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納得
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なっとく
ふりがな文庫
“
納得
(
なっとく
)” の例文
合点が行かなかったというより、
納得
(
なっとく
)
しようと思わなかったのだ。納得出来るわけのものでなかった。しかし事態は、急迫していた。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
やはり
上代
(
じょうだい
)
から
漕
(
こ
)
ぎ出して、順次に根気よく人文発展の
流
(
ながれ
)
を下って来ないと、この突如たる
勃興
(
ぼっこう
)
の真髄が
納得
(
なっとく
)
出来ないという意味から
マードック先生の『日本歴史』
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして冬
撰鉱
(
せんこう
)
へ来ていたこの村の
娘
(
むすめ
)
のおみちと出来てからとうとうその一本
調子
(
ちょうし
)
で親たちを
納得
(
なっとく
)
させておみちを
貰
(
もら
)
ってしまった。
十六日
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
この隠し子の存在にはお梶さまも相当煩悶した
由
(
よし
)
であるが、自分の結婚前ということが、ともかく
納得
(
なっとく
)
の
手蔓
(
てづる
)
ではあったらしい。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
さよから先に
納得
(
なっとく
)
させてお艶を手に入れてやろうと、さっそくに考えをきめた富五郎、まるで天からぼた餅が降ってきたようなさわぎで
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
お雪ちゃんの説明で一応
納得
(
なっとく
)
したけれども、まだ心残りはあって、鷲の子の存在はそれでいいとしても、今まで静かにしていた鷲の子をして
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
かれに向かって、今夜
芝居
(
しばい
)
するなんという考えを
捨
(
す
)
てなければならないことを
納得
(
なっとく
)
させるには、たいへんな手数のかかることがわかっていた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
庄造としては、福子が腹を立てたのは至極尤もなのであるから、イザコザなしに、あつさり彼女の希望を入れて
納得
(
なっとく
)
してしまへば一番よかつた。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
僕はもう彼が実際にいないということを自分の心に
納得
(
なっとく
)
させるために、上の寝台のカーテンをあけ放してみようかとさえ思ったくらいであった。
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
彼が組頭の爺さんが、
忰
(
せがれ
)
は足がわるいから消防長はつとまらぬと辞退するのを、皆が寄ってたかって無理やりに
納得
(
なっとく
)
さす。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
兄さんこそは本当に自分の心に
納得
(
なっとく
)
できるような答をしてくれる人だと、ずーっと以前からそう思うていたのであった。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
神さまの御指導によって正しい道が
歩
(
あゆ
)
めるようにということだった。それなら何も差支ない。私は聖書を貰って、能く考えて見ることに
納得
(
なっとく
)
した。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
彼もようよう
納得
(
なっとく
)
したらしく、内に引っ返して一方の武士と何かしばらくささやき合っていたが、結局思い切ってその事情を打ち明けることになった。
半七捕物帳:30 あま酒売
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「いや、そんなつもりでもないが、しかし処置は早いに越したことはなかろう。和解の実を衆に
納得
(
なっとく
)
させる上にも」
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
E子はそう言ってやっと
納得
(
なっとく
)
して、それでもまだ安心がならないのか、小犬をやった近所の子供の家をはっきり聞いて置かなかったのを残念がっている。
愉快な教室
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
大井はやっと
納得
(
なっとく
)
した。が、
卓子
(
テエブル
)
を離れるとなると、彼は口が達者なのとは反対に、
頗
(
すこぶ
)
る足元が
蹣跚
(
まんさん
)
としていた。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
地についたものにするだろうと思います。そうなると、こちらの生活のほんとうの意味が、先方の人たちにもいくらか
納得
(
なっとく
)
してもらえるかもしれません。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
現在の鼠浄土譚には、わざと道行きを省略して、ただ
爺
(
じい
)
さんが訪ねて行ったらと、いう
風
(
ふう
)
に語っているのもあるが、それでは小さな
児
(
こ
)
にも
納得
(
なっとく
)
ができない。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
実験証明ほど、たしかなものはありませんわ。そしてあたくしは、何人をも
納得
(
なっとく
)
させます。あたくしの論文は、そのときになって、だんぜん光を放つでしょう。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
柿江はとにかく戸沢が疑わしげながら
納得
(
なっとく
)
するのを見ると、自分の今まで能弁に話して聞かせていたまったくの作り話がいよいよ本当の出来事のように思えだした。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それにしても、
見栄
(
みばえ
)
のしない
陶物
(
すえもの
)
の壺を買うのに、どうして千貫もの銀が要るのか、
納得
(
なっとく
)
できない。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ですから、これを葛岡に知らせるにしても、よくこの中身のところを説明してやりさえしたなら、どうにかこうにか葛岡を
納得
(
なっとく
)
さすだけの自信はわたくしにあります。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
農民は、自分の手にあうことや、多少ゆとりのある良心にてらして
納得
(
なっとく
)
の行くことは實行した。
ユダヤ人のブナの木:山深きヴェストファーレンの風俗画
(旧字新仮名)
/
ドロステ=ヒュルスホフアネッテ・フォン
(著)
それでいて、また、子路ほど全身的に孔子に
凭
(
よ
)
り掛かっている者もないのである。どしどし問返すのは、心から
納得
(
なっとく
)
出来ないものを
表面
(
うわべ
)
だけ
諾
(
うべな
)
うことの出来ぬ性分だからだ。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
いくら口を酸っぱくして述べ立てても
納得
(
なっとく
)
せず、あんまりではないかなばかりを繰り返す奥さんにしまいには根気まけして、近頃では赤瀬の家にも滅多に寄りつかなくなった。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
子供たちはすぐ大きくなり、それぞれ自分の生活を築くだろうと野村もいいミネもそれをいって閑子に
納得
(
なっとく
)
させたのである。みんなしてあまりにも事態を甘く見すぎたと思うほかない。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
この始君の説明で、おかあさまも、やっと
納得
(
なっとく
)
なさいましたので、始君はさっそく明智事務所へ電話をかけて、あらかじめ打ちあわせておいた暗号で、小林少年にこのことを伝えました。
少年探偵団
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
したがって、当時印度における一番の果報者であると自ら公言している際、しかも私のようにキッティを愛している場合、あまり多く口がきけなかったということは、諸君にも
納得
(
なっとく
)
できるであろう。
世界怪談名作集:12 幻の人力車
(新字新仮名)
/
ラデャード・キプリング
(著)
達は真赤になって、母親に話した通り父の
納得
(
なっとく
)
の行くまで弁解した。
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
一
(
はじめ
)
はそれで
納得
(
なっとく
)
して黙った。しかしすぐ第二の質問をかけた。前よりは一層奇抜なその質問は立派に三段論法の形式を具えていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
庄造としては、福子が腹を立てたのは至極
尤
(
もっと
)
もなのであるから、イザコザなしに、あつさり彼女の希望を入れて
納得
(
なっとく
)
してしまへば一番よかつた。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
政どんなるものが、一桁ちがいの親方の裏書をいいことにして、自説の誤りなきことを指で保証すると、お角も
納得
(
なっとく
)
して
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
五郎は答えたが、
納得
(
なっとく
)
したわけではない。納得したいとも思わない。納得したいという気持は、ずいぶん前から、彼の心の中で死んでいる。五郎は言った。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
しかし、ともかくも血書が県庁に差出されるようになったということで、一応
納得
(
なっとく
)
するよりほかなかった。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
三つも投げて、両手を
開
(
ひら
)
いて見せると、彼は
納得
(
なっとく
)
して、三個ながら口に
啣
(
くわ
)
えて、芝生に行ってゆる/\食うのが癖であった。彼は浮浪の癖が中々
脱
(
ぬ
)
けなかった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
二人が顔を突きあわせれば、いつもこの同じような問題を中心にして、男は
的
(
あて
)
になりそうもないことを言い、女も的にならないことを知りながら渋々
納得
(
なっとく
)
している。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ともっともな事を親切に言ってくれたので、燕もとうとう
納得
(
なっとく
)
して残りおしさはやまやまですけれども見かえり見かえり南を向いて心細いひとり旅をする事になりました。
燕と王子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
敬二少年は、それからいろいろと説明をして、やっと三ちゃんに
納得
(
なっとく
)
してもらうことができた。
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いかに行く先々で
愚弄
(
ぐろう
)
され
哂
(
わら
)
われようと、とにかく一応、この河の底に
栖
(
す
)
むあらゆる
賢人
(
けんじん
)
、あらゆる医者、あらゆる
占星師
(
せんせいし
)
に親しく会って、自分に
納得
(
なっとく
)
のいくまで、教えを
乞
(
こ
)
おう
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
と僕は不服だったけれど、豊子さんをくれないと言われては困るから、
納得
(
なっとく
)
して置いた。
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
当然爆発すべき無形の地、すなわち混沌たる政界の荒野に投げられなければならないということを、われわれに
納得
(
なっとく
)
させようとしていたが、そんな論説はもう私たちにはどうでもよかった。
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
それは今
雀
(
すずめ
)
を
炙
(
あぶ
)
って食った
故
(
ゆえ
)
なるべしと言えば、ヤマハハも
納得
(
なっとく
)
してそんなら少し
寝
(
ね
)
ん、石のからうどの中にしようか、木のからうどの中がよいか、石はつめたし木のからうどの中にと言いて
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「それはたぶん、女神が季節の変り目で、夏の化粧をされてるからだろう。でなければ
厠
(
かわや
)
に上られてはこされているからだろう」女神の化粧は自分で
納得
(
なっとく
)
ゆくまで何遍でも仕代えさせられるので永い。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
みな、
自得
(
じとく
)
の
研鑽
(
けんさん
)
から
通力
(
つうりき
)
した
人間技
(
にんげんわざ
)
であることが
納得
(
なっとく
)
できた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お静さん、
納得
(
なっとく
)
が行きましたか
顎十郎捕物帳:13 遠島船
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
時々
腑
(
ふ
)
に落ちないところが出てくると、私は女に向って短かい質問をかけた。女は
単簡
(
たんかん
)
にまた私の
納得
(
なっとく
)
できるように答をした。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いつもの客ならば、それで
納得
(
なっとく
)
して帰るはずなのですが、これは剣術のために来たのではない——と言う以上には、何か別用があるに相違ない。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
心づいて有り合わせた
団扇
(
うちわ
)
を取り背中の方からあおいでやるとそれで
納得
(
なっとく
)
したようであったが少しでもあおぎ方が気が抜けるとすぐ「暑い」を
繰
(
く
)
り
返
(
かえ
)
した。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
かれは、ばかに声に力を入れてそう言ったが、それはほんとうに
納得
(
なっとく
)
したというよりは、しいて言葉をはげまして、自分の不安をはらいのけているといった調子だった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
わたしの先生もハリソンさんを
宥
(
なだ
)
めて、この女は自分の親類で、決して悪いことをする者ではないと、いろいろに弁解しましたので、ハリソンさんもようよう
納得
(
なっとく
)
しました。
半七捕物帳:59 蟹のお角
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
納
常用漢字
小6
部首:⽷
10画
得
常用漢字
小5
部首:⼻
11画
“納”で始まる語句
納
納戸
納屋
納所
納豆
納涼
納戸色
納経
納受
納涼台