茶色ちゃいろ)” の例文
庵主あんじゅさんは、よそゆきの茶色ちゃいろのけさをて、かねのまえにつと、にもっているちいさいかねをちーんとたたいて、おきょうみはじめた。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
茶色ちゃいろ表紙ひょうしに青いとじ糸を使い、中のかみ日本紙にほんし片面かためんだけにをすったのを二つりにしてかさねとじた、純日本式じゅんにほんしき読本とくほんでした。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
しかし、まりをくわえたいぬは、らぬかおをして、わきもせずに主人しゅじんについていくと、茶色ちゃいろいぬはいまにもとびつこうとしたのでありました。
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
試験管しけんかんをならべ、毒薬どくやくとかかれた茶色ちゃいろのびんをとりあげると、試験管の中に、たらたらと、三、四てきえきをたらしこんだ。
ダリヤの園を通ると、二尺あまりの茶色ちゃいろひもが動いて居る、と見たは蛇だった。蜥蜴とかげの様なほそい頭をあげて、黒いはりの様なしたをペラ/\さして居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
三太郎猿さんたろうざるはおうちゃくに、十兵衛じゅうべえひざ拝借はいしゃくしてもたれかかりながら、茶色ちゃいろの目をショボショボさせてながめている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
茶色ちゃいろかみをかぶったようなおとこ人形にんぎょうで、それをかせばをつぶり、こせばぱっちりと可愛かわい見開みひらいた。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ひつじのようにむくむくした、毛ののびた前足を前へつっぱり、くりくりした茶色ちゃいろをきょとんとあけて、わん、わんというよりは、おん、おんというような声でほえたてています。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
じつは、わたしはおばさんからづけおやになってくれってたのまれているんだよ。おばさんがね、白と茶色ちゃいろのぶちのむすこを一ぴき生んだもんだから、その子の洗礼せんれいにたちあってくれっていうのさ。
赤土あかつちはらには、だれもあそんでいませんでした。茶色ちゃいろいぬをつれたおとこひとは、ボールをすと、ちからいっぱい、これをとおくへかってげました。
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
はげしくいって、キッと小脇差こわきざしに手をかけて立ちどまると、甲虫かぶとむしのような茶色ちゃいろ具足ぐそくをつけたさむらいが、いきなりおどりあがって左右から二本のやりをつき向けた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昨夜、台所の竈台へっついだいの下の空籠からかごの中で、犬のピンがうめいたりさけんだりして居たが、到頭四疋子を生んだ。茶色ちゃいろが二疋、くろが二疋、あの小さな母胎ぼたいからよく四疋も生れたものだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
すこしはなれて、監督かんとくらしい役人やくにんが、茶色ちゃいろ帽子ぼうしかぶり、ゲートルをいて、さくらしたって見守みまもっていたのです。
汽車は走る (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そうです。わたしが、いまつくっています。もうじきにできあがりますが。」と、茶色ちゃいろのセーターを職工しょっこうが、電燈でんとうしたはたらかせながら、こたえました。
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
茶色ちゃいろふるびた帽子ぼうしななめにかぶった、くちひげのあるおじさんは、なんとなくずるそうなつきをして、自分じぶんのまわりにっている子供こどもたちのかおまわしました。
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、いつか、もちをふいてがしてやった茶色ちゃいろのとんぼが、また玉虫たまむしのおばさんのかげから、ずかしそうにして春子はるこさんにあいさつをしていたのでありました。
玉虫のおばさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるいえもんのところに、茶色ちゃいろいぬがはらばいになっていたが、このいぬつけると、きゅうにおきあがって、ほえはじめました。二ひきのいぬのあいだが、だんだんちかづきました。
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)