トップ
>
瞞着
>
まんちゃく
ふりがな文庫
“
瞞着
(
まんちゃく
)” の例文
その人の内容だけの物しか狙い又掴みだすことができず、平時に
瞞着
(
まんちゃく
)
し得た外見も、ここに至ってその真実を暴露せずにはいられない。
咢堂小論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
その制度の中に
瞞着
(
まんちゃく
)
されながら、現代における生活の必需品を最小限度に充用し得る程度の賃銀の支払を要求しているに過ぎないのです。
階級闘争の彼方へ
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
古来日本国の上流社会にもっとも重んずるところの一大主義を
曖昧糢糊
(
あいまいもこ
)
の
間
(
かん
)
に
瞞着
(
まんちゃく
)
したる者なりと評して、これに答うる
辞
(
ことば
)
はなかるべし。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
いや
牝鶏
(
めんどり
)
を
瞞着
(
まんちゃく
)
するために瀬戸物で卵を作るそうでしな、なぜ瞞着せなければならぬかというとでし、牝鶏というやつは卵を産むと、——
評釈勘忍記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
なんのために庭番を呼ぶ必要があるのだ? 自分で自分を告発するためとでもいうのかね? あるいは
瞞着
(
まんちゃく
)
手段なのか? いや
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
▼ もっと見る
と。この論はなはだ穏当着実もって俗人を
瞞着
(
まんちゃく
)
するに足るといえども、静かに考うるときは実に一種の
詭弁
(
きべん
)
といわざるべからず。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
真面目ならば、こうまで言った話は解らんけりゃならん。私が一時を
瞞着
(
まんちゃく
)
して、芳を
他
(
よそ
)
に
嫁
(
かたづ
)
けるとか言うのやなら、それは不満足じゃろう。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
新聞でも見ながら「ミット」や「オーネ」のコーヒーをちびちびなめながら淡い郷愁を
瞞着
(
まんちゃく
)
するのが常習になってしまった。
コーヒー哲学序説
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「ははあ、あなたもあの際に白髪染を怠らなかったとは、承わって敬服します。
流石
(
さすが
)
に閑日月ありですな。人を
瞞着
(
まんちゃく
)
することは別問題として」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
しかし季因是はまるで知らなかったのだから、廷珸の言に
瞞着
(
まんちゃく
)
されて、大名物を得る悦びに五百金という高慢税を払って、大ニコニコでいた。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
しかし
同僚
(
どうりょう
)
を
瞞着
(
まんちゃく
)
するよりも常子の疑惑を避けることは
遥
(
はる
)
かに困難に富んでいたらしい。半三郎は彼の日記の中に絶えずこの困難を痛嘆している。
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
娘の
裸体
(
はだか
)
吟味 ところで今より十三年程以前にそのパルポ商人のある大きな店へラサ府の婦人が買物に行って珊瑚珠を一つ
瞞着
(
まんちゃく
)
したとかいうので
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
僕はそんなことに
瞞着
(
まんちゃく
)
されはしません。僕が老人になり相当な地位に達した今となって、君は僕を利用して若い人たちを押しつぶそうとしています。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
これに加うるに、宗教家中の山師連は、愚民
瞞着
(
まんちゃく
)
の手段として天狗を利用し、ますます奇怪に奇怪をつけ加うることも、世間にありがちのことである。
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
それを昔から
今日
(
こんにち
)
に至るまでのいっさいの日本人が、古い一人の学者にそう
瞞着
(
まんちゃく
)
せられていたのは、そのおめでたさ
加減
(
かげん
)
、マーなんということだろう。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
現に『日本新聞』では一ページ余にわたって、かれらの身許調べのような記事を掲げて、こんなまやかしものに
瞞着
(
まんちゃく
)
されるなと警告したくらいであった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
かく十日まえに世人のまなこを
瞞着
(
まんちゃく
)
しながら、男と女を入れ替えて、夫婦の契りを結ばせたのでありました。
右門捕物帖:11 身代わり花嫁
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「すると、あいつ、何から何まで本当のことを云ったのだな。僕達を
瞞着
(
まんちゃく
)
する夢物語ではなかったのだな」
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
申し合せてインスピレーション、インスピレーションとさも
勿体
(
もったい
)
そうに
称
(
とな
)
えている。これは彼等が世間を
瞞着
(
まんちゃく
)
するために製造した名でその実は正に逆上である。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
世の人心を
瞞着
(
まんちゃく
)
すること、これに
若
(
し
)
くものはない。何故か? 曰く、全快写真は
殆
(
ほと
)
んど八百長である。
勧善懲悪
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
かくてメレートスやアヌトスなどの
詐言
(
さげん
)
のために、とやかくといろいろ
瞞着
(
まんちゃく
)
された結果、種々の裁判の末に、我大聖ソクラテスは遂に死刑を宣告せられることとなった。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
「……これが、我々に信じ得られるとお思いでしょうか? 疑いもなく××です。殿下もシャアも! 見て下さい! 我々を
瞞着
(
まんちゃく
)
するために大使館が寄越したこの電報を!」
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
テナルディエは特に
瞞着
(
まんちゃく
)
者で落ち着いた男であって、まあ穏やかな方の悪党であった。けれどもそれは最も
性質
(
たち
)
のよくないやつである、なぜなら偽善が交じってくるからである。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
あるいは人によりては、これはずるい方法で、猫を
被
(
かぶ
)
るとか、猫なで声で人を
瞞着
(
まんちゃく
)
するとか、西洋でいう
羊
(
ひつじ
)
の毛を
被
(
かぶ
)
る
狼
(
おおかみ
)
のごとく、偽善の最も
甚
(
はなは
)
だしきもののように思うものもある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
それさえない一片の紙をどうして外国のものが信ずることができるか、君らは自分を
瞞着
(
まんちゃく
)
するために来たのであろう、自分はこれから艦長に言い付けてすぐさま京都に行くであろう
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ただ人間は nicety の仮面の下に自分自らを
瞞着
(
まんちゃく
)
しようとしているのだ。そして人間はたしかにこの偽瞞の天罰を被っている。それは野獣にはない、人間にのみ見る偽善の出現だ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
色恋が年と共に薄れ行くと思うのは、それは現実を
瞞着
(
まんちゃく
)
した旧思想に過ぎず、事実は生活力が衰退して、異性との交渉が少くなるにつれて、若かりし日の記憶は強烈に鮮明に働き出すのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:17 白髪の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
故
(
ことさ
)
らに無心な顔を作り、思慮の無い
言
(
こと
)
を云い、互に
瞞着
(
まんちゃく
)
しようと
力
(
つと
)
めあうものの、しかし、双方共力は
牛角
(
ごかく
)
のしたたかものゆえ、
優
(
まさり
)
もせず、
劣
(
おとり
)
もせず、
挑
(
いど
)
み疲れて今はすこし
睨合
(
にらみあい
)
の姿となった。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
もう僕は、だまされない。叔父さんは、僕たちの疑惑の眼を避けたいばかりに、ポローニヤスと相談して、僕たちを
瞞着
(
まんちゃく
)
する目的で、あんな不愉快千万の仕組みを案出したのだ。馬鹿にしていやがる。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
文明の学者士君子にして、腐儒の袖の下に隠れ儒説に保護せられて、由て以て文明社会を
瞞着
(
まんちゃく
)
せんとする者と言う可し。其窮唯憐む可きのみ。
新女大学
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それが幸福の追求である場合には、もっとも愚かなもっとも
瞞着
(
まんちゃく
)
的なものとなる……。ジャックリーヌは愛以外に生の目的を考えることができなかった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「小説にもないだろう。親父が生きている間息子が余り白くなっちゃ死に急がせると思って染めていたのさ。諸君を
瞞着
(
まんちゃく
)
した形はあるが、事情止むを得ない」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
また、利欲心より愚民を
瞞着
(
まんちゃく
)
して、金銭を得んとて偽造せることもたくさんある。またはなんらの利益なきも、一種の好奇心もしくは悪戯より妖怪を製造する人もある。
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
人を
籠絡
(
ろうらく
)
し
瞞着
(
まんちゃく
)
してこられた、だが私はもう
騙
(
だま
)
されはせぬ、盲人は顔色音声によって真偽を
眩
(
くら
)
まされることはない、貴方がいつかここへ来られることもわかっていたし
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
つまり
瞞着
(
まんちゃく
)
しようと思って悪企みをしてやがるのだ、あの男の眼はけっして見るのじゃないぞ、あいつの眼では何もわかりゃせんぞ、悪党だからな——つまり髯さえ見ていればいいのさ
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
於戯
(
ああ
)
実に慨嘆の至に堪えんではない乎! 高尚なること
檞
(
かしわ
)
の木の如き諸君よ、諸君は何故彼如き
陋劣漢
(
ろうれつかん
)
を地上より埋没せしめんと願わざる乎。彼は鬘を以てその禿頭を
瞞着
(
まんちゃく
)
せんとするのである。
風博士
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
世間を
瞞着
(
まんちゃく
)
していた熊芸人の正体を看破した以上は、自然そこに居合わした遊芸人たちも四散するだろうと思いましたので、伝六以下の三人を従えて拍手賞賛の間をゆうゆう引き揚げようとすると
右門捕物帖:10 耳のない浪人
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
どうしても完璧の
瞞着
(
まんちゃく
)
が出来なかった。しっぽが出ていた。
誰
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
以て
冥々
(
めいめい
)
の間に自家の醜を
瞞着
(
まんちゃく
)
せんとするが如き
工風
(
くふう
)
を
運
(
めぐ
)
らすも、
到底
(
とうてい
)
我輩の筆鋒を
遁
(
のが
)
るるに
路
(
みち
)
なきものと知るべし。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それから彼は家に帰ると、住居は無趣味で悪臭がしており、妻は騒々しい平凡な女で、彼にたいして少しも理解がなく、彼は
瞞着
(
まんちゃく
)
者かもしくは狂人だと見なしていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
深く秘して官を
瞞着
(
まんちゃく
)
し、不法に貢税をのがれ賦役を逃げて、ひとり王侯の富を蔵するに至った
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
愚民
瞞着
(
まんちゃく
)
もここに至りて極まれりといわねばならぬ。
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
漫
(
みだり
)
に嫉妬なる文字を濫用して巧に之を説き、又しても例の婦人の嫉妬など唱えて以て世間を
瞞着
(
まんちゃく
)
せんとするも、人生の権利は到底無視す可らざるものなり。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そうして、その三枚めも剥がれて、つまり七十六日めの夜になったとき、ゆい子がやはり夜具のまわりに砂垣を作るのを見て、五郎さんは
瞞着
(
まんちゃく
)
されたような気持におそわれた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
なおかつ一世を
瞞着
(
まんちゃく
)
して
得々
(
とくとく
)
横行すべきほどの、この有力なる開進風潮の中にいながら、学校教育の一局部を変革して、もって現在の
世態
(
せいたい
)
を左右せんと欲するが如きは
徳育如何
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そうして、その三枚めも
剥
(
は
)
がれて、つまり七十六日めの夜になったとき、ゆい子がやはり夜具のまわりに砂垣を作るのを見て、五郎さんは
瞞着
(
まんちゃく
)
されたような気持におそわれた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
況
(
ま
)
して外国の書を
読
(
よん
)
で
欧羅巴
(
ヨーロッパ
)
の制度文物を
夫
(
そ
)
れ
是
(
こ
)
れと論ずるような者は、どうも
彼輩
(
あいつ
)
は
不埒
(
ふらち
)
な奴じゃ、
畢竟
(
ひっきょう
)
彼奴等
(
あいつら
)
は
虚言
(
うそ
)
を
吐
(
つい
)
て世の中を
瞞着
(
まんちゃく
)
する
売国奴
(
ばいこくど
)
だと云うような評判がソロ/\
行
(
おこなわ
)
れて来て
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
三人は夢中になって徳利のかけらにとびかかり、一つ一つ手に取って念入りに調べた、だがそれらはいささかの
瞞着
(
まんちゃく
)
も
機関
(
からくり
)
もない単なる徳利のかけらで、
妖異
(
ようい
)
を証明するなにものも存在しなかった。
三悪人物語:忍術千一夜 第二話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
以てその不品行を
瞞着
(
まんちゃく
)
するの口実に用いんとする者なきにあらず。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
あるいは人々を
瞞着
(
まんちゃく
)
してうまうま出世したかも知れぬ。
夜明けの辻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
瞞
漢検1級
部首:⽬
16画
着
常用漢字
小3
部首:⽬
12画
“瞞着”で始まる語句
瞞着者