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閑人
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ひまじん
ふりがな文庫
“
閑人
(
ひまじん
)” の例文
そこへ来て
午睡
(
ひるね
)
をする怠け者もあった。将棋を差している
閑人
(
ひまじん
)
もあった。女の笑顔が見たさに無駄な銭を遣いにくる道楽者もあった。
半七捕物帳:04 湯屋の二階
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
毎朝の仕事のようにしてよんでいた演芸風聞録が読めないのでなんだか顔でも洗いそこなったような気持ちのする
閑人
(
ひまじん
)
もあったろう。
一つの思考実験
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
尤
(
もっと
)
も沼南は極めて多忙で、地方の有志者などが
頻繁
(
ひんぱん
)
に出入していたから、我々
閑人
(
ひまじん
)
にユックリ
坐
(
すわ
)
り込まれるのは迷惑だったに違いない。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
恐らく、気のいい
閑人
(
ひまじん
)
だろう、そんな忠告をしてくれる人も中にはあった。——聞かれるままに、おふじは松枝にそんな話をした。
鋳物工場
(新字新仮名)
/
戸田豊子
(著)
師の御房は、そのもとのような
閑人
(
ひまじん
)
と、争っている
間
(
ま
)
はありません。一念ご修行の最中です。
不肖
(
ふしょう
)
ながら、私は、身をもって、邪魔者を
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
その頃の五兩は人間一人一年の給料よりも多く、先づは大金と言ふべきで、町の
閑人
(
ひまじん
)
達は有頂天になつて噂を撒き散らしました。
銭形平次捕物控:226 名画紛失
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
見通しの明白でない干渉、相手の器量に無頓着な干渉、まったく
閑人
(
ひまじん
)
にかかっちゃかなわない……と、いいたいところである。
現代茶人批判
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
がみな単に
閑人
(
ひまじん
)
である。それらの閑人のうちには、厄介者もあり、退屈してる者もあり、夢想家もいれば、変わった男もいる。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
俺はさう
閑人
(
ひまじん
)
ぢやないから丁度此処で会つたが幸ひだから何んとか返事をして貰はう。何? 家へ来い? いけないよ。家へ来いとは何んだ。
火つけ彦七
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
ひとつ面白いから騒がしてやれなんかという好奇な
閑人
(
ひまじん
)
があってかかる
不届
(
ふとど
)
きな
悪戯
(
いたずら
)
を組織的に始めないともかぎらない。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
「僕はいくら
閑人
(
ひまじん
)
だって、君に
軽蔑
(
けいべつ
)
されようと思って車を飛ばして来やしない。——とにかく浅井の云う通なんだろうね」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「早蝉」と題して、月が出ると先づ山を照らし、風が生まれると先づ水を動かすが、丁度そのやうに早蝉の鳴声は、逸早く
閑人
(
ひまじん
)
の耳につくものだ。
独楽園
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
豊臣時代の
狩野
(
かのう
)
の画家の名であることを知り、今日のこの時勢に、一枚の絵を見ようとして、
陸奥
(
みちのく
)
まで出かける
閑人
(
ひまじん
)
……一人の画工にあこがれて
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それらは多くの
閑人
(
ひまじん
)
どもの意見だけを代表してるものでないかどうか、あるいはただ作者だけの一人よがりでないかどうか、それがわからなかった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
決して
瀞八丁
(
どろはっちょう
)
などと風景の
詮議
(
せんぎ
)
をする
閑人
(
ひまじん
)
の命名ではなく、実際生活と交渉があるので名ができたものである。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
尤
(
もっと
)
もそののち
下渋谷
(
しもしぶや
)
の近くの寮に鎌子が隠れ住むという風説が立つと、物見高い
閑人
(
ひまじん
)
たちはわざわざ出かけていって、その構えの垣の廻りをうろついていた。
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
敵情を探るのは探偵の
係
(
かかり
)
で、
戦
(
たたかい
)
にあたるものは戦闘員に限る、いうてみれば、
敵愾心
(
てきがいしん
)
を起すのは常業のない
閑人
(
ひまじん
)
で、
進
(
すすん
)
で国家に尽すのは
好事家
(
ものずき
)
がすることだ。
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
会社の
閑人
(
ひまじん
)
共が拵えた子福者番附によると、東の大関が社長の十人で、西の大関が山下さんの八人だ。しかし社長は子供の自慢をしない。尤も皆好くないそうだ。
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その男を使ってる「
閑人
(
ひまじん
)
」も惨めだが、その男は一層惨めで、救済してやる必要がある、とも考えた。
微笑
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
家には働手が多勢ゐて自分は
閑人
(
ひまじん
)
なところから、毎日考へてゐた所へ、幸ひと二人の問題が起つたので、構はずにや置かれぬから何なら自分が行つて呉れても
可
(
い
)
いと
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
仕事
(
しごと
)
にいそがしいから、そんなことは
考
(
かんが
)
えませんよ。」と、おじいさんは、さびしいとか、さびしくないとかいうのは、
閑人
(
ひまじん
)
のいうことだとばかりに
返事
(
へんじ
)
をしました。
夏とおじいさん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
尤
(
もっと
)
もこれは
閑人
(
ひまじん
)
どもが、道楽に啼かせているのじゃない。いずれも専門の小鳥屋が、(実を云うと小鳥屋だか、それとも又鳥籠屋だか、どちらだか未だに判然しない。)
上海游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
こんな時分に
遊山
(
ゆさん
)
に出かける
閑人
(
ひまじん
)
はあまりいないと見えて、遊覧船風にゆっくりと仕立ててある特等の客室は、二階の西洋間の方も階下の日本室の方もガランとしている。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
けれども、其も、断片知識の
衒燿
(
ひけらかし
)
や、随筆的な気位の高い発表ばかりが多いのでは困る。唯の
閑人
(
ひまじん
)
の
為事
(
しごと
)
なら、どうでもよい。文学に携る人々がこれでは、其作物が固定する。
歌の円寂する時
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
尤もそれをはつきり確かめるほどには、十吉は
閑人
(
ひまじん
)
でも物ずきでもなかつたけれど。……
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
閑人
(
ひまじん
)
の多いその頃のことである。何々番付という見立てが大いに
流行
(
はや
)
って、なかにも、美人番付には毎々江戸中の人気が
沸騰
(
ふっとう
)
した。その美人番付の筆頭に据えられたお園である。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
幸
(
さいはひ
)
師匠
(
ししやう
)
はマア
寄席
(
よせ
)
へもお
出
(
で
)
なさいません
閑人
(
ひまじん
)
でいらつしやる事でげすから、
御苦労
(
ごくらう
)
ながら三
遊
(
いう
)
社
(
しや
)
の
総代
(
そうだい
)
として、
貴方
(
あなた
)
京都
(
きやうと
)
へ
行
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さる
訳
(
わけ
)
には
参
(
まゐ
)
りませんかと、
円朝
(
わたくし
)
が
頼
(
たの
)
まれました。
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「人前で恥をかかすものじゃねえ。下総、下総と大きな声で言や、田舎もののお里が分るじゃねえかよ。それにしても梅甫さん、江戸ってところは、よくよく
閑人
(
ひまじん
)
の多いところだね」
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
あちこちの辻角には村の
閑人
(
ひまじん
)
や賢人たちの會合が開かれてゐる。彼等がそこに陣取つてどんな重大な目的を達しようとするのかと云ふと、驛傳馬車の通るのを見物することに外ならない。
駅伝馬車
(旧字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
私は、極端な
閑人
(
ひまじん
)
であった。法律の本なんか見る興味は、全然ない。植木いじりか、子供いじりか、碁いじりである。そこでだらしのない和服で、
閑父
(
かんぷ
)
、
閑児
(
かんじ
)
を携えて近所をうろつくのである。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
閑人
(
ひまじん
)
達はまだやめないで彼をあしらっていると、遂に打ち合いになる。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
あちらは
閑人
(
ひまじん
)
だからって。
みごとな女
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
もっとも自分のような
閑人
(
ひまじん
)
はおそらく除外例かもしれないから、まず大多数の人はかなり迷惑を感じたものと見たほうが妥当には相違ない。
一つの思考実験
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
などと、物見高い
閑人
(
ひまじん
)
が、輪を作って
囁
(
ささや
)
き合っていると、不意に顔を上げた新九郎が、酒乱のような
真
(
ま
)
っ
蒼
(
さお
)
な
面
(
おもて
)
に、鋭い目を吊るし上げて
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
江戸時代の
閑人
(
ひまじん
)
の間に、『見立て』とか『番附』の流行つたことは想像以上で、今日に殘る
惡刷
(
あくずり
)
、洒落本などにその盛大さを傳へて居ります。
銭形平次捕物控:286 美男番附
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今年
(
ことし
)
は例年より気候がずつと
緩
(
ゆる
)
んでゐる。殊更
今日
(
けふ
)
は
暖
(
あたゝ
)
かい。三四郎は
朝
(
あさ
)
のうち湯に行つた。
閑人
(
ひまじん
)
の
少
(
すく
)
ない世の
中
(
なか
)
だから、午前は
頗
(
すこぶ
)
る
空
(
す
)
いてゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
往時
(
むかし
)
の
閑人
(
ひまじん
)
はこんな
輩
(
てあひ
)
に驚かないやうに、武士道や禅学で
胆
(
きも
)
を練つたものだが、今の人達は、武士道や禅学の代りに、お蔭で「生活難」で鍛へられてゐる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
敵情を探るのは探偵の係で、
戦
(
たたかい
)
にあたるものは戦闘員に限る、いふて見れば、
敵愾心
(
てきがいしん
)
を起すのは常業のない
閑人
(
ひまじん
)
で、
進
(
すすん
)
で国家に尽すのは
好事家
(
ものずき
)
がすることだ。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
やくざな男で、一種の
乞食
(
こじき
)
音楽者で、浮浪の
閑人
(
ひまじん
)
で、彼女を
打擲
(
ちょうちゃく
)
し、彼女が彼とでき合った時のように嫌悪の情に満たされて、彼女を捨てて行ってしまった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
旗本に限らず、御家人に限らず、江戸の侍の次三男などと言ふものは、概して
無役
(
むやく
)
の
閑人
(
ひまじん
)
であつた。
半七捕物帳:01 お文の魂
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すなわち木彫の
熊
(
くま
)
や箱庭の家やつまらぬ置物など、なんらの創意もないいつもきまりきった品物、破廉恥な書物を並べてる正直な本屋など——すべて、無数の
閑人
(
ひまじん
)
どもが
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ウエルテル、ロミオ、トリスタン——古来の恋人を考へて見ても、彼等は皆
閑人
(
ひまじん
)
ばかりである。
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
知己友人に当りをつけてみたところで、オイソレと同行に加わるような
閑人
(
ひまじん
)
は見つからない。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「いずれ君のような
閑人
(
ひまじん
)
のやる事だな。僕みたいな貧乏人にはとてもそんな時間はないよ」
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
是を
閑人
(
ひまじん
)
の所行のごとく
看
(
み
)
られることは、私は構わないが世の中のために望ましくない。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
が、小さい記事だからあまり人眼に触れまいと思うのは大変な間違いである。新聞というものは、おそろしいほど隅から隅まで読まれているものだ。とにかく眼が多い。
閑人
(
ひまじん
)
が多い。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
知識
(
しりあい
)
の喧嘩屋の店から出て来たこの二人に奇妙に興味を感じて、そこは夜と言わず昼と言わず
閑人
(
ひまじん
)
の魚心堂のことだから、何となくあとをつけてみる気になっただけのことだが——。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「いや、もう老骨の役に立たずです。
閑人
(
ひまじん
)
ですから、遊びに来て下さい」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
もしや物好きな
閑人
(
ひまじん
)
のためにどこかの図書館の
棚
(
たな
)
のちりの奥から掘り出されでもすると実にたいへんな恥を百年の後にさらすことになるのである。
映画雑感(Ⅳ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
こやつも、
閑人
(
ひまじん
)
とみえ、むだな事を
為
(
し
)
ているものだ、大夫は、赤穂の
浜方
(
はまかた
)
の者へ貸金の残余を取り立てに参られたのだ。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“閑人”の意味
《名詞》
ひまが多い人。
世俗を離れ閑居する人。
(出典:Wiktionary)
閑
常用漢字
中学
部首:⾨
12画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“閑人”で始まる語句
閑人達
閑人気分
閑人適意
閑人免進悪狗咬人