今昔ばなし抱合兵団:――金博士シリーズ・4―― (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかし千歳座の方は友人のS君と二人連れで見物に行って、自分自身の貧しい蟇口から勘定を支払ったのであるから、わたしは確かに記憶している。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
いかなる粗末な蟇口の中にも金のないことはなく、いかなるあわれな住家にも何らかの喜びのないことはなかった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
自動車が××署の前に止まると、沖田刑事は蟇口の底をはたいて車賃を払いながら、二階の一室へ桝本を連れ込んでおいて、とりあえず署長室へ報告に行った。
五階の窓:03 合作の三 (新字新仮名) / 森下雨村(著)
私は尻の上に位置するズボンのポケットから蟇口を引き出しながら、店の主人に値段を訊き、思わずまた底の方へ押し込まなければならなかった。三円五十銭だと云うのである。
指導物語:或る国鉄機関士の述懐 (新字新仮名) / 上田広(著)
何が私をこうさせたか:――獄中手記―― (新字新仮名) / 金子ふみ子(著)
ぶどう畑のぶどう作り (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)