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踏張
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ふんば
ふりがな文庫
“
踏張
(
ふんば
)” の例文
腰に下げた
手拭
(
てぬぐい
)
をとって、海水帽の上から
確
(
しか
)
と
頬被
(
ほおかむり
)
をした。而して最早大分
硬
(
こわ
)
ばって来た
脛
(
すね
)
を
踏張
(
ふんば
)
って、急速に歩み出した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
やがて、甲羅を、残らず藻の上へ水から離して
踏張
(
ふんば
)
った。が、力足らず、乗出した
勢
(
いきおい
)
が余って、取外ずすと、ずんと沈む。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
両足を
踏張
(
ふんば
)
って、組み合せた手を、
頸根
(
くびね
)
にうんと椅子の背に
凭
(
もた
)
れかかる。
仰向
(
あおむ
)
く途端に父の半身画と顔を見合わした。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何も大路であるから不思議なことは無い。たまたま又非常に重げな
嵩高
(
かさだか
)
の荷を負うて
喘
(
あえ
)
ぎ喘ぎ大車の
軛
(
くびき
)
につながれて
涎
(
よだれ
)
を垂れ脚を
踏張
(
ふんば
)
って行く牛もあった。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
気イ沈着ける心持で力ア入れて
踏張
(
ふんば
)
れば踏張る程足イ顫えるが、
何
(
ど
)
ういうもんだろう、
私
(
わし
)
イ
斯
(
こ
)
んなに身体顫った事アねえ、四年前に
瘧
(
おこり
)
イふるった事が有ったがね
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
必死の力を満身にこめてぐいと
一
(
ひ
)
と
踏張
(
ふんば
)
り、看視人たちの手を振りもぎった途端に、
赤裸
(
あかはだか
)
のからだは石畳のうえにころころと転がった。彼は首を
斬
(
き
)
り落とされたかと思った。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
たった一度足を
踏張
(
ふんば
)
っただけで、もうしっかりと、サッドルに腰を落ち着けてしまったのである。そうして自分の気質に相応した速度をふたたび恢復しようとして、彼は全力をつくした。
墓地へゆく道
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
霜の真白い浅瀬に足を
踏張
(
ふんば
)
って網を投げている翁の壮者を
凌
(
しの
)
ぐ腰付を筆者が橋の上から見下して、こちらを向かれたら、お辞儀をしようと思っていると、背後を通りかかった見知らぬ人がよく
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
遙かに下の方の山々の腰を
圍
(
めぐ
)
つて白い雲が湧上つて來た。急傾斜で息切がするが、友達の足は早い。彼は八度目の登山だつた。私は負けない氣を出して
踏張
(
ふんば
)
つた。風は益々烈しく、山鳴が聞えて來た。
山を想ふ
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
ぐつと
踏張
(
ふんば
)
つてゐる根があると思へば何でもないのだ
風は草木にささやいた:01 風は草木にささやいた
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
米友は短い両の足を、程よく
踏張
(
ふんば
)
りました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
飛ぶやら
刎
(
は
)
ねるやら、やあ!と
踏張
(
ふんば
)
って両方の
握拳
(
にぎりこぶし
)
で押えつける者もあれば、いきなり三宝
火箸
(
ひばし
)
でも火吹竹でも宙で振廻す人もある——まあ一人や二人は
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
君がいくら新体詩家だって
踏張
(
ふんば
)
っても、君の詩を読んで面白いと云うものが一人もなくっちゃ、君の新体詩も御気の毒だが君よりほかに読み手はなくなる訳だろう。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
細引を手に
捲
(
ま
)
き付けて足を
踏張
(
ふんば
)
る。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
こんな事は前例が
嘗
(
かつ
)
てない。
勃然
(
ぼつぜん
)
としていきり立つた従者が、づか/\石垣を横に
擦
(
す
)
つて、
脇鞍
(
わきぐら
)
に
踏張
(
ふんば
)
つて
雨ばけ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「へん年に一遍牛肉を
誂
(
あつら
)
えると思って、いやに大きな声を出しゃあがらあ。牛肉一斤が隣り近所へ自慢なんだから始末に終えねえ
阿魔
(
あま
)
だ」と黒は
嘲
(
あざけ
)
りながら四つ足を
踏張
(
ふんば
)
る。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「今に落としてやる」と圭さんは薄黒く
渦巻
(
うずま
)
く煙りを仰いで、
草鞋足
(
わらじあし
)
をうんと
踏張
(
ふんば
)
った。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
此
(
こ
)
の
女像
(
によざう
)
にして、もし、
弓矢
(
ゆみや
)
を
取
(
と
)
り、
刀剣
(
とうけん
)
を
撫
(
ぶ
)
すとせむか、いや、
腰
(
こし
)
を
踏張
(
ふんば
)
り、
片膝
(
かたひざ
)
押
(
おし
)
はだけて
身搆
(
みがま
)
へて
居
(
ゐ
)
るやうにて
姿
(
すがた
)
甚
(
はなは
)
だとゝのはず、
此
(
こ
)
の
方
(
はう
)
が
真
(
まこと
)
ならば、
床
(
ゆか
)
しさは
半
(
なか
)
ば
失
(
う
)
せ
去
(
さ
)
る。
甲冑堂
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
この女像にして、もし、弓矢を取り、刀剣を
撫
(
ぶ
)
すとせんか、いや、腰を
踏張
(
ふんば
)
り、片膝
押
(
おし
)
はだけて身構えているようにて姿甚だととのわず。この方が
真
(
まこと
)
ならば、床しさは半ば
失
(
う
)
せ去る。
一景話題
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今言った現代日本が置かれたる特殊の状況に
因
(
よ
)
って吾々の開化が機械的に変化を余儀なくされるためにただ
上皮
(
うわかわ
)
を滑って行き、また滑るまいと思って
踏張
(
ふんば
)
るために神経衰弱になるとすれば
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
予も何となく
後顧
(
うしろぐら
)
き心地して、人もや見んと
危
(
あやぶ
)
みつつ今一息と
踏張
(
ふんば
)
る機会に、提灯の火を
揺消
(
ゆりけ
)
したり。
黒白
(
こくびゃく
)
も分かぬ闇夜となりぬ。予は茫然として自失したりき。時に遠く一点の
火光
(
あかり
)
を認めつ。
黒壁
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今時
(
いまどき
)
バアで
醉拂
(
よつぱら
)
つて、タクシイに
蹌踉
(
よろ
)
け
込
(
こ
)
んで、いや、どツこいと
腰
(
こし
)
を
入
(
い
)
れると、がた、がたんと
搖
(
ゆ
)
れるから、
脚
(
あし
)
を
蟇
(
ひきがへる
)
の
如
(
ごと
)
く
踏張
(
ふんば
)
つて——
上等
(
じやうとう
)
のは
知
(
し
)
らない——
屋根
(
やね
)
が
低
(
ひく
)
いから
屈
(
かゞ
)
み
腰
(
ごし
)
に
眼
(
まなこ
)
を
据
(
す
)
ゑて
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
すぐに
摺抜
(
すりぬ
)
けて出直したのを見れば、うどん、当り屋とのたくらせた穴だらけの
古行燈
(
ふるあんどん
)
を提げて出て、
筵
(
むしろ
)
の上へ、ちょんと直すと、
奴
(
やっこ
)
はその蔭で、膝を折って、
膝開
(
ひざはだ
)
けに
踏張
(
ふんば
)
りながら、
件
(
くだん
)
の渋団扇で
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
で、足を
踏張
(
ふんば
)
り、両腕をずいと
扱
(
しご
)
いて
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どっこいと
踏張
(
ふんば
)
ったのでありまする。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
踏
常用漢字
中学
部首:⾜
15画
張
常用漢字
小5
部首:⼸
11画
“踏”で始まる語句
踏
踏込
踏臺
踏切
踏襲
踏台
踏石
踏留
踏掛
踏止