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篩
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ふるい
ふりがな文庫
“
篩
(
ふるい
)” の例文
厳密に、史実として、
篩
(
ふるい
)
にかけると、たとえ二天記や小倉碑文に書かれてある事項でも、どの程度の真実性があるかということになる。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
暫
(
しばら
)
く溜めて日に干しておくとカラカラになりますから
擂鉢
(
すりばち
)
かあるいは
石臼
(
いしうす
)
で
搗
(
つ
)
き砕いて
篩
(
ふるい
)
で
幾度
(
いくど
)
も篩いますと立派なパン粉が出来ます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
色々調べて行く中にスラッグ・ドルガンと君と、それから二、三の奴の名前に行き当ったが、更に
篩
(
ふるい
)
に掛けて遂に君とスラッグが残った。
赤い手
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
。お前の外套は、こういっちゃ失礼だが、まるで
篩
(
ふるい
)
だぜ、いけないねえ! そろそろ人並みのことをしていい時分らしいぜ
正直な泥棒:――無名氏の手記より――
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
木のないところへ来ると、空は日が未だ高くて、
篩
(
ふるい
)
をかけたように、青葉の上に金光をチラリと流して、木の下道にのみ、闇がさまよっている。
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
▼ もっと見る
ドクタア・エルドリッジはこの建物と、壺、銅罐、小桶、
篩
(
ふるい
)
、アルコール箱等の完全な設備を見て驚いていた。来週はドクタア・マレーが来る。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
清潔にした室に藁の
篩
(
ふるい
)
を置き、その上に桑の葉を置く。そして幼虫は家の中で卵から
孵
(
かえ
)
る。桑は大きな木で、其の幼虫を養ふ目的で栽培するのだ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
それで最も目立つ色彩をしていながら無事に敵の襲撃を免れて生き遺ることのできるような優秀な個体のみが自然淘汰の
篩
(
ふるい
)
にかけられて
選
(
よ
)
り残され
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その時に、右の一枚石が与八の手にかかって、ほとんど
篩
(
ふるい
)
を廻すような軽みで左右に揺れ出したのには、一同が舌を捲かずにはおられませんでした。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
だんだんと、
篩
(
ふるい
)
をかけてきた結果、いよいよ真相を告げておよろしい頃合となったと思うが、わたくしは、人通りまばらなる舗道のうえを歩きだした。
第四次元の男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
みていた小さい
太郎
(
たろう
)
は、
縁側
(
えんがわ
)
からとびおりました。そしてはだしのまま、
篩
(
ふるい
)
をもって追っかけてゆきました。
小さい太郎の悲しみ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
米を
苧糸
(
おいと
)
の
篩
(
ふるい
)
でふるうときに出るものといっているが(飛州志)、そういう道具の普及せぬ頃にはユリという
楕円
(
だえん
)
形の木の盆で、米と籾とをゆり分けたので
食料名彙
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
雌
山羊
(
やぎ
)
の乳をしぼれば、他の者が
篩
(
ふるい
)
をその下に差し出していると云う、そんなはかない
生活
(
くらし
)
なので、躯工合でも悪くなると、あれこれと考えるのだが、まあ
生活
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
さればこそ彼等によりて一たびは真理と確定されたものでも時代の
篩
(
ふるい
)
に掛けられて、今では真理ならずとされたものが
沢山
(
たくさん
)
あるゆえんである。それが進歩である。
現代の婦人に告ぐ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
更にその青年や女性が自分たちの時代として経て来た歴史の性格などがそれとこれとをきりはなして
篩
(
ふるい
)
にはかけられないような溶け合いかたで刻々に躍動している。
家庭創造の情熱
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
婆さんはその粉を
篩
(
ふるい
)
にかけて
粕
(
かす
)
を
除
(
と
)
り、それがすむと人形をはじめ農具を箱の中へ入れてしまった。
蕎麦餅
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その次ぎに来た異人がまた、女の髪の毛を三本と言い出したから、今度は
篩
(
ふるい
)
の毛を三本抜いて与えた。驚くべきことには、その
篩
(
ふるい
)
が天に登って、異国へ飛んで
往
(
い
)
ったともいう。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
方言では「おぼけ」とか(これは
緒桶
(
おおけ
)
のことであります)、「とす」とか(これは
簁
(
とおし
)
の意で
篩
(
ふるい
)
のこと)、「かこべ」とか(これは
葉籠
(
はかご
)
のこと)など色々面白い呼び方をするのも
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
古いものでは遠い昔のことでありますから
篩
(
ふるい
)
にかかって公平な値段がつけられておる。
古陶磁の価値:――東京上野松坂屋楼上にて――
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
ポアッソニエの
大通
(
グランブールヴァル
)
はもう
五色
(
ごしき
)
の光の
槍襖
(
やりぶすま
)
を八方から
突出
(
つきだ
)
していた。しかしそれに
刺
(
さ
)
され、あるいはそれを
除
(
よ
)
けて行く往来の人はまだ
篩
(
ふるい
)
にかけられていなかった。ゴミが多かった。
売春婦リゼット
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
即ち
玄人
(
くろうと
)
と素人、芸術と批評、実際と理想……と、そうした裏と表の両面から
篩
(
ふるい
)
にかけて選み出されたものはキット内容の充実した……舞台表現として成功した曲にきまっている。
能とは何か
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
墜ちがけに、からかさのように拡がった隣りのトド松の枝をつき飛ばした。それは、
篩
(
ふるい
)
のように揺すぶれ、弾力のあるかたい葉は
顫動
(
せんどう
)
しつづける。雪はほこりのように降って来た。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
小屋に使ってある丸太はどす黒く古びており、多くの屋根は
篩
(
ふるい
)
のように穴だらけになっている。中には上に
棟木
(
むなぎ
)
と、その両側へ肋骨のように張り出した
垂木
(
たるき
)
だけしか残っていないのもある。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
折から
颯
(
さっ
)
と渡った風は、はじめ最も低く地上をすって、雪の
上面
(
うわづら
)
を
撫
(
な
)
でてあたかも
篩
(
ふるい
)
をかけたよう、一様に
平
(
たいら
)
にならして、人の
歩行
(
ある
)
いた路ともなく、夜の色さえ
埋
(
うず
)
み消したが、見る見る垣を
亙
(
わた
)
り
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
人々が勇敢に征服していった
泥土
(
でいど
)
の中には、至る所に、金銀細工物や宝石や貨幣などの貴重品が満ちていた。もし巨人があってその泥土を
漉
(
こ
)
したならば、
篩
(
ふるい
)
の中に数世紀間の富が残ったに違いない。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ニュースの核心と最後的な
篩
(
ふるい
)
にかけられた粒選りの部分、落ちつくところに落ちついたもの、戦争と平和との見透し、この世界はまだ長もちがしそうかどうか、を聞いた上で、裏口から出してもらい
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
あの
篩
(
ふるい
)
はなんにするのだい。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
節食はもちろん、喰えるものは喰い尽し、穀倉の中の土まで
篩
(
ふるい
)
にかけてつないで来た奉行の苦心を聞くと、彼は、何もいえなくなった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すると別な機械が
篩
(
ふるい
)
の上でそれを薄い板に引き伸ばして、水を搾りとつて了ふと、泡のやうな液体がフエルトになる。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
玉子の泡がそれほどに固くなったら
米利堅粉
(
めりけんこ
)
の代りに
小麦粉
(
うどんこ
)
の上等を細かい
篩
(
ふるい
)
でふるわなければいけません。篩わないとダマが出来てよく混ざりません。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
頭という名はよいけれども、何回も
唐箕
(
とうみ
)
や
万石
(
まんごく
)
を通して、最後に
篩
(
ふるい
)
の上になる屑籾のことなのである。
食料名彙
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「大丸木
縁
(
ぶち
)
」「小丸木縁」(
縁附丸笊
(
ふちつきまるざる
)
)「かこべ」(
桑籠
(
くわかご
)
)「荒とす」(「とす」は「通す」の意で
篩
(
ふるい
)
)、「おぼけ」(
緒桶
(
おおけ
)
の意か)等色々に呼ぶ。その他最も多く作るのは
行李
(
こうり
)
である。
陸中雑記
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
報告文学が、きびしい時間の
篩
(
ふるい
)
を忍ばなければならない機微がここにもある。
人生の共感:求められる文学について
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
道ばたで薄ぎたないシナ人がおおぜい
花崗石
(
みかげいし
)
を細かく砕いて
篩
(
ふるい
)
で
選
(
よ
)
り分けている。雨が少し降って来た。柳のある土手へ
白堊塗
(
はくあぬ
)
りのそり橋がかかってその下に文人画の小船がもやっていた。
旅日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
五合ばかりの
玄米
(
くろごめ
)
を、徳利の中へ無造作に入れて
樫
(
かし
)
の棒でコツコツ
搗
(
つ
)
くのであって搗き上がるとそれを
篩
(
ふるい
)
にかけその後で飯に
炊
(
かし
)
ぐのであった。彼は徳利搗きをやりながらも眼では本を読んでいた。
開運の鼓
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それだけ古書画として
篩
(
ふるい
)
にかかった価値を有するものであるが、これを芸術的に見て、なにがそうさせたかをいうならば、相当の上品さを保ってその墨蹟が作者自己に生きているということである。
墨蹟より見たる明治大正の文士
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
母は手拭を冠り、
手甲
(
てっこう
)
を着けて、稲の穂をこいては前にある
箕
(
み
)
の中へ落していた。その
傍
(
かたわら
)
には、
父子
(
おやこ
)
の叩いた籾を
篩
(
ふるい
)
にすくい入れて、腰を曲めながら働いている、黒い日に焼けた顔付の女もあった。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
この辺はもう本丸の玄関に近い
前栽
(
せんざい
)
らしく、所々に、枝ぶりのよい男松が這っていて
篩
(
ふるい
)
にかけたような敷き砂が光っていた。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
家で碾かせますと一番先へ出た粉を極く細かい
篩
(
ふるい
)
にかけてそれを一番粉と申しますから色が白うございます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
むしろ進んで、暗合的なものと因果的なものとを含めた全体のものを取って、何かの合理的な
篩
(
ふるい
)
にかけて偶然的なものと必然的なものとを
篩
(
ふる
)
い分ける事に努力したほうが有利ではあるまいか。
比較言語学における統計的研究法の可能性について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
何にかの
篩
(
ふるい
)
にでもかけられて来たやうに、粒になつて降つて来る。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
そしてお可久様を張りに来ている連中も、だんだん
篩
(
ふるい
)
にかけられて、粘り強い者だけが、今では、碁盤の外の勝敗に
鎬
(
しのぎ
)
を削っているのであった。
魚紋
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
パンの砂即ちブレッドサンドといってパン粉を拵える時
篩
(
ふるい
)
の方へ残った荒いパン
屑
(
くず
)
へ少し塩を混ぜてそれが大匙二杯あったらばバターを中匙一杯溶かしてパリパリするほどに
炒
(
い
)
り付けます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
すでに、誓紙の上で誓った者には、改めていう迄もないが、
篩
(
ふるい
)
にかけて残った者へは、今始めて
囁
(
ささや
)
く大事なのである。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
階下
(
した
)
には、
米搗臼
(
こめつきうす
)
だの、
篩
(
ふるい
)
だの奥には又ぎっしり
俵
(
たわら
)
が積み込んであるが、梯子を上ると、四坪ほどの床に
筵
(
むしろ
)
が敷いてあって、行燈もある、火鉢もある、茶も沸く。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、内蔵助が、念に念を入れた上の
絹漉
(
きぬご
)
しで
篩
(
ふるい
)
にかけたような人々のみが、水も
洩
(
も
)
らさぬ用意の
下
(
もと
)
に、
緻密
(
ちみつ
)
な聯絡をとり合って、江戸表に深く脚を入れていた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人々が何十年も、土足で踏みつけ踏みつけして、凹凸を作っている倉内の地面にも、掘れば、なお食するに足る物が
蔵
(
しまわ
)
れていた。
箕
(
み
)
でより分け、
篩
(
ふるい
)
にかけて、洗いあげる。
日本名婦伝:谷干城夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうだとも。未練な弱兵はことごとく落ち失せて、ここに残った将士こそ
篩
(
ふるい
)
にかけられた真の大丈夫ばかりである。一騎よく千騎に当る猛卒のみだ。兵力の
寡少
(
かしょう
)
は問題でない」
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
農倉の
稗
(
ひえ
)
粟
(
あわ
)
は云うまでもなく、畑の物も土を
篩
(
ふるい
)
にかけたように喰べ尽している。
日本名婦伝:大楠公夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“篩”の解説
篩(ふるい、en: sieve)とは、紛粒状の固体混合物から、その粒径やその他の物理的性質によって、特定の紛粒状固体を選別する機器の総称。一般には網状になっている。本来は粗い目のものを「通し」、細かい目のものを「ふるい」というが、混用されており厳密に区別することも困難とされる。
(出典:Wikipedia)
篩
漢検1級
部首:⽵
16画
“篩”を含む語句
灰篩
箱篩
篩出
篩粉
篩落
絹篩