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鉄
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かね
ふりがな文庫
“
鉄
(
かね
)” の例文
旧字:
鐵
枕元には、
薬研台
(
やげんだい
)
の上に、
錆
(
さ
)
びた
鉄
(
かね
)
の
灯皿
(
ひざら
)
がおいてある。その微かな燈心の揺らぎで見返しても——また合点のゆかないふしがある。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鉄
(
かね
)
の橋のそばの富竹という寄席には、横浜生え抜きの
落語家
(
はなしか
)
桃太郎と
千橘
(
せんきつ
)
の招き行燈が、
冬靄
(
ふゆもや
)
のなかに華やかな灯の色を見せて揺れていた。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
この御縁談ばっかりは大丈夫、
鉄
(
かね
)
の脇差と御請合い申しました私も、胸に釘を打たるる思いが致しまする。
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「彦のこった、大丈夫
鉄
(
かね
)
の脇差し——
即
(
つ
)
かず離れず見え隠れ、通う千鳥の淡路島、忍ぶこの身は——。」
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「そうじゃ。余り、びくびくすると、張りこが、
鉄
(
かね
)
に見える。世間が泰平じゃと、話が、面白
可笑
(
おか
)
しく尾に鰭をつけていかん。大作など、人気とりの山師にすぎん」
三人の相馬大作
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
▼ もっと見る
伊「花里さん、もう
些
(
ちっ
)
とだから辛抱しておいでよ、ちょいと首を出して御覧、品川はあんなに遠くなったから、
此処
(
こゝ
)
まで来れば大丈夫
鉄
(
かね
)
の
鞋
(
わらじ
)
だ、
己
(
おい
)
らは
強
(
えら
)
くなったぜ」
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一等辛いことは——動作は簡単だが、こう手をのべてピストルを握れば、
鉄
(
かね
)
の肌が
冷々
(
ひえびえ
)
として——
ピストルの蠱惑
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「あなたの方の身体は
鉄
(
かね
)
ですか」と丈夫な子供等に向って言暮しているという嫂の言葉
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
先刻
(
さっき
)
、横浜駅前の(現今の
桜木町
(
さくらぎちょう
)
駅)
鉄
(
かね
)
の橋を横に見て、いつもの通り、
尾上町
(
おのえちょう
)
の方へ出ようとする
河岸
(
かし
)
っぷちを通ると、
薄荷
(
はっか
)
を製造している薄荷の
香
(
にお
)
いが、
爽快
(
そうかい
)
に鼻をひっこすった
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その杖の先には
鎗
(
やり
)
のような
鉄
(
かね
)
が付いて居るです。もっとも
沢山
(
たくさん
)
雪の広く積ってある所はそれほど巌も厳しくもなし、まあ平坦になって居りますから登り易いがそうでない所は実に危ない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
短気の石山さんが、
鈍
(
どん
)
な久さんを
慳貪
(
けんどん
)
に叱りつける。「車の
心棒
(
しんぼう
)
は
鉄
(
かね
)
だが、鉄だァて
使
(
つか
)
や
耗
(
へ
)
るからナ、
俺
(
おら
)
ァ段々
稼
(
かせ
)
げなくなるのも無理はねえや」と、
小男
(
こおとこ
)
ながら小気味よく稼ぐ
辰
(
たつ
)
爺さんがこぼす。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
鉄
(
かね
)
の鎖で辛うじて谿底の方へくだつて行つたことだの、それから、谿間の
巌
(
いは
)
から湯が威勢よく
湧
(
わ
)
いてながれてゐるところだのをおぼえてゐる。もどりに
志津
(
しづ
)
に一泊して、びしよぬれの衣服をほした。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
二葉の新芽に雪霜のふりかかりて、これでも延びるかと押へるやうな仕方に、
堪
(
た
)
へて真直ぐに延びたつ事人間わざには
叶
(
かな
)
ふまじ、泣いて泣いて泣き尽くして、訴へたいにも父の心は
鉄
(
かね
)
のやうに冷えて
ゆく雲
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
が
溝
(
どぶ
)
はなしに柵を
一小間
(
ひとこま
)
、ここに南天の実が赤く、根にさふらんの花が
芬
(
ぷん
)
と薫るのと並んで、その出窓があって、
窓硝子
(
まどがらす
)
の上へ
真白
(
まっしろ
)
に塗った
鉄
(
かね
)
の格子、まだ色づかない、
蔦
(
つた
)
の葉が桟に縋って
廂
(
ひさし
)
に
這
(
は
)
う。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「私、
鉄
(
かね
)
の草鞋を穿いても、もっと綺麗な人を探して上げますわ」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
棒と思つたのは、
鉄
(
かね
)
の
熊手
(
くまで
)
である。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
鉄
(
かね
)
の靴
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
来
(
らい
)
の
了戒
(
りょうかい
)
のあざやかな
鉄
(
かね
)
色が、静かに、そして鋭く、眼光刀光が一すじになって詰め寄ろうとしています——
平手
(
ひらて
)
青眼
(
せいがん
)
のかたちに。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
アノお隣で、
何
(
なん
)
の
釘
(
くぎ
)
を打つんだと
申
(
まう
)
しますから、
蚊帳
(
かや
)
の
釣手
(
つりて
)
を打つんですから
鉄釘
(
かなくぎ
)
で
御座
(
ござ
)
いませうと
申
(
まう
)
しましたら、
鉄
(
かね
)
と
鉄
(
かね
)
との
摺
(
す
)
れ
合
(
あ
)
ひで
金槌
(
かなづち
)
が
減
(
へ
)
るから
貸
(
か
)
せないと
申
(
まう
)
しました。
吝嗇家
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ハハハ。初耳どころか。この縁談ばっかりは大丈夫、間違いのない
鉄
(
かね
)
の脇差と思うて、結納の済んだ話を聞いて以来、安心し切っておったがなあ。一体その故障と言うのは何かいなあ」
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しいんと頭のはちを
鉄
(
かね
)
の輪でしめつけられるような
悪酔
(
わるよい
)
がのぼって来る。こめかみの脈がずきずきと聞えるほど高く
搏
(
う
)
つ。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
図書館にモグリ込んだり……
好
(
す
)
いた同志が結婚間際でイヤになったり……
鉄
(
かね
)
の
草鞋
(
わらじ
)
で探し当てたタッタ一つの就職口をハガキ一本で断ったりするような、重大な心理の変化が引っきりなしに起るのは
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
当時の横浜銀座ともいえる
鉄
(
かね
)
の橋のすぐそばに関川歯科医院というのがあり、そこの令嬢が夢二の少女みたいに見えた。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『兄は、上田の御城下に住む、
河村寿隆
(
かわむらかずたか
)
の門に
習
(
まな
)
び——私はその兄から、十三四歳の頃より、
鎚
(
つち
)
の打ち方、重ね
鉄
(
かね
)
の仕方、土取り、火入れまで教わりました』
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鉄
(
かね
)
ノ橋を渡って、関内の或る待合の門まで来ると「家へ帰っていい」と、ぼくを放し
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
運命は
悪戯者
(
いたずらもの
)
というが、こんな弱者の家庭へも同じに見舞った。皮肉にも浜子の死後まもなく、ちょっと家運が開けた。どういう金が入ったのか、家は
鉄
(
かね
)
ノ橋側の吉田町二丁目へ引移った。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
抜き取った白い
鉄
(
かね
)
の肌には、まざまざと人間のギラが浮いている。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「まあ、きれいな
鉄
(
かね
)
の色ですこと」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(七ツ違いは
鉄
(
かね
)
の
草鞋
(
わらじ
)
でさがせ)
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“鉄”の解説
鉄(てつ、鐵、en: iron、la: ferrum)は、原子番号26の元素である。元素記号はFe。金属元素のひとつで、遷移元素である。太陽や、ほかの天体にも豊富に存在し、地球の地殻の約5 %を占め、大部分は外核・内核にある。
(出典:Wikipedia)
鉄
常用漢字
小3
部首:⾦
13画
“鉄”を含む語句
鉄槌
鉄棒
蹄鉄
鉄鎖
鉄砲
鉄板
地下鉄
鋼鉄
鉄格子
鉄鎚
鉄鉢
鉄屑
鉄軌
鉄火箸
鉄砲玉
鋳鉄
鉄漿
鉄柵
鉄拳
鉄梯子
...