難題なんだい)” の例文
江戸表より所持しよぢ仕つり歸國の節箱根はこね山向ふよりあやしき者兩三人後になり先になり付參りすで瀬戸川せとがはまで來かゝりし時は三人の者難題なんだい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
殿様とのさまこまって、また家来けらいたちに御相談ごそうだんなさいましたが、家来けらいたちの中にもだれ一人ひとり、この難題なんだいをとくものはありませんでした。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
叔父おじにさえあさましき難題なんだい云いかけらるゝ世の中に赤の他人でこれほどのなさけ、胸にこたえてぞっとする程うれし悲しく、せ返りながら、きっと思いかえして
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
もともとこれは「殿とのさまの難題なんだい」という別の話のなかにあったものを、借りてきてここに使っていたので、つまりは外国から持ってきた話の種では
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
が、その場合ばあいわたくしには、うした神様かみさまのお言葉ことばなどはほとんどみみにもはいりませんでした。わたくしはいろいろの難題なんだいしてさんざん神様かみさまこまらせました。
「うそだ! きみが、がしたのだろう……。」と、A坊エーぼうは、すぐ、そばにくると難題なんだいをいいかけました。
町の真理 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これからさきあたしゃ若旦那わかだんなから、どのような難題なんだいをいわれても、かえ言葉ことばがござんせぬ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
とおほめになつて、うちに少々しよう/\のこつてゐたもの褒美ほうびらせました。もちろんひめ難題なんだいにはふるひ、「赫映姫かぐやひめおほがたりめ」とさけんで、またと近寄ちかよらうともしませんでした。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
『おまへうしても這入はいりたいのか?』とつて歩兵ほへいは、『それがだい一の難題なんだい
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
野中のなかさん提唱ていしやうです」とさそつてれると、宗助そうすけこゝろからうれしいがした。かれ禿頭はげあたまつらまへるやうどころのない難題なんだいなやまされて、ながらじつ煩悶はんもんするのを、如何いかにもせつなくおもつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
二度まで來りし市之丞が當時の住所ぢうしよ名前等も聞置ざりしは全く文右衞門の無念むねんなり然ば久兵衞其落度に付込みかく難題なんだい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なるほど年寄としよりというものもばかにならないものだ。こんど度々たびたび難題なんだいをのがれたのも、年寄としよりのおかげであった。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
帰幽後きゆうご生前せいぜん良人おっととの初対面しょたいめん物語ものがたり……婦女おんなにとりて、これほどの難題なんだいはめったにありませぬ。
「それはなか/\の難題なんだいだ。そんなことはまをされない」
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
飽まで欺く長庵は眞面まがほに成り是は新しき仰せ哉成程忠兵衞が妻富と密通を仕つりしと申上しは私し此度むじつ難題なんだい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
となりくに殿様とのさまもこんどこそ大丈夫だいじょうぶおもってした難題なんだいを、またしてもわけなくかれてしまったのでがっかりして、それなり信濃国しなののくにめることをおやめになりました。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
わたくしちかけた難題なんだいひとつは、はや良人おっといたいという註文ちゅうもんでございました。