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醜男
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ぶおとこ
ふりがな文庫
“
醜男
(
ぶおとこ
)” の例文
そのうえいたっての
醜男
(
ぶおとこ
)
であったに反し、相手方の江戸錦四郎太夫はまた、当時相撲取り中第一の美男子だったという評判のうえに
右門捕物帖:12 毒色のくちびる
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
朝山日乗
(
あさやまにちじょう
)
は、稀れに見る
醜男
(
ぶおとこ
)
だった。同じ醜男でも、荒木村重には、どこか愛すべき風骨があるが、日乗は
脂
(
あぶら
)
くさい入道であった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
頬にも大きい疵のあとがあって、口のまわりにも
歪
(
ゆが
)
んだ引っ吊りがあって、人相のよくない髭だらけの
醜男
(
ぶおとこ
)
だったということです
半七捕物帳:18 槍突き
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
相当のインテリと見えますが、非常な
醜男
(
ぶおとこ
)
のオッチョコチョイ、一流の激情家の腕力自慢というところから、よくゴシップに出て来ます。
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「そうかなあ、そうかなあ」吉次は
茫然
(
ぼっ
)
として考えたが、「
俺
(
おい
)
らは
醜男
(
ぶおとこ
)
で片輪者で、女に思われたことなんかない。俺らの方では想ったがな。 ...
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
醜男
(
ぶおとこ
)
のニルマーツキイを選び出して、うつ
伏
(
ぶ
)
せに
寝
(
ね
)
るように命じたばかりか、顔を胸へたくし
込
(
こ
)
ませさえしたものである。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
ここに
桑盛次郎右衛門
(
くわもりじろうえもん
)
とて、隣町の裕福な質屋の
若旦那
(
わかだんな
)
、
醜男
(
ぶおとこ
)
ではないけれども、鼻が大きく
目尻
(
めじり
)
の垂れ下った何のへんてつも無い
律儀
(
りちぎ
)
そうな
鬚男
(
ひげおとこ
)
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
まったくの
醜男
(
ぶおとこ
)
だった。しかしクリストフは、彼をながめ彼の手を握りしめると、ある安らかな気持を覚えた。ブラウンは驚きの情を隠さなかった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
時次郎にとっては、マンを独占している男が、
醜男
(
ぶおとこ
)
で、グウタラで、無能で、なんの取り柄もないヤクザ者であった方が、はるかに、よいのであった。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
都ホテルや京都ホテルで
嗅
(
か
)
いだ男のポマードの
匂
(
にお
)
いよりも、野暮天で
糞真面目
(
くそまじめ
)
ゆえ「お寺さん」で通っている
醜男
(
ぶおとこ
)
の寺田に作ってやる
味噌汁
(
みそしる
)
の匂いの方が
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
その
肝腎
(
かんじん
)
なものを
箆
(
へら
)
で
掬
(
すく
)
ったように根こそぎ
殺
(
そ
)
がれて、そこが平べったい赤い傷口になっているのだから、並みの
醜男
(
ぶおとこ
)
の顔よりも尚醜悪で、滑稽であった。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そして生れたのがお米であるが、
醜男
(
ぶおとこ
)
の清作に似たところはなく、どことなく専信の面影を宿していた。その時以来夫婦の仲は冷えきってしまったのである。
明治開化 安吾捕物:09 その八 時計館の秘密
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
醜男
(
ぶおとこ
)
だけが誰もかまい手がないから、それでやむを得ず善人でいられるんですって。ですから大抵の女は、善人よりも悪人に惚れますよ、といってやりました
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
金六に引合せられたのは、成程お國がヒヨツトコの國から來た男といふだけあつて
醜男
(
ぶおとこ
)
ではあるが、何んとなく人付きの良い、道樂者らしい肌合ひの男でした。
銭形平次捕物控:255 月待ち
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
生れつき
醜男
(
ぶおとこ
)
であった黒吉は、あのブランコからの墜落で、片足と片眼を失い、その上顔の右上から斜め下に、太い
蚯蚓
(
みみず
)
のようなひっつりを作ってしまった今
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
相手は
醜男
(
ぶおとこ
)
であろうと想像していたのであったが、その実柴田は俳優にでもありそうなタイプのやさしい顔のもち主であったので、まず第一に驚いたのであった。
誰が何故彼を殺したか
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
そうでしょう、大きな鍋が、鉄のつるを立てて、箱のなかにどっかと腰をすえているところは、真っ黒な
醜男
(
ぶおとこ
)
が勝ちほこった皮肉の笑いを笑っているようで——。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
どう
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見ても彼を美男とは云えない。非常な
醜男
(
ぶおとこ
)
ではなかったけれど決して美しくはなかった。
夢の殺人
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
この小さんは、美音で音曲にも長じてゐたが、ひどい
大菊石
(
おほあばた
)
でその
醜男
(
ぶおとこ
)
が恐る可き話術の妙、
傾城
(
けいせい
)
八つ橋の、花に似た
顔
(
かんばせ
)
の美しさを説くと、満座おもはず恍惚となる。
吉原百人斬り
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
好きこのんで
醜男
(
ぶおとこ
)
になったんじゃあない、頭の悪いのも不器用なのも、みんな親が生みつけてくれたんだ、笑うなら親を笑ってくれ、おれは時どきそう
呶鳴
(
どな
)
りたくなる
恋の伝七郎
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
面胞
(
にきび
)
だらけの
小汚
(
こぎた
)
ない
醜男
(
ぶおとこ
)
で、口は重く気は利かず、文学志望だけに能書というほどではないが筆札だけは
上手
(
じょうず
)
であったが、その外には才も働きもない
朴念人
(
ぼくねんじん
)
であった。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
至って
醜男
(
ぶおとこ
)
で、熊のような、毛だらけな男でございますが、女房はそれは/\美くしい女で、權六は命の親なり、
且
(
かつ
)
其の気性に惚れて夫婦になりたいと美人から望まれ
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
町住まいの兄ぎみよりも一段と
醜男
(
ぶおとこ
)
でしたが、かてて加えて村里ぐらしのうちにすっかり「毛もくじゃら」になって、おまけに「つらの皮がごわごわ」になっていることに
かもじの美術家:――墓のうえの物語――
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
それは別に好男子でもないかわりに
醜男
(
ぶおとこ
)
でもなく、
肥
(
ふと
)
りすぎてもいなければ
痩
(
や
)
せすぎてもいず、また年配も、
老
(
ふ
)
けているとはいえないが、さりとてあまり若い方でもなかった。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
私、はじめてここに来た時、あなたなんて、黙りこくって
醜男
(
ぶおとこ
)
な人、いるんだかいないんだかわからなかったんですけど、だんだん、だんだあん好きになってきてしまいましたわ。
ドモ又の死
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
その恋人が、まるで
古草履
(
ふるぞうり
)
でも捨てるように、兄をふり捨てて、つばをはきかけて、相手もあろうに、二十も年上の、
醜男
(
ぶおとこ
)
の、詐欺師に、みずから進んでとついで行ったのです。……
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
正直なことをいうと、山岡も稀に見る
醜男
(
ぶおとこ
)
の方なのである。上背は四尺六、七寸、肩幅が広くてずんぐりしている。丸い顔に、丸い頭を玉石のようにいが栗にして、いつも元気がいい。
縁談
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
艶福家は兎角
羨
(
うらや
)
まれる。慰藉料ぐるみなら、艶福と同時に実利も占めている。美人の奥さんに対して、木寺君は
寧
(
むし
)
ろ
醜男
(
ぶおとこ
)
だから、話題になり易い。会社の方の成績も見るべきものがない。
妻の秘密筥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「馬鹿な事をおっしゃい。誰があなたのような
醜男
(
ぶおとこ
)
に
意
(
い
)
なんぞあるもんですか」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
美男
(
びなん
)
ですよ、あの犬は。これは黒いから、
醜男
(
ぶおとこ
)
ですわね。」
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
渋染
(
しぶぞめ
)
の頭巾をこう
被
(
かぶ
)
りましてね、
袖無
(
そでな
)
しを着て、何のことはない、
柿右衛門
(
かきえもん
)
が線香を持ったような……だが
肥
(
ふと
)
っちょな
醜男
(
ぶおとこ
)
でさ」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「先刻のボーイは
醜男
(
ぶおとこ
)
だが、今のボーイは可愛いだろう。あれだけの美貌を持ったボーイは、日本人にも
一寸
(
ちょっと
)
無いよ」
広東葱
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それは、かならず、酒場に
於
(
お
)
いて
醜男
(
ぶおとこ
)
が美男子に向って投げつけた言葉です。ただの、イライラです。
嫉妬
(
しっと
)
です。思想でも何でも、ありゃしないんです。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ベートーヴェンが聾で唖だったことをクリストフに教え、それでももしベートーヴェンを知ったら、どんなに
醜男
(
ぶおとこ
)
でも自分は彼を愛したはずだと言った。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
すべて、がんりきの目安では、あらゆる男性を区別して、色男と、
醜男
(
ぶおとこ
)
とに分ける。色男でない者はすなわち醜男であり、醜男でない者はすなわち色男である。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
幹助は熊の子のように
不意気
(
ふいき
)
で
醜男
(
ぶおとこ
)
だから、口ではお艶を大嫌いで仕様が無いように言って居るが
銭形平次捕物控:238 恋患い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
己
(
おら
)
ア
家
(
うち
)
へ嫁に来て
己
(
おら
)
ア
醜男
(
ぶおとこ
)
で誠に何処と云って取り所も何もねえが、
己
(
おら
)
ア精神を見抜いてお
前
(
めえ
)
の親父様もくれたゞから、末長く成るべいが、夫婦は
初見
(
しょけん
)
にあると云うから
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
Wは元来の結核系統の
家
(
うち
)
に生れたせいか、その当時の学生の
中
(
うち
)
でも一二を争う好男子の偉丈夫で、性質は念に念を入れる神経質の実際家……Mはまたその頃から
矮躯
(
チビ
)
の
醜男
(
ぶおとこ
)
で
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
容貌
(
ようぼう
)
の印象は頬が豊かに、
頤
(
あご
)
の骨が四角に突き出で、決して
醜男
(
ぶおとこ
)
ではないけれども、顔の割り合いに目鼻口の
造作
(
ぞうさく
)
が総べて大きく、いかにも
沈毅英邁
(
ちんきえいまい
)
な豪傑の相たるに
背
(
そむ
)
かない。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
あばたの敬四郎がたとい日本第一の
醜男
(
ぶおとこ
)
であったにしても、一歩先んじられたという事実はあくまでも事実なんだから、右門はそのきりっとした美しい面にほろ苦い苦笑をもらすと
右門捕物帖:02 生首の進物
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
陛下に拝謁しようというので、伯爵の弟が草深い持村から出て来たが、それがまた兄貴に輪をかけた
醜男
(
ぶおとこ
)
な上に、久しい間の田舎ぐらしで制服を着たこともなければ、ひげを剃ったこともない。
かもじの美術家:――墓のうえの物語――
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
伊賀のあばれン坊としてのすばらしい剣腕は、伝え聞いている——きっと見るからに赤鬼のようなあの、うちの峰丹波のような大男で、馬が紋つきを着たような
醜男
(
ぶおとこ
)
にきまっていると、萩乃は思った。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
(成るほど、俺は不具だ、おまけに
醜男
(
ぶおとこ
)
だ……)
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
戸部 俺の兄貴は
醜男
(
ぶおとこ
)
だったなあ。
ドモ又の死
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
顔に、あばたはあるし、あだ名の通りなスガ目だし、四十幾つの男ざかりだが、父はたしかに
醜男
(
ぶおとこ
)
ではある。正直、子の清盛でも、そう思う。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
良人
(
おっと
)
になる奉行の息子というのが、
兎口
(
みつくち
)
の
醜男
(
ぶおとこ
)
なので嫌いぬいていたんですが、親と親との約束なのでどうにもならず、それで婚礼の席へは出たものの
猿ヶ京片耳伝説
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
こんな事を言っちゃ悪いけれど、この俊雄君は、僕が今までに見た事もない
醜男
(
ぶおとこ
)
なのだ。実に、ひどいんだ。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
この殿様は、駒井能登守のように水の垂れるような美男とはいえないが、決して
醜男
(
ぶおとこ
)
の部類ではない。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ベートーヴェンはそんなに
醜男
(
ぶおとこ
)
ではなかったと、クリストフは抗弁した。そして二人は、美と醜とについて議論した。すべては趣味によるのだと彼女は説きたてた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
振りかぶった丹之丞の
刃
(
やいば
)
と、石田清左衛門の間へ入ったのは、念入りの
醜男
(
ぶおとこ
)
のくせに、軽捷で精力的で、何となく
強
(
したた
)
かさを感じさせる正三郎——丹之丞の遠い従弟という
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“醜男(
不細工
)”の解説
不細工(ぶさいく)とは、外見や人相が醜い様や劣る様を指す。元は細工(工芸品)の出来が悪いことをいった。転じて、物事一般に体裁が悪いこと、醜いこと、好ましくないことを指す。それに付け加え悪口にも含まれる。そしてその人物の内面を指して使うこともある。人物に対して呼称する場合は女性の場合は不美人(ふびじん)・醜女(ぶおんな・しこめ)やブス、男性の場合は醜男(ぶおとこ・しこお)と言う。
(出典:Wikipedia)
醜
常用漢字
中学
部首:⾣
17画
男
常用漢字
小1
部首:⽥
7画
“醜男”で始まる語句
醜男子
醜男面