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芥子粒
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けしつぶ
ふりがな文庫
“
芥子粒
(
けしつぶ
)” の例文
一たん気がついて自然の中に立っておる自分を
顧
(
かえりみ
)
れば
芥子粒
(
けしつぶ
)
の何億兆分の一よりも小にして更に小なる存在であることに気づくであろう。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
いや、心の隅にも失くなってしまう。この体、この心の、どこをさがしたって、お通さんの存在などは
芥子粒
(
けしつぶ
)
ほどでもなくなってしまうのだ。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伝馬は巻き込まれるように見えた。が、すぐにヒョコリと現われた。
芥子粒
(
けしつぶ
)
のような伝馬は、だんだん大きくなって来た。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
この
広
(
ひろ
)
ッ
場
(
ぱ
)
でも目の及ぶ限り
芥子粒
(
けしつぶ
)
ほどの
大
(
おおき
)
さの売薬の姿も見ないで、時々焼けるような空を小さな虫が飛び
歩行
(
ある
)
いた。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それに金米糖の心核となるべき
芥子粒
(
けしつぶ
)
を入れて
杓子
(
しゃくし
)
で
攪拌
(
かくはん
)
し、しゃくい上げしゃくい上げしていると自然にああいう形にできあがるのだそうである。
備忘録
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
だが、こゝでは、こんな、とてつもない、大きな連中に会っては、この私はまるで
芥子粒
(
けしつぶ
)
みたいなものです。
ガリバー旅行記
(新字新仮名)
/
ジョナサン・スウィフト
(著)
そこへ仲好しのダンサーが、
芥子粒
(
けしつぶ
)
のように小さい丸薬を掌に載せ、片手にコップを持って来て
青い風呂敷包
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
七十五里を一目に見る
遠目金
(
とおめがね
)
、
芥子粒
(
けしつぶ
)
を卵の
如
(
ごと
)
くに見る近目金、猛虎の皮五十枚、五町四方見当なき鉄砲、
伽羅
(
きゃら
)
百
斤
(
きん
)
、八畳釣りの
蚊帳
(
かや
)
、四十二粒の
紫金
(
しこん
)
を
貫
(
ぬ
)
いたコンタツ。
ハビアン説法
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
自分が雄々しくなろうとする決心、それが無駄でないという信念も、結局は最後に来るその
芥子粒
(
けしつぶ
)
ほどの望みによって、全体命づけられることを、伸子はいなめなかった。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
すると、長方形の板の下の小さい眼は、
芥子粒
(
けしつぶ
)
より小さい二粒の涙を
漾
(
たた
)
えているのが見える。
不周山
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
たった一つ、
芥子粒
(
けしつぶ
)
ほどのプライドがある。それは、私が馬鹿であるということである。全く無益な、路傍の苦労ばかり、それも自ら求めて十年間、
転輾
(
てんてん
)
して来たということである。
困惑の弁
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
左官は自分の
芥子粒
(
けしつぶ
)
みたいな肝ッ玉に較べて、そう考え悩まずにはいられなかった。
放浪の宿
(新字新仮名)
/
里村欣三
(著)
芥子粒
(
けしつぶ
)
の信仰でも持っておれば、山に向かって海へはいれと言えば、山はその最初の命令とともに、猶予なく海へはいって行くってね、どうですかねグリゴリイ・ワシーリエヴィッチ
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
半ば臀部は溶けかかりながら、苦心
惨憺
(
さんたん
)
の末、ついに耳の中から
金箍棒
(
きんそうぼう
)
を取出して
鋼鑚
(
きり
)
に変え、金竜の角の上に
孔
(
あな
)
を
穿
(
うが
)
ち、身を
芥子粒
(
けしつぶ
)
に変じてその
孔
(
あな
)
に
潜
(
ひそ
)
み、金竜に角を引抜かせたのである。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
足下
(
きみ
)
は
昨夜
(
ゆうべ
)
はマブ
媛
(
ひめ
)
(夢妖精)とお
臥
(
ね
)
やったな!
彼奴
(
あいつ
)
は
妄想
(
もうざう
)
を
産
(
う
)
まする
産婆
(
さんば
)
ぢゃ、
町年寄
(
まちどしより
)
の
指輪
(
ゆびわ
)
に
光
(
ひか
)
る
瑪瑙玉
(
めなうだま
)
よりも
小
(
ちひ
)
さい
姿
(
すがた
)
で、
芥子粒
(
けしつぶ
)
の一
群
(
ぐん
)
に
車
(
くるま
)
を
牽
(
ひか
)
せて、
眠
(
ねぶ
)
ってゐる
人間
(
にんげん
)
の
鼻柱
(
はなばしら
)
を
横切
(
よこぎ
)
りをる。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
大体法水にしろ、鐘の鳴った原因を犯人の行動の一部に結びつければ、この事件には
芥子粒
(
けしつぶ
)
程の怪奇もないと信じていた矢先に、イリヤの一言はたちどころに推理の論理的な進行を破壊してしまった。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
煩
(
うる
)
さいナ、念には及ばんよ。君達のやうなヒヨロヒヨロした、
高
(
たか
)
が
腸
(
はらわた
)
の無い江戸ツ子を理想とするやうな
爾
(
そ
)
んな
芥子粒
(
けしつぶ
)
のやうな根性の
無気力漢
(
いくぢなし
)
と俺の美くしい
御発明
(
ごはつめい
)
な男勝りの嬢様とは提灯に釣鐘だ。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
芥子粒
(
けしつぶ
)
を林檎のごとく見すといふ
欺罔
(
けれん
)
の
器
(
うつは
)
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
エントヌム ネ
芥子粒
(
けしつぶ
)
のように小さくて
えぞおばけ列伝
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
芥子粒
(
けしつぶ
)
のやうに小さくなつて
展望
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
早瀬はその
水薬
(
すいやく
)
の
残余
(
のこり
)
を
火影
(
ほかげ
)
に透かして、透明な液体の中に、
芥子粒
(
けしつぶ
)
ほどの泡の、風のごとくめぐる
状
(
さま
)
に、
莞爾
(
にっこり
)
して
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
たとえばまた自分の専攻のテーマに関する
瑣末
(
さまつ
)
な発見が学界を
震駭
(
しんがい
)
させる大業績に思われたりする。しかし、人が見ればこれらの「
須弥山
(
しゅみせん
)
」は一粒の
芥子粒
(
けしつぶ
)
で
隠蔽
(
いんぺい
)
される。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
打ち囲んで案じる人々の顔は、医師の一挙一動、また
芥子粒
(
けしつぶ
)
ほどな
銀丹
(
ぎんたん
)
(神薬)をその歯の間にふくませて、うまく
喉
(
のど
)
へ落ちるかどうか。それさえ
固唾
(
かたず
)
を呑む思いで、時たつのも忘れていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此
(
こ
)
の
広
(
ひろ
)
ツ
場
(
ぱ
)
でも
目
(
め
)
の
及
(
およ
)
ぶ
限
(
かぎり
)
芥子粒
(
けしつぶ
)
ほどの
大
(
おほき
)
さの
売薬
(
ばいやく
)
の
姿
(
すがた
)
も
見
(
み
)
ないで、
時々
(
とき/″\
)
焼
(
や
)
けるやうな
空
(
そら
)
を
小
(
ちひ
)
さな
虫
(
むし
)
が
飛歩行
(
とびある
)
いた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
御自分に御精魂な、
須弥磐石
(
しゅみばんじゃく
)
のたとえに申す、
芥子粒
(
けしつぶ
)
ほどな黒い字を、
爪紅
(
つまべに
)
の先にお拾い下され、その清らかな目にお読みなさって……その……解りました時の嬉しさ。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その時分には、もう
芥子粒
(
けしつぶ
)
だけもないのです、お綾さんの爪にも
堪
(
たま
)
らず、消滅する。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さて
難儀
(
なんぎ
)
だ、弱り切るぜ。ほんにさ、猫の額ほどな処で二十六
間
(
けん
)
と尋ねたが分らねえ。あたかも
芥子粒
(
けしつぶ
)
を
選分
(
えりわ
)
けるような仕事だ。そうしてまた意地悪く幾たびでもこの
総後架
(
そうごうか
)
に行当たるには恐れる。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
芥
漢検準1級
部首:⾋
7画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
粒
常用漢字
中学
部首:⽶
11画
“芥子”で始まる語句
芥子
芥子坊主
芥子菜
芥子粉
芥子焼
芥子玉
芥子種
芥子園画伝
芥子劫
芥子屋