茗荷めうが)” の例文
今度こんどお客がとまつたら茗荷めうがはせよう、さうしたら無闇むやみに物を忘れてくだらう、ナニ此方こつち泥坊どろばうたのぢやアないからつみにはならねえや。
(和)茗荷 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「金谷健之助などとは嘘八百うそはつぴやくだ。南部樣の御藩中で、二十年前に浪人した、茗荷めうがの紋所は、大竹孫右衞門とわかつたよ」
蒸暑むしあつうちにもすべてがみづやうつきひかりびてすゞしい微風びふうつちれてわたつた。おつぎはうすからもち拗切ねぢきつて茗荷めうがせてひとつ/\ぜんならべた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
たづぬるにくはしからず、宿題しゆくだいにしたところ近頃ちかごろ神田かんだそだつた或婦あるをんなをしへた。茄子なす茗荷めうがと、油揚あぶらあげ清汁つゆにして、薄葛うすくづける。至極しごく經濟けいざい惣菜そうざいださうである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
茗荷めうがの塩漬ででもあるかな。あれなら吾輩大好物だが。」
あれだけ茗荷めうがはせてなにを忘れたんだらう。主「ヤ、彼奴あいつめ、昨夜ゆふべ宿泊料はたごれうはらふのを忘れてきアがつたんだわえ。 ...
(和)茗荷 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
すこまるみをいた十三にちつきしろの一つ/\の茗荷めうがうへひかつた。冷水れいすゐつたやうかきがゆら/\とうごいてうしろはやしたけこずゑもさら/\とつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「紋所は、抱き茗荷めうがのやうな、うろこのやうな、二つ菊のやうな——下屋敷が麻布か赤坂——あゝ判つた」
ひるばんじゆんわすれたが、ますねぎ玉子綴たまごとぢとりのスチウ、ますのすりみと椎茸しひたけ茗荷めうがわん
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
槃特はんどく相果あひはてゝからこれはうむると、其墓場そのはかばえたのが茗荷めうがだとふ事だ、されば「名をになふ」と書いて「めうが」とませる、だから茗荷めうがへば馬鹿ばかになる
(和)茗荷 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
それでもいそがしいおつぎはあせながしながら茗荷めうがもち佛壇ぶつだんそなへた。それからべつ拗切ねぢきつたもち豆粉きなこともランプのもとかれた。與吉よきちすぐ座敷ざしきすわつてつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
何やら蒔繪まきゑの紋があつたやうで、要心深くきれを卷いて隱してありましたが、何かのはずみで見えたのは、抱き茗荷めうがのやうな、うろこのやうな、二つ菊のやうな、——遠目でよくは判りませんが
「家中の物を調べるのだ。武家あがりとわかれば、書いたものか、紋のついたものがあるだらう。鍵屋金兵衞の紋は茗荷めうがだが、違つた紋があれば、そいつは何にかわけがあるに違ひない」