勘當かんだうのならぬこそをかしけれ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
到底とてもこれに相續そうぞく石油藏せきゆぐられるやうなもの身代しんだいけふりとりてのこ我等われらなにとせん、あとの兄弟けうだい不憫ふびん母親はゝおやちゝ讒言ざんげん絶間たえまなく、さりとて此放蕩子これ養子やうしにと申うくひと此世このよにはあるまじ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)